月別アーカイブ: 2011年10月

文章を書くために使い分けたい2つのマップの描き方-「発散」と「収束」を使い分けよう-

この記事は今年度の前期に行った、専修大学の「リテラシー演習」という授業をしていて気づいたことをまとめたものとなります。この授業では、レポート・ライティングの書き方など、大学での学び方に関する授業を行いました。

先日は「大学生からの本の読み方」に関する記事を書きました。

大学生からの本の読み方-本を読むのは知識を得るためだけではない
http://www.tate-lab.net/mt/2011/10/read-book.html

今回は「よい文章を書くために使える,マップの描き方」に関する記事を書いてみたいと思います。

今回のポイントを説明しましょう。

レポートを書く前に、文章をいきなり書くのではなく、マップを描くことはその助けとなります。

マップの描き方は色々あるのですが、大きく2つの描き方があると思います。

1つ目は、アイデアを「発散」させるものです。
わかりやすいように、「発散マップ」と名付けることにします。

2つ目は、アイデアを「収束」させるものです。
わかりやすいように、「収束マップ」と名付けることにします。

この2つについて、今回は説明していきたいと思います。

最初に、「発散マップ」について説明しましょう。これは、テーマに関して頭の中で考えていることをとにかく書き出してみる!という方法です。

(この方法は本来「思考マップ(イメージマップ)」と言われたりしますが、次に出てくるマップとの対応をわかりやすくるために、今回は「発散マップ」と呼びます。)

発散マップは、

  • あるテーマについて文章を書かないといけないけど、何をテーマにしていいかわからないとき
  • いろいろ本を読んでみたところで、ひとまずキーワードをたくさんだしてみたいとき

などに有効です。
ブレインストーミングのようなものです。

いろいろ発想をだすのに有効ですし、頭の中でごちゃごちゃしているものを一度外に出してみると頭の中の整理になります。

やり方は簡単です。

  1. 紙を用意する
  2. 紙の中央部に○を書き、そこに思いつくテーマを書く
  3. そのテーマから思いつくことばをまわりに書いてつなぐ
  4. これを繰り返す

というかんじです。

試しに「ネットとセキュリティ」というテーマで描いてみました。
(担当していた授業がネットワーク情報学部なので)

ネットとセキュリティ.png

これは途中段階ですが、もっともっと思いつくことを描いてしまってかまいません。
マインドマップのソフトを使っていますが、これも特に指定はないです。
手書きでかまいませんし、好きなツールを使って下さい。

こういうかんじで、一度思いつくことをばーっと外に出してみると、レポートのテーマにするための観点が明確になってきます。

頭の整理がしたいときに一度使ってみて下さい。

次に説明するのは「収束マップ」です。これはテーマがある程度決まったら、どういう順番で議論を展開していくかをまとめるものです。

(この方法は本来「構想マップ」と言われたりしますが、区別がややこしいのでここでは「収束マップ」と呼びます)

  • さっきの方法は、とにかく思考を「発散」させるもの
  • 今回の方法は、とにかく思考を「収束」させて、論を組み立てることを第一に考えるもの

となります。
アウトラインを書く作業と似ていると思います。

このマップでは、

  • どんな主張をしたいのか
  • そのためにはどんな理由を書くことが必要なのか

という点を明確化するものとなります。

そのため、思いつくままに書くというよりも、
自分のレポートの「問い・主張・根拠」が明確である必要がありますし、
それを整理するために使うためのマップです。

試しに描いてみました。

セキュリティ.png

まあこれは即興で作ったものですが、
ここでは単に「ネットワークとセキュリティ」というテーマではなくて、
「セキュリティを高めるためには、個人の対策が必要だ」という主張をすでに設定しています。

そして、その主張を述べるためには、
どういう理由を並べていったらいいのかということを考えてマップを描いています。

ここでは、

  • 攻撃側の特徴
  • 企業がすでに行っている対策とその限界
  • 個人の対策とその問題点

という流れで論を展開してみるというマップを描いてみました。

このように「収束マップ」では、思いつくものを並べるのではなく、

  • 何が一番言いたい主張なのか?
  • その主張を言うためにはどういう流れ(理由や根拠)を並べる必要があるのか?

