月別アーカイブ: 2014年4月

「カフェ型コミュニケーションはいったい何を変えるのか?」というイベントで登壇してきました

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さきほど東京大学にて開催された「カフェ型コミュニケーションはいったい何を変えるのか?対話・ワークショップが可能にする越境・変容の学習」という公開シンポジウムで登壇してきました。速報的にブログに書いてみたいと思います。

シンポジウムの説明は以下のようなかんじです。

市民と医療者が気楽な雰囲気の中で対話する「カフェ型ヘルスコミュニケーション」には、どのような可能性があるか?みんくるプロデュース代表の孫大輔さんは、対話を実践しながら、研究を進めてきました。専門家と市民の対話は、どのような効果や変化を起こすのか。共に考えてみませんか?

イベント詳細:http://nez-studio.jp/?p=4521

今回は主に医療系専門職の方を中心に約50名の方が参加されていました。私は医療に関する研究者ではありませんが、これまで越境学習やワークショップに関する研究や実践を行ってきたので「越境学習が個人の学びにもたらす効果とは」というタイトルで発表をさせていただきました。

今回は発表時間は10分だったのでかなりコンパクトに話をしたのですが、前半はこれまで先行研究で言われている越境学習の効果について説明をし、後半では今後の越境学習として考えていくべきポイントについて提案させていただきました。

私がイベントに参加してあらためて思ったことは、「越境」といっても、「医療」などの専門領域がはっきりしているところで個人の学び以外の視点も大きいのではないかということでした。例えば、それは「専門家の役割の再構築」や「地域コミュニティとの関わり」などの視点があるのかなと。

実は以前、「地域と医療」について考えるワークショップを行ったときにも似たような感想を感じたので、そのときのブログの引用をしてみます。

■「役割の再構築」という視点

最近私は医療に限らず、サイエンス、アート、大学図書館などさまざまな場所でワークショップの依頼を受けることがあるのですが、これらに共通した視点のひとつは「役割の再構築」なのだろうなと思います。「役割」を「専門性」とか「プロフェッショナル」と言い換えてもいいかもしれません。

これまでの「役割のイメージ」、例えば「医師の役割はこれ」というものを、内部、外部ともに少しずつ変化させていく過程でワークショップという手法がとられているのかなと思います。

引用元:「地域と医療」について考えるLEGOワークショップを実施してきました!
http://www.tate-lab.net/mt/2013/09/lego-medical.html

繰り返しになりますが、近年広がるインフォーマルな学びの場というのは、場が個人そのものの学習を促進するという視点もあると思いますが、今後はそれがどのようにコミュニティに広がったり、役割に対する再構築が起こるのかという視点に移っていくのではないかと感じました。このあたりについて私も研究や実践を引き続き続けていきたいと思っています。

今回の参加者の方は、関東だけでなくさまざまな場所から参加されていましたし、さらに、みなさん自分自身でなにかアクティブに活動されている方々でこちらも非常に刺激を受けました。今回のことをきっかけに、今後またどこかで研究の話をしたり、実践ができるといいなと思いました。

今回のイベントのお声がけいただいた孫さん、司会の広石さんはじめ、スタッフのみなさま本当にどうもありがとうございました。

■関連する書籍

今回の発表内容に関する書籍の一部を紹介しておきます。

職場学習の探究 企業人の成長を考える実証研究
中原 淳 木村 充 重田 勝介 舘野 泰一 伊勢坊 綾 脇本 健弘 吉村 春美 関根 雅泰 福山 佑樹 伊澤 莉瑛 島田 徳子
生産性出版
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活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
東京大学出版会
売り上げランキング: 4,386
ワークショップと学び2 場づくりとしてのまなび
東京大学出版会
売り上げランキング: 64,466
組織内専門人材のキャリアと学習: 組織を越境する新しい人材像
石山 恒貴
日本生産性本部生産性労働情報センター
売り上げランキング: 32,355

ぼくが共同プロジェクトをするときに意識している7つのこと

今日はぼくが、大人数がかかわる共同プロジェクトを進めるときに気をつけていることをまとめてみました。ぼくもどちらかというと一人で仕事をするよりも、多くの人が関わって研究や実践を進めることが多いです。現在ぼくが担当している授業準備も50人を超える人で進めています。

