月別アーカイブ: 2009年11月

書くことに関する「学習パターン」

私がメインで行っている現在の研究テーマは「大学生のレポートライティングを支援すること」です。言ってみれば「文章を書くこと」を研究しているわけですが、まあ書くっていうのは難しいですよね。私も得意かといわれれば、そうではないです。

「キミ、アカデミックライティングの研究しているんだよね??」

と何度言われたことか・・・(笑)しかしまあ、それをびびっていてもしょうがないので、何度も書いて、添削してもらって、また書いてを繰り返すしかないですよね。

これから少しずつ、このテーマに関してもblogで書いていければと思います。

今日はひとまず最初ということで、いろいろ書くというよりも、私の好きなサイトの紹介+簡単なまとめの記事です。

みなさんは「学習パターン(Learning Patterns)」というサイトをご存じですか?
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/project.html

学習パターンは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の「学習パターン・プロジェクト」によって作成されました。 このプロジェクトは、2008年春にカリキュラム委員会の呼びかけに集まった有志の学生メンバーで構成されています。
学習パターン・プロジェクトのミッションは、かなり自由度が高いSFCカリキュラム(未来創造カリキュラム)のもとで、学生が自分自身の学びをデザインしながら学ぶことを支援することです。 学びのデザインのコツをマニュアル化せずに伝えるために、「パターン・ランゲージ」の記述方法をとることにしました。これにより、学生自身が考えるチャンスを奪うことなく、しかも多様な状況に対応することができるようになると考えました

非常に面白い試みですよね。今日はその中で、私が好きで、かつ、ライティングを支援するときにポイントになるものを下記にまとめておこうと思います。

・アウトプットから始まる学び
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/LearningPattern_No13.html

(舘野コメント)文章を書くということは一種のアウトプットですよね。書くことを目的とすることで、質の高いインプットを行う、という循環を作ることはとても大事ですよね。

・右脳と左脳のスイッチ
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/LearningPattern_No22.html

(舘野コメント)レポートライティングは「論理的に書くこと」が大事と言われますが、全て「論理だけ」で進めるわけではないですよね。スイッチの切り替えという表現が面白いです。

・「書き上げた」は道半ば
http://learningpatterns.sfc.keio.ac.jp/LearningPattern_No35.html

(舘野コメント)これはまさにその通りというかんじでしょうか。書き上げただけでは、完成とはいえません。ここで必要なのが他者の目ですよね。私は主に「協調学習」を取り入れたレポートライティングの支援を考えているので、このあたりは参考になります。

現在この学習パターンはTwitterのアカウントもありまして、時々この内容を配信してくれます。これがまた悩んでいることにヒットすることをつぶやいてくれたりして助かるんですよね。俺の状況を知ってつぶやいているのかとすら思うときがあります(笑)

学習パターン on Twitter

http://twitter.com/LPattern

ということで、今回はまとまりがないですが「これから研究のことについて書くぞ!」という宣言と、学習パターンのサイトの紹介でした。

▼書くことに関して書いた以前の記事と本

論文の教室(戸田山和久)
http://www.tate-lab.net/mt/2008/11/–.html

大学における書く力考える力―認知心理学の知見をもとに
http://www.tate-lab.net/mt/2009/02/post-65.html

論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス)
戸田山 和久
日本放送出版協会
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おすすめ度の平均: 4.5

5 学生が見えているんだなぁ
2 不要な要素を多分に含む。
4 これはマックファンが書いた論文執筆指南書だ!
5 レポートの書き方がわからないという方に
5 論文の書き方を概観するには良い

大学における書く力考える力―認知心理学の知見をもとに
井下 千以子
東信堂
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野村監督に学ぶ、指導者としての観察眼と心意気

先日ヴィレッジヴァンガードに立ち寄ったときに、たまたま見つけてこの本を買いました。元楽天監督の、野村克也さんの本です。

野村再生工場 ――叱り方、褒め方、教え方 (角川oneテーマ21 A 86)
野村 克也
角川グループパブリッシング
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おすすめ度の平均: 4.5

3 生き残るには
5 監督という職業論
4 一冊でいいかも
4 指導者として選手にどう接するべきなのかがわかります
5 知将の情熱

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はけっこう野村監督が好きで、「野村再生工場」とよばれる、他の球団で活躍できなかった選手をもう一度復活させるという話にとても興味をもっていました。僕が個人的に小学校・中学校と野球をやっていたことも関係しているかもしれません。