という点を整理するために使うマップです。

さて、今回は2つのマップについて説明してきました。

文章を書くための補助として、

  • 考えていることを「発散」させてみるためにマップを描いてみること
  • ひとつのテーマに「収束」させてみるためにマップを描いてみること

という2つのマップの描き方を紹介しました。

文章を書くためのマップの描き方は、実はけっこうたくさんあったりしますし、マインドマップはどうなんだとか、○○マップもあるよ、などいろいろな意見があるかもしれません。

基本的には好きな描き方を採用していただきたいのですが、
大きく分けるとこの2つの種類があるように思います。

つまり、

  • とにかく広げてみて見取り図を作るパターン
  • 最終的にどう組み立てるか戦略的に図を作るパターン

ということかなと。

よい文章を書くためには、いきなり文章を書いてしまうのではな

大学生からの本の読み方-本を読むのは知識を得るためだけではない

この記事は今年度の前期に行った、専修大学の「リテラシー演習」という授業をしていて気づいたことをまとめたものとなります。この授業では、レポート・ライティングの書き方など、大学での学び方に関する授業を行いました。

先日「話が広がりやすい自己紹介の書き方」に関する記事を書きました。

「話が広がりやすい自己紹介」を書くための3つのポイント
http://www.tate-lab.net/mt/2011/10/post-209.html

今回は「本の読み方」に関する記事を書いてみたいと思います。

今回主張したいポイントは以下の点です。

  • レポートを書くためにはまず「知識」が必要。だから本や新聞を読むのは大事
  • しかし、本を読むのは「知識を得るためだけ」ではない
  • 自分はどういうことを問いたいのか、筆者はどういう主張をしているのか等を意識することが重要

私が担当したこの授業では、半期をかけて、自分でなにかしらのテーマを決めてレポートを書いてもらうものです。

対象はネットワーク情報学部の学生さんでしたので、セキュリティに関することや、ネットの無料文化に関連するもの、ソーシャル・メディアに関するものなど、大きな括りだけこちらで用意し、その中でなにを取り上げるのかというのは自由という形式でした。

自分で問いを決めるためには、なにはともあれ、その領域に関する知識が必要となります。

例えば、「セキュリティについて書きたいな」と思っていても、知識がなければ、問いは深まっていきません。

そのために「まずは本や新聞を読みなさい」と言うことになります。

例えば、

  • セキュリティを守るためにはどういう観点があるのか
  • セキュリティの問題は過去から現在にかけてどういう変遷をたどってきたのか

などをとりあえず理解することが大事といえるでしょう。

ここまでは「本を読んで知識を得る」という段階です。

「本を読んで知識を得ること」はとても大事です。しかし、それだけではレポートは書けません。

まずは知識が必要なのですが、それをもとに、「自分はどんなことを問いたいのか」や「現在言われていることにどんな問題点があるのか」などを意識して読んでいくことが大事になります。

このあたりが大学生以上になると必要になる、本の読み方になると思います。

具体的に重要なポイントは以下の2つの視点かなと思います。

  • ホットに読む!(面白い!つまらん・・。など)
  • クールに読む!(主張はどこかな。根拠はどこかな)

「ホットに読む!」というのは、意外かもしれませんが、面白い!とかつまらん!とか、感情を意識して読むという方法です。この方法は、戸田山和久先生の「論文の教室」に紹介されています。
(青山学院大学の鈴木宏昭先生や鈴木聡さんたちもこの方法を応用したシステムの開発をしています)

「本を読む」というのは、別に「内容を知る」ことだけが目的ではありません。そのなかで、「自分はどういうことに興味があるのか」「どういうことに納得がいかないのか」など、自分の立場をあぶりだしていくような読み方が必要になります。

ホットな読み方に正解はありません。「私にとって面白い」と思うものが、「あなたにとって面白い」かはわかりません。それでいいのです。自分に正直になることが大事です。

具体的には、本を読んだときに「ここは面白いなあ」とか「ここは納得いかないなあ」ということをメモしておくとよいでしょう。(付箋でもアンダーラインでもかまいません)

