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[書評]院生の僕がはじめて「課長」について考えてみた – はじめての課長の教科書(酒井穣さん)

先日酒井穣さんの「日本で最も人材を育成する会社」のテキストの書評をしたので、その流れで「はじめての課長の教科書」の書評を書きたいと思います。こちらの本の方が出版されたのは全然早いですよね。

「課長」といわれても、院生の僕にはさっぱり馴染みがないし、大丈夫かなと思っていたんですが、読んでみると「これは僕の興味関心に近い!」と思ってうれしかったです(笑)

簡単に本書について説明するならば、この本は、

「課長、すなわち、中間管理職」

に向けて書かれた本です。

「経営者向けでも」、「末端社員向け」でもありません。
また、中間管理職といっても、「部長」や「係長」向けでもありません。

これまであまり重要と思われてこなかった「中間管理職向け」の本であり、かつ、中間管理職の中でも筆者が一番重要であると考えられる「課長」に向けた本なのです。

僕的に驚きだったのですが、欧米型のマネジメント理論では、中間管理職はむしろ「いらない」ものとして捉えられているそうです。

しかし、日本はむしろこれまで「経営者」「中間管理職」「末端社員」が助けあうような三元論を基礎にしてきたということを述べており、それをベースに考えていこうと書かれています。

日本では、トップ・ダウンでもボトム・アップでもない「ミドル・アップダウン」という中間管理職のダイナミックな役割を強調する新しいコンセプトを世界に先駆けて完成していることを例に、日本型のマネジメントのあり方を考えていこうぜ!ということが指摘されています。

このように「課長」の重要性を指摘しながら、その「課長」に何が必要なのか?どのようにその力を身につけるべきなのか?について書かれたのが本書なのです。

僕は「課長の大きな役割」という部分にぐっときました。

課長は世代間で異なる価値観がぶつかる場所に位置しているポジションなのであり、そうした異なる価値観をそれぞれに理解するばかりでなく、異なる価値観の「通訳」であることが期待されています。

なるほど!たしかに、僕がこれまでいいなと思う組織には、こういう「課長的役割」にたけている人が多いなとふと思いました。

この他にも、

1.課長のところで経営情報と現場情報は交差し
2.社内の情報は課長に向かって集まり
3.課長は現場情報と経営情報をバランスよく持っている

という話もかなり腑に落ちました。

「課長の元気な企業は強い」という話が本に書かれてしましたが、これはたしかになあととても納得してしまいました。

最後に、本に紹介されている課長の8つの基本スキルを紹介したいと思います。細かくはぜひ本書を読んでほしいなと思います。

これだけみると、例えば「やっぱり部下をしからなくちゃ!」など誤解してしまう可能性もあると思いますので(笑)。叱り方にも工夫が必要です。本書には「怒るときは人前ではなく、だれもいない場所で」等、しっかりケースにわけて説明がしてありますので、ぜひ実践するときには本書を読んでからやってほしいなと思います。

1.部下を守り安心させる
2.部下をほめ方向性を明確に伝える
3.部下を叱り変化をうながす
4.現場を観察し次を予測する
5.ストレスを適度な状態に管理する
6.部下をコーチングし答えを引き出す
7.楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
8.オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める

僕は最近「ナナメの関係」の意味をもう一度考え直しているのですが、この本にはたくさんのヒントがありました。

自分はコミュニティを作ったりすることに興味があるのですが、そのときに目指しているスキルは、社長や経営者としてのスキルではなく、なんとなく「課長的スキル」なんじゃないかと思いました。

企業だけではなく、いろいろなコミュニティに応用できる話だと思います。
「研究室」もそうだよなと思います。

指導教員の意図を把握しながら、所属している学生のストレスの状況などを目配りしつつ、うまくどちらもの情報を行き来するようにする。

僕のいまの立ち位置は、課長に近い部分も多くあると思いますし、いろいろこれをベースに実践していきたいなと思いました。

組織運営について悩んでいる人にもおすすめの本じゃないかなと思います。

自分の組織の問題となっているのは、もしかすると「トップ」でも「ボトム」でもないかもしれません。

▼以前書いた酒井さんの本に関する書評

[書評]学べる組織になるためのノウハウたくさん! – 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (酒井穣さん)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/06/sakai-jinzai.html



