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大学生研究フォーラム2017に参加してきました!

大学生研究フォーラム2017に参加してきました。10年続いたこのイベントも今年が最後。今年は全体を通して「これまでの10年、これからの10年」を意識したつくりとなっていました。

■午前中は溝上慎一先生のご講演

午前中はこの会の企画・運営の中心であった溝上慎一先生から10年間の振り返りに関するご講演がありました。話を聞いていて感じたのは、フォーラムの10年間は溝上先生の研究の歴史でもあるということです。

非常にざっくりではありますが、こんな変遷があるのかなと感じました。

・大学生について論じた「大学生論」(「若者論」ではなく)からのはじまり
・大学生について理解するために実施した1000人以上のインタビュー
・大学生のキャリア意識と成長の関係についての探究
・大学生の学びに方に関する研究
・高校、企業との接続で成長を捉える視点

私はフォーラムはたしか2回目から(1回目もでていたかな・・・)すべて参加しています。また、溝上先生の著書・論文については2009年に当時の院生仲間とともに手分けをしてほぼ全部を読むということをやりました。なので、これらのお話はとても懐かしかったですし、結果的に自分の研究生活を振り返ることになりました。

私もこの10年間でフォーラムについては、

・大学院生として「研究対象として」大学教育をみていた時代(完全なる参加者として)
・大学院生として「溝上先生との共同研究として」間接的にフォーラムにかかわっていた時代
・大学に就職して「大学教育の実践者の視点を持ちつつ」、研究として実践者としてかかわっていた時代

というふうにかかわり方がどんどんと変遷していきました。どの立場としてもこのフォーラムがあることの意義は大きかったと思います。

■午後の最初は分科会

午後は分科会で3つにわかれました。私は1の「企業との連携」に参加しました。

【1】「企業との連携」
ファシリテーター:山辺 恵理子(都留文科大学・講師)
登壇者:松高 政(京都産業大学・准教授)
岩佐 峰之(京都市立西京高校・教頭)
会場:国際交流ホールⅠ・Ⅱ

【2】「学びとキャリアの連携」
ファシリテーター:山田 剛史(京都大学・准教授)
登壇者:石山 恒貴(法政大学大学院・教授)
今村 久美(認定NPO法人カタリバ・代表理事)
会場:百周年記念ホール

【3】「地域との連携」
ファシリテーター:田口 真奈(京都大学・准教授)
登壇者:片峰 茂(長崎大学・学長)
中村 怜詞(島根県立隠岐島前高校・教諭)
会場:国際交流ホールⅢ

松高先生のプレゼンテーションは、京都産業大学のインターンシップなど企業との連携にかかわる実践のお話でした。立教大学経営学部でやっている実践とも内容が近いため、とても参考になりました。

・連携する企業にとってのメリットは何か?
・インターンシップとはそもそもなに達成するために実施するのか?

などを検討することの重要性をあらためて理解できました。

岩佐先生のプレゼンテーションは、京都市立西京高校の実践についてでした。はじめてお話伺ったのですが、岩佐先生のパワーのあるお話ぶりに引きつけられつつ、内容もとても充実したものでした。

高校生のこの言葉が実践についてうまく表現しているなと思います。

めっちゃがんばる
めっちゃしんどい
めっちゃ楽しい

「一生懸命がんばって、それは時に大変だけど、一生懸命にやっているからこそ楽しいのだ」という教育環境は自分自身もつくれるのが一番だなと思います。私は立教大学経営学部のBLP(Business Leadership Program)の授業をつくっていますが、そういう場になればということを思いました。

■午後のラストはパネルディスカッション

最後はパネルディスカッションでした。

パネルディスカッション
司会:溝上 慎一(京都大学・教授)
パネリスト:中原 淳(東京大学・准教授)
松下 佳代(京都大学・教授)
児美川 孝一郎(法政大学・教授)

まず松下先生から「資質・能力」という視点から10年をまとめるプレゼンテーションが行われました。次に児美川先生から「キャリア教育の10年」についてのプレゼンテーションが行われました。最後に中原先生から「企業・世の中の変化の10年」についてのプレゼンテーションが行われました。