全員の情報共有を進めつつ、前に進めるためには何が必要なのかについて思いつくもの7つをまとめてみました。

1.完璧を目指さず「たたき台」を意識してワンテンポ早いタイミングで共有する

共同で仕事をする場合、締め切りまでの時間というのは「全員共通の資源」なんですよね。なので、どこかで消費しすぎると他の人が節約しなくてはいけないという状態になります。

そのためには素早く先に進めたいのですが、これがなかなかわかっていても難しいですよね。そこで重要なのは「完璧を目指すのではなく、まずは終わらせる」という姿勢ではないでしょうか。とりあえずカタチにして一度、共有してみることで、やるべきことがどんどん明確になっていきます。

目標にすべきは「完成品」ではなく「みんなで議論できるたたき台をつくること」です。全員が参加できる土台をつくることで、より共同であることのメリットがでてきます。

しかも自分がワンタイミング仕事を早く出すと、プロジェクト全体で時間の貯金が増えていきます。みんなが少しずつ貯金していくだけで、相当楽になります。ほんのちょっとの時間の貯金を意識していきたいものです。

2.タスクをとにかく「見える化」しましょう

「みんなが参加できる土台」ということと関連するのですが、そのためには自分のタスクやスケジュールをどんどん「見える化」していくことが大切です。

プロジェクトを進めるときに「あの人大変そうだな」というかんじで、だれかが忙しいことがわかっても、具体的に何をしていいかわからないことってありませんか?

いまどんな仕事があって、だれがいつまでにどのくらいやる必要があるのかが見えていないと、なかなか周りも協力できません。そのためにも、最初に全体のスケジュールやタスクを書き出したり、なるべくドキュメント化して、FacebookグループでもLINEでもいいので共有しましょう。

そのためには最初から面倒くさがらず「作業時間」だけでなく、「共有の時間」もしっかり見積もっておくことが大切です。

よくあるパターンは「仕事遅れる」→「作業に集中するため、共有時間を減らす」→「状況がわからないので周りが一層協力できなくなる」というものです。協力してもらえる構造をつくりましょう。

3.仕事の依頼はなるべく具体的に・明確に伝えましょう

自分が思っているよりも、仕事の依頼というのは相手に伝わっていないものです。「これお願いします」とお願いすることは楽なのですが、本当にその情報だけで相手が「動くこと」ができるかをイメージしましょう。依頼を受けた人が「次に、どんなアクションをするのか」を想像してみることが重要です。

動けるためには、内容と締め切りだけでなく、ちゃんと「目的」や「意図」を伝えることが大切です。ここでのゴールはなんなのか、本当に依頼する側がイメージできているでしょうか。

そしてなるべく締め切りは余裕をもって渡してあげましょう。「お忙しいところ大変申し訳ございません」という場面はもちろんたくさんあります。しかし、そういう場面は少ないに超したことはありません。

4.必ず一度試しましょう

講演のプログラムでも、授業のワークシートでも、活動でも、想像した通りにいかないことはたくさんあります。作ったときにはよくできたと思うのですが実は「プランのためのプラン」になっていて、実際にやってみて「しまった!」ということになりがちです。

これを避けるために必要なのは「試しに仲間と一度やってみる」ということです。自分で作ってみたワークシートに記入してみましょう。自分で考えた活動を試しにみんなでやってみましょう。肩肘張らず、とりあえずやってみればよいのです。

それをやることで、かなり細かい部分まできちんと修正することができます。その上で、プロジェクトメンバーに共有すると、より有意義なフィードバックをもらえると思います。

5.「何を変えず、何を変えるか」を吟味しましょう

全てのことを一から作り上げる必要はありません。これまでのリソースで使えるものは貪欲につかいましょう。そうすることで「本当に時間をかけるべきもの」に時間をかけることができます。

ただし、過去のリソースを使うときには、「楽だから」「去年までそうだったから」と思考停止モードで使うと痛い目にあうこともあるでしょう。「なぜそれをそのまま使うのか、なぜそれを変える必要があるのか」ということを吟味しましょう。そうすることで、新しいものがどんどん積み重なっていくはずです。