この本の中でぐっときたのは以下の部分でした。これは、自分自身が教育や学習に関わるということもあり、頭のどこかにおいていきたい言葉だなと思います。やや長いですが、本文から引用します。

長年プロ野球界で生きてきた私は、まだ可能性が残っているのに年齢や故障のために引退に追い込まれた選手や、指導者が長所に気づいてやれないために志し半ばで野球界を去っていった選手を何人も見てきた。そして、そのたびに残念に思うと同時に、憤りを禁じ得なかった。「どうしてこの選手のよさに気づいてやれないのか」と。
力があるのに引退せざるをえなかった選手は、指導者の怠慢の犠牲者だといっていい。そんな指導者は、失格の烙印を押されてかまわない。指導者の能力如何で、その判断ひとつで、選手の人生は大きく変わってしまう可能性がある。
しかも、ほとんどの場合、マイナスの方向に変わってしまう。とすれば、指導者はとてつもない大きな責任を負っていることを認識しなければならない。
そして、選手たちの隠れた才能や長所を発見し、引き出し、チャンスを与え、それを活かす方法を教えてやらなければならない。それは指導者の使命である。
だから私は、この選手の長所はどこなのか、どこを直せば伸びていくのか、先入観や固定観念を排して徹底的に選手を観察する。

これは野球でなくとも共通する部分があるかなと思います。「教育」に関わるということは、常にマイナスの方向に変えてしまう危険性も持っています。もちろん、それを恐れてなにもできなくなっては意味がないのですが、その怖さを認識しながらも、常に「その人を見る」「観察し、その力を生かすのだ」というメッセージは非常に心に残りました。

別の部分でも、野村監督は結果ではなく、プロセスを重視するという話も面白かったです。例えば、「三振したら怒る」ということは絶対にやらないらしいです。怒るかどうかは「どういう内容で三振したか」が重要ということです。なにも考えずにただ振っているだけなら、当然怒りますし、セオリーを考えた上で読みが外れたという三振ならなにも怒ることはしないようです。

このあたりは「やればできるの研究」という以前紹介した本の内容に近いかもと思いました。

書評:「やればできる!」の研究

http://www.tate-lab.net/mt/2009/02/post-63.html

野村再生工場の大きなキモになっているのは、そうしたプロセス重視と、もう一点は、意識改革なのかなとも思います。もちろん、「新しい球種を覚えなさい」ということもやるそうなのですが、選手が自分に自信を持ったり、自分の可能性を限定してしまったりしないようにすることを一番に心がけているように見えました。

もちろん、野村監督は野球についての話をしているし、野村監督なりの教育論なわけですが、なかなか勉強になる部分があるなあと思います。少年野球とかも、ある意味でそういう発想があるといいのになと思います。

以前、桑田真澄さんが少年野球のコーチ達に向けて書いたblog記事が話題になりましたが、それを少し思い出しました。

桑田真澄オフィシャルブログ:気が付く

http://kuwata-masumi.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-ea9b.html

この記事はかなりいいなと思いました。

ということで、本日は野球のお話しでした。

▽余談

これを書いていて思ったのですが、僕はスポーツ選手とかの新書をけっこう読んでいるのだなと思いました(笑)先日読んだのは、サッカーの遠藤保仁さんの新書でしたし、中村俊輔の本とかも読んでたりします。なんか楽しくて、気分転換になるのですよね−。

自然体‾自分のサッカーを貫けば、道は開ける (小学館101新書 22)
遠藤 保仁
小学館
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おすすめ度の平均: 4.0

5 付き添いの妻が学ぶ!
4 自然体=客観性
4 遠藤ファン向け
5 あっという間に、読めました。
5 仕事に悩んでる人に読んでほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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人気職業の熟達を描いたマンガは面白い

日曜日なのでマンガの話でも。人気職業と書きましたが、外からわかりやすい、見えやすい職業ともいえるかしれませんね。

最近、最新刊が出たマンガで、僕が読んでいるものに「べしゃり暮らし」「BAKUMAN。」があります。

べしゃり暮らしは、「お笑い芸人」になるプロセスを描いたマンガで、ルーキーズやろくでなしブルースの森田まさのりさんのマンガです。最新刊は9巻かな。

べしゃり暮らし 1 (ヤングジャンプコミックス)
森田 まさのり
集英社
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5 さすが森田まさのりと言える面白さ
3 さすがと言うべき、でも・・・
5 爆笑!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

BAKUMAN。は、「ジャンプに連載する漫画家」になるプロセスを描いたマンガで、DEATH NOTEの大場つぐみさんと、小畑健さんのマンガです。

バクマン。 5 (ジャンプコミックス)
大場 つぐみ
集英社 (2009-11-04)
おすすめ度の平均: 4.5

5 熱血マンガの様相だが
5 いよいよ本格的になってきた
4 おもしろいけど、肯定できない違和感も持った5巻
5 おもしろい!
4 どこまでほんと?