あなたの感情が、同じ資料をどのようにまとめるかという「視点」につながります。

「クールに読む!」というのは、書かれている内容を、考えなしにすっと読んでしまうのではなく、著者が何を主張しているのか、その主張はどんな根拠に支えられているのかっていうことを意識する読み方になります。

例えば、「セキュリティの問題を解決するために企業がもっとお金をだすべきだ!」ということを主張している人がいた場合に、この人は何を根拠にそう主張しているのかなということを慎重に、クールに読むというやり方です。

最終的にレポートは、クールに書いていくものです。「論理的に」ということですね。そのためには、自分が「これだ!」と思ったものを、どのように組み立てていけばいいかを考えていくために、他の人がどういう組み立ててで文章を書いているか分析したり、自分が攻めるポイントを見つけることが大事になります。

クールな読み方の場合は、「どこが主張」で「どこが根拠なのか」というのは、ある程度正解がある読み方といえると思います。どういうものが主張で、どういうものが根拠になりうるかということについて見る目を養う必要があるでしょう。

具体的には、本を読んだときに「ここが筆者の主張(言いたいこと)じゃないか」「これをいうために、こういう根拠(データなど)をだしているのか」というのを分析的に読みながら、メモしていくとよいでしょう。

冷静に分析して読むことが、あなたがレポートを書く時の「戦略」につながります。

ここまで書いたことをまとめます。

レポートを書くためには

  • 本や新聞を読んで知識を得ること

はまず大事です。

しかし、それだけは不十分です。

  • ホットな読み方をすることで、自分の立場をあぶり出し、
  • 分析的に読むことで、どのように論を組み立てるべきかの戦略を練る

ということが大事になります。

最初は難しいかもしれないですが、

  • 知識を得るモード
  • ホットに読むモード
  • クールに読むモード

の、どれでいま読んでいるのかを意識してみることが
最初のスタートかもしれません。

レポートを書くことにつなげる読み方ができるようになればと思います。

関連エントリー

「レポートがうまく書けない!」ときの3つのパターンとその対処法
http://www.tate-lab.net/mt/2011/06/post-206.html

僕が中原研で学んだ「先行研究の読み込み」に必要な3つのポイント
http://www.tate-lab.net/mt/2010/04/post-176.html

「話が広がりやすい自己紹介」を書くための3つのポイント
http://www.tate-lab.net/mt/2011/10/post-209.html

【書評】情報科学のパイオニアたちの足跡をたどる旅 -デジタル・ナルシス(西垣通)を読んだ-

デジタル・ナルシス―情報科学パイオニアたちの欲望 (岩波現代文庫)
西垣 通
岩波書店
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この本は、バベッジ、ノイマン、チューリング、シャノン、ウィーナー、ベイトソンといった、情報科学に関するパイオニアたちについて書かれた本です。

情報科学に関する話は本当は非常に難解な内容だと思うのですが、本書はそれぞれの学者たちの人生を描きながら、情報科学の思想の流れを追っていくので、かなりわかりやすくなっていると思います。

理論を抽象的に解説していくのではなく、それぞれの学者の人間としての部分に注目しながら書かれていくので、読み物として思わず熱中してしまう内容でした。

元々この本は、所属している研究室の夏合宿で、ベイトソンに関する発表をしたのでそのときに読みました。そのときには図書館で借りて読んだのですが、はまってしまい、結局買いました(笑)

ベイトソンの本を読んでもわからないことが、この本の記述を読むことで、すっと腑に落ちてきました。

ひとつポイントになったところを引用してみようと思います。

p140 引用 ——————————————————–

ベイトソンのエピステモロジーとはいったい何か?