6.チーム全体を意識してみましょう

大人数が関わる共同プロジェクトの場合に、全体でどのくらいの人が関わっているかを意識してみましょう。そして、そのリソースを有効に使えているかを考えてみましょう。

例えば、本当はプロジェクトメンバーが20人いるのに、3人くらいしか動けていないとしたら?これは、もったいないことだと思います。それだけ人数がいれば、さまざまな人がいて、得意分野も異なっているはずです。相手のよいところを引き出すことで、全体の成果の水準を上げることを意識してみましょう。

7.しっかり休みましょう

大人数のプロジェクトが進むと、実はなかなか休むことが難しくなってきます。一つ一つの仕事がしっかり独立していればいいですが、なかなかそういうわけにはいかないので、だれかが動いていると、他のだれかも動かなくてはならないことがあります。

しかし、時々思い切ってみんなで休むことも大切です。大人数が関わるプロジェクトということは、それだけ仕事も大きく、長丁場になります。ノンストップで休みなしでは必ず疲れがたまってきます。時間を短く区切ってみたり、メリハリを持ってやっていきたいものです。休めないひとつの原因はタスクや締め切りが不明確であるということも原因でしょう。

また、プロジェクトが動いているときには、プロジェクトを優先しがちになり、自分の時間が犠牲になることもあります。もちろん、プロジェクト自体が楽しいから時間を使ってしまうということはよいのですが、それでもそれ以外のことをやる時間もしっかり確保したいものです。

「自分はがんばっているのに、なんであいつは遊んでいるんだ」というかんじの雰囲気がでてくるのもあんまりよくない兆候かもしれません。やるときはやって、遊ぶときは遊びましょう。そのために、余裕を持ったスケジューリングを心がけたいものです。

ということで7つ書いてみました。書き始めるとどんどん増えていってしまうので、とりあえずここらへんでやめておきたいと思います。

細かいことではありますが、こういうことがひとつずつ意識できるとプロジェクトはどんどん前に進んでいくのかなと思います。

またなにか思いついたら付け加えてみようかなと思います。

「21世紀型スキル:学びと評価の新たなかたち」が出版されました!

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私が翻訳に関わった「21世紀型スキル:学びと評価の新たなかたち」が出版されました!この本は近年注目されてきている「21世紀型スキル」の原典となる書籍を訳したものです。「21世紀に必要となるスキルはどのようなもので、そのスキルをどのように評価・育成していくか」について書かれています。

「21世紀型スキル」は大きく4つに分類されています。

1.思考の方法:創造性とイノベーション、批判的思考、問題解決、意思決定、学び方の学習
2.働く方法:コミュニケーション、コラボレーション
3.働くためのツール:情報リテラシー、ICTリテラシー
4.世界の中で生きる:シチズンシップ、人生とキャリア発達、個人の責任と社会的責任

ひとつひとつのスキルを見ると、実はそれほど目新しいスキルというかんじはしないかもしれません。

では「21世紀型スキル」の話は何がポイントで、日本の教育に対する意義とはどのようなものなのか。これについては、新たに書き下ろされた5章・6章で詳しく解説がされています。

本書は「これが21世紀型スキルだから、これをやればいい!」というものではなく、これからの教育のかたちについて考える際のひとつの大きな素材ではないかなと思っています。よろしければぜひご覧ください。(おかげさまでAmazonの教育カテゴリでは上位にランキングされているようです。感謝!)

21世紀型スキル: 学びと評価の新たなかたち
北大路書房
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「プロジェクト型授業」がいよいよスタート!:プロジェクト課題設定の裏側を少しだけ

私が立教大学経営学部で担当している授業のプロジェクトがいよいよ昨日スタートしました!正確には授業としては2回目なのですが、連携企業の方から、半期の間かけて取り組む課題の発表がありました!