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらにも共通するのは、語弊があるかもしれませんが「これまでにない新しいモノを作ることが目的の職業」であること、そして、それになるために「ペア・コンビ」で成長していくこと、が挙げられるかなと思います。(BAKUMAN。では、ストーリーを考える人と、絵を描く人のコンビでマンガになる話なので)

なんとなくそれっぽい表現にすると、不良定義問題に対して、コラボレーションを通じて、問題解決、さらには新しいモノを生み出せるように成長していくプロセスを描いたマンガといえるかもしれません。それっぽいですね(笑)まあそれっぽく言っているだけで、用語の不正確さはおいといてください(笑)

ある意味、研究者とも通じるところもあってか、この二つは興味深く読んでいます。「なにかものを作るプロセスってこんなかんじだよなあ」というのがすごく伝わってきます。「お笑い」も「漫画家」も、若い人からすればあこがれの職業だと思うし、その具体的な成長のプロセスをマンガでのぞけちゃうのはとても面白いことだと思います。

もう一つは「コラボレーション」の面白さですよね。お笑いなら、ボケとつっこみ。ネタを作る方、それにあわせる方。漫画家は絵を描く方と、ストーリーを書く方。この対話というか、それぞれの信頼を作ったり、二人でやることによって、一人では出来ないなにをつくること、そして、時には息があわずにうまくいかないこと、これらのプロセスを見ているのも面白いです。

「研究者への道」を描いたマンガもあってもよいのにというかんじもします(笑)まあ領域によって全然違うのかもしれませんが。すでにあるのかな。

人の成長に興味がある方は、こういうマンガもなにかのヒントになるかもしれません。

といいつつも、まあ、結局僕も気分転換で読んでいるので、小難しいことを考えるわけではありませんが。無理矢理マンガの話を教育に関連させているのは単なる言い訳かもしれません・・・(笑)

しかし、今回のべしゃり暮らしも泣けました・・・。カフェで読んでたのですが、涙腺がゆるみました。なぜこんなにもリアルに人の気持ちを動かすセリフ・場面をつくれるのだろうかと思います。

ということで、今回はマンガのお話しでした。

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「テクノロジーの導入屋さん」を超えて

先週、三宅なほみ先生、東京大学の教育学研究科の方や、ベネッセの方とともに勉強会を行いました。勉強会で読んだ本は、ウェンガーのDigital Habitatsです。今回は1章から3章まで一気に読みました。

今回の記事は、その勉強会で話した内容を僕なりに解釈してまとめてみようと思います。あくまで僕なりの解釈ですので、正確さは多少損なうかもしれません。そこはごめんなさい。

Digital Habitats; Stewarding Technology for Communities
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著者のウェンガーといえば、「実践共同体」という話が有名ですね。以前、メールマガジンでその内容を執筆しましたので、よろしければご覧ください。

「5分でわかる学習理論講座」第4回:学びあいを行う集団〜「実践共同体」
http://www.beatiii.jp/beating/015.html

今回のDigital Habitatsは、「共同体」だけではなく、それに「テクノロジー」がどう関係するのかについて言及した本です。Habitatsという言葉は、「生息地」などと訳されるかと思います。「デジタル空間」というと、ちょっと的確でないかんじがしますが、要するにそういうことについて書いた内容です。「コミュニティのためにテクノロジーをいかにうまく使うか」ということがテーマであるといえます。

一章と二章の内容は、実践共同体などの概念をおさらいしたり、テクノロジーの歴史を振り返るかたちとなります。この本の根幹となるアイデアがでてくるのが三章です。

ここで出てくる重要な概念は「Technology Stewardship」という言葉なんですね。stewardというと、「スチュワーデス」という言葉がまず思い浮かびますよね。勉強会でも、的確な訳が難しいということだったのですが、「羊飼い」的なニュアンスもあるようです。

