月別アーカイブ: 2018年7月

「周りがやる気がないから、やる気がでない」のループを止められるか?:プラス変換としてのリーダーシップ

先日、学生にリーダーシップについて話をする機会がありました。

そのときに話したことのポイントを一言で言うと、

「リーダーシップとは、あなたによってプラス変換が起こるかどうかだ」

ということでした。

もう少し具体的な例で説明してみましょう。

例えば、

「周りが全然やる気がない」(マイナス状況)

「だから自分もやる気がでない」(マイナス状況が伝播しただけ)

というのはリーダーシップを発揮したとはいえません。

少なくとも

「周りが全然やる気がない」(マイナス状況)
「動かないのはなぜかと考えてみる」(マイナス状況を分析)
「なにか試しに行動を変えてみる」
「その様子をみて、またアクションしてみる」

のように、あなたがいることで、マイナス状況に対してプラスに変換する力が加わることが重要という話をしました。

もちろん、すべての環境に対して「そう動くべき」とはいいません。それはそれで少し息苦しいかもしれません。

ただ、そのときに伝えたかったのは

「快適な状況で、特にその場に対して貢献せず楽しい」

という状態は、リーダーシップ行動をしているとはいえないのではということでした。

「やる気がない人が多いから、やる気がでない」

というのはもちろん、納得はいくのですが、どこかで「プラス変換」がなくては、プラスの循環が起きません。

「やる気がない人もいるけど、あの人ががんばっているから、自分もがんばろう」

のような最初のきっかけをつくるというのは、ひとつのリーダーシップ行動(率先垂範)ではないかと思います。

今日は「マイナスの循環をいかにプラス変換するか」という話を書きました。

これは言うのは簡単ですが自分もやるのは非常に難しいです。

ただ、ある意味「困難な状況があったときに、これはリーダーシップ発揮の機会だ」と思えるかどうかは、リーダーシップ教育においてとても重要な視点なのかなと思います。

あなたはプラス変換していますか?
それともマイナス伝播になっていますか?

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グループワークがうまくいかないのは「メンバーの組み合わせ」の問題なのか?

大学でグループワークをやると、チームがうまくいかなかった原因として「メンバーの組み合わせ」が挙げられることがあります。ときには「なんでこのメンバーにしたのですか?」と聞かれることもあります。(そして、実はそういうグループに限って「あのグループはうまくいきそうだ」と思っていたグループだったりもします笑)

ただ、グループワークがうまくいかないのは本当に「組み合わせ」の問題なのでしょうか?

私はよいグループは「組み合わせ」ではなく「よいチームにしようとする行動」に左右されると考えています。(リーダーシップ行動ともいえると思いますが)

もちろん行動をしたにもかかわらずうまくいかないことはあるでしょう。百発百中は難しいです。また、組み合わせによって難易度が変わるということもあると思います。ただし、それはあくまで初期値であり、成果を決定づけるとは思えません。

「組み合わせ決定論者」になってしまうと、「成果は組み合わせで決まる」と決めつけて、リーダーシップ行動をする機会を失うことになります。なので、特に学生で、リーダーシップ行動がとれるようになりたい学生には、その中でやれることをやってほしいなと思っています。グループの成果はでなくても、少なくとも個人の成長の機会にはつながると思います。

よくグループワークをやっていて「チームメンバーに恵まれた!」とか「メンバーに助けられた!」とか言っている、周りからするとちょっとラッキーな人がいたりします。そういう人をみると「うらやましい」、「ずるい」という気持ちになります。

ただ、よく見てみるとそういう人の中には「チームがよりよくなるような行動をその人がしているから、ラッキーな状況になっている」という人も混じっているんですよね。

その人は「周りのおかげ」と言っており、たしかにそうなんですが、実際は「周りが動きやすい状況」などができるように、環境を整備していたり、目標を上手に共有していたりする場合があります。

なので、そういう場合にはよく観察してみると、色々なヒントが得られるのではないかと思います。

今日はメンバーの組み合わせについて書きました。

ぼく自身も仕事をする上では、チームが組まれた時点で「このチームは最高だったよな!」というオチしか存在しないと思っています。

つまり「このチームは最高だった!」という結末に向けて、やれることをやるということですね。

「メンバーが悪かったからうまくいかなかった」というオチは基本的にはありえません。最善を尽くした上で、本当に本当にうまくいかなかったときのみのシナリオかなと思っています。

(とはいえ、家でゲームやっているときに、他責にして友達から「そうじゃない」と言われたりすることもあるんですけどね笑)

あなたはチームが結成されたときにどんなことを考えますか?

