月別アーカイブ: 2013年12月

採用に関わる研究をレビュー中!:採用研究会に参加しています

先日出版された「The Oxford handbook of Recruitment」をもとに、採用研究について議論する研究会に参加しています。合宿なので、今日は初日で、明日もあります。二日間でハンドブックの全体の一気に押さえてしまおうというなかなかハードな合宿です。まあだいたい合宿をやるときにはそういうことが多いのですが(笑)

The Oxford Handbook of Recruitment (Oxford Library of Psychology)
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今回は組織論や組織社会化などに関連する若手の研究者があつまり研究会をおこなっています。メンバー的には、ぼくが一番若いくらいのかんじでしょうか。

今日取り扱ったテーマは、たとえばこんなかんじです。

  • 応募者の仕事選択に関する研究
  • 採用活動における感情の役割に関する研究
  • 採用と戦略に関する研究
  • 採用の研究方法に関する研究
  • 採用における口コミに関する研究
  • 採用面接における印象操作に関する研究
  • インターネットを使った採用活動に関する研究

かなりいろいろな側面から研究がされています。基本的には、企業にとってよい採用活動をするためにどうしたらよいのかという視点で研究がなされています。

もちろん採用活動は国によって異なるため、結果をそのまま日本に適応するわけにはいきません。日本の新卒一括採用という文脈にあわせたときになにができるのかを頭の中で置き換えながら議論をしていきました。

「採用」は、単純に「企業がいかによい採用活動をするのか」ということにとどまらず、大学・企業・社会の変化が表出してくる場所なので、いろいろな研究アプローチがあるかと思います。私はどんな立場で、どのような研究をしようかなと思いながら研究会に参加していました。

大学と社会の接続(トランジション)については、数年前から中原先生や、研究室の保田さん、木村くんや、京都大学の溝上慎一先生たちとともに研究をしていますが、今後どのように発展させていこうかなということを考えています。

明日も研究会はつづくので、たのしみたいと思います。

■関連するブログ記事

中原先生のブログ:今年は「採用研究会」で仕事納めです!:The Oxford handbook of Recruitmentを揉む会
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/12/the_oxford_handbook_of_recruit.html

関根雅泰さんのブログ:The Oxford Handbook of Recruitment 研究会
http://learn-well.com/blogsekine/2013/12/the_oxford_handbook_of_recruit.html

博論を書きながら過去の自分と向き合う

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今年は博士論文を書く年!と自分のなかで決心し、毎日ひたすら文章を書いています。博論以外もいろいろなことをやっていますが、自分のなかでは今年は博論を最優先事項にして、それ以外はなるべくセーブする方向でやってきました。

wordでいえばページ数は200枚を超え、文字数も10万字を超える量になります。これくらいの量になると、仮に「なんでもいいからその量を書け」と言われても大変なレベルです。

博士論文を書くというのは、これまでの研究成果をまとめ、ひとつのストーリーに再構成するということです。これまでやってきた研究よりをもう一段階、抽象的な視点にあげて、自分のやっていることを意味づけることでもあるかと思います。

思考のレイヤーを一段階あげて統合することは、認知的な負荷がとてもかかります。その一方で、この作業はとても楽しくもあります。自分がやったことが大きな研究の流れにおいてどこに位置づくのかを考えることは、知的好奇心が刺激されます。

博論の審査をしてくださる先生方のコメントに答えるために、あれやこれや調べ直したり書き直していると、時々「ああ、これはここと接続して論じることができるかもしれない!」と思う瞬間があるのですが、そういうときにも、やはりひとりでテンションがあがります。

ひとりでテンションがあがるどころか、研究室で隣で作業をしているメンバーに「これって、こうもいえるってことですよね!」と思わず話しかけてしまいます。おそらくいきなり言われてもなんのことかわからないし、作業中なので邪魔しているとは思うのですが、それでも言わずにいられなくなってしまうのです(笑)。

