若手社員の早期離職は、少しずつ大きな問題となってきています。私も研究として「教育機関から社会へのトランジション」を取り扱っていることから、この問題についてどのようにアプローチしたらよいのかと相談されることが増えてきました。

具体的には「若手社員にどんな研修をしたらよいのか?」など聞かれるのですが、このときになかなか困るなという思いがあります。

というのも、もちろん若手社員に対する研修も大事であるものの、実際の問題が「若手社員にあるのか」疑問に思うことも多いからです。

「若手社員に対する研修で何とかする」という方法は、前提として「若手社員の個人的な何かが足りていないから辞める」という想定を置いていると思います。もちろん、そういう部分がゼロではありませんし、何らかのアプローチをすることはできると思います。

しかし、そこにばかり注目していると、真の問題はどこにあるのかを見誤る可能性もあるだろうなと思っています。

早期離職の問題を若手社員の意識の問題だけに回収せずに、自分の組織が向かうべき方向を考えるきっかけにできるところは強いなと感じます。

研修もそのプログラム内の学習効果だけをみるのではなく、研修を通して組織を巻き込むなどができればさらに大きな効果を発揮するだろうと思います。

ただ、なかなかそこまでやれているところは少ないのかなと感じています。

今日は若手社員の離職について考えました。

若手社員向けのよい研修というのも大事だなと思いますし、効果はあるとは思うものの、そこにばかり注目してしまうと、真の問題を見落とすことになりかねないというのが今回の記事で書きたかったことです。

若手社員にとっても、会社にとってもハッピーなかたちについて考えていきたいですね。

「教育機関から社会へのトランジション」については以下の書籍で詳細を書いているので、こちらもよろしければご覧下さいませ。

 

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