本書は筆者である酒井穣さんが、フリービット株式会社において、「日本で最も人材を育成する会社」をめざすべく、実際に導入している人材育成プログラムの背景や導入のポイントをまとめた本です。

前半は、「企業の学び」に関する学術的な知見などが平易にまとめられており、お得感が高いように思います。

例えば、経験学習の話、修羅場体験が人を育てる話、動機付けの話、ダイアローグの話、熟達の話、等々、重要な知見がわかりやすい例と共に紹介されています。

後半は、実際にフリービットで実践している「人材育成プログラム」が紹介されています。

どれもユニークで面白いです。具体例に関する部分の目次を抜き出すとイメージがつくかなと思います。(太線と下線は筆者が追加)

第7章 育成プログラムの具体例

7.1 読書手当「道真公の愛」
7.2 社内ミニブログ(Yammer)
7.3 将来の自分への手紙
7.4 突撃☆お仕事インタビュー
7.5 富士山麓での幹部合宿研修
7.6 日本語のできない外国人の採用
7.7 ジグソーメソッドによるインタラクティブな学習
7.8 ケースメソッド

フリービットでは、社員が読書することを支援するために「読書手当」をだしていたり、社内ミニブログを導入して社員同士の「井戸端会議」の場所をつくっていたりと、様々な工夫をしていて面白いです。マネしたいなあという気持ちがあふれてきます(笑)

個人的に面白かったのは「突撃☆お仕事インタビュー」です。

これは社員同士でアポなしの飛び込みインタビュー(15分程度)を行う活動のようです。こうしたインタビューを行うことで、社員一人一人を理解し、仕事を上手にこなすためのニーズ調査を行うことが目的とのことでした。

実は最近、自分も似たようなことをやっていたのです(笑)。

研究室の学生に

・研究で苦労した点
・アイデアがうまれるときはいつか?
・いまどんな研究をしているか

みたいなことをインタビューして、その音声を録音・共有するというかんじです。この本のノウハウを読んで、今度はこういうこともできるかも!?みたいなアイデアが刺激されました。

学べる組織、戦える組織になるためには、いろいろな工夫が必要です。

この本を読むと「自分だったらこういうふうにしようかな?」といったアイデアの刺激を受けることができます。

前半の理論のまとめも含めて、情報がぎゅっとつまっていてお得感が高い本かなと思います。

人材育成に関連する方だけでなく、組織を運営している人におすすめの一冊だと思います。

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