そんなこんなで博論を書くわけですが、博論を書いているときというのは、修士の頃などをよく思い出します。まあそれは修論を読み直したりしなくてはならないからんですよね。修論読むと「おれの文章ひどいな・・・」と、だいたいまあ悲しい気持ちになります。しかし、博論を書くためにはこういった過去の自分と向き合わなければなりません。

過去の資料を見直すたびに、「ああ、これのときこんな大変だったな」、「このときはこういうこと、がんばっていたな」というかんじで、いろいろな思い出が浮かび上がってきます。そのせいで、研究室の行き帰りは、博論をどう構成しようかということを考えているつもりが「あのとき、あんなことがあったなあ」という過去の思い出について考えていることが多いです。

そういう意味では、博論というのは、研究成果をまとめるだけではなく、自分の大学院生活を整理するという側面もあるのかもしれません。

博論を書いていると、過去の文章をみて「ああ、あのときはだめだったな」とへこんだり、「ひどいとわかるということはいまの自分は成長したんだな」と自信を持ってみたり忙しいです。さらに「俺、ほんとに書けるのかな」と思う瞬間もあれば、「これ、絶対いけるわ!」と思う瞬間もあり、気持ちのせめぎ合いをしながら文章を書いています(笑)

少しかっこよくいえば、過去を忘れるでも、すがりつくでもなく、自分のなかで折り合いをつけながら、前を向くというかんじでしょうか。

おそらくここで書き上げた博論も時がたてば、「あのときの俺の文章ってこんなんんだったのか」と思うと思います。昔はそういうのはイヤだったのですが、いまはそれもありだなと思うようになってきています。

「書くこと」や「思考」には、明確な終わりはありません。常にそのときの「暫定的な最適解」ではないかと思います。

いまの自分はまだまだ未熟なわけですが、未熟な自分なりにいまできることを、その時々にしっかりまとめていくということをつづけていきたいなと思います。

ということで、まあ文章を書いているといろいろな思いがわいてくるわけですが、しっかりとまとめていきたいなと思います。

大学での学び・就活・入社後の適応を追う研究プロジェクトを進行中!

現在進めているプロジェクトのひとつに「大学での学び・就活・入社のプロセスを追う研究プロジェクト」があります。プロジェクトの詳細は、プロジェクトリーダーの中原先生が今日ブログに書いていました。

「大学での学び」と「入社後のプロセス」を追う研究は、実は数年前から京都大学の溝上慎一先生の研究室とともに調査を進めており、3月に書籍が出版される予定です。「躍進するビジネスパーソンの探究:大学時代の経験をさぐる」(東京大学出版会)という本がでます。私も執筆していますので、よろしければぜひご覧いただければと思います。

このプロジェクトに関連して、就活に関する先行研究や調査についてかなり調べました。また、企業側・学生側の視点を理解するために、インタビューなども実施させていただきました。情報を集めれば集めるほど、いかにいろいろな人がかかわり、いろいろな思惑が交錯していることがわかります。

「よい企業に入りたい(学生)」「よい人をとりたい(企業)」「よい企業に入ってほしい(親や大学)」という思いが、どうやればうまくはまるのかというのは悩ましいところです。

これから今年度の就活もはじまりますが、就活をする学生が必要以上に追い込まれないとか、背中を少しだけ押せるような研究成果を出せるといいなと思っています。研究プロジェクトとしては、大学生個人に向けたもの、採用をする企業側に向けたものの両方に関する研究知見をだしたいと考えています。

プロジェクトを進める上で見つけた情報などもできればここで色々紹介していければと思っています。

いろいろ調べてみると、就活中の親の関わり方や、相談相手に関する記事もたくさんでてきます。

就活生の親がやるべきこと、やってはいけないこと
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0402J_U0A101C1000000/

就職活動の相談相手は誰? 学生×シゴト総研 | 学生DATA | 就職ジャーナル 1日10分の社会勉強サイト
http://journal.rikunabi.com/student/souken/souken_vol68.html