[書評]学べる組織になるためのノウハウたくさん! – 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (酒井穣さん)

本書は筆者である酒井穣さんが、フリービット株式会社において、「日本で最も人材を育成する会社」をめざすべく、実際に導入している人材育成プログラムの背景や導入のポイントをまとめた本です。

前半は、「企業の学び」に関する学術的な知見などが平易にまとめられており、お得感が高いように思います。

例えば、経験学習の話、修羅場体験が人を育てる話、動機付けの話、ダイアローグの話、熟達の話、等々、重要な知見がわかりやすい例と共に紹介されています。

後半は、実際にフリービットで実践している「人材育成プログラム」が紹介されています。

どれもユニークで面白いです。具体例に関する部分の目次を抜き出すとイメージがつくかなと思います。(太線と下線は筆者が追加)

第7章 育成プログラムの具体例

7.1 読書手当「道真公の愛」
7.2 社内ミニブログ(Yammer)
7.3 将来の自分への手紙
7.4 突撃☆お仕事インタビュー
7.5 富士山麓での幹部合宿研修
7.6 日本語のできない外国人の採用
7.7 ジグソーメソッドによるインタラクティブな学習
7.8 ケースメソッド

フリービットでは、社員が読書することを支援するために「読書手当」をだしていたり、社内ミニブログを導入して社員同士の「井戸端会議」の場所をつくっていたりと、様々な工夫をしていて面白いです。マネしたいなあという気持ちがあふれてきます(笑)

個人的に面白かったのは「突撃☆お仕事インタビュー」です。

これは社員同士でアポなしの飛び込みインタビュー(15分程度)を行う活動のようです。こうしたインタビューを行うことで、社員一人一人を理解し、仕事を上手にこなすためのニーズ調査を行うことが目的とのことでした。

実は最近、自分も似たようなことをやっていたのです(笑)。

研究室の学生に

・研究で苦労した点
・アイデアがうまれるときはいつか?
・いまどんな研究をしているか

みたいなことをインタビューして、その音声を録音・共有するというかんじです。この本のノウハウを読んで、今度はこういうこともできるかも!?みたいなアイデアが刺激されました。

学べる組織、戦える組織になるためには、いろいろな工夫が必要です。

この本を読むと「自分だったらこういうふうにしようかな?」といったアイデアの刺激を受けることができます。

前半の理論のまとめも含めて、情報がぎゅっとつまっていてお得感が高い本かなと思います。

人材育成に関連する方だけでなく、組織を運営している人におすすめの一冊だと思います。

▼ 酒井穣さんの書籍はこちら


[書評]自分の感じたことを素直に伝える技法 – 依頼と説得の心理学

「ついつい仕事を引き受けすぎてしまう」
「断るのって苦手なんだよなあ」

こんな人に今回の話はおすすめかもしれません。

今回は「依頼と説得の心理学」という本の中から「自分の気持ちを相手にきちんと伝える技術」の話を紹介したいと思います。

ちゃんと「伝える」、ちゃんと「断る」ための技法といえるかもしれません。

最近本屋で「アサーション」という言葉をよく目にするなあと思っていたんですが、このことだったのか!と個人的に納得しました(笑)アサーション等の説明を引用すると、

アサーションとは、自分と相手の権利を尊重しつつ、自分の考えていること、感じていることを相手に素直に効果的に表現することです。

この伝える技法を学ぶことをアサーション・トレーニング(平木 1993)、もしくは自己主張トレーニング(アルベルティとエモンズ 1994)というようです。

なるほど。「こういう力をちゃんと身につけようよ!」という流れがあるのかもしれませんね。

アサーション・トレーニングには以下のプロセスがあるようです。本書で書いてあることをまとめつつ紹介してみます。

a.自己主張に関する考え方の大切さを知ること
・自分に関することは自分で決断したり、責任を持てることを知る
・相手にもその権利があることを知る

b.自己主張できなくなってしまうような思考の習慣を断ち切る努力をすること
・こんなこと言ったら嫌われる(恥をかく)のではないか
・主張してうまくいかなかったら、どうしよう
・今さら訓練しても、自分を変えることはできない