この「Technology Stewardship」とは、要するにコミュニティとテクノロジーの関係をどう考えるかという考え方といってもよいのかなと思います。

いままでは、コミュニティとテクノロジーというと、明確に「テクノロジー担当の人」がいて、その人は主にバックアップとメンテナンスをしておければよかったかもしれません。しかし、ウェンガーがいう、「Technology Stewardship」という考え方はそれと異なります。

あえてヒトコトでいってしまえば、「テクノロジーだけ」に詳しいのではなく、「テクノロジーとその所属しているコミュニティのどちらについても」詳しく、時にはリーダーシップ的な役割を担いながら、テクノロジーを使ってその場の学習に貢献する場作りをしていく人・考え方のことを指すといってもいいかもしれません。それがある意味「羊飼い」的なイメージなのかもしれません。要するに、場の中にいながら、導いていくかんじでしょうか。

「テクノロジーを使って導入すりゃ終わり」っていうわけではなく、ある意味、そのコミュニティに関わりながら、場をデザインすることまでも含んでいるという印象を受けました。

この考え方はなかなか面白いですよね。僕の感覚としては「これはいままで聞いたことのなかった発想だ!!」というかんじではなく、「そういうことの大切さをうまく、概念として切り出したな!」というかんじです。ウェンガーという人は、そういう能力にたけているのかもしれません。

「テクノロジーとコミュニティの相互作用」を通して、学びが深まるということは、おそらく、いまもネット上で自然発生的に起こっていると思います。また、意図的にうまいデザインをして、その場を作っている人もいるでしょう。そういうことをウェンガーはちゃんと切り出して、名付けたということが、ひとつ面白いのかなと個人的に思いました。(あくまで個人的な感想ですが)

また来月に、4・5・6章を読みます。この議論がどうつながっていくのか楽しみです。

個人的に、いま行っている勉強会は参加メンバーが多様なので、いろいろな角度から議論が盛り上がって面白いです。また、三宅なほみ先生の何気ないコメントが、すごくつきささって面白いということが多々あります。

また報告できればと思います。今回はそんなかんじです。

ウェンガーといえば、この本が日本語で読めますね。以前、書評も書きました。

書評:コミュニティ・オブ・プラクティス

http://www.tate-lab.net/mt/2008/12/post-10.html

コミュニティ・オブ・プラクティス―ナレッジ社会の新たな知識形態の実践 (Harvard Business School Press)
エティエンヌ・ウェンガー リチャード・マクダーモット ウィリアム・M・スナイダー 櫻井 祐子 野中 郁次郎 野村 恭彦
翔泳社
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5 今こそ学ぶべきところは多い
4 実践コミュニティのデザインと発達
4 知識ってマネージメント可能なんですね
4 自由なコミュニティーを用いたナレッジマネジメントの影響力
4 ダイナミックな知識をいかにマネジメントするか?

「わからない人は質問して下さい」という問いは本当に意味があるか?

今日は三宅なほみ先生の授業がありました。今期の授業は、なほみ先生が、あるトピックについてお話をし、それを聞いて全体でディスカッションをしていくスタイルで進められています。

今日の授業のテーマは「質問・疑問に関する研究」についてでした。

「質問」というと、みなさんどんな場面を思い浮かべますか?例えば、ひとつの状況として、授業の後に「わからない人は質問して下さい」とか「なにか質問ありますかー?」みたいな問いの場面があると思います。

あの問いの前提というのは、「わかっている人はいいけど、わからない人は、なにか質問してね」ということですよね。すいません、すごく当たり前のことを確認しているかもしれません。

しかし、それってどうもおかしくない?ってことを思わせてくれるのが、今回の授業で紹介していただいた、なほみ先生の論文です。論文は下記となります。

タイトル:To Ask a Question, One Must Know Enough to Know What Is Not Known.
http://www.eric.ed.gov/ERICWebPortal/custom/portlets/recordDetails/detailmini.jsp?_nfpb=true&_&ERICExtSearch_SearchValue_0=ED175883&ERICExtSearch_SearchType_0=no&accno=ED175883

1978年の論文で、なほみ先生が出した論文の中で唯一、一発でacceptされた論文とのことでした(笑)