就活中の学生がいる方はぜひあたたかく見守ってほしいですし、学生さんはだれか相談相手がいるといいのかなと思います。今後も少しずつ情報を出していきたいと思います。

あこがれが連鎖していくコミュニティの強さ

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人が成長するときに「ああいう人になりたい!」と思う気持ちは、ひとつの強い動機になると思います。キーワードでいうと「あこがれ」とか「ロールモデル」という言葉で表現できるかもしれません。

私は大学教育に関する研究や実践に関わっているのですが、最近「よい実践をしているな」とか「学生が生き生きしているな」と思うところは「あこがれの連鎖」が起こるような状況になっていると感じます。

今回は私にとって身近な事例である「同志社女子大学の上田信行先生のゼミ」と「立教大学経営学部」という2つの事例について書いてみたいと思います。

1つ目の事例は「同志社女子大学の上田信行先生のゼミ」です。

同志社女子大学の上田信行先生のゼミ生が企画するイベントについては、昨日ブログ記事に書きました。このゼミでは、「学習環境デザイン」をテーマに、学習理論を学んだり、実際に学びの場をデザインするということを2年間通じて実施してきます。

先日実施したイベントは4年生が中心になり、3年生も一部を担当するかたちで企画を行っていました。その4年生たちはイベントをするときに「去年の4年生にあこがれて、私たちもああいうふうになりたいと思ってがんばってきた」ということをよく口にしていました。

さらに、今年一緒に企画した3年生もイベント後に「4年生がこのイベントを作る上で、朝から晩までものすごくがんばっているのを近くで見てきた。私たちもいまの4年生みたいになりたい」ということを話していました。

ゼミ生たちは指導教員である上田先生のことももちろんリスペクトしているわけですが「先生と学生」という関係だけでなく「学生同士(先輩と後輩)」がリスペクトする関係も成立しています。さらに、その関係は下の学年にしっかりと連鎖しているということを感じました。

もう一つの事例は、「立教大学経営学部」です。

立教大学の経営学部は今年非常勤で授業を担当していました。私が担当した1年生の授業では「SA(Student Assistant)制度」が導入されていて、2年生がSAとして授業に参加します。SAは単にプリントを配ったりするだけではなく、授業の内容にも積極的に関わります。授業は、私とSAの二人で実施しているようなかたちになります。

2年生のSAさんたちに「どうしてSAになったの?」と聞いてみると、「去年のSAさんにあこがれて」という言葉がよく聞かれます。さらに、1年生に話を聞くと、「SAの○○さんがかっこよかったから、私も来年SAになってみようかなと思う」という話をします。

ここでも「先生と学生」という関係だけでなく「学生同士(先輩と後輩)」がリスペクトする関係が成立していると感じました。

今回は、私にとって身近な2つの事例について紹介しました。この2つの事例をみていて感じたのは「大学時代に、大学で学ぶという意味で、かっこいい先輩と出会う機会ってあったかな?」ということでした。大学時代でサークルや部活やバイト以外で先輩と会う機会というのはあまりないのではないでしょうか。

きっと「あこがれるような先輩がいない」わけではないのだと思います。「先輩のかっこよさ」が引き出されたり、そういう先輩と出会うような機会がなかっただけではないでしょうか。

大学教育を考えていく上で、先生の役割はもちろん大きいですし、授業のやり方を改善していくことは重要だと思います。さらに、先生自身が「あこがれの対象」になることも大事ではあるでしょう。

しかし、それだけではなく「あこがれの連鎖」といった、学生同士の関係が生まれていくような環境をつくることもあわせて重要になるのではないかと感じました。

今回の記事は私にとって身近な事例をもとにブログを書きました。たしかなデータがあって書いているわけではもちろんないのですが、個人的にこうした視点を少し大事にしていきたいなと考えています。

■関連するブログ記事

場作りにおける「つなぎ」と「アレンジ」の妙:learning festivalに参加してきました
https://www.tate-lab.net/mt/2013/12/learning-festival.html