c.主張を話すときに、個人的なルールを作ってそれを守ること
・自分から人に働きかけよう
・自分を大切にするために、主張しよう
・自分がどう感じているかを相手に伝えよう(I(わたし)メッセージ)

d.主張するためのスキルを学び、練習し、実践すること
・相手に主張(依頼)する価値があるかを判断します(利益とコスト)
・自分がどう感じてるのか、なぜそう感じているのか、どうしてほしいのかを相手に伝えます。また、依頼事項は肯定的に具体的に述べます。そのためにはどのような言葉や表現を用いて相手に伝えたらよいかを考えます。
・非言語的コミュニケーション(相手との距離、視線、手の動き、顔の表情、声の大きさや話す速さなど)を効果的に使います。
・相手の反応に注意し、相手の考えや気持ちを言葉や表情から読み取ります。そして、次にどのようなことを言えばよいのかを考えます。

こうしたスキルは「自分が何かを依頼するとき」だけではなく「何かを断るとき」にも多く使えるようです。

「ついつい仕事を引き受けすぎてしまう」とか、「断るのって苦手なんだよなあ」と思っている人には、参考になることが多いかと思います。

なかなか自分の思っていることを言い出せずにストレスをためすぎてしまうという人も多いかと思います。

ちゃんと思いを伝えるということは、別に「持ってうまれた性格だけ」ではないんですね。技術として習得可能なもののようです。

こういう力を身につけておくとハッピーに生きられるかも!?


[書評]「ムダな固定費ワースト10」にびびらされた- 年収200万円からの貯金生活宣言

最近、朝早く起きたり、ジムに行ったりとなんとなく健康的な生活をしているんですが、この勢いでお金の管理もちゃんとやろうかなと思い、読んだ一冊です(笑)

 

年収200万円からの貯金生活宣言
横山 光昭
ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング: 4,944

 

本書は、「貯金をする習慣をどのようにつけるのか?」について書かれた本なのですが、「無理矢理お金をためる!」みたいなことを推奨はしておらず、楽しくかつ効率的な方法を紹介してくれているように思います。

合理的な考えなんだけど、変にケチくさくないというかんじでしょうか(笑)
僕としては好感が持てる本でした。

本書を読んでいきなりドキッとさせられたのが以下の項目です。

ムダな固定費ワースト10

1.ムダな会話やメールのもととなる携帯電話代
2.意味のない飲み会の交際費
3.ぜいたくなまでの食費
4.保証内容も知らない高額な生命保険料
5.不健康のもととなるタバコ・お酒などの嗜好品
6.近所をうろつくための車のローン・ガソリン代
7.意味のない飲み会の帰りのタクシー代
8.毎日の高カロリーな外食ランチ
9.自分の口座なのにおろすたびに引かれるATM手数料
10.惰性で買う雑誌やマンガ

うひー!!いくつかあてはまってますけども・・・。

このように本書の中では、具体的にさまざまな貯金をする方法が紹介されます。

僕が「なるほどー!」と思ったのは、自分が使っているお金を「消費」「浪費」「投資」の3つで分けて考えましょうという話でした。簡単にまとめつつ紹介しましょう。

「消費」
・生活するために必要なもの
・使用量としての支払い全般
・生産性をさほど伴わないもの

例:食料や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など

「浪費」
・生活に必要ないもの
・今をひたすら楽しむためのもの
・無意味な使い方のこと
→無駄遣い系

例:嗜好品(タバコやお酒、コーヒー)、程度を越えた買い物やギャンブル、固定化された高い金利など

「投資」
・必ずしも生活に不可欠ではないけど、将来の自分にとって有効なお金の使い方
・投資信託や資産運用のことだけではない
・本を読むとか、何かを学ぶことも含む

例:習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など。

この3つの枠組みで自分のお金を整理して、その「割合」を見ることが大事とのことでした。具体的には「自分への投資を25パーセント以上にすること」を目標にしてみましょうと書かれていました。