この論文の内容を、僕なりにヒトコトでいうならば、「質問はわからない人がするものではない。よくわかっているからこそ、質問が出来るのである」ということです。これは最初に話した、「初心者が質問する」という前提とバッティングしますよね。

この論文では、上記のことを仮説とし、検証しています。

すごく簡単にいってしまうと、ある課題についての初心者は、簡単な問題についてはたくさん質問できるけど、難しい問題については質問があまりできない。一方で、ある課題についてよく知っている人は、簡単な問題については質問数が少ないけど、難しい問題についてはたくさん質問が出来るという仮説をたてました。まとめるとこんなかんじ。

初心者の場合:簡単な問題→質問数 多い 難しい問題→質問数 少ない
熟達者の場合:簡単な問題→質問数 少ない 難しい問題→質問数 多い

結果はこれを支持するかたちで出てきました。

この結果をみていると、要するに「質問すること」は「わかっているからできる」というところがあるわけですよね。

そう考えてみると、授業の最後とかに「わからない人は質問して下さい」という問いはなんだか変ですよね。だって、質問は「わかっていないと出来ない」のですから。

今日はこの論文を素材として、ディスカッションをしました。この論文の内容も面白かったですし、なほみ先生が海外に留学して、この論文を書くまでの背景の話も非常に興味深かったです。この話はまたあとで紹介できればと思います。

元々僕は学部時代こうした話にとても興味を持っていたので、この授業に出ていると、心の奥にある興味関心をくすぐられる思いがします。とても面白い授業です。また、次回の授業も報告できればと思います。

▽以前紹介したなほみ先生に関連する記事

大学授業を活性化する方法を読み直した

http://www.tate-lab.net/mt/2009/05/post-99.html

大学授業を活性化する方法 (高等教育シリーズ)
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4 協同学習の実例集が中心

 

 

 

 

 

 

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「シブヤ大学の教科書」読了!

「シブヤ大学の教科書」を読みました!みなさんシブヤ大学をご存じでしょうか?

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4 シブヤ大学、知ってますか

 

 

 

 

 

 

 

僕なりの理解を書くと、シブヤ大学は、「渋谷」という街全体を、「大学のキャンパス」として捉え、地域と密着したかたちで、面白い学びの場をつくってしまうプロジェクトと言えるかなと思います。

詳しくは、シブヤ大学のWebを見ていただければわかると思うのですが、シブヤ大学の特徴を表したステキなキャッチコピーが並んでいます。

シブヤ大学Web
http://www.shibuya-univ.net/

遊ぶのがいちばん楽しい街は、学ぶのがいちばん楽しい街になれる。

「シブヤ」のいいところと「大学」のいいところ、どっちも取り入れる。私たちの名前は、そのまま私たちの理念です。

今回あらためて「シブヤ大学の教科書」を読ませていただいたのですが、正直、かなり刺激を受けました。なんといっても、この「シブヤ大学」というコンセプトが非常に面白いと思いました。

シブヤ大学は正規の大学ではありません。入学試験もなければ、卒業することもないです。しかし、シブヤという街の特徴を生かしながら、様々な魅力的な講師陣とともに、自分の興味関心に関することを「いつまでも」学ぶことが出来る。そして、学び手としてだけではなく、「教え手」としてもこのプロジェクトに参加することが出来る。こうした仕組みは、ヒトコト「面白い!」につきるなと思いました。

おそらく、私がこのコンセプトを面白いと感じた理由のひとつに、シブヤ大学は「学校」ではないけれど、「楽しく学べる場」をかたちにしているという点があるでしょう。学校に代わるものではなく、学校と共に存在し、その行き来が学びにつながる。

こうした地域と連携した学びというのは、元々小学校に「総合的な学習の時間」が取り入れられたときに言われたことではないかと思います。教科としての学びをしながらも、総合的な学びを学校外の人と連携しながら行う。シブヤ大学は、それをシブヤという街でひとつのかたちとして進めているともいえるのではないかと思いました。

また、この本の後半部分に書いてある「シブヤ大学の立ち上げ」にまつわるエピソードも非常に読み応えがあります。学長の左京さんが、働いている会社を辞め、このプロジェクトに関わり、学長としてプロジェクトをひきいていくプロセスはとても熱いです。なにか新しいことにチャレンジしたいと考えている人を勇気づけるような内容になっています。