SA(Student Assistant)に求められる力とは? -SA引き継ぎ合宿に参加してきた!-
https://www.tate-lab.net/mt/2013/08/student-assistant.html

■関連する書籍

・上田信行先生に関する書籍

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・立教大学経営学部の実践に関する書籍

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場作りにおける「つなぎ」と「アレンジ」の妙:learning festivalに参加してきました

写真 2013-12-14 19 28 13.jpg

土曜日は、同志社女子大学の上田信行先生のゼミ生たちが企画したイベントに参加してきました。

「learning festival〜学びの100倍返し〜」と名付けられたこのイベントは「学びについて学ぶ」というのがポイントといえると思います。

学生たちが2年間ゼミで学んだことをもとに作られたこのイベントは、学びを考える上での重要な要素がたくさんちりばめられていました。

参加者は約80名くらいだったでしょうか。

今回はそのイベントについて簡単に紹介し、場作りをする上でのポイントについて考えてみたいと思います。

■イベントの内容をざっと紹介

写真 2013-12-14 15 09 17.jpg

イベント内容をざっと振り返ると以下のようなかんじでした。

  • パフォーマンスを見る
  • パフォーマンスに参加する(体を動かす、歌う)
  • 雑誌を使って、自分にとっての「学び」をカタチにする
  • コラージュをグループ間で共有する(ワールドカフェ形式)
  • フラッシュモブを体験する
  • Scratch(プログラム言語)で作ったプログラムをもとに体を動かす
  • もちよった食べ物を一緒に食べて話す
  • キューブ(四角い箱)を使って、「問い」をベースに語る
  • 振り返りの動画をみる

これをみてもわかる通り「learning festival」という名前にふさわしく、現代で大事にされている学びのエッセンスがふんだんに取り入れられているイベントでした。

学習環境デザインについて学んだ成果をもとに「歌って、踊って、プログラミングもして、ファシリテーションもして、動画もつくっちゃう女子大生」というのは、正直すごすぎると感じました(笑)。

■イベントに参加して思った2つのすごいこと

イベントを通して、個人的にすごいなと思ったのは2つあります。

1つ目は、これだけたくさんの学びのエッセンスが取り入れられているものの「あれもこれもいれました」というプログラムになっていなかったということです。

活動間の意味づけや流れがスムーズで「なぜいまこれをやるのか」ということに対する違和感なく進んでいったことです。こうした「構成のスムーズさ」というのは、実は非常に難しいと思うのですが、その部分が上手だったと思いました。

2つ目は、ゼミ生らしさが出ていたという点でした。「だれかの方法をそのまま」ではなく、「いまの自分だからできる」という「その人らしさ」がよくでていたように思いました。

個人的にワークショップ的な活動においては、主催者の「属人性」ということは実は非常に大事なことではないかと思っています。「らしさ」があるワークショップはやはりうまくいくと思います。

■「つなぎ」と「アレンジ」の妙

今回感じた二つのポイントをもう少し整理すると、場作りにおける「つなぎ」「アレンジ」の話になるのかなと思います。

「つなぎ」というのは、小さなワーク同士のつながりをいかにデザインするのかという視点です。

最近いろいろなワークショップの手法が確立されてきたことで、一つ一つのワークに関する知見はだいぶたまってきたと思います。

しかし、重要なのはそれらを「いかにつなぐか」です。

・ある活動が、次の活動の伏線になる
・感情の起伏をある程度つくってあげる(テンションを上げたり、少し休んだりする時間をつくる)
・身体的なウォーミングアップや休憩をつくる

など「つなぎの妙」こそがポイントになります。ワーク同士のつながりが本当に意味があるのかをイメージすることは非常に重要なことでしょう。

もう一つの「アレンジ」は、いかに「あなたなり」にデザインするのかという視点です。ワークショップでは「属人性」をネガティブに捉えるのではなく、むしろその部分と向き合ってデザインする方がよいのではないかと思っています。