「貯金」というと、どうも味気ないイメージがあるかもしれませんが、本書は楽しく、かつ効率的に「貯金する方法」を説明してくれているような気がします。

最近ムダ使いが多いのだけど、お金をためたい!という方などにはおすすめの一冊です。

ちなみに、私は最近iPhoneの「支出管理」というアプリを使って、支出をチェックしています。このアプリはなかなか使いやすく、楽しくお金を管理することができるのでおすすめですよ。

iPhone:支出管理
http://shibuym.blogspot.com/2009/11/iphone_24.html

この本の著者の関連書籍です。

年収200万円からの貯金生活宣言
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[書評]イノベーションの技法がちりばめられた教育プログラム!-東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた

「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」を読みました!なかなかすごいネーミングの本ですね(笑)

本書は、東京大学の全学組織である「知の構造化」センターが実施する、「i.school」という教育プログラムの実践をまとめたものとなっています。この教育プログラムは、全ての部局に所属する学生が参加することができるようで、主に大学院生が中心ですが、学部生も一部参加しているそうです。

以下の部分が面白いなと思いました。この方がたしかに意欲ある人が集まりそうですね。

単位は与えませんし、修了証や学位も出しません。ワークショップに参加することによって自分自身の価値を高めることが学生にとってのインセンティブです。

実際にどんなかんじで進むかについても、本書を引用してみましょう。

i.schoolの教育プログラムは、20-30名の参加者を対象としたワークショップから構成されます。年間に6回程度のワークショップを開催しますが、夏休みなどに行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度に行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度の期間に開催するワークショップがあります。

僕はi.schoolの存在は知っていたのですが参加したことはなかったので内容は興味津々でした。中身をみてみると、イノベーションを生み出す技法について実践をもとにかなりわかりやすく説明されているなという印象をうけました。

この本では、その技法を「あつめる」「ひきだす」「つくってみる」という3つの大きなプロセスで説明しています。

ざっくりですがそれぞれ箇条書きとして紹介します。目次的なかんじですが、エッセンスは全てここにつまっている気がします。

<あつめる>
・観察(フィールドワーク風)
・インタビュー(半構造化インタビュー)
・ケーススタディのための資料
・未来を洞察する材料を準備
・未来の「兆し」を集める
・思いつくものを持ち寄る

<ひきだす>
いくぶん抽象的で、地味な活動。

過去の例をひも解いてみても、「あつめる」から一足飛びに「つくってみる」に到達するイノベーション、つまり、特定の事実(の発見)に直接対応したアイデアが、画期的なイノベーションに結びつくパータンはそう多くない。

すなわち、「あつめる」で得られた情報を十分に吟味し、思考を深め、これまで考えもつかなった視点を見いだし、たくさんのアイデアの種を「つくってみる」に引き渡すまでが、このステップの守備範囲になる。

インテグレーティブ・シンキングの観点
1.要素を抽出する
2.要素どうしの関係性を分析する
3.検討する
4.決定する

・経験の共有
・コレスポンデンス分析
・ブレインストーミング
・シンセシス(統合)
・インパクト・ダイナミクス(強制発想)
・ケーススタディ(事例研究)をする

<つくってみる>

IDEOの標語のひとつに「手で考える」というのがある。つまり、つくりながら考えるということだ。

・絵にする
・身近な材料で作る
・シナリオをつくる
・寸劇(スキット)を演じる
・事業計画書を書く

本書の中では、それぞれの方法を「具体的に」、「実施できるようなカタチで」、紹介しています。実際の授業の様子と共に紹介されるので「抽象的な技法だけ教えられた」というかんじがせず、「試してみよう」という気になるかんじがしました。

自分も参加したくなってしまいましたね(笑)

ワークショップ的な場に興味がある方や、クリエイティブなものを生み出す技法に興味がある方にはおすすめの一冊です。

○関連する書評

[書評]「失敗も学習のプロセスの一環」と思えるか!? – 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
https://www.tate-lab.net/mt/2010/06/—20.html

[書評]許可はあとからもらえ!クリエイティブを支える文化とは – デザイン思考が世界を変えるhttps://www.tate-lab.net/mt/2010/05/ideo3.html

[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/-ideo.html


[書評]メディアを駆使して生きること – 電子書籍の衝撃

遅ればせながら「電子書籍の衝撃」を読みました!出版業界のことについて僕は詳しくはありませんが、ヒトコトいえば僕らみたいな業界の人は「必ず読んでおくことが前提の本」なのかなと思いました。

