月別アーカイブ: 2010年6月

個人的に気になる教育系NPO・企業をメモ的にまとめてみた

最近いろいろな人にお会いすることが多いのですが、特に教育系のNPOや企業の方に会うことが多い気がしています。

今回はせっかくなので、個人的に最近気になる団体の一部を簡単にまとめておこうと思います。

いたって個人的なまとめなので、あしからず(笑)またいろいろ追加したりしたいと思っています。

○カタリバ
http://www.katariba.net/

NPOカタリバは高校と連携し、生徒と先輩のナナメの関係によるキャリア教育プログラムを実施しています。ナナメの関係で誰かにあこがれ、行動につなげる。カタリバはそんなきっかけを作り続けます。

高校生に対して、大学生というちょっと先行く人、すなわちナナメの関係を重視したキャリア教育をしている団体でしょうか。酒井穣さんのblogにも活動が紹介されていました。

酒井穣さんのblog:カタリバという活動がある。
http://nedwlt.exblog.jp/14525261/

○道塾
http://www.dojuku.com/

ひとりの人間が、人生をしっかりと生き抜くためには、自ら学び、自ら選び、自ら決める意思の力が必要です。
受験勉強を通し、塾生にそのような力を養ってもらいたい。それこそが、「道塾」の理念です。

勉強を教えるのではなく、「学び方を教える」というのがポイントのようですね。

○PlusT
http://www.plus-t.jp/

教育現場における課題は,学習環境と理想像とのギャップにあると考えます.現在の学習者における学習環境では, マス・サービスが乱立し,また個別性が低く,自分にあった学習環境の選択は,困難を極めます.
我々は,明確な目標を達成するための理想的な学習環境の提供を目指します

こちらは「学習コーチ」というのがポイントのようですね。インストラクショナルデザインの話が紹介されています。

○わかもの科
http://www.wakamonoka.net/

「わかもの科」プロジェクトとは、大学生が高校生に様々なプログラムを提供することを通して、身の回りや社会にある様々な問題を、高校生が自分たちで考える「きっかけ」を作っていこうという活動です。

こちらも高校生を対象に、「新しい学び×市民性教育×新しいキャリア教育」という3つを対象に活動しているようです。

○ドテラ
http://www.yononaka-net.com/mypage/saikyo/03.php

学校支援本部で集めた学生ボランティア(略称「学ボラ」、学生だけではなく社会人、フリーターやニートも含まれる)が、土曜日や夏休みに希望する生徒に勉強を教える活動のこと。学校支援本部が学ボラの募集を行い、年間計画に基づき組織的に運営を行っている。

こちらは和田中の活動でしょうか。生徒にとっても、学生ボランティアにとっても意味のある場になっていそうですね。

本当にいろいろな活動がありますねえ!それぞれについて詳しく知っているわけではないので、関係者の方とお会いしたらまた詳しくいろいろ聞きたいなと思っています。

またいろいろ整理してみようかなと思います。

[書評] コミュニティを科学する! – コミュニティのグループ・ダイナミックス(杉万俊夫)

最近コミュニティについて学問的にもう一度しっかり考えたいと思い、いろいろ本を読み直しています。今回は「コミュニティのグループ・ダイナミックス」という本のご紹介です。

この本の紹介を以下に引用してみましょう。

人々とその環境の総体(集合体)が織りなす動態(動き)の中に、研究者が飛び込み当事者とスクラムを組んで現場を改善していく。それがグループ・ダイナミックスの真髄だ。

決して「心」を実体化しない。心理的問題も集合体の問題として捉える。

本書は、コミュニティの変革に取り組むグループ・ダイナミックスの実践現場に読者を招待する。自治、医療、教育、防災、家族、—-地域作りの軸は多様だ。コミュニティを見る目を豊かにする一冊。