シブヤ大学に興味がある人だけではなく、学校外の学びの場を考えていたり、これから新しい学びの場作りを行い方にはおすすめの本です。

ちなみに、シブヤ大学はワークショップ部として発行しているBa Design Magazineというメールマガジンの第二弾で取り上げさせていただく予定です。興味ある方はぜひご登録下さい。
http://bit.ly/3Zx22N

ちなみに、シブヤ大学には以前から興味があり、学長の左京さんらとお会いしてお話しさせていただいたこともあります。実はシブヤ大学の学長ブログにこっそり登場していたりします(笑)

シブヤ大学 学長日記 people
http://www.shibuya-univ.net/blog/2009/09/people-1.html

「学びのサードプレイス」を語るために

最近「越境による学び」について考えること多いです。というのも、今度ワークショップ部で、2009/1/23にThirdPlaceCollectionというイベントをやるので、それに関連して、「サードプレイス」と「学び」の接合点を探っています。

一応僕らとしては、「学びのサードプレイス」をざっくり以下のように考えています。

サードプレイスとは、アメリカの社会学者オルデンバーグが提唱した概念です。オルデンバーグは、家庭でも職場(企業・学校)でもない第3の場が、人々の「憩いの場」になると指摘しました。

私たちは、サードプレイスを「憩いの場」ではなく「学びの場」として捉えます。家庭や職場から離れて、多様な他者とゆるやかにつながり、対話・交流する中で、改めて自分の仕事の意味を問い直したり、新しいアイデアや気づきを得る場。それを「学びのサードプレイス」と呼んでいます。

workshop_bu twitterより http://twitter.com/workshop_bu

とまあ、こういってみたものの、まだまだ深めないといけない点、わからないことは山積みです。「学びのサードプレイス」はまだまだ出てきたばかりの概念なんですよね。

でも、だからとって勉強するものがないわけではなく、ヒントになるものはたくさんあります。その一つが「越境による学び」かなと思っています。

企画のコンセプトを深めるための勉強会で以下の論文を読みました。

「複数の文脈を横断する学習」への活動理論的アプローチ -学習転移論から文脈横断論への変異と差異- 香川秀太

この論文では、「学習転移論」で語られてきたことを踏まえて、「文脈横断論」の特徴やそのメリットについて書かれている論文です。ちょっと難しいですね。すいません。この論文は歴史がしっかり押さえられており非常に勉強になります。

この論文で特にびびっときたのは、以下の点です。ここだけ読んでも雰囲気はわかるはず。(論文から引用)

・文脈横断に伴う葛藤や困難は、内省を引き起こす
・「空気のように透明」で自明になっていた特定の活動の文化的特性が、別の活動を交わることで、相対化、自覚化され、自己対話が生起する状態
・Dreier(1999)は、文脈横断に伴い、「特定の文脈での十全な参加者であることと結びついた一種の”文化的無自覚(core blindness)”(Lave & Wenger 1991)は、他の文脈に参加し、文脈上の 諸実践を対比し、様々な位置から経験を比較する、内省によってたたれると指摘する。

このあたりはサードプレイスで起こる学びにすごく近いのかなと思います。いつもいる場所(家庭や職場)から離れることで、葛藤が起こり、いままで「当たり前」だと思っていた文化を問い直すというイメージでしょうか。このあたりは、サードプレイスの一つのポジティブな意味だと思います。

もう一つ、この論文が興味深いのは、文脈横断することのポジティブな意味だけではなく、ネガティブな意味(状況)も考慮にいれていることかなと思います。

例えば、以下のような状況です。

・文脈横断の過程で、人工物や制度に新しい意味が現れるのとは逆に、元の意味が新しい文脈で喪失する場合もある
・意味喪失(meaninglessness)

要するに、越境すりゃなんでもオッケー!というわけではないのですよね。これもとてもリアリティを感じます。このようにポジティブ、ネガティブの両面を見つめながら、それでも「学びのサードプレイス」に持っている可能性・意味はどこにあるのかということを最近とてもよく考えています。

論文の中には、「文脈横断」の「移動」についてもしっかり考察されているのですが、「学びのサードプレイス」的な移動は、もしかしたら新しいタイプなのではないかとも思っています。移動っていうのは、要するに、「学校というコミュニティと、バイトというコミュニティを行き来すること」とか、「高校というコミュニティから、大学というコミュニティへ移動すること」はちょっと違いますよね。そのあたりのタイプを論文では整理しています。

