明日から私が所属している日本教育工学会の全国大会が金城学院大学で開かれます!数日前まで研究室の合宿で群馬にいたと思ったら、すぐに名古屋で大忙しです!いま名古屋へ向かう新幹線の中でこの記事を書いています。

今年の学会では、僕が関わっている研究の発表が3つあります。今回は自分の整理も兼ねてそれぞれご紹介です!

■レポートライティングに関する研究

1つ目は、メインでやっているレポートライティングの支援に関するものです。今回は新しいシステムを開発したので、そのお披露目となります。3日目(9/20)のポスター発表です。

今回のシステムでは、学習者の「執筆過程に対する振り返り」を支援のポイントとしています。「自分はどのように文章を書いているのか」というのは意外に無自覚だったりすると思います。その部分を振り返ることで、書くスキルを育成できないかと考えています。

開発したシステムの名前は「レポレコ」です。レポートライティングの執筆過程を記録・再生することができます。システムの開発には早稲田大学の大川内隆朗さん、デザインには平野智紀さんにご協力いただいています。

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今回はポスター発表なので、実際にシステムを触っていただこうと思っています。興味のある方はぜひご参加下さい!

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■大学研究室の運営・教育に関するワークショップ

2つ目は、大学研究室の運営に関するワークショップです。以前からこのblogでも紹介していますが、大学での研究室運営を考えるためのケーススタディを開発を行っています。今回はそのワークショップをベースに「研究室教育・運営」などを考えていきたいと思っています。時間は1時間半なので、ワークショップは短縮版を予定しています。

こちらのプロジェクトは、いきいき研究室増産プロジェクトのみなさんとともに進めています。特に山内研究室の卒業生である岡本絵莉さんが中心となり、開発・準備を進めています。

学会のワークショップは事前に参加人数がわからないのでけっこう不安です(笑)ただ、ワークショップの準備はしっかり進めておりますので、興味のある方はぜひご参加下さい!

以前行った実践の様子はこちら↓

【ワークショップ】「研究がうまくいかないのはだれのせい?」を実施した!
https://www.tate-lab.net/mt/2010/09/post-188.html

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■大学の初任者教員を対象にしたFDに関する研究

3つ目は、大学の初任者教員を対象にしたFDに関する研究についてです。こちらは課題発表ですね。この研究は、東京大学の重田勝介先生らとともに進めています。

この研究では,初任者教員同士の「語り」を促すことで、初任者教員特有の不安感を低減することを目的としています。実践ではビデオチャットを行うのですが、そこで使用するシステムには、ナラティブセラピーの考え方を踏まえた工夫がなされています。

今回の発表では、その実践の説明と、どのような結果が出たのかのということについて少しご紹介する予定です。

こちらも興味のある方はぜひ!

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ナラティヴ・アプローチ
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5 ナラティヴの整理と応用

こうやってあらためて書いてみると、僕は「大学」というフィールドの中で、いろいろなことをしているんですね(笑)気づきませんでした。

もう一つ気づいたこととして、どの研究も人の縁からスタートしているなあとしみじみ思います。自分の研究室の先輩・同期・後輩などと、一緒にコラボレーションして、様々な研究プロジェクトを行えることは幸せなことですね。

もちろん、これは単純に「出会ったから」というだけでできたのでありません。お互いに最初は研究になるかどうかわからなくても、「こんなことが面白いと思う」、「こういうのはよくないと思う」という対話を繰り返したり、いろいろ手を動かしていくことで、形になっていったのかなと思います。こうして一からなにかを作っていったメンバーとは、「阿吽の呼吸」で仕事ができるので楽ですし、とても楽しいです。ワークショップ部の活動もまさにそうかなと思います。忙しいとなかなか目の前のことでいっぱいいっぱいになりがちですが、そういう気持ちを忘れずにしたいものですね。

ということで、明日からの学会がんばっていきたいと思いますので、なにかアンテナにひっかかるものがあれば、ぜひ発表など聞きにきてください!

一応以下に発表を日程順に並べておきました!

1.大学研究室の運営に関するケーススタディ(ワークショップ)

9月18日(土)18:00〜19:30   会場:205
W10 研究・教育の実践の場としての大学研究室を考える
岡本絵莉(東京大学医科学研究所),宮野公樹(京都大学産学連携本部),
可知直芳(特定非営利活動法人KGC),山本祐輔(京都大学大学院情報学研究科),
舘野泰一(東京大学大学院学際情報学府)

2.レポートライティングの支援に関するシステムについて発表(ポスター発表)

9月20日(月)9:30〜10:30   会場:403〜405
P3a-405-19
アカデミックライティングにおける書くプロセスの内省を促すシステムの開発
◎舘野 泰一 [東京大学], 大川内 隆朗 [早稲田大学], 中原 淳 [東京大学]

3.大学の初任者教員を対象にした対話システムを使った実践について発表(課題発表)

9月20日(月)14:00〜16:30   会場:508
高等教育・FDにおける教育工学の役割

K7-508-02
高等教育初任者教員の不安を緩和する対話システムを用いた実践と評価
◎重田 勝介 [東京大学], 大川内 隆朗 [早稲田大学], 舘野 泰一 [東京大学], 福山 佑樹 [東京大学], 香川 順子 [徳島大学], 田中 さやか [徳島大学], 加藤 雅則 [アクション・デザイン], 上田 純子 [心理カウンセラー/コーチ]