出版業界がどのようになるのかということもありますが、僕らの場合は「こうした状況でどう生きるのか」を考える上でも重要な本だと思います。

この本のメインの話とはズレますが「これからのジャーナリストに必要なスキル」として挙げられていた以下の項目が僕にはかなりびびっときました。(太字と下線は筆者が追加)

1.的確なタイミングで的確な内容のコンテンツを的確なスキルを駆使し、多様なメディアから情報を発信する能力
2.多くのファンたちと会話を交わし、そのコミュニティを運用できる能力
3.自分の専門分野の中から優良なコンテンツを探してきて、他の人にも分け与えることのできる選択眼
4.リンクでお互いがつながっているウェブの世界の中で自分の声で情報を発信し、参加できる力
5.一緒に仕事をしている仲間たちや他の専門家、そして自分のコンテンツを愛してくれるファンたちと協調していく能力

これはジャーナリストにだけ求められる力ではないと思います。

これから大きな時代の変化が予感されるだけに、「どのように自分はその変化に対応するか」ということをなんとなく考えてしまう本でした。

必読な一冊ですね。

[書評]「失敗も学習のプロセスの一環」と思えるか!? – 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」を読みました!かなり売れているみたいなので、すでに読んでいる方も多いかもしれませんね。

著者が、この本を書こうと思った一番最初のきっかけは、息子であるジョシュくんが16歳になったときに、「自分が社会にでたときに知っていれば良かったと思うこと」を伝えたいと思ったからだそうです。

素敵なはじまりですね。

筆者が「この本を通して伝えたかったこと」として、まとまっている部分を紹介しましょう。

この本の物語で伝えたかったのは、快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということでした。

もちろん、こうした行動は、人生に混乱をもたらし、不安定にするものです。でも、それと同時に、自分では想像もできなかった場所に連れて行ってくれ、問題がじつはチャンスなのだと気づけるレンズを与えてくれます。何よりも、問題は解決できるのだという自信を与えてくれます。

まとめてしまえば、当たり前のように聞こえるかもしれません。

しかし、この本は、それぞれの重要な要素について1つずつ、丁寧に、説得的に、物語として読ませてくれます。

読んでいると「キタ!」と思う部分がかなりあって、それらの全部を紹介することは難しいです。

今回は何を紹介しようか迷いましたが、「失敗」に関する部分について紹介しましょう。筆者の父の言葉が僕にはささりました。(太線は僕が追加)

父は人生を振り返って、いちばん大切な教えをこう考えているそうです。

「自分に対しては真面目すぎず、他人に対しては厳しすぎないこと」。

自分や他人の間違いにもっと寛容で、失敗も学習プロセスの一環だと思えればよかった、と。いまの父ならわかるのです。過ちを犯しても、大地が揺らぐことなど滅多にないのだと。

(中略)

人生に起きることのほとんど、とくに失敗は、そのときの自分が思っていたほどたいしたことではない-この点を何度も思い知ることになったと言います。

この部分はすごくいいなと思いました。

最近この手の本を読んでいて共通するなと思うのは、「失敗をどう捉えるか?」ということが、クリエイティブな仕事をする上でものすごく重要であるということです。

こちらも言われてみれば当たり前かもしれませんが、どれだけこう言われても「失敗すること」は怖いことではないかと思います。なかなか発想をかえることはできない。

しかし、著者の話す具体的な物語を読むことで、「自分にもできるかも」と思えるきっかけをもらえるのではないかなと思います。

この本は10章からなっており、それぞれの章で1つずつメッセージが込められています。章のメッセージだけ見てもかなり刺激されるんじゃないかと思います。

第1章 スタンフォードの学生売ります
自分の殻を破ろう

第2章 常識破りのサーカス
みんなの悩みをチャンスに変えろ

第3章 ビキニを着るか、さもなくば死か
ルールは破られるためにある

第4章 財布を取り出してください
機が熟すことなどない

第5章 シリコンバレーの強さの秘密
早く、何度も失敗せよ

第 6章 絶対いやだ! 工学なんて女がするもんだ
無用なキャリア・アドバイス

第7章 レモネードがヘリコプターに化ける
幸運は自分で呼び込むもの

第8章 矢の周りに的を描く
自己流から脱け出そう

第9章 これ、試験に出ますか?
及第点ではなく最高を目指せ

第10章 実験的な作品
新しい目で世界を見つめてみよう

新しいことにチャレンジしたい!と思っている方や、この目次をみて「ビビッ!」とくるものを感じた人にはかなりオススメの一冊だと思います!