各先生方15分という短い時間ではあるものの、これまでの10年間の歴史がぎゅっとつまったプレゼンテーションでした。「これからの10年」については、今後の未来というのもありますが、各先生が今後どういうことを研究されるかというお話でもあったかと思います。

■全体を終えて

ということでざっくり全体を振り返りました。フォーラムは朝から晩までぎゅっとプログラムが詰まっているので、参加者として参加していただけではありますが、かなりパワーを使ったというかんじがしました。

今回のフォーラムは、この会で新たらしい視点や知識を得るというよりも、講演を聴きながらどこか頭の片隅に「自分のかかわりについてぼーっと振り返り」をしつつ、「これから自分はなにをやろうかなー」というかんじがありました。

自分もあまり意識していたわけではなかったのですが、気づけばフォーラムについては2010年からずっとブログを書いていたこともあり、自分にとってはなんとなくここをベンチマークとして、自分の研究・実践を考える節目としても使っていたのかなと思います。

このイベントの価値というのは、講演の内容もさることながら、ここに集まる人たちとのつながりという点も大きいです。今年もたくさんの方と出会い、新しい出会いもありました。「ここにいけば、だれかと会える」という安心感も、このイベントが持っていた価値なのかなと思いました。

イベントは10年という節目をもとに終わりますが、これからの10年という意味では、自分も研究者として、実践者としてどのようにやっていこうかということを考えます。いますぐに「これ」というものがあるわけではありませんが、確実にいえることは自分たちの世代が中心になるくらいがんばることがまずポイントになるんだろうと思います。いま30代の研究者たちが、次の新しい流れをつくれるようがんばっていきたいと感じました。

■これまでのフォーラムの記事

2010年からフォーラムについては記事を書いていたのでそのリンクをまとめておきます。

大学生研究フォーラム2010
大学生研究フォーラム2011
大学生研究フォーラム2012
大学生研究フォーラム2013
大学生研究フォーラム2014
大学生研究フォーラム2015
大学生研究フォーラム2016(午前中)
大学生研究フォーラム2016(午後)

■今回フォーラムででてきた書籍の一部を紹介しておきます

当日も紹介されていた調査結果をまとめた書籍です。

こちらはさきほどの書籍ではできなかった「縦断調査」をしてその結果をまとめ、ワークショップ案も提案した書籍です。

大学生研究フォーラム2016のまとめ(午後編)

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午後のまとめもやってみようと思います。午前のまとめはこちらです。
https://www.tate-lab.net/mt/2016/08/1555.html

お昼は立食形式だったのですが、いろいろな人とお話しすることができ非常に楽しかったです。「この人とこの人がつながっているんだ!」という色々な驚きもありました。こういうイベントは話を聞くだけでなく、こういうネットワーキングも醍醐味ですよね。

午後も村上先生の導入からスタートです。村上先生の導入は安心感があります。午後は4人の話題提供があります。

午後の発表の一人目は、須田淳先生(京都大学大学院 工学研究科・准教授)です。「午前の発表はちゃらいかんじ」とおっしゃったり、最初から面白いです笑 ただ、学びの視点の転換などお話しされているポイントは非常に本質的です。タイトルは「創造的な技術者・研究者を育てる教育-工学部・工学研究科の事例から」というものです。

「理工系って物事がきっちり決まっていて、正解は一つだけなのでは?」というのは大きな間違いだよという話からはじまります。しかし、受験勉強に毒されているからなかなか発想の転換に至らず、「解法を教えてくれ」ということになってしまうのだそうです。

実際教員が期待していることは「解法の適用」ではなく、「物理法則の感覚化」であるといいます。何かを考えるときに「これ計算しときます」と作業するだけでなくて、事前の予測をして、結果を鑑賞して、感覚化していくことが大切なのだということです。

こうした感覚を身につけるためには、基礎だけやっていても伝わらないので、夏休みなどにマインドストームなどを使ったプロジェクトを行うのだそうです。こうしたプロジェクトをすることで、基礎基本の意義がわかるというお話でした。

発表の要約するとこんなかんじなのですが、須田先生の実際の語り口はこの文章の100倍面白く、ぜひ須田先生から直接お話を聞いて欲しいなと思えるような内