説明を始めると長くなるが、肝心な点は、それが一種の「新しい科学」だということだ。

ベイトソンはみずからの科学を、従来の「プレロマの科学」から峻別して「クレアトゥラの科学」と称する。

<プレロマ(生なきもの)>と<クレアトゥラ(生あるもの)>とはユングの用語で、前者は力や衝撃が支配する物理的領域、後者は対比や差異が支配する情報的・関係的領域にそれぞれ対応する。

たとえば一人の人物を認識するとしよう。その「物理的リアリティ」を実験室のなかで生化学的に分析するのはプレロマの科学である。一方、その人物の「人となり」を知るためには、当人と他の人々との関係やコミュニケーションを社会的・文化的コンテクストのなかで分析しなければならない。
これはクレアトゥラの科学ということになる。

クレアトゥラの科学においては、質量や速度といった<量>ではなく、<パターン><メッセージ><コンテクスト>などが基本コンセプトになる。

—————————————————————-

これは非常に腑に落ちる説明でした。

ベイトソンは、人類学から精神病理学、動物のコミュニケーションなどなど非常にいろいろなジャンルで活躍した人です。一番聞いたことのある理論は「ダブルバインド理論」でしょうか。

このように一見かなり幅広く研究しているので、まとめるのが非常に難しかったのですが、この文章を読むことでかなり腑に落ちました。

<パターン><メッセージ><コンテクスト>というところがまさにですね。

この本は情報科学をめぐるパイオニアたちが何を考え、どのような変遷をたどったのかについて知りたい方におすすめの一冊だと思います。

あらためて「基礎情報学」を読み直したいと思いました。また読んだら書評を書こうと思います。

夏合宿の記事はこちらです。ベイトソンについて発表しました。

教育・学習に関する古典を読みまくる! -研究室の夏合宿2011が終わった
http://www.tate-lab.net/mt/2011/10/summer2011.html

ダブル・バインドについてはこの説明などがわかりやすいように思いました。

心理学からみた教育の隠れた次元(隠れた次元とは?)
http://www.manabi.pref.aichi.jp/general/02010496/0/kouza6/section6.htm

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「話が広がりやすい自己紹介」を書くための3つのポイント

今年度は4月から半期の間、専修大学にて「リテラシー演習」という、主にレポート・ライティングの書き方に関する授業をやりました。

私にとっては初めての大学の授業だったので、やってみてたくさんの気づきがあったのですが、これまでバタバタしていてここに書くことができませんでした。

少し落ち着いてきたので、そのときに感じたことを、いまさらながら少しずつ書いていこうと思います。

今回は「話が広がりやすい自己紹介の書き方」に関するものです。

授業では、最初に私宛に「自己紹介」をメールで送るという課題を出しました。レポート・ライティングとは異なるのですが、最初の導入兼「対話を想定して書く」ということを意識する練習してやりました。

みんな、名前、趣味、出身地などを書いて僕に送ってきてくれました。

私は全員のメールを読み、返信を返したのですが、このときに「返信がしやすい自己紹介」すなわち「話が広がりやすい自己紹介」には、共通する特徴があるなと思いました。

非常に当たり前なポイントかもしれませんが、特徴は3つです。

それは

1.出来るだけ具体的に書くこと
2.なぜそうなのかの理由を書くこと
3.エピソードを添えること

の3点です。

具体的に見てましょう。

例えば「趣味」について書くとします。

趣味:スポーツ観戦

こう書かれてしまうと、ほとんどコメントしようがありません(笑)何のスポーツですか?ということになってしまい、あまり具体的なイメージがわきません。これだけだとわからないので、メールのやりとりが必要になってきますね。

より具体的に書くと、

趣味:野球観戦

くらいになるでしょうか。少しずつ明確になってきます。もちろんもっと具体的に好きな球団とかを書いてもいいでしょう。ただ、ここでも「野球観戦が好き」といわれても、「そうなんだ」となってしまいます(笑)なんでだろう?って思いますよね。

趣味:野球観戦
父が野球を見るのが好きで、それに影響されたからです。

これくらい書いてあると「なるほど、お父さんの影響か」と思ったりします。少しコメントしやすくなってきます。若干重なるのですが、エピソードも一緒に書いてあるとなおさらコメントしやすくなります。

ここまでのを全部入れつつ書くと、

趣味:野球観戦
好きな球団は「広島カープ」です。
僕は広島出身で、父が小さい頃よく球場に僕を連れて行ってくれました。
その影響で、いまでも野球が好きです。
つい先日も友達と神宮球場に野球を見に行ってきました。

みたいなかんじでしょうか。こうなってくると、だいぶコメントがしやすくなります。それに、その人のイメージがだいぶわきますよね。

これは「野球観戦」だけに当てはまるわけではありません。「料理が趣味」と書かれた場合も、

・具体的にどんな料理をつくるのが好きなのか
・なぜつくるのが好きなのか
・最近あったエピソードはなにか

という3点がおさえられていると、かなり話が拡げやすく、また、相手のイメージがすごくわきます。

見ていただければわかると思うのですが、いい自己紹介は「対話を想定して書かれたもの」といえる気がします。

・趣味は何?
・具体的には?
・どうして好きなの?
・最近どんなことをやったの?