わかったでしょうか(笑)少し難しいかもしれませんね。

本書は、「グループ・ダイナミックス」という学問的立場から、具体的な「地域のコミュニティ作り」について考えていく本です。

「グループ・ダイナミックス」ってなによ?というのを本書の説明からまとめてみると、

「グループ(集合体)」とは、一群の人々とその環境をひとまとめにした概念
「ダイナミックス」とは、動き、変化の学問

つまり、それらを足して考えると、

グループを、基本的に動いていく存在、変化していく存在として捉え、その動態を研究するのがグループ・ダイナミックスである。

ということです。

グループ・ダイナミックスには、集団力学という定訳があるが、筆者としては、集合体動学と呼びたいところである。

と筆者は述べておりました。

グループ・ダイナミックスは、従来の心理学と比較した場合、大きく2つの特徴があります。
ここは重要です。

1.内面の世界(心や頭の世界)のとらえ方

グループの現象を説明する上で、個人の心(頭の世界)から出発しない。また、グループの現象を個人の心や頭の世界に還元して説明することもしない。
→つまり、心理主義を取らず、社会構成主義的な立場から考える!

2.研究者の研究スタンス

グループ・ダイナミックスは、研究者とフィールドの当事者による協同的実践が進行してしまうことを認識するのみならず、より前向きに、当事者との協同的実践を学問的使命と考える。

こうした視点から、具体的な実践を分析していくというスタイルをとります。この本で紹介されている実践は以下になります。

1.自治:過疎地域における住民自治システムの創造
2.医療:住民主体の地域医療
3.教育:市民グループによる「学校」教育
4.防災:災害に強いコミュニティをつくる
5.家族:血縁なき「血縁関係」

前半に書かれている「グループ・ダイナミックス」に関する学問的な知見については、研究をしたい人にとってはわかりやすく書かれていると思います。ただ、初めての人にとっては、けっこう難解かもしれません。

実践に興味があるという方は、後半の具体的な例の部分を最初に読んでみるのも悪くないかなと思います。

この本を読んであらためて「社会構成主義」に関する本を読み直そうと思いました。関連する本もいろいろ紹介されているので、この本をきっかけに学び始めるのもありかなあと思います。

コミュニティのことに興味ある人にはおすすめ一冊です。

[関連する書評]

つながりから学ぶ学習論
http://www.tate-lab.net/mt/2009/04/post-91.html

デザインド・リアリティをよみますた
http://www.tate-lab.net/mt/2009/03/post-77.html



[書評]院生の僕がはじめて「課長」について考えてみた – はじめての課長の教科書(酒井穣さん)

先日酒井穣さんの「日本で最も人材を育成する会社」のテキストの書評をしたので、その流れで「はじめての課長の教科書」の書評を書きたいと思います。こちらの本の方が出版されたのは全然早いですよね。

「課長」といわれても、院生の僕にはさっぱり馴染みがないし、大丈夫かなと思っていたんですが、読んでみると「これは僕の興味関心に近い!」と思ってうれしかったです(笑)

簡単に本書について説明するならば、この本は、

「課長、すなわち、中間管理職」

に向けて書かれた本です。

「経営者向けでも」、「末端社員向け」でもありません。
また、中間管理職といっても、「部長」や「係長」向けでもありません。

これまであまり重要と思われてこなかった「中間管理職向け」の本であり、かつ、中間管理職の中でも筆者が一番重要であると考えられる「課長」に向けた本なのです。

僕的に驚きだったのですが、欧米型のマネジメント理論では、中間管理職はむしろ「いらない」ものとして捉えられているそうです。

しかし、日本はむしろこれまで「経営者」「中間管理職」「末端社員」が助けあうような三元論を基礎にしてきたということを述べており、それをベースに考えていこうと書かれています。

日本では、トップ・ダウンでもボトム・アップでもない「ミドル・アップダウン」という中間管理職のダイナミックな役割を強調する新しいコンセプトを世界に先駆けて完成していることを例に、日本型のマネジメントのあり方を考えていこうぜ!ということが指摘されています。