▼最近書いた書評

最近はなんかこの手の本をたくさん紹介していますね(笑)。次回は「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」でも紹介しようかなと思います。

[書評]許可はあとからもらえ!クリエイティブを支える文化とは – デザイン思考が世界を変える
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/ideo3.html

[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/-ideo.html




[書評]許可はあとからもらえ!クリエイティブを支える文化とは – デザイン思考が世界を変える

前回の書評に引き続きIDEO本を読みました!

本書「デザイン思考が世界を変える」は、早川書房からでているIDEO関連本の3作目になります。これまでの本との関連は、本書のあとがきに書かれていました。

早川書房のIDEO関連書としては三作目に当たるが、前二作が「いかにして恒常的にイノベーションを生み出す会社組織をつくるか」というビジネス書寄りの執筆・編集スタンスであったのに対し、今回はIDEOのノウハウが生まれた根源に立ち返り、それを思想として突き詰め、いわば「いかに人の生活を豊かにするか」とうとに答える方法を提案するようなつくりになっている。

今回の本は、ノウハウよりもむしろ、その根幹にある「考え方・思想」の部分に焦点を当てた本ということですね。

この本では「デザイン思考」という言葉がひとつ大きなテーマとなっています。

デザイン思考とはなにか?

強力で、効果的で、幅広く利用できるアプローチ。ビジネスや社会のあらゆる面に適用できるアプローチ。個人やチームが画期的なアイデアを生み出して、実行し、影響を与えられるアプローチ。このようなアプローチを提供するのが、本書のテーマである「デザイン思考」なのだ。

より具体的にいうと、以下のような特徴をもっているようです。

デザイン思考では、誰もが持ってはいるものの、従来の問題解決方法では軽視されてきた能力を利用する。デザイン思考は、人間中心であるというだけでなく、人間の本質そのものともいえる。

・直感で判断する能力
・パターンを見分ける能力
・機能性だけなく感情的な価値を持つアイデアを生み出す能力
・単語や記号以外の媒体で自分自身を発信する能力

直感、パターン、感情的価値、多様な表現方法をもつ力・・・。これらの力が非常に重要ということですね。

目次をみてみましょう。この本は2部構成になっています。前半はデザイン思考の説明、後半はこれからどこへいくのか?について語っています。

1 デザイン思考とは何か?(デザイン思考を知る–デザイン思考はスタイルの問題ではない
ニーズを需要に変える–人間を最優先に
メンタル・マトリクス–「この人たちにはプロセスというものがまるでない!」
作って考える–プロトタイプ製作のパワー ほか)

2 これからどこへ向かうのか(デザイン思考が企業に出会うとき–釣りを教える
新しい社会契約–ひとつの世界に生きる
デザイン・アクティヴィズム–グローバルな可能性を秘めたソリューションを導き出す
いま、未来をデザインする)

本の中では、いろいろぐっとくる部分はあったのですが、今回私が個人的になるほどと思ったのは「創造性を支える環境」について記述された部分です。以下に引用します。

前もって許可をもらうのではなく、あとから許可を求める方がよいとされる文化、つまり成功には報酬を与えるが、失敗しても許される文化は、新たなアイデアを生み出す際のひとつの大きな障害を取り除く。二十一世紀に必要なのは適応力とたゆみないイノベーションであるというゲイリー・ハメルの主張が正しいとうれば、創造性を「ウリ」にする組織は、それを反映・強化する環境を育む必要がある。

私がいま幸せだなと思うのは、なんとなくこうした環境にいさせてもらえるようなかんじがするからでしょうか。

いかに「デザイン思考」が大事だ!といっても、それを育む環境がなくては、むしろ個人にとってジレンマが起こることになり、結局組織にとってはマイナスにすらなりえるでしょう。こうしたことを考えたときに、この記述はかなりぐっときました。

創造性を支える思考法とは?それを支える文化とは?

