最近の大学生をみていると、自分たちの時代と比べ、非常に多くの「成長につながる経験」をしていると感じます。企業や地域と連携した授業や、留学、インターン、ゼミなど本当に経験の種類はさまざまです。
しかし、それだけ色々な体験をしている一方で、本人たちが「成長の実感」を得ているかというと、思ったよりもそうでもないような気がしています。
話を聞いていると、すごく貴重な体験もしているし、おそらく「成長」はしていると思うのです。でも、「実感」がないんですね。なので、いろんな経験をしているわりに、自分に自信がなかったり、これでいいのかと思っていたりする学生が多いなという印象です。
考えてみると、「実際に成長しているかどうか」と「自分が成長していると感じられるか」は同じタイミングとは限りません。実力があがっていたとしても、それを試してみて「ああ、やっぱり実力がついているかも」と思える瞬間が訪れないとそれがわからないわけですよね。
このタイムラグの部分は実はけっこう重要なポイントなのではないかと思います。
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成長の実感を感じるためには何が必要になるのでしょうか。
それはまずは「似たような状況で、より成果がでる」ということが一番わかりやすいでしょう。前は似たようなことをやってもだめだったのに、いまはこういうふうにできるという経験があれば、「なるほど、自分は成長した」と実感できるかもしれません。
ただ、もしそれができていたとしても、自分が「気づいていない」という状態であれば、これまた実感につながりませんよね。客観的に見たら「前より明らかにできるようになっている」としても、本人がそれに気づいておらず、言われてみればそうだった」というかんじでは、言われるまでは成長した実感を得られていないということになります。
つまり実感を得るためには「できている自分に気がつく」ことが必要になるということです。これには自分だけでなく、他者の力をかりることも必要になってくると思います。なかなか自分ではわからないものかもしれません。
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と、ここまで書いてみて、あらためてなぜ成長実感は必要なんでしょうかね。「実感がなくても成長していればいいじゃないか」という反論も考えられそうです。
でも、これは直感的に「それではまずい」という感覚があります。まだうまく説明できないのですが。
おそらくそれは、本来成長しているはずなのに、「色々がんばったけど自分は何も得られていない」という物語を生きてしまうからなのではないかと思っています。
本当は「成長のストーリー」をもとに、次の挑戦に向かっていければいいのでしょうけれども、「色々やったけれど何も得られていないかも」という「迷いのストーリー」に向かっていってしまうと、せっかくの体験が、自分をしなやかに成長させる方向に向かず、変に自分を縛ってしまうのではないかと感じるからです。
そしてそれを抜け出るためには「自分のなかでの成長のストーリー」を「自分なりにつくれること」が必要なのかなと思います。
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今回は「成長実感」について書きました。
実はこのテーマは、数年前から実施している「ゼミレンジャー」というイベントでずっと考えていることでもあります。
【過去記事】経験を棚卸しして、ネットワーク化することの意義とは?:ゼミレンジャー2015を実施しました
https://www.tate-lab.net/mt/2016/01/1497.html
このイベントは2014年からはじめて、もう4年くらいやっているかんじですかね。
次で5年目になるので、いま実践女子大の松下先生と、このイベントを柱にした書籍を執筆するプロジェクトをおこなっています。
書籍のなかでも「大学生の学び」について、ワークショップや場作りとからめて、いわゆる大学教育の話とはちょっと違った角度から、いろんなことを書けるといいなとおもっています(まだ出版社は決まっていないので、あわせて探し中です!)。
考えてみれば、これがまさに自分にとって「このイベントから何を得たのかを実感する作業」なのかもしれませんね笑
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