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組織で問題が起こるのはリーダーのせいか?:全員発揮のリーダーシップの目指すところ

リーダーシップ教育について語るときに「リーダーシップはだれでも発揮できる」とか「全員発揮するほうがよい」という話をします。

これは「リーダーじゃない人もリーダーシップを発揮できるんだ!」というメッセージであり、もうひとつは「リーダーも自分だけがリーダーシップを発揮しようとか、責任を抱えすぎなくていいんだよ」というメッセージでもあります。

リーダーシップは「リーダーが発揮すべきもの」とすると、組織で起こっている問題の多くは「リーダー」に帰属されてしまうことが多いでしょう。もちろん、いわゆるリーダー役の持つ役割はとても重要ですが、「リーダーが悪いからうまくいかない」という文句を言いやすい構造になってしまいます。このときには「自分はさておき」ということになりがちです。

「全員発揮のリーダーシップ」のポイントは、組織の現在の状態は「みんなが作っている」という認識に立つことではないかと思います。自分は「組織に対してなにもしていないから関係ない」と思っていても「なにもしない」ということがメッセージを発していることもあります。なにかしらやはりその組織の状態に「かかわり」をもっているわけです。

自分もその問題に寄与している(寄与できる)という発想にまずたつこと。そして、そこからできる「小さなアクションは何か」を考えることが、「全員発揮のリーダーシップ」の最初の一歩になるように思います。

もちろんこういう考え方は考え方で少しこわいところもあります。これはある意味、組織の問題の一端を自分が担っていると捉えなくてはならないからです。あまりそれを考えすぎると、自責にはまるということもあるかもしれません。他責ばかりしているのはよくありませんが、過度な自責もよくありません。

それに、何かがうまくいかない原因は「人」だけでなく「仕組み」や「状況」のケースもよくあります。「犯人捜し」をするのではなく、置かれている環境を変えてしまうことで、問題が解決してしまうという発想を持つことも大切ともいえます。

今日は「全員発揮のリーダーシップ」ということに含まれる前提やメッセージを少し丁寧に書いてみました。講演などではなかなかここまでゆっくり話せないので、ブログというメディアは重要ですね。

組織の問題をリーダーの問題にしていないか?
環境や仕組みの問題を「人の問題」にしていないか?

ということは意識しておきたいポイントかもしれませんね。

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わざわざ「リーダーシップ」と呼ぶべきか、呼ばないべきか?:育てたい学生のイメージをどのように言葉にするか

リーダーシップ教育をやっていて少し悩ましく思うのが「リーダーシップ」という言葉のイメージです。講演などでは必ずリーダーシップのポイントとして、

・リーダーシップは学習可能 ×才能ではない
・リーダーシップは全員発揮できる ×リーダーだけのものではない
・リーダーシップは自分らしく ×引っ張るに限定されない

という3点について、研究成果をもとに説明していきます。

しかし、これらは一般的なリーダーシップという言葉のイメージと違うので、「わざわざリーダーシップという言葉を使う必要があるのか?」だったり、こちらが育てたい学生のイメージが誤解して伝わったりすることもしばしばあります。

もちろん、リーダーシップという言葉に対する新たなイメージは、海外(アメリカを中心に)やアカデミックな世界でも更新されているのでそれにあわせることはとても重要と思います。とはいえ、なかなか育てたい学生のイメージを共有するために時間がかかるというのは悩ましいことです。

この問題についてなかなか答えはでていないのですが、最近個人的に「ありだな」と思った事例があります。

それはある高校にいったときに「リーダーシップという言葉を使うかはさておき、育てたい学生のイメージは○○というかんじなのですよね?」というかんじで、リーダーシップという単語レベルで終わらせず、具体的に自分の実践先の学生のイメージにあわせてかみ砕いて説明してくださった先生がいたことです。