仮に同じワークショップをやるとしても、私がやるファシリテーションと他の人がやるファシリテーションは違う部分があってもよいと思うわけです。

もちろん、私と他の人のファシリテーションについて、共通して設定できる外部指標などもあるかもしれません(声の聞き取りやすさとか)。しかしそうした共通して得られる指標とは異なる「あなたのキャラ」にとって無理がないもの、「キャラのよさがいきること」はかなり重要な視座であると思います。「アレンジの妙」は、あなたっぽさと向き合うことといえるかもしれません。

■まとめ

今回は場作りにおける「つなぎ」と「アレンジ」の話について書きました。よいイベントの特徴はこの2つが上手にできているのではないかと思います。

ではその2つができるためにはどうするのか。これについては別記事で考えたいと思いますが、一ついえることは、これらをスムーズにできるためには、長い時間がかかるだろうなということです。

例えば、今回のイベントについては、事前に少し企画の相談を受けたのですが、その時点ですべてが出来ていたわけではありませんでした。相談を受けたのが10月くらいですから、そこから数ヶ月の間、ずっと共通するコンセプトについて考え、プログラムの詳細を詰めていったのではないかと思います。

さらに、学生たちは2年間、さまざまなワークショップを実践したり、体験してきました。しかも、体験を卒業論文というかたちで、文字にして抽象化するという作業を行っています。

「場作りのtipsやコツ」はもちろん色々あるわけなのですが、「つなぎ」や「アレンジ」が上手にできるようになるためには、やはり一生懸命多くの時間をかけ、理論と実践を往復させていく必要があります。これらの作業は気が遠くなるかもしれませんが、いろいろな舞台を設定してひとつひとつチャレンジしていくことがやはり大事なのかなと思いました。

今回のイベントのFacebookページ「learning festival〜学びの100倍返し〜」にも準備のプロセスが公開されているので、興味のある方はみてみるとよいのではないでしょうか。

今回は本当に学び多き機会になりました。企画運営を行った同志社女子大学の上田信行先生のゼミ生のみなさん本当にお疲れ様でした!

■関連する書籍

上田信行先生がやられてきた実践についてはこちらの本にまとまっています。ワークショップの源流を知ることもできると思うのでおすすめです。ぼくも少しですがコラムを書いています。

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上田 信行 中原 淳
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■関連する情報

先日ワークショップのデザインについて、東京大学大学院博士課程の安斎勇樹さんと対談を行いました。対談の様子は「人材教育」の3月号に掲載予定です。発売日が近づいたらまたブログでアナウンスさせていただければと思います。

http://www.jmam.co.jp/productservice/jinzai/index.html

東京藝術学舎(京都造形芸術大)での「レポートの書き方」の授業がおわりました!

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10月から東京藝術学舎(京都造形芸術大)で実施していた「レポートの書き方」に関する授業が、昨日で終わりました。全部で5回の授業で、具体的には以下のようなかんじで進めました。

1.よいレポートの条件とは? – レポートとは何かを考えよう!
2.よいレポートを書くために何をするべきか? – 書くプロセスを追体験!
3.レポートを書く前にする準備とは? – 調べ方と読み方を知る
4.レポートを書くときに意識することは? – プランの立て方について知る
5.レポートの書き方総復習

授業は「グループワーク」+「講義」の組み合わせで実施をし、毎回軽めの宿題を出すという形式で実施しました。

グループワークは「互いのレポートを読んでコメントする活動」から「レポートを書くことに困っている大学生にどうやってアドバイスするか?」などを考えてもらう活動まで幅広く実施しました。

授業全体としても、ぼくが話をたくさんするときもあれば、みなさんから出た質問をベースに授業内容を展開するときもあり、かなりバラエティに富んだかたちで実施させていただいたかなと思っています。

この授業を受講してくださった方の多くは、京都造形芸術大学の通信課程を受講している方でした。約30名の授業でしたが、年代だけでも20代から80代までと幅広く、分野もさまざまな方だったので最初はとても緊張していました(笑)。