私が担当している授業は「BLP(ビジネス・リーダーシップ・プログラム)」というプログラムに関するもので、このプログラムでは、授業の対象やレベルごとに「BL0」〜「BL4」までもうけられています。今年の連携企業は「BL0」が日本HP様、「BL2」が武蔵野銀行様、「BL4」がヤフー様となります。

私は特に1年生向けの必修の「リーダーシップ入門(通称、BL0)」について、コースリーダーという全体をまとめる役割を担っています。この授業は、受講生や約400人弱で、18クラスが共通の内容を行う非常に規模の大きい授業です。

今年のBL0の連携企業は日本HP様です。経営学部と日本HP様は3年間一緒にプロジェクトを進めさせていただいています。今回の課題は「タブレットやプリンタの新たな活用方法」に関するものです(本当はもっと状況が細かく設定されています)。業界の分析などもさることながら、実際に私たちがタブレットを使う場面はどのようなときなのかという、状況に対する深い洞察が必要になります。

授業はこうした「企業への提案」を競いながらも、そのプロセスにおけるリーダーシップの育成を重視しています。そのため、授業の中で、自らのリーダーシップやグループワークのあり方について振り返る機会や工夫を複数もうけています。

大学で協調学習やグループワークを取り入れるところは増えてきていると思いますが、意外と「グループワークのあり方そのもの」をしっかり振り返る機会を用意しているところは少ないのかなと感じています。

BL0では「プランを作ることで、リーダーシップを学ぶ」というサイクルをうまく回るような授業デザインを心がけています。

今回発表した「プロジェクト課題」についても、その両輪がまわるような「課題の設定」を意識しています。課題の設定の過程においては、何度も連携企業の方と相談を重ねつつ、企業にとっても、大学にとっても意義のある課題をさぐっていきます。

そのプロセスには、SA(ステューデント・アシスタント)も積極的にかかわります。SAは一番学生と目線が近いため、学生にとって熱中できるものか、レベルとして無理がないかについて積極的にコメントします。実際、今回最終的に採用されたBL0の課題はSAのアイデアがベースになっています。

このようにプロジェクト課題は、連携企業の方からもらうでもなく、大学から一方的に提案するでもなく、企業の方や教員だけで決めるものでもなく、さまざまな視点を織り込みながら「ここが一番よいところ」というポイントを探るプロセスでもあるのです。

今回の課題もこうした過程を踏んで考えたものですが、やはりうまく進むかというのはドキドキするものです。もちろん、課題を決めて終わりということはなく、それを面白いものできるのかは、かかわる人たち次第でもあります。これから始まるプロジェクトを私自身も楽しんでいきたいなと思っています。

ちなみに、プロジェクトのスタートは毎回全ての人たちがホールに集まり、そこで発表をします。その場の司会・進行はSAたちが行います。数百人が一堂に介す場をマネジメントしたり、その前で話すのは大変なことだと思うのですが、堂々とやっていてました。写真は一仕事終えたSAたちと一緒に撮ったものです。みんな満足そうな表情ですね。ここからまた新たなスタートですが、楽しんでいきたいなと思います。

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相手のよいところを活かして成果をあげるには?:「フィーチャリング力」を読んだ!

フィーチャリング力 あなたの価値を最大化する奇跡の仕事術
VERBAL
幻冬舎
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m-floのVERBALが書いた「フィーチャリング力」という本を読みました。本書に書かれている通り「フィーチャリング(featuring)」とは、「A feat. B」「Bさんをメインゲストに迎えたAさんの楽曲」という意味です。まあ平たく言えば、コラボレーションということになるかと思います。

m-floは、「lovesプロジェクト」と呼ばれるプロジェクトをおこない、多くのアーティストとコラボをして、新たな楽曲をつくってきました。本書では、そのフィーチャリングを「相手の特性・能力を引き出し、成果物の価値を最大化する方法」として、こうした仕事のやり方のコツについて書いています。

正直最近読んだ本のなかで一番といっていいほど面白かったです。普段仕事をするときには、ほとんどが人とのコラボレーションになるわけなのですが、そのときの心得が平易な言葉で非常によくまとめられていました。

「相手のよさを知り、そのよさを引き出すことで、全体の成果をあげようとすること」は、ひとつのリーダーシップスキルとも捉えることができるかもしれません。

詳しくは本書を読んでほしいですが、最初に「フィーチャリングの3つの極意」が紹介されています。

1.フィーチャリングは、「ラブコール」から始まる
2.プレゼンテーションは、相手が喜ぶ「プレゼント」
3.行動のない思想はむなしくて、考えのない行動は行き当たりばったり