このように「課長」の重要性を指摘しながら、その「課長」に何が必要なのか?どのようにその力を身につけるべきなのか?について書かれたのが本書なのです。

僕は「課長の大きな役割」という部分にぐっときました。

課長は世代間で異なる価値観がぶつかる場所に位置しているポジションなのであり、そうした異なる価値観をそれぞれに理解するばかりでなく、異なる価値観の「通訳」であることが期待されています。

なるほど!たしかに、僕がこれまでいいなと思う組織には、こういう「課長的役割」にたけている人が多いなとふと思いました。

この他にも、

1.課長のところで経営情報と現場情報は交差し
2.社内の情報は課長に向かって集まり
3.課長は現場情報と経営情報をバランスよく持っている

という話もかなり腑に落ちました。

「課長の元気な企業は強い」という話が本に書かれてしましたが、これはたしかになあととても納得してしまいました。

最後に、本に紹介されている課長の8つの基本スキルを紹介したいと思います。細かくはぜひ本書を読んでほしいなと思います。

これだけみると、例えば「やっぱり部下をしからなくちゃ!」など誤解してしまう可能性もあると思いますので(笑)。叱り方にも工夫が必要です。本書には「怒るときは人前ではなく、だれもいない場所で」等、しっかりケースにわけて説明がしてありますので、ぜひ実践するときには本書を読んでからやってほしいなと思います。

1.部下を守り安心させる
2.部下をほめ方向性を明確に伝える
3.部下を叱り変化をうながす
4.現場を観察し次を予測する
5.ストレスを適度な状態に管理する
6.部下をコーチングし答えを引き出す
7.楽しく没頭できるように仕事をアレンジする
8.オフサイト・ミーティングでチームの結束を高める

僕は最近「ナナメの関係」の意味をもう一度考え直しているのですが、この本にはたくさんのヒントがありました。

自分はコミュニティを作ったりすることに興味があるのですが、そのときに目指しているスキルは、社長や経営者としてのスキルではなく、なんとなく「課長的スキル」なんじゃないかと思いました。

企業だけではなく、いろいろなコミュニティに応用できる話だと思います。
「研究室」もそうだよなと思います。

指導教員の意図を把握しながら、所属している学生のストレスの状況などを目配りしつつ、うまくどちらもの情報を行き来するようにする。

僕のいまの立ち位置は、課長に近い部分も多くあると思いますし、いろいろこれをベースに実践していきたいなと思いました。

組織運営について悩んでいる人にもおすすめの本じゃないかなと思います。

自分の組織の問題となっているのは、もしかすると「トップ」でも「ボトム」でもないかもしれません。

▼以前書いた酒井さんの本に関する書評

[書評]学べる組織になるためのノウハウたくさん! – 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (酒井穣さん)
http://www.tate-lab.net/mt/2010/06/sakai-jinzai.html



協同が生み出す成果や、成功の条件を科学する! – 「協同の知を探る」勉強会

先日、「協調学習」に関する勉強会の1回目を行いました。この勉強会は中原研究室のM2である我妻さん、福山君が中心になって開催してくれています(お疲れさまです!)

この勉強会では「協同の知を探る」という本を読んで、ディスカッションするというかたちで進められています。この本自体は、個人的には何度も読んだ本ですが、あらためて読み直してみたり、みんなとディスカッションしてみることであらたな気づきが多くありました。

この本の狙いは「コラボレーションという活動の性質やメカニズム、すなわち協同が生み出す効果や協同が成功するための条件をできるだけ科学的に議論すること」です。

私たちはともすると、なんとなくナイーブに「多様な人たちがコラボレーションすると、いいことが起きそう」という思いがちです。しかし、それが本当か?そういうことが起こりうる条件とはなんなのか?ということを様々な論文の知見を見ながら検討していく本となっています。