本書はこれらの問いに対して、様々な示唆を与えてくれると思います。おすすめの一冊です!

▼IDEO関連本

「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」は最近出たばかりですよね。この本の書評もそのうち書こうと思います。過去に出版された「発想する会社!」「イノベーションの達人!」の2冊もオススメです。

「発想する会社!」については前回書評を書きました。

[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/-ideo.html



[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)

本書「発想する会社!」は世界でも有名なデザイン・ファームであるIDEOが行っている「イノベーションの技法」を惜しみなく紹介してくれている本です。

実はこの本自体、ずいぶん前に読んだのですが、最近出た「デザイン思考が世界を変える」を読んだので、久しぶりに読み直してみました。こちらの書評も数日中にアップする予定です。

この本の書評は、もうすでにかなり多くの有名ブロガーさんたちが書評しているので、いまさらな感じも否定できないですが、まあよしとしてください(笑)

今回は自分の復習も兼ねて「ブレストをよりよく行うための7つの秘訣」をおさらいしてみます。
7つの秘訣はこちらのようです。

1焦点を明確にする
2.遊び心のあるルール
3.アイデアを数える
4.力を蓄積し、ジャンプする
5.場所は記憶を呼び覚ます
6.精神の筋肉をストレッチする
7.身体を使う

簡単に解説します。自分の言葉で書いているので少し本書のニュアンスと異なる部分もあるかもしれません。

1.焦点を明確にする

テーマ設定は、具体的になりすぎてきも、曖昧になりすぎてもよくないそうです。
焦点をしぼった良い問いを設定するからこそ、いいブレストになるのですね。

2.遊び心のあるルール

例えば、「アイデアの量をねらう」といった、楽しいルールを設定しすることが大事だそうです。
しかもちゃんとみんなの目の見えるところにルールを書いておくそうです。
シンプルですが大事なことですね。

3.アイデアを数える

これはつまり「質」にこだわりすぎることなく、まずは「量」を意識してみるということですね。
そもそも「量」がでているかどうかが、このブレストがうまくいっているかの尺度になるとのことです。
量にすればアイデアを可視化できますよね。

4.力を蓄積し、ジャンプする

これは司会の腕の見せ所のようです。
アイデアに詰まったら別のアイデアへ目先をかえたりすることが大事だよということですね。

5.場所は記憶を呼び覚ます

会議のプロセスは、ローテクなものにメモするのが大事とのことです。
ポストイットとかですね。
よいメモをしておくことが、結果的にアイデアを捉え直すきっかけになるとのことです。

6.精神の筋肉をストレッチする

体のストレッチも大事なのと同様に、精神(メンタル面)のウォーミングアップも大事とのことです。
言葉遊びをしてみたり、会議の前になにかの課題をしたりすることが、ブレスト自体を有意義にするのですね。

7.身体を使う

よいブレストは、言葉だけじゃないんですね。
とりあえずいろいろなものを持ってきたり、試しに作ってみたり、体で表現してみたり、視覚を使った表現をすることが大事だそうです。

ブレインストーミングという方法自体は、名前を知らない人はほとんどいないと思いますし、やったことのある人も本当に多いと思います。

しかし、本当にアイデアがでるブレストや、ブレストを日常的にやっているという人たちはそうはいないのかなと思います。

「イノベーションの技法」とはなんなのか?

これをもう一度問い直したいという方におすすめの本です。

こちらの本もいまさらあらためて書評を書きたいなと思っています。
IDEO本をいろいろ復習したいなと思う今日この頃です。

[書評]元祖 文系のためのレポート書き方本! – レポートの組み立て方(木下是雄)

本日紹介するのは、元祖レポートの書き方本といってもよい、木下是雄先生の「レポートの組み立て方」です。木下先生の本と言えば「理科系の作文技術」が有名ですよね。
今回紹介する本の方が文系よりに書かれていると思われます。