みたいな問いの連鎖を想定した上で書かれた文章は、一度読んだだけで、なるほどと思います。

漠然とした書き方の場合は、それ自体が変ではないのですが、対話のやりとりが複数必要になるんですよね。これが自己紹介を「書くとき」と「対面で話すとき」の大きな違いといえるかもしれません。

もしなにか自己紹介を文章で書かなくてはいけないときには、少しこのあたりを注意してみるとよいかもしれません。

ということで、今回は「話が広がりやすい自己紹介」についてでした。

すでにこういうことはたくさん言われているんですかね(笑)まあ自分がやりとりしてみて気づいたポイントなので、思わず書きたくなってしまったのです。

これから少しずつまた授業で気がついた点についてブログで書いていこうと思います。

【書評】「1ランク上の自分」に取り憑かれたあなたへ -疲れすぎて眠れぬ夜のために(内田樹)

疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
内田 樹
角川書店
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神戸女学院大学の名誉教授である内田樹先生の「生き方論・幸福論」に関する本です。内田先生の本はこれまでいろいろ読みましたが、この本はたまたま書店で見つけたのでふらっと買ってみました。

この本は「ちょっとがんばりすぎちゃう人」におすすめの本のように思います。

内田先生らしいなと思うのは「気休めのやさしいことば」をかけてくれるというよりも、「あなたが前提にしているその価値観おかしくないですか?」というのをそっと問いかけてくれるような仕上がりになっているところかなと思います。哲学的な本ともいえるかもしれません。

いいなと思った部分を引用してみます。

引用(p14)————-

人間というのは、強いけれど、弱い。がんばれるけれど、がんばればその分だけ疲れる。無理して先払いしたエネルギーは、必ず後で帳尻を合わせるために回収される。この当たり前のことを分かっていない人が多すぎると思います。

疲れたら、正直「ああ、へばった」と言って、手を抜くと言うことは、生きるためにはとてもたいせつなのです。疲れるのは健全であることの徴です。病気になるのは生きている証拠です。飽きるのは活動的であることのあかしです。

でも、「1ランク上の自分」に取り憑かれた人は、身体や精神が悲鳴をあげるまで痛んでも、なかなか休みません。疲れて立ち止まると、そういう自分を責めます。

それは自分の身体に対しても、精神力に対しても、酷ですよ。

向上心は確かにある方がいい。でもありすぎてはいけない。

————-

この本の中で、内田先生は「若い人の可能性は無限であり有限である」といいます。そして、無限の可能性のために、有限であることを知りなさいといいます。

引用した部分にあるように、無理すれば体は壊れてしまうわけですね。そういう有限の世界の中に生きていることを知ることで、自分の無限の可能性を伸ばすことができるという話だと思います。

自分の周りだけかもしれませんが「ふまじめで困る」という人とはあまり会わないような気がします。それよりも「まじめすぎて休めない人」のほうがよっぽど多く会います。そんな人に読んでもらいたい本だなと思います。

いろいろな本を読んで気づいたのですが、結局充実した人生を送るためには「自分自身を大事にする」ということが共通する点かなと思います。

「自分のことが嫌い」とか「自分自身に対する大きな不全感」というのは、一見モチベーションにつながるように見えて、なにをやっても充足感が得られないようなかんじがしています。

充足感を得るためには、自分自身を好きになったり、自分の中の可能性の芽に対して、あたたかく水をやって育てる必要があるように思います。

イメージ的には「不全感のスパイラル」ではなく「充足感のスパイラル」が大事なのではないかと思っています。ちゃんと説明できているかあやしいですが僕の持っているイメージはこんなかんじです。