この本の中にも紹介されますが、「本当に協同が効果的ななんかいな!?」ということを考える上で「合議の知を求めて–グループの意思決定」という本はかなり示唆に富んでいます。

(この本は、僕が学部時代に「協調に関することがやりたい」といったら、学部時代の指導教員である鈴木宏昭先生に最初に進められた一冊でもあり、懐かしい気持ちになりました。)

この本をもとにディスカッションをしたのですが、いろいろ面白いポイントがでてきました。僕が個人的に面白いなと思った点を、箇条書き的に記しておきたいと思います。

・協調学習をすると「何が効いて」、「何に効果があるのか?」についてもう一度詳細に検討する必要がある?
→ペアの組み方、会話の内容、バックグラウンドの共有

・ゴールが「創発」なのか「意志決定」なのか「理解」なのかによっても、そのプロセスは異なるのではないか?

・協調の成果は「グループレベル」で検討すべきか、「個人レベル」で検討するべきか?

・協調学習をうまく引き起こすための方法は議論されているが、個人が協調学習をうまくいかすための協調スキルみたいなものはないのか?

・協調学習におけるフリーライダーは、本当に何もしていないのか?何をもって怠惰とするのか。実はモニター役として活躍している?

この本を読んで、「協同の知」というのは、非常に魅力的なテーマでありながら、非常に複雑な要因が絡まり合っていることもあり、なかなかちゃんとした知見をつくることは難しいということをあらためて感じました。

しかし、なんとなくですが、「いまだからこそできること」も非常に多くあるのではないかということもあらためて思いました。

この勉強会を進めていきながら、今後どういうアプローチで、どういうことを研究・実践していけばいいのかの糸口をつかめればと思っています。また勉強会の後にblogを書ければと思っています。


[書評]学べる組織になるためのノウハウたくさん! – 「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト (酒井穣さん)

本書は筆者である酒井穣さんが、フリービット株式会社において、「日本で最も人材を育成する会社」をめざすべく、実際に導入している人材育成プログラムの背景や導入のポイントをまとめた本です。

前半は、「企業の学び」に関する学術的な知見などが平易にまとめられており、お得感が高いように思います。

例えば、経験学習の話、修羅場体験が人を育てる話、動機付けの話、ダイアローグの話、熟達の話、等々、重要な知見がわかりやすい例と共に紹介されています。

後半は、実際にフリービットで実践している「人材育成プログラム」が紹介されています。

どれもユニークで面白いです。具体例に関する部分の目次を抜き出すとイメージがつくかなと思います。(太線と下線は筆者が追加)

第7章 育成プログラムの具体例

7.1 読書手当「道真公の愛」
7.2 社内ミニブログ(Yammer)
7.3 将来の自分への手紙
7.4 突撃☆お仕事インタビュー
7.5 富士山麓での幹部合宿研修
7.6 日本語のできない外国人の採用
7.7 ジグソーメソッドによるインタラクティブな学習
7.8 ケースメソッド

フリービットでは、社員が読書することを支援するために「読書手当」をだしていたり、社内ミニブログを導入して社員同士の「井戸端会議」の場所をつくっていたりと、様々な工夫をしていて面白いです。マネしたいなあという気持ちがあふれてきます(笑)

個人的に面白かったのは「突撃☆お仕事インタビュー」です。

これは社員同士でアポなしの飛び込みインタビュー(15分程度)を行う活動のようです。こうしたインタビューを行うことで、社員一人一人を理解し、仕事を上手にこなすためのニーズ調査を行うことが目的とのことでした。

実は最近、自分も似たようなことをやっていたのです(笑)。

研究室の学生に

・研究で苦労した点
・アイデアがうまれるときはいつか?
・いまどんな研究をしているか

みたいなことをインタビューして、その音声を録音・共有するというかんじです。この本のノウハウを読んで、今度はこういうこともできるかも!?みたいなアイデアが刺激されました。