だいぶ前から持っていましたが、あらためて読み直してみると、とても発見の多い本です。

目次を見ただけでも、かなり気づきが多い本といえるんじゃないでしょうか。
本から引用してみましたが、長いので文末に載せることにします。

目次の中でも個人的にぐっときた2つのポイントについてここでは紹介します。

1.レポートを書く上で重要な心得

木下先生はレポートを書く上での心得として大きく2つを紹介しています。

(a)レポートには、調査・研究の結果わかった事実を客観的に、筋道を立ててまとめて書く。この部分がレポートの主体で、これだけで終わっていい場合もある。

(b)レポート中に書き手の意見が要求される場合には、それが(事実ではなく)意見であることがはっきりわかるように書く。意見の当否を検討できるように、意見の根拠を明示しておくことが肝要である。

これは当たり前のように見えますが、かなり重要かつ難しいポイントですよね。
例えば「事実と意見を区別する」ということは、レポートを書く際に最初はけっこう苦労するポイントなのかなと思います。

常にこの2つを頭の片隅にいれておきたいものですよね。
何事も基本が大事です。

2.だれが読むのかを意識して書くこと

木下先生は文章を書くときの「読み手意識」について詳細に言及しています。他人に読んでもらう文章では、下記の4つを常に意識することが大事とのことです。

A 誰がこれを読むのか
B 自分の書くことについて、その読み手はどれだけの予備知識があるだろうか
C その読み手はどういう目的で、何を期待してこれを読むのだろうか
D その読み手が真っ先に知りたいのは何だろうか

これまたシンプルだけども難しい!

僕はこのblog記事を書くときにちゃんとこの4つを意識できているのか!と思いました(笑)

まとめ

さて、今回紹介した「レポートの組み立て方」は古い本ですが、レポートを書く上で重要なエッセンスがかなりまとめられています。

「この本の書評を書く」という行為は、少し怖い気持ちになるくらい、自分の文章の書き方を反省させられました(笑)

やはり長く読まれている本には、それだけの理由があるというかんじでしょうか。文章の書き方について学びたい方にはおすすめの一冊です。

目次の紹介

かなり重要なエッセンスがまとまっていると思います。ざっとみるだけでも勉強になるかも!?

1.レポートの役割
1.1 レポートとは
1.2 大学生のレポート
1.3 社会人のレポート

2.事実と意見の区別
2.1 事実と意見 言語技術教育との出会い
2.2 事実とは何か 意見とは何か
2.3 事実の記述の比重

3.ペンを執る前に
3.1 レポート作成の手順
3.2 主題をきめる
3.3 目標規定文(主題文)
3.4 材料を集める
 3.4.1 頭の中にあるものを引き出す方法
 3.4.2 調査・観察・実験
 3.4.3 図書・新聞・雑誌
 3.4.4 図書館
 3.4.5 書店の利用
 3.4.6 ノートのとり方
3.5 いろいろの制約
 3.5.1 長さの指定
 3.5.2 引用について
3.6 レポートの構成
 3.6.1 表題
 3.6.2 レポートの標準的な構成
 3.6.3 起承転結について
 3.6.4 構成案のつくり方

4.レポートの文章
4.1 読み手の立場になってみる
4.2 叙述の順序
 4.2.1 重点先行
 4.2.2 新聞記事
 4.2.3 記述・説明の順序
 4.2.4 論理展開の順序
4.3 事実の記述・意見の記述
 4.3.1 事実を書くには
 4.3.2 意見の記述
 4.3.3 事実と意見の書き分け
4.4 レポートの文章は明快・明確・簡潔に書け
 4.4.1 明快な文章
 4.4.2 明確な表現
 4.4.3 簡潔
4.5 パラグラフ 説明・論述文の構成単位
 4.5.1 パラグラフとは何か
 4.5.2 パラグラフの構成
 4.5.3 文章の構成単位としてのパラグラフ
4.6 すらすら読める文・文章
 4.6.1 文は短く
 4.6.2 逆茂木型の文
 4.6.3 逆茂木型の文章
 4.6.4 首尾一貫しない文
 4.6.5 まぎれのない文を
 4.6.6 文は能動態で
 4.6.7 並記の方法
 4.6.8 漢語・漢字・辞書・その他
4.7 文章の評価

5.執筆メモ
5.1 原稿の書き方
 5.1.1 原稿用紙の使い方
 5.1.2 区切り記号
 5.1.3 文字の大きさ・字体・その他
5.2 出典の示し方
5.3 表と図
5.4 読み直し 修正

文献
問題の解答
索引
あとがき