不全感のスパイラル

  • 他の人に比べて自分のここが足りない
  • 足りない自分が嫌い
  • 嫌いだから埋めようとがんばる
  • 埋めきれない もしくは 埋めたところで他の足りないところに気づいてしまう
  • また埋めようと努力する

充足感のスパイラル

  • なにか新しいことをやりたいと思う
  • 少しだけ上手になる
  • 上手になった自分を少し好きになる
  • 上手になったのでもう少し上手になりたいと思う
  • 上手になったので満足感をえる
  • もう少し上手になりたいと思う

ということで、僕もこういうことを意識しながら、充足感のスパイラルをまわしていきたいなと思います!

ひとりでは生きられないのも芸のうち (文春文庫)
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学会発表してきました! -日本教育工学会 第27回全国大会の感想まとめ-

少し前のことになりますが、日本教育工学会第27回全国大会(2011年9月17日(土)?19日(月)@首都大学東京)で発表をしてきました!

「ライティング・センターにおける学生の執筆プロセスに着目した指導の実践」というタイトルで発表をしました。この画像は使ったシステムのロゴマークです。レポレコといいます。

概要を以下に貼り付けておきますね。

本稿では,ライティング・センターにおける学生の執筆プロセスに着目した指導の実践について報告する.この実践の目的は,チューターによる学生の執筆プロセスに着目した指導を行うことである.

実践では「レポレコ」と呼ぶシステムを使用した.このシステムの特徴は「執筆プロセスの可視化」であり,学習者のレポートの執筆履歴を記録,再生することができる.

このシステムを使用することで,チューターは学生の執筆プロセスに着目した指導を行うことができる.また,その結果として,学生は自らの執筆プロセスについて振り返りを促すことができると考えられる.

本稿では実施した実践の概要について述べる.

発表は2日目の午前に行いました。たくさんの人に見ていただけましたし、発表後の質疑応答でも多くの質問をいただき大変ありがたかったです。

また、発表後も京都外国語大学の村上正行先生がいくつか研究に対するアドバイスをしてくださったり、その他の方からもtwitter上でもコメントや質問などをしていただき、自分の研究にとって非常に有意義な機会となりました。

この場を借りて感謝いたします。

今回の学会では、「研究室を対象にしたケーススタディワークショップ」に関する発表も行いました。

こちらは共同研究者の岡本絵莉が発表しました。

このブログでも何回か紹介したワークショップです。同じ時間帯の発表だったため、発表を見に行くことはできませんでしたが、twitter等の様子をみるといろいろ反響がありうれしかったです。

このケーススタディワークショップは、「いきいき研究室増産プロジェクト」のみなさんとコラボレーションするかたちで実施しています。

もし「ワークショップを体験したい!」という人がいましたらぜひ気軽にお問い合わせください。
→お問い合わせはこちら

今回の学会では、FacebookやTwitterの普及に伴い、いろいろ面白いことがありました。すでに色々言われていることかもしれませんが面白かったことをあらためてざっとまとめてみます。

  • 会う前に相手のことをtwitter上で知っていると、はじめて対面で会ったとしても名刺交換がスムーズ(○○さんのtwitterみてます!)
  • twitterを見てくれていて、向こうから自分に会いにきてくれる場合がある(舘野さんですよね?twitterみてます!と言ってもらえる)
  • 自分の発表に対するコメントや質問を質疑応答の時間以外にもらえた
  • 自分が見に行けないセッションで何が行われているかわかる
  • みんながいるセッション(シンポなど)でみんなが何を考えているかわかる
  • 課題研究のセッションで議論されていたことについて、後日登壇者の方とtwitter上で議論できた
  • 学会や飲み会で出会った人からFacebookのフレンド申請がくることで、ゆるやかにつながる(出会いが一過性のものでなくなる)
  • 名刺交換しても、メール送るのはハードルが高いがtwitterやFacebookでメンションやメッセージを送るのはハードルが低い

みんなが同じプラットフォームをもっていることで色々新しいことが生まれるのかなと思いました。

最後に今回発表したものの書誌情報を以下に記しておきます。

また、最近行っている研究2つについての書誌情報も書いておきました。キャリアに関するワークショップのものと、社会人向けの調査に関するものです。こちらについては後日又詳細を書ければと思います。

引き続き研究がんばっていきたいと思います!