学べる組織、戦える組織になるためには、いろいろな工夫が必要です。

この本を読むと「自分だったらこういうふうにしようかな?」といったアイデアの刺激を受けることができます。

前半の理論のまとめも含めて、情報がぎゅっとつまっていてお得感が高い本かなと思います。

人材育成に関連する方だけでなく、組織を運営している人におすすめの一冊だと思います。

▼ 酒井穣さんの書籍はこちら


[書評]自分の感じたことを素直に伝える技法 – 依頼と説得の心理学

「ついつい仕事を引き受けすぎてしまう」
「断るのって苦手なんだよなあ」

こんな人に今回の話はおすすめかもしれません。

今回は「依頼と説得の心理学」という本の中から「自分の気持ちを相手にきちんと伝える技術」の話を紹介したいと思います。

ちゃんと「伝える」、ちゃんと「断る」ための技法といえるかもしれません。

最近本屋で「アサーション」という言葉をよく目にするなあと思っていたんですが、このことだったのか!と個人的に納得しました(笑)アサーション等の説明を引用すると、

アサーションとは、自分と相手の権利を尊重しつつ、自分の考えていること、感じていることを相手に素直に効果的に表現することです。

この伝える技法を学ぶことをアサーション・トレーニング(平木 1993)、もしくは自己主張トレーニング(アルベルティとエモンズ 1994)というようです。

なるほど。「こういう力をちゃんと身につけようよ!」という流れがあるのかもしれませんね。

アサーション・トレーニングには以下のプロセスがあるようです。本書で書いてあることをまとめつつ紹介してみます。

a.自己主張に関する考え方の大切さを知ること
・自分に関することは自分で決断したり、責任を持てることを知る
・相手にもその権利があることを知る

b.自己主張できなくなってしまうような思考の習慣を断ち切る努力をすること
・こんなこと言ったら嫌われる(恥をかく)のではないか
・主張してうまくいかなかったら、どうしよう
・今さら訓練しても、自分を変えることはできない

c.主張を話すときに、個人的なルールを作ってそれを守ること
・自分から人に働きかけよう
・自分を大切にするために、主張しよう
・自分がどう感じているかを相手に伝えよう(I(わたし)メッセージ)

d.主張するためのスキルを学び、練習し、実践すること
・相手に主張(依頼)する価値があるかを判断します(利益とコスト)
・自分がどう感じてるのか、なぜそう感じているのか、どうしてほしいのかを相手に伝えます。また、依頼事項は肯定的に具体的に述べます。そのためにはどのような言葉や表現を用いて相手に伝えたらよいかを考えます。
・非言語的コミュニケーション(相手との距離、視線、手の動き、顔の表情、声の大きさや話す速さなど)を効果的に使います。
・相手の反応に注意し、相手の考えや気持ちを言葉や表情から読み取ります。そして、次にどのようなことを言えばよいのかを考えます。

こうしたスキルは「自分が何かを依頼するとき」だけではなく「何かを断るとき」にも多く使えるようです。

「ついつい仕事を引き受けすぎてしまう」とか、「断るのって苦手なんだよなあ」と思っている人には、参考になることが多いかと思います。

なかなか自分の思っていることを言い出せずにストレスをためすぎてしまうという人も多いかと思います。

ちゃんと思いを伝えるということは、別に「持ってうまれた性格だけ」ではないんですね。技術として習得可能なもののようです。

こういう力を身につけておくとハッピーに生きられるかも!?