しかし、はじまってみると受講生の方々の学ぶ意欲が非常に高く、積極的に授業に参加してくださるので、その緊張はすぐにほぐれました。むしろこちらがパワーをもらうというかんじでした。

今回は5回という短い回数の中で、レポートを書くためのポイントを教えるということだったので、かなりエッセンスを詰め込んだのですが、みなさん最後までしっかりついてきてくださいました。

「レポートを書くこと」は、大学での学びを行う上でキーになる活動でありつつも、書き方を教えられる機会はあまりありません(最近は教える大学も増えてきましたが)。

小・中・高でも「作文」をする機会はありますが、そこでの「作文」は必ずしも大学で求められている「レポートの書き方」とは同じではありません。おそらくだいぶ違うと思います。

・レポートの書き方について教えられていないからできない
・これまでの書き方をそのまま適応するとうまくいかない(「レポートは感想文ではない!」と言われる)

という状況は、構造上あまりよくなく、必要以上に「自分は書く能力がない・書くセンスがない」と思ってしまう人を増やしてしまうのではないかと思います。

授業では毎回必ず「レポートを書くことは、練習をすればある程度までは必ず書けるようになる」ということを繰り返し話していましたが、よい練習の機会を常に提供できればなと思っています。

授業ですべてのことをうまく伝え切れたかはわかりませんが、今回の授業を受けて「レポートを書くのが楽しくなった」、「授業でレポートを提出したらこれまでで一番よい成績がかえってきた」等と言われるとやはりうれしい気持ちになります。

今回授業をする機会をくださった早川克美さん、いつも授業を気持ちよく実施させてくださった事務局のみなさま本当にありがとうございました。

今回授業をすることで、私自身も「どこがレポートを書く上で大変なのか」、「どういうポイントがあまり教えられていないのか」について理解を深めることができました。そこで気づいたことはまたこのブログでも書いていこうと思っています。

これまで書いた記事はこちらにまとめてありますので何かの参考になればと思います。

・文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ

https://www.tate-lab.net/mt/report-writing.html

書くことが楽しいと思う人がもっともっと増えるといいなと思います。

■関連する書籍

レポートの書き方に関する本はかなりたくさんでていますが、やはり戸田山先生の論文の教室がわかりやすいなと思います。読み物としても面白いです。

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
戸田山 和久
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【イベントレポート】「みえること / みえないこと」でコミュニケーションの質の変化を楽しむワークショップを実施しました

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今日は11/21に私が企画・実施したワークショップの内容について書きたいと思います。

今回のワークショップでは即興演劇(インプロ)の手法を使い「ある状況を試しに演じてみる(2分程度)」ことを通して、私たちのコミュニケーションがいかに視覚化された情報に影響を受けているかを体験してもらいました。

体験ワークは大きく2つ実施しました。1つ目は「みえる(情報が見えすぎる)」場合、2つ目は「みえない(情報が減る場合)」です。

それぞれのワークは、

1.ショートコント(お笑い芸人の野村真之介くんにお願いしました)
2.プチ解説
3.体験ワーク
4.振り返り

という構成で行いました。

今回のワークショップは、私の大学院の同期である平野智紀くんの「結婚」にちなんだ連続ワークショップの企画に呼ばれたものだったので、普通のコミュニケーションではなく、ちょっと「きゅん」とするような「感情をゆさぶるコミュニケーション」について体験するものにしました(笑)。

■最初にちょっとまじめな話と導入ワーク

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導入は舘野が担当しました。「みえる / みえない」ということが、実は「協調的に学ぶ」ということを支援するときにとても重要な研究テーマであるということを話しました。実際に「可視化による学びの支援」というのは、ひとつの大きなテーマとなっています。

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話が終わったとに、即興演劇(インプロ)になれるための簡単なワークを実施しました。「プレゼントゲーム」という方法を、少し「お笑いアレンジ」して実施しました。