このあたりを、企画のコンセプトを練りつつ、パーティーを体験することで深められればと思う今日この頃です。

まだやっぱり説明が自分の言葉になっていないですねえ。。。がんばります。

関連書籍

書評「ダイアローグ-対話する組織-」:ダイアローグ-対話する組織-を読んだ!
http://www.tate-lab.net/mt/2009/03/—2.html

書評「ノットワーキング」:つながりから学ぶ学習論
http://www.tate-lab.net/mt/2009/04/post-91.html

書評「デザインド・リアリティ」:デザインド・リアリティをよみますた
http://www.tate-lab.net/mt/2009/03/post-77.html

ダイアローグ 対話する組織
中原 淳 長岡 健
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 7430
おすすめ度の平均: 3.5

2 うーん、これは厳しい。
3 さらっと読んだのですが・・・
4 学習する組織のための対話とは
3 議論と対話の違い
5 「学び」の本質を問いかけてくる本

ノットワーキング 結び合う人間活動の創造へ
山住勝広 ユーリア・エンゲストローム
新曜社
売り上げランキング: 99610
デザインド・リアリティ―半径300メートルの文化心理学
有元 典文 岡部 大介
北樹出版
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おすすめ度の平均: 4.0

3 結局、テーマは?
5 カジュアルな心理学

場所がかわると気持ちもかわる

新しいblogにしたのに何も書いていないのはどうだろうと思いつつも、場所を変えただけで雰囲気が異なり、いまいち慣れていません(笑)

これまでは匿名でblogサイトを運営していたので、自分がなにか感じたこと・気づきなどを書く場所というよりも「書評」をメインに、「情報を共有すること」を主眼においた書き方をしてきました。

しかし、今回はtate-labということで、自分の名前を明らかにしてblogを書くとなってくると、なんとなく書評とかだけでは味気ないような気もするので、自分の考えを書く場所にしようかなという気もしてきます。

そのあたりの感覚がつかめずに、「書きたいような」「書きたくないような」というかんじで、数日が過ぎてしまいました(笑)

今日は助走的な投稿をしてみました。

「自らの気づきを書くことが出来る」というのは、非常に開放感があふれるものでありつつも、ドキドキすることでもあるなと思います。

少しずつこの場に慣れながら、ブログを更新していこうと思います。

いまは新しい場ができて、かなりワクワクしています。blog以外の部分も少しずつ充実させていこうと思います。

今日はそんなかんじで。

「疲労」と「疲労感」は違う!やっぱり寝るのが一番

ほぼ日をのぞいたら糸井さんが以下のようなことを言っていました。

(今日のダーリンは、過去ログがないと思うので、本日だけしか閲覧できないと思います)

ほぼ日:今日のダーリン

http://www.1101.com/home.html

・『ためしてガッテン』の録画も見たんですよ。

 疲労についての回でした。

 ものすごく手短かに言うと「寝るのがいちばん」なのね!

 居眠りでも、昼寝でも、寝だめでも、みんなGOOD!

 こりゃぁ、知ってよかったです、ガッテンでした!

なるほどと思い、ためしてガッテンのウェブを見てみました。

すると、「寝るとよい」というだけではなく、「疲労」と「疲労感」にギャップがあるという事実が・・・。

世紀の大発見!頑固な疲れの原因”物質F”

http://cgi2.nhk.or.jp/gatten/archive/program.cgi?p_id=P20091104

「疲れがなくなった」と答えたAチームの人たちの方が、BチームよりもFFの値が増えていたんです。

つまり、「疲れがなくなった」と言ったのは、「疲労感」がなくなっただけで、「疲労」そのものは、なくなっていなかったのです。このように「疲労」と「疲労感」には大きなギャップが生じることがあるのです。

あんまり自分の感覚というのは当てにならないのかもしれませんね。疲れがたまる要因をかかえている方は、ゆっくり寝るよう心がけるとよいかもしれません。

しかしこういうのは役に立ちますねえ。

快適睡眠のすすめ (岩波新書)
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4 睡眠学のファクトブック
5 昼寝のすすめ
5 大変実用的なアドバイスですぐに役に立つものばかり。しかも納得のいく説明。
5 データが豊富で、役立つ内容が充実
4 科学的根拠に基づいた快適睡眠の秘訣

NHK ためしてガッテン 2009年 08月号 [雑誌]
主婦と生活社
おすすめ度の平均: 5.0

5 おかげでやせられました