[書評]「ムダな固定費ワースト10」にびびらされた- 年収200万円からの貯金生活宣言

最近、朝早く起きたり、ジムに行ったりとなんとなく健康的な生活をしているんですが、この勢いでお金の管理もちゃんとやろうかなと思い、読んだ一冊です(笑)

本書は、「貯金をする習慣をどのようにつけるのか?」について書かれた本なのですが、「無理矢理お金をためる!」みたいなことを推奨はしておらず、楽しくかつ効率的な方法を紹介してくれているように思います。

合理的な考えなんだけど、変にケチくさくないというかんじでしょうか(笑)
僕としては好感が持てる本でした。

本書を読んでいきなりドキッとさせられたのが以下の項目です。

ムダな固定費ワースト10

1.ムダな会話やメールのもととなる携帯電話代
2.意味のない飲み会の交際費
3.ぜいたくなまでの食費
4.保証内容も知らない高額な生命保険料
5.不健康のもととなるタバコ・お酒などの嗜好品
6.近所をうろつくための車のローン・ガソリン代
7.意味のない飲み会の帰りのタクシー代
8.毎日の高カロリーな外食ランチ
9.自分の口座なのにおろすたびに引かれるATM手数料
10.惰性で買う雑誌やマンガ

うひー!!いくつかあてはまってますけども・・・。

このように本書の中では、具体的にさまざまな貯金をする方法が紹介されます。

僕が「なるほどー!」と思ったのは、自分が使っているお金を「消費」「浪費」「投資」の3つで分けて考えましょうという話でした。簡単にまとめつつ紹介しましょう。

「消費」
・生活するために必要なもの
・使用量としての支払い全般
・生産性をさほど伴わないもの

例:食料や住居費、水道光熱費、教育費、被服費、交通費など

「浪費」
・生活に必要ないもの
・今をひたすら楽しむためのもの
・無意味な使い方のこと
→無駄遣い系

例:嗜好品(タバコやお酒、コーヒー)、程度を越えた買い物やギャンブル、固定化された高い金利など

「投資」
・必ずしも生活に不可欠ではないけど、将来の自分にとって有効なお金の使い方
・投資信託や資産運用のことだけではない
・本を読むとか、何かを学ぶことも含む

例:習い事、本代など学ぶための費用、投資信託、貯蓄など。

この3つの枠組みで自分のお金を整理して、その「割合」を見ることが大事とのことでした。具体的には「自分への投資を25パーセント以上にすること」を目標にしてみましょうと書かれていました。

「貯金」というと、どうも味気ないイメージがあるかもしれませんが、本書は楽しく、かつ効率的に「貯金する方法」を説明してくれているような気がします。

最近ムダ使いが多いのだけど、お金をためたい!という方などにはおすすめの一冊です。

ちなみに、私は最近iPhoneの「支出管理」というアプリを使って、支出をチェックしています。このアプリはなかなか使いやすく、楽しくお金を管理することができるのでおすすめですよ。

iPhone:支出管理
http://shibuym.blogspot.com/2009/11/iphone_24.html

この本の著者の関連書籍です。


[書評]イノベーションの技法がちりばめられた教育プログラム!-東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた

「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」を読みました!なかなかすごいネーミングの本ですね(笑)

本書は、東京大学の全学組織である「知の構造化」センターが実施する、「i.school」という教育プログラムの実践をまとめたものとなっています。この教育プログラムは、全ての部局に所属する学生が参加することができるようで、主に大学院生が中心ですが、学部生も一部参加しているそうです。

以下の部分が面白いなと思いました。この方がたしかに意欲ある人が集まりそうですね。

単位は与えませんし、修了証や学位も出しません。ワークショップに参加することによって自分自身の価値を高めることが学生にとってのインセンティブです。

実際にどんなかんじで進むかについても、本書を引用してみましょう。

i.schoolの教育プログラムは、20-30名の参加者を対象としたワークショップから構成されます。年間に6回程度のワークショップを開催しますが、夏休みなどに行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度に行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度の期間に開催するワークショップがあります。

僕はi.schoolの存在は知っていたのですが参加したことはなかったので内容は興味津々でした。中身をみてみると、イノベーションを生み出す技法について実践をもとにかなりわかりやすく説明されているなという印象をうけました。