よいコラボレーションをするためには、相手のリスペクトがあり、相手に対してのメリットを伝えることが必要です。そして、相手を巻き込むためには、「行動」が必要で、でも「単なる行動」だけではなく、「思想(ビジョン)」が必要になります。

こうした考えを基本としながら、本書では具体的なコツがたくさん紹介されています。いろいろとうなずきながら読みました。

考えてみれば「教育」というのはひとつの「フィーチャリング」なのかもしれないと思います。それは「学習者」に対して、学習者のよさを活かして成果をあげるという点でもそう捉えることができるかと思います。また、「ある教育内容」を、「よりよく教える」という場合にも、その「よりよく教える」という行為は一種のフィーチャリングともいえるかもしれません。

非常にわかりやすい言葉で書かれていながらも、本質がつかれているよい本だなと思いました。相手のよさを引き出して仕事をする方法について考えている人は読んでみるとよいのでは。

(本書は@YukiAnzaiくんに教えてもらいました。面白い本を教えていただき感謝です。)

「コーヒーちょい残し症候群」を治したい

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「コーヒーちょい残し症候群」という言葉は、ぼくが勝手に作ったんですけど、最近これ治したいんですよね。

みなさんもあると思うんですけど、カフェとかでちょっと仕事しているときに、「コーヒー飲み切っちゃうと、長居するの気まずいな」って思うじゃないですか。それによって、どうしてもいつもカフェにいるときに、なんとなくちょっとだけコーヒー残して過ごしちゃうわけですよ。

で、別にそれ自体はまあいいんですけど、個人的に治したいのは「これを家でやってしまう」ということなんです。

家でコーヒー飲んで作業しているわけですから、別に「俺、まだコーヒー残っているからここにいていいよね!」って主張する必要ないじゃないですか。でもなんでかよくわからないんですが、家にいても、「絶妙な量を残して作業してしまう」んですよね。

「残しすぎず、それでいて、まだ飲み終えていない」という謎の量のコーヒーが残ってしまうのです。

これがぼくの言いたい「コーヒーちょい残し症候群」です。もうちょっと正確にいえば「家なのにコーヒーちょい残し症候群」です。

この謎の癖を治したいなと思うのと同時に、これは「あるあるなのか」ということがまず気になるんですよね。個人的にはみんなけっこう気づかないうちにやっているんじゃないかと思っています。

うーん、治したい。

そして人生はつづく。

学んだ成果をいかせないのはだれのせい?教え方、学習者、それとも・・・

授業でも研修でもいいのですが、何かを学ぶ機会があったとします。しかし、それに参加したものの、そこで学んだ知識を仕事などで活用できなかったとします。その場合の原因はどこにあるでしょうか?

ひとつは「授業や研修のやり方」と考えることができます。「教え方が悪い」ので、学習者は学んだ成果を活かせないということです。

もうひとつは「学習者(受講生)」を原因とすることもできるでしょう。教え方はよいのに、しっかり学んでいないから、学んだ成果を活かせないということです。

教育に関する分野で研究していると、色々な立場はあれど結果的には先ほど示した二つの視点が多いのかなと思います。研究キーワードでいうと「学習転移(transfer)」に関するものだと思います。ざっくりいえば「ある場所で学んだことを他の場所でも活かす」ということについて考える領域といえると思います。

ただ、先日経営学に近い分野での「研修」における「学習転移」の研究群を読んだときにこれ以外のアプローチがあるのだということに気がつき、それがとても新鮮でした。それは以下のような考え方です。

学んだ成果を活かせないのは、「教え方」や「学習者」の問題だけでなく、その知識を活用するような場が「職場にないからだ」と考えるアプローチです。

つまり、どんなによい教え方をして、どんなによく学んでも、それを活用する先がその知識やスキルを受け入れるような環境でなくては、知識を活用しませんよということです。

言われてみれば当たり前かもしれませんが、個人的にはなるほどと思う視点でした。

少し話は飛躍するかもしれませんが、この視点は今後の大学教育を考える上でも重要になるのではないかと思いました。

大学教育の「教え方」や、大学生の「学び」がいかに促進されようとも、その先の「職場」がそこで得た知識を活用できるような場でなければ、活かすことができないのではないかということです。