これはとても大事なことだなと思いました。リーダーシップに限らず、学習目標として掲げられる概念レベルの言葉は抽象的なので、それを一度自分の言葉で置き換えることはとても大切なことだと思うのですね。

その意味では、「リーダーシップ」という言葉が一見分かりにくいものの、だからこそ「自分の実践を想定して言い換えてもらう」ということが誘発されるのかなといかんじもしており、それをセットで行えば結果的には一番いいのかなというかんじもしています。

言葉のわかりやすさがあろうがなかろうが、結局のところ、教育の実践をおこなうときには、「どんな学生を育てたいのか?」ということを自分なりの言葉で落とし込めることがとても大切なのかなと思います。

「どんな学生を育てたいか?」と聞かれてどのように答えますか?

きっとそんなことを同僚と一緒に語ることがよりよい実践をつくる一歩なのかもしれません。

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【イベントレポート】立教BLPカンファレンス2018:高大社連携を目指したこれからのリーダーシップ教育

7/23に「立教BLPカンファレンス2018:高大社連携を目指したこれからのリーダーシップ教育」を実施しました。このイベントは立教大学経営学部BLP(Business Leadership Program)の実践や研究の成果報告をおこなうイベントです。

今年は立教大学経営学部の舘野泰一・高橋俊之(編著)、中原淳(監修)が執筆した『リーダーシップ教育のフロンティア(実践編・研究編)』(北大路出版)の出版に合わせて、「高大社連携を目指したこれからのリーダーシップ教育」をテーマにしたイベントをおこないました。

イベントは参加者を募集してほぼ1日で120名の席が全て埋まりました。関心の高さをかんじることができました。当日は高校教育、大学教育、企業というさまざまなセクションの方が参加してくださいました。会場はヤフー株式会社様のLODGE(ロッジ)を使わせていただきました。

イベントは舘野が司会を務め、大きく3部構成で実施しました。

【1.導入セッション】

最初の導入セッションではBLP主査の中原から、立教型リーダーシップとは何か、BLPとは何かについて説明しました。

立教型リーダーシップのポイントは、

・リーダーシップは学習可能 ×才能
・リーダーシップは全員発揮できる ×リーダーだけ
・リーダーシップは自分らしく ×引っ張る

とまとめられます。BLPのプログラムのポイントなどについて説明しました。

次に、池田潤様から会場の「LODGE(ロッジ)」のコンセプトなどのご紹介をいただきました。

その後、参加者の方々に自己紹介をしていただきました。参加動機や問題意識を共有していただきましたが、この時点で会話が盛り上がっていました。企業、大学、高校と場所は違えど、問題意識はそう遠くないという印象を受けました。

【2.リーダーシップ教育の基本形】

次のセッションでは、リーダーシップ教育の基本形について話題提供をおこないました。

まず舘野が「リーダーシップ教育研究の最前線」として、書籍(研究編)の内容を凝縮して25分でお話しさせていただきました。

ざっくりいうと以下の5つのポイントについてお話しさせていただきました。

・企業・大学に関するリーダーシップ研究の全体像は?
・リーダーシップの捉え方はどのように変遷している?
・リーダーシップ教育の基本設計とは?
・「リーダーシップ入門(BL0)」の具体的な事例
・教える側のリーダーシップとは?

今日の議論のたたき台となるような基本編の話というかんじでしょうか。短い時間なのでほんとはもっと話したいことがあったのですが、そこはぐっと我慢して話をしました笑

続いて高橋が「リーダーシップ教育をいかに実践するか?」というテーマで、より具体的な授業実践のポイントや、「論理思考とリーダーシップ(BL1)」の授業事例について紹介させていただきました。

また、話題提供だけでなく、学生の新井優志、伊藤奈七子と対談するかたちで、学生が実際にどのようなことを感じて、どのようなことを学んでいるかについて紹介しました。

【3.教育機関と社会との接続とは?】

最後のセッションでは「企業の変化とリーダーシップ教育」というテーマで、ヤフー株式会社常務執行役員の本間浩輔様と、BLP主査の中原による対談をしていただきました。対談のテーマとして以下の3つを設定しました。

1.いま企業で求められているリーダーシップとは?大学でおこなわれているリーダーシップ教育は?
2.ヤフー様の中で求められるリーダーシップとは?そのために何をしているか?
3.教育機関に期待することはなにか?企業と教育機関がともにできることはなにか?