インプロ部分は、園部友里恵さん、野村真之介くんがファシリテーターとして進めてくれました。ワークのファシリテーションから、ショートコントまで大活躍でした(笑)

■「みえる」状態でのコミュニケーション

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最初のワークは「みえる」状態でのコミュニケーションです。今回は「もしお互いの愛情が数値化されて見えてしまったら」という状況をグループで演じてもらいました。1〜3の数字を引き、3だったら一番好きという状況でコミュニケーションをします。

相手の愛情という情報は思った以上にコミュニケーションに影響を与えることに気がつきます。お互い3と3だと加速度的に仲良くなりますが、1と1が見えていると加速度的に冷めたコミュニケーションになります(笑)。

3と1だと、案外と3の方にひっぱられたりします。このように、みえていない情報が可視化されることで、コミュニケーションの質そのものがだいぶ影響を受けていきます。実際の活動では、「愛情を隠す」というカードも取り入れて、より複雑なコミュニケーションを楽しんでもらいました。

■「みえない」状態でのコミュニケーション

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次のワークは「みえない」状態でのコミュニケーションです。今回は「声も表情もとどかない状態で、あるメッセージを伝える」という状況をペアになって体験してもらいました。言葉も表情もみえないのに、メッセージが伝わるの?と思うかもしれませんが、案外と伝わるものです。あえて情報を「制限する」ということで、コミュニケーションをデザインすることができるということを体験してもらいました。

■まとめ

今回のワークショップでは、即興演劇を通じて、コミュニケーションにおける「みえる / みえない」を体験していただきました。

当日の写真はこちらにすべて公開しているのですが、みていただいたわかるとおり、みなさんとても笑顔が多いです(笑)

当日の写真一覧

http://www.flickr.com/photos/108641174@N07/sets/72157638542060105/

今回のワークショップは、写真を大崎えりやさん、江戸川カエルさん、映像を柿沼キヨシさんに撮っていただきました。当日は、ワークショップの様子をその場でまとめて映像として流すリアルタイムドキュメンテーションを実施しました。

コミュニケーションというと、普通は「はなす」「きく」という単語を連想しますが、この「はなす」「きく」に対して、いかに「みる(みえる /みえない)」が影響しているかがわかります。

つまり「みえる / みえない」ということをデザインすることが結果的にコミュニケーションのデザインにつながるのではというのが今回のワークショップのポイントです。

今回は体験を重視したので「こうデザインすればよい」という話はしませんでしたが、今後も引き続き実施していきたいテーマだなと思います。もし興味がある方は私のblogやtwitterで告知をしますのでぜひご参加くださいませ!

参加者のみなさん、ワークショップを一緒に企画してくださったみなさん、企画に呼んでくれた平野智紀さん、奥友絵里子さん、本当にありがとうございました。

■関連する書籍

Learning × Performance インプロする組織  予定調和を超え、日常をゆさぶる
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「RPGだったら絶対なんかありそうな壁」という写真をツイッターに投稿したらとてつもないことになった

先日、大学に向かう途中に、ふと写真を撮ってツイッターに投稿したらとんでもないことになりました。なにがあったのか、状況をまとめてみようと思います。

以下が投稿したツイートです。

現時点(2013/12/9)で「6867件のリツイート、3041件のお気に入り」となっています。今後この数を超えるツイートができる気がしません。

写真を投稿した時間は14時くらいで、そのときにはちらほらリアクションがあるぐらいでした。

その後、いろいろ仕事をしていて、19時過ぎにふともう一度ツイッターを見てみたら、リツイート数が200を超えていることに気がつき目を疑います。「マジ!?」というかんじでした。いろんな人に見られてうれしいと思う一方で、一気に人がたくさん集まると「こわい」という感覚もありました。