「新しい知識やスキルを持った人材を育成してほしい」ということは、裏を返せば、「そうした人材を受け入れる」という覚悟が必要になります。その覚悟がなければ、教え方も学びも活きてこないのではないでしょうか。

一番よいのは、知識を活用する先が「新たな知識やスキルの重要性を理解」しており、それに適した「教授法」がとられ、学習者の「深い学び」が促されることでしょう。なかなか難しいことではありますが、どれかひとつだけ取り出して問題化してもなかなか先に進まないような気がしています。

これらの3つがうまくまわるようなサイクルはいかなるものかについて考えていきたいなと思っています。

自分の人間関係が「内輪だけ」になっていないかを簡易的に確認する方法

最近、興味を持っている研究テーマのひとつに「自分が持つ人間関係」と「成長(学び)」の関係があります。先日出版した書籍「活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション」の中でも、第6章で「大学時代の人間関係」と「企業への組織適応」に関する調査結果について書かせていただきました。

活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
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この研究では「異質な他者(自分とは世代も所属も異なる人)」とつながることが成長にとって大切ではないかということを述べているのですが、この話をすると「自分がそういう状況になっているかをどう確認したらよいのか」と聞かれることがあります。

そう言われると難しいのですが、今回は自分の人間関係が「内輪だけ」になっていないかを簡易的に確認する方法について少し書いてみたいと思います。

その方法とは、最近Facebookで友達になったひととの「共通の友達」の数を見てみるという方法です。

例えば、最近友達になった人と「共通の友達30人」とかの場合は、あるコミュニティにどんどんと関わっている状態といえると思います。同じ職場の人、サークルの人など、どんどんと関連する知り合い同士とつながっていくパターンかもしれません。

これはこれでよい状況ですが、どちらかというと「どんどんコミュニティの中に入っている」状態であり、異質な他者とつながっているような状態ではないといえるかもしれません。

一方で、最近友達になった人と「共通の友達1人」とかの場合には、いままでとは別の新たなコミュニティとの接続を予感させます。自分とその人だけつながっているけれど、それぞれの所属しているコミュニティとは別の状態といえると思います。

こういうときには、普段所属するコミュニティとは少し異なるコミュニティへ可能性が開けている状態と考えられるのかなと思います。

今回のポイントをあらためてまとめると

・「共通の友達が多い人と知り合いになっていれば、より同質なつながりへ」
・「共通の友達が少ない人と知り合いになっていれば、より異質なつながりへ」

という傾向があるかもねという話でした。もちろんこれは非常に簡易的な方法なのでひとつの指標でしかありません。

これ以外にも、共通の友達以外にも「そもそも最近Facebookの友人が増えないな」というのも、新たな出会いが少なくなっている可能性があるともいえます。

もちろん、Facebookなんてやっていないよという人もたくさんいると思うのですが、自分が使っているSNSの状況は、自分の持つネットワークの状況を把握するひとつの指標にはなると思います。時々そのあたりを見てみると、自分の人間関係の状況を理解することができるかもしれませんね。

■関連する書籍

今回の記事に関連する内容を「活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション」の第6章:入社・初期キャリア形成期の探究:「大学時代の人間関係」と「企業への組織適応」を中心に.で書かせていただきました。興味がある方はぜひご覧くださいませ。

活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
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大学生の学びとキャリア: 入学前から卒業後までの継続調査の分析
梅崎 修 田澤 実
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プロジェクト化する大学の授業準備:50人以上で作る授業!?

4月から立教大学経営学部にうつり、授業準備を進めてきました。私が担当する授業のひとつに「リーダーシップ入門」というものがあります。この授業は、初年次生を対象にした授業で、連携する企業の方から課題をいただき、その課題をグループで取り組むことで、リーダーシップの育成を目指すものです。

授業準備の過程で何をするのかですが、この授業は単に自分の授業のスライドを作って終わりということではありません。

なぜならこの授業は約400名の学生が18クラスに分かれて同じ内容に取り組むからです。1クラス約20名で、授業は教員とSAの2名で運営します。さらに、授業を通して作成するプレゼンは、「クラス内だけ」ではなく、クラスを横断して競います。授業の後半では、18クラスの中から代表の6チームが、400人+連携企業の方を前にプレゼンするという内容になっています。