この本では、その技法を「あつめる」「ひきだす」「つくってみる」という3つの大きなプロセスで説明しています。

ざっくりですがそれぞれ箇条書きとして紹介します。目次的なかんじですが、エッセンスは全てここにつまっている気がします。

<あつめる>
・観察(フィールドワーク風)
・インタビュー(半構造化インタビュー)
・ケーススタディのための資料
・未来を洞察する材料を準備
・未来の「兆し」を集める
・思いつくものを持ち寄る

<ひきだす>
いくぶん抽象的で、地味な活動。

過去の例をひも解いてみても、「あつめる」から一足飛びに「つくってみる」に到達するイノベーション、つまり、特定の事実(の発見)に直接対応したアイデアが、画期的なイノベーションに結びつくパータンはそう多くない。

すなわち、「あつめる」で得られた情報を十分に吟味し、思考を深め、これまで考えもつかなった視点を見いだし、たくさんのアイデアの種を「つくってみる」に引き渡すまでが、このステップの守備範囲になる。

インテグレーティブ・シンキングの観点
1.要素を抽出する
2.要素どうしの関係性を分析する
3.検討する
4.決定する

・経験の共有
・コレスポンデンス分析
・ブレインストーミング
・シンセシス(統合)
・インパクト・ダイナミクス(強制発想)
・ケーススタディ(事例研究)をする

<つくってみる>

IDEOの標語のひとつに「手で考える」というのがある。つまり、つくりながら考えるということだ。

・絵にする
・身近な材料で作る
・シナリオをつくる
・寸劇(スキット)を演じる
・事業計画書を書く

本書の中では、それぞれの方法を「具体的に」、「実施できるようなカタチで」、紹介しています。実際の授業の様子と共に紹介されるので「抽象的な技法だけ教えられた」というかんじがせず、「試してみよう」という気になるかんじがしました。

自分も参加したくなってしまいましたね(笑)

ワークショップ的な場に興味がある方や、クリエイティブなものを生み出す技法に興味がある方にはおすすめの一冊です。

○関連する書評

[書評]「失敗も学習のプロセスの一環」と思えるか!? – 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義
http://www.tate-lab.net/mt/2010/06/—20.html

[書評]許可はあとからもらえ!クリエイティブを支える文化とは – デザイン思考が世界を変えるhttp://www.tate-lab.net/mt/2010/05/ideo3.html

[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)
http://www.tate-lab.net/mt/2010/05/-ideo.html


[書評]メディアを駆使して生きること – 電子書籍の衝撃

遅ればせながら「電子書籍の衝撃」を読みました!出版業界のことについて僕は詳しくはありませんが、ヒトコトいえば僕らみたいな業界の人は「必ず読んでおくことが前提の本」なのかなと思いました。

出版業界がどのようになるのかということもありますが、僕らの場合は「こうした状況でどう生きるのか」を考える上でも重要な本だと思います。

この本のメインの話とはズレますが「これからのジャーナリストに必要なスキル」として挙げられていた以下の項目が僕にはかなりびびっときました。(太字と下線は筆者が追加)

1.的確なタイミングで的確な内容のコンテンツを的確なスキルを駆使し、多様なメディアから情報を発信する能力
2.多くのファンたちと会話を交わし、そのコミュニティを運用できる能力
3.自分の専門分野の中から優良なコンテンツを探してきて、他の人にも分け与えることのできる選択眼
4.リンクでお互いがつながっているウェブの世界の中で自分の声で情報を発信し、参加できる力
5.一緒に仕事をしている仲間たちや他の専門家、そして自分のコンテンツを愛してくれるファンたちと協調していく能力

これはジャーナリストにだけ求められる力ではないと思います。

これから大きな時代の変化が予感されるだけに、「どのように自分はその変化に対応するか」ということをなんとなく考えてしまう本でした。

必読な一冊ですね。

[書評]「失敗も学習のプロセスの一環」と思えるか!? – 20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

「20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義」を読みました!かなり売れているみたいなので、すでに読んでいる方も多いかもしれませんね。