その後の拡散スピードはすさまじいものでした。晩ご飯を食べて帰ると500リツイートを超えており、次の日には数千リツイートになっていました。

拡散スピードにびびっていましたが、いただいた返信がニヤニヤさせてくれるものが多く、それにより不安は少しずつ軽減されていきました。「壁を押せ!」「ばくだんを置くんだ!」「剣でつつけ!」など、さまざまなアドバイスが送られてきました(笑)リアクションの一部はtogetterでまとめましたので、よろしければご覧下さい(http://togetter.com/li/598663)。

その後、気づいたら自分がよく見ている「男子ハック」さんにも写真が取り上げられており、なんか知らぬ間に大変なことになっているというかんじでした。

ツイッターの「みんなの反応」の欄がいままで見たことのない早さで次々と更新されていきました。数字に対する感覚も麻痺していきました。「あっ、昨日に比べて2000リツイート増えてる」と淡々と感じるようになっていきました。

■海外にまでひろがっていく

さらに驚愕だったのは、写真に対して海外からもリアクションがきた点でした。私のツイートを翻訳してアップしてくださった方がいたのです。それが以下のツイートです。

こちらの英語版も、現時点(2013/12/9)で「1625件のリツイート、1003件のお気に入り」となっています。

日本語のツイートの伸びはだいぶ落ち着いたのですが、そちらが落ち着いたタイミングでどんどんと英語版が拡散していきました。それと同時に、英語でメンションを返してくれる人も増えました。スパム以外でこんなに英語でリアクションがくる日がくるとは(笑)

日本と同様に、いろいろな内容のリアクションがありました。

やはりゼルダの伝説の影響力が強いのか、英語のメンションにおいても「剣でつついて、音が違ったら、ばくだんを置け!」ということが書かれていて「日本人のリアクションと同じw」と思い、こちらもニヤニヤしながらメンションをみています。いまもリアクションは少しずつ増えています。

■今回の件で気づいたこと

今回の件で気づいたことは、まず「みんなゲーム好きだな」ってことです(笑)正確な分布などはわかりませんが、日本国内においても、ある程度多様な世代の方からリアクションがあった気がします。さらに、海外の方からもたくさんのリアクションがありました。

ゲームという経験を媒介に、国内外さまざまな世代の人と「あるある」を共有できるというのはとても不思議な体験でした。ゲームによって、共通した経験を共有していたというのはとても面白いですよね。

私も小さい頃にゲームをはじめ、いまもモンハン4とかやっているわけですが、こち亀の両さんのごとく今後もゲームを楽しんでやっていきたいと思っています。

もう一つは、海外と共通したプラットフォームを使用すること(twitter)の面白さです。普段は「日本語」を使っているからかもしれませんが、同じプラットフォームにいる感覚は薄れています。しかし、実は同じプラットフォーム上に、これだけたくさんの人がいるのだということをあらためて感じることができました。よくツイッターで炎上事件があったりすると「仲間以外も見ていることを考えなさい」ということを言われますが、その意味では、私もその感覚が薄れていたのかなと思います。

ということで、今回はツイッターの拡散状況を簡単にまとめてみました。投稿してからそろそろ一週間が経ちますが、投稿したときにはまさかこんなことになるとは本当に想像できませんでした。

一応普段は研究をしたり、大学で授業をやったり、まじめなこともやっていますので、今回のツイートをきっかけに、研究のことや、まじめな記事のことも知っていただければと思います(笑)

■今回のブログ内で紹介したサイト

「RPGだったら絶対なんかありそうな壁」の写真とそれに対する反応(日本と海外)
http://togetter.com/li/598663

RPGだったら確実に何かが隠されていそうな壁の写真が話題
http://www.danshihack.com/2013/12/04/junp/twitter_rpg_wall.html

■これまで書いたブログ記事

まじめな記事もいろいろ書いておりますので、よろしければご覧ください(笑)

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ

http://matome.naver.jp/odai/2133342163910863801

はてなブックマークで人気となった記事

http://b.hatena.ne.jp/entrylist?sort=count&url=http%3A%2F%2Fwww.tate-lab.net%2F