今回、私はこの授業のコースリーダーを担当しています。つまり、18クラス共通で取り組む内容を考える役割をしています。

コースリーダーとして授業を作ろうとすると、授業に関わる人が軽く50人を超えていきます。例えば、教員だけで18名、それぞれの担当SAが18名で36名です。さらに、授業運営には、職員、事務局の方々が多数協力してくださいます。さらに連携企業の方や、企業と大学の間のコーディネーターのかたまでいれると、あっという間に50人を超えます。

このように、授業を作るときに「一人でスライドを考えて実施する」のではなく、授業準備のプロセスがすでに「プロジェクト化」しているといえます。つまり、「よいプロジェクト型学習をデザインするためには、授業を作る側のプロジェクトマネジメントがうまいかどうかが問われている」といってもよいのかもしれません。

こうした授業スタイルは、特に初年次教育など、多くの学生に共通の体験をさせたいもの、かつ講義形式ではなく体験型の学習をさせたいというときに必要になってくるものといえるかと思います。

もちろん、こうしたスタイルが増えてくるからといって「ひとつの授業を一人でつくる」ということや、講義型の授業スタイルがゼロになるということはないでしょう。

しかし、確実に授業準備が「プロジェクト化するもの」は増えていくのではないかと感じています。

このような授業が増えてくると、コースリーダーを担当する人には、「一つの授業をわかりやすく伝えること」だけではなく、より上位のレイヤーとして「多様なステークホルダーと連携を取りながら、コース全体をデザインすること」が必要になってくるように感じています。

自分自身も日々こうした役割を全うすべく試行錯誤をしています。もちろん、大変な作業ではあるのですが、やりがいもあるチャレンジだと感じています。各大学でもこういった役割をされている方はすでにたくさんいるのかなと思いますので、ぜひ今後情報共有させていただきたいと考えています。

私の担当する「リーダーシップ入門」もいよいよ火曜日にスタートします。多くの方々の協力により、面白い授業ができたのではないかと思っています。

まだまだ赴任してから2週間も経っていない新任教員ではありますが、これまでの経験を活かしながら、新たなチャレンジを楽しめればと思っています!

■参考リンク

授業の準備状況はこちらのリンクをご覧ください。

2014年度リーダーシップ入門準備報告
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/2602.html

2014ウェルカムキャンプ準備報告記事
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/2605.html

■参考図書

立教大学経営学部の取り組みについては以下の図書にまとめられています。

大学教育アントレプレナーシップ―新時代のリーダーシップの涵養
日向野幹也
ナカニシヤ出版
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立教大学の経営学部助教になりました!:新年度のご挨拶

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4/1付けで、立教大学経営学部の助教になりました!立教大学では、ビジネス・リーダーシップ・プログラム(通称BLP)に関する仕事をメインでおこなっていきます!BLPの詳細は以下になります。

BLPは、グローバル社会で活躍できる人材の養成を目的に作られた、経営学部経営学科のコア・カリキュラムです。
チームでのプロジェクト実行やスキル強化を通して、ビジネス・リーダーシップを体験的かつ段階的に身につけていきます。

授業は企業クライアントとともに行い、実践的な環境の中で、自分なりのリーダーシップを身につける授業を行います。私の仕事はこのプログラムの運営を行うことです。

今年度は特に、1年生の必修授業である「リーダーシップ入門」を担当します。内容については以下のサイトに書きましたので、よろしければご覧くださいませ。

2014年度リーダーシップ入門準備報告:「自分なりのリーダーシップ」への理解を深められるカリキュラムを目指しています
http://cob.rikkyo.ac.jp/blp/2602.html

職場が新しくなるのは気持ちもだいぶ変わります。現在は研究室の引っ越しをしたり、色々な事務手続きをしたりで、慌ただしい日々が続きますが、まずは研究室環境を整えたいと思います。

キャンパスは池袋ですので、近くにくる際にはぜひ研究室にも遊びに来てくださいね。

■参考図書

BLPの取り組みについては以下の書籍にまとめられていますので、興味がある方はぜひご覧ください。

大学教育アントレプレナーシップ―新時代のリーダーシップの涵養
日向野幹也
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