■最近発表した研究の書誌情報

舘野泰一,大川内隆朗,平野智紀,中原淳(2011)ライティング・センターにおける学生の執筆プロセスに着目した指導の実践.日本教育工学会第27回全国大会講演論文集,pp.547
– 548 : 首都大学東京

岡本絵莉,舘野泰一,宮野公樹,可知直芳,山本祐輔(2011)研究室内コミュニケーションに関するケーススタディ教材の開発と実践.日本教育工学会第27回全国大会講演論文集,pp.537
– 538 : 首都大学東京

大磯恵子,中原淳,吉村春美,舘野泰一,重田勝介,大房潤一,大川内隆朗,高木光太郎(2011)「キャリアの風景」ワークショップ:デジタル・ストーリーテリングによるキャリアの再構成. 2011年度組織学会研究発表大会・報告要旨集,ppXXX-XXX,京都大学 2011/10/8

舘野泰一,木村充,関根雅泰,中原淳(2011)職場外の勉強会に参加する社会人に関する探索的研究.日本教育工学会研究会報告,JSET11-4:XX-XX.

|入門|ケース・メソッド学習法―世界のビジネス・スクールで採用されている
ウィリアム・エレット
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■学会のつぶやきまとめ
村上先生がまとめてくださったつぶやきまとめです。

日本教育工学会(JSET)第27回全国大会@首都大学東京 1日目 – Togetter
http://togetter.com/li/189401

日本教育工学会(JSET)第27回全国大会@首都大学東京 2日目 – Togetter
http://togetter.com/li/189822

日本教育工学会(JSET)第27回全国大会@首都大学東京 3日目 – Togetter
http://togetter.com/li/190333

教育・学習に関する古典を読みまくる! -研究室の夏合宿2011が終わった-

9/26から3日間研究室の合宿に行ってきました!合宿は中原研究室・山内研究室合同で、今年は軽井沢で行われました。

夏合宿の大きな目的は、教育・学習に関連する知の巨人たちの理論を学ぶことです。

今年はは以下の9名の学者について、大学院生が二人一組のペアになったポスター発表を行いました。

  • デューイ
  • ピアジェ
  • ヴィゴツキー
  • パパート
  • ベイトソン
  • ソーヤー
  • ウェンガー
  • セリグマン
  • バンデューラー

僕が担当したのはベイトソンです。彼は、文化人類学、サイバネティックス、精神病理、学習、コミュニケーションなどなど、さまざまな領域を渡りながら活躍した、まさに知の巨人といえるような人物です。理論としては、ダブルバインドや、学習1、2、3の話が有名ですね。エンゲストロームにも大きな影響を与えました。

発表は山内研究室の博士課程2年の池尻良平くんと一緒に行いました。ベイトソンを読み解くのは非常に難解でまとめるのに苦労しましたが、理論をわかりやすく伝えるために、ポスター、プレゼン共に工夫してまとめました。

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当日はダブルバインドや学習1,2,3の話がわかりやすいように、漫才(むしろコント形式)でプレゼンをしました。具体的には、イルカの調教師役を僕がやり、イルカ役を池尻君がやることで、ダブルバインドからそれを乗り越える様子を表現しました(笑)

合宿は勉強はもちろんのこと、遊ぶときはしっかり遊ぶことも重要です!みんなでふざけながらも、いろいろなコミュニケーションがとれたことも非常に大きかったです。

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今回取り扱った9人の学者について、発表中に感じたことはtwitterに書き込んでいました。140字以内で書かなくてはいけないので、少し乱暴かつ個人的な意見ではありますが、それを以下にも貼り付けておこうと思います。

バンデューラー:モデリングという考え方はやはり強力。どこまで自分でやる必要があり、どこまで他者から学べるのかというのは個人的にひとつポイントと思った。関連して、模倣からの学びについてあらためて勉強したいと思った。