この中で面白かったポイントは、本間さまの言っていた「小さなリーダーシップ」という言葉です。

舘野なりの解釈ですが、この言葉が示しているのは「半径5メートルのリーダーシップ」ともいえると思います。ビジョンを示して数千人を導くような「大きなリーダーシップ」ではなく、10〜15人程度の小さい規模でいいので、苦手な人などをつくらずに、チームで前に進むような経験を積み重ねることが大切という話と解釈しました。

立教のリーダーシップのあり方は「権限がなくても発揮できるリーダーシップ」であったり、「自分らしさを活かした全員発揮のリーダーシップ」と表現したりします。

ここで示しているリーダーシップも、言ってみれば、自分のチームに、小さなことでもいいので「自分らしさを活かした貢献をすること」といえると思います。その意味で、「小さなリーダーシップ」という表現も、我々が目指しているリーダーシップのあり方と一致するものだと感じました。

対談の後は、参加者同士でグループワークをしていただきました。各グループには、立教の学生スタッフにはいってもらい、今日の感想や疑問点を話し合っていただきました。ここで出た質問をもとに、パネルディスカッションをしました。

パネルディスカッションでは、

・リーダーシップを高めるためのフィードバックのあり方とは?
・リーダーシップ教育の効果測定とは?(卒業生はどうしている?)
・大人が若者にできることとは?
・理論を実践に活かすためには?

などのテーマについて話をしました。

ここでのポイントをあえてざっくりまとめると「リーダーシップといって大上段に構えるのではなく、日々の当たり前の日常のなかで、小さなトライ&エラーを繰り返していきながら、まずは目の前のチームを最高のものにしようよ」ということだったのかなと思います。

白熱した議論でしたが、本質的に向いている方向は同じなのだろうと感じました。もう少し議論していたかったのですが、あっという間に時間が過ぎてしまいました。

今回のイベントを実施してあらためて感じたのは、「リーダーシップ的なこと」に関する関心はとても高いものの、そのイメージがバラバラだったり、実際にどのように教育していくべきかについては、高校・大学・企業すべての機関で試行錯誤中なのだということでした。

ただ、だからこそ今回のような場が大切なのかなと感じました。高校・大学・企業の方が一同に介し、さらに実践者・研究者・学生がフラットに議論しながら、今後のリーダーシップ教育について語ることが未来を作る一歩なのかなと思います。

今後も立教BLPの実践や研究成果を公開する場をつくり、今後のリーダーシップ教育について考える素材を提供することができればと思っています。

当日は40度を超える気温の中、多くの方にご参加いただき本当にありがとうございました!

また、イベントの実施にあたり、ヤフー株式会社の小金蔵人さん、佐藤由佳さん、池田潤さん、立教大学学務事務4課の福田博之さん、大郷友さん、BLP事務局の加藤走さん、山口牧さん、司村千尋さん、立教大学の学生のみなさんには大変お世話になりました。

お忙しい中、登壇していただいた本間浩輔様、本当にありがとうございました。同僚である高橋俊之さん、中原淳さんとのセッションも楽しかったです。立教のOB・OGでヤフーさんで働いている人たちものぞきにきてくれてそれもうれしかったです。

今回のイベントの内容については、以下の2冊の書籍を読むことでさらに理解が深まると思います。よろしければぜひご覧下さいませ!

 

 

書籍の詳細はこちらのブログにもまとめてあります。

【予約販売開始】リーダーシップ教育のフロンティア:高校生・大学生・社会人を成長させる「全員発揮のリーダーシップ」 研究編・実践編のAmazon予約がはじまりました!

※中原先生のブログにもイベントの内容が書かれています。

「組織図なき時代」をサバイブするための「小さなリーダーシップ」と「プラグイン能力」!?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9224

※高橋先生のブログにも当日の感想が書かれています。

http://heartbeats.com/wp/2018/07/24/%E7%AB%8B%E6%95%99blp%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B92018/

運営チームのみなさんおつかれさまでした!

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