著者が、この本を書こうと思った一番最初のきっかけは、息子であるジョシュくんが16歳になったときに、「自分が社会にでたときに知っていれば良かったと思うこと」を伝えたいと思ったからだそうです。

素敵なはじまりですね。

筆者が「この本を通して伝えたかったこと」として、まとまっている部分を紹介しましょう。

この本の物語で伝えたかったのは、快適な場所から離れ、失敗することをいとわず、不可能なことなどないと呑んでかかり、輝くためにあらゆるチャンスを活かすようにすれば、限りない可能性が広がる、ということでした。

もちろん、こうした行動は、人生に混乱をもたらし、不安定にするものです。でも、それと同時に、自分では想像もできなかった場所に連れて行ってくれ、問題がじつはチャンスなのだと気づけるレンズを与えてくれます。何よりも、問題は解決できるのだという自信を与えてくれます。

まとめてしまえば、当たり前のように聞こえるかもしれません。

しかし、この本は、それぞれの重要な要素について1つずつ、丁寧に、説得的に、物語として読ませてくれます。

読んでいると「キタ!」と思う部分がかなりあって、それらの全部を紹介することは難しいです。

今回は何を紹介しようか迷いましたが、「失敗」に関する部分について紹介しましょう。筆者の父の言葉が僕にはささりました。(太線は僕が追加)

父は人生を振り返って、いちばん大切な教えをこう考えているそうです。

「自分に対しては真面目すぎず、他人に対しては厳しすぎないこと」。

自分や他人の間違いにもっと寛容で、失敗も学習プロセスの一環だと思えればよかった、と。いまの父ならわかるのです。過ちを犯しても、大地が揺らぐことなど滅多にないのだと。

(中略)

人生に起きることのほとんど、とくに失敗は、そのときの自分が思っていたほどたいしたことではない-この点を何度も思い知ることになったと言います。

この部分はすごくいいなと思いました。

最近この手の本を読んでいて共通するなと思うのは、「失敗をどう捉えるか?」ということが、クリエイティブな仕事をする上でものすごく重要であるということです。

こちらも言われてみれば当たり前かもしれませんが、どれだけこう言われても「失敗すること」は怖いことではないかと思います。なかなか発想をかえることはできない。

しかし、著者の話す具体的な物語を読むことで、「自分にもできるかも」と思えるきっかけをもらえるのではないかなと思います。

この本は10章からなっており、それぞれの章で1つずつメッセージが込められています。章のメッセージだけ見てもかなり刺激されるんじゃないかと思います。

第1章 スタンフォードの学生売ります
自分の殻を破ろう

第2章 常識破りのサーカス
みんなの悩みをチャンスに変えろ

第3章 ビキニを着るか、さもなくば死か
ルールは破られるためにある

第4章 財布を取り出してください
機が熟すことなどない

第5章 シリコンバレーの強さの秘密
早く、何度も失敗せよ

第 6章 絶対いやだ! 工学なんて女がするもんだ
無用なキャリア・アドバイス

第7章 レモネードがヘリコプターに化ける
幸運は自分で呼び込むもの

第8章 矢の周りに的を描く
自己流から脱け出そう

第9章 これ、試験に出ますか?
及第点ではなく最高を目指せ

第10章 実験的な作品
新しい目で世界を見つめてみよう

新しいことにチャレンジしたい!と思っている方や、この目次をみて「ビビッ!」とくるものを感じた人にはかなりオススメの一冊だと思います!

▼最近書いた書評

最近はなんかこの手の本をたくさん紹介していますね(笑)。次回は「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」でも紹介しようかなと思います。

[書評]許可はあとからもらえ!クリエイティブを支える文化とは – デザイン思考が世界を変える
http://www.tate-lab.net/mt/2010/05/ideo3.html

[書評]よりよいブレストをする秘訣を復習してみる 発想する会社!世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法(トム・ケリー他)
http://www.tate-lab.net/mt/2010/05/-ideo.html