とうとう書評再開です。今回ご紹介するのは「専門家の知恵」です。ドナルド・ショーンの著作を、佐藤学先生と秋田喜代美先生が訳した本ですね。

誤解を恐れずにいえば、ショーンは「次世代の専門家とはいかなるものか?」ということをこの本の中で書きました。プロフェッショナルにとっては厳しい時期に、なにが厳しくなっているのか、いまの専門家像以外になにがありうるのか。こうした点を指摘したといっていいでしょう。

専門家の知恵―反省的実践家は行為しながら考える
ドナルド ショーン
ゆみる出版
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3 理論好きな人に

ショーンの考え方は、教師教育の世界に多大な影響を与えました。教師の専門性を担保する理論になったわけですね。

しかし、あらためて現代の専門家を考えてみると、ショーンが指摘した「反省的実践家」的にふるまう仕事は、様々な分野に広がってしまっています。もはや専門家以外の人も、アタリマエのようにそれをすることが求められている時代といえるかもしれません。

こうした時代の中で、ショーンの理論はどのような意味があるのか、また、教師の専門性はいかなる部分で担保されるのか等、非常に重要な問いを投げかけてくれる本です。

「専門家の知恵」は原著の一部しか訳していないので、全訳版もでています。また教師教育の文脈でこれをみてみるのも面白いかなと思います。

省察的実践とは何か―プロフェッショナルの行為と思考
ドナルド・A. ショーン
鳳書房
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教育方法学 (岩波テキストブックス)
佐藤 学
岩波書店
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1 専門家としての教師
1 「教育方法学」
5 狭い「方法」の学にとどまらない
4 周辺領域も網羅
3 教育学の理念が勉強できる