セリグマン:人のポジティブな側面に着目したというのは面白い。もちろん、いろいろ問題や批判はあると思うけれど、大きな一つの流れを作ったし、現代的に必要な発想ではあると思う。個人的な側面からソーシャルな側面にどうつなげるかがポイントか。

ウェンガー:研究者の生き方そのものも魅力的な人。理論をベースに、デザインもしながら、さらに研究もするという生き方。研究者の新しい生き方のひとつなのかもと思う。理論としては、コミュニティの関係性に着目するという発想はやはり面白い。

ヴィゴツキー:ヴィゴツキーを理解するにはマルクスを理解することがとても重要。若いうちになくなってしまったことで理論を確立しきっていないかんじはあるけれど、それが魅力につながっているのかもしれない。解釈多様性がある人?

ソーヤー:即興やクリエイティビティなど、がナウな研究者。グループとしてのクリエイティビティを考えるのは面白い。ただキーワードが魅力的すぎる分、個人的にはもうちょい勉強しないと判断が難しい研究者でもある。一つ一つの研究内容をじっくりみたいところ。

デューイ:いまの大学教育の改革はデューイ的にみえる。経験を大事にすること、空間を大事にすること。現代的に取り入れるためにはどう解釈し、どのように成功につなげるかが大事ではないか。「体験だけ」にならない工夫を。

ベイトソン:THE学際というかんじの研究者。ノマドな男。結婚も3回しているし。世の中はダブルバインドに溢れている。葛藤を乗り越えて創発するという発想は常に危険をはらんでいる。

パパート:ワクワクする研究者。楽しくあれこれやりながら学ぼうぜ!というのをカタチにした人。道具の面白さの中心にしながらも、今後はアクティビティやコミュニティも一緒にデザインしていくことが必要になりそう。

ピアジェ:色々批判はあるけど、能動的に学ぶとか、環境との相互作用というアイデアは大きな影響を与えたと思う。感想としては発達を定式化することは有意義でありつつも、子どもの見方を規定するものであり怖さもあるなと思った。

合宿中のつぶやきや、合宿に関連する本も以下にまとめておきました。ざーっと眺めていただけるだけで雰囲気は伝わるのかなと思います。

今年も学び多き合宿でした。いろいろ取りまとめてをしてくれた中原研究室・山内研究室の修士1年のみなさんには感謝です!

■合宿中のつぶやきまとめ

1日目は、ピアジェ、パパート、デューイ、ベイトソン、ソーヤーの発表です。まとめはこちら。
http://togetter.com/li/193248

2日目は、ヴィゴツキー、ウェンガー、セリグマン、バンデューラーの発表でした。まとめはこちら。
http://togetter.com/li/193339

3日目は、「研究者としてひとまわり大きくなった経験」というテーマで山内先生・中原先生・助教の皆さんでパネルディスカッションです。
http://togetter.com/li/194159

■合宿に関連する本のまとめ

ピアジェ、パパート、デューイ、ベイトソン、ソーヤー、ヴィゴツキー、ウェンガー、セリグマン、バンデューラーに関する本のまとめです。
http://goo.gl/OZ6wI2

tate-labのコンテンツをちょこっと整理しました!

最近忙しくてあまりブログを書けていなかったのですが、ひとまずこのウェブページをちょこっと整理してみました!

具体的には「ホーム」の内容が変わっていたり、色々ごちゃごちゃしていたメニューを少し減らしたり、業績を最新のものにしたり、というかんじです。

デザインが大きく変わったわけじゃないですが、コンテンツの整理ですね。デザインもほんとうはアップデートしたいんですが。

やっていることをうまく整理して、自分を知らない人に研究内容等を理解してもらうことはとても重要ですよね。まだまだまとまっていませんが、また少しずつwebも更新していきたいと思います!

ブログ記事もいくつか書いたので今週は徐々に更新していきます。

ちなみに、今回のをきっかけに自分がアカウントをもっているWebサービスを少し整理しました!よろしければ色々見て下さい。ちなみにinstagramもtatthiyのアカウントでやっていますのでよろしければフォローしてください。

■使っているウェブサービス一覧

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twilog : http://twilog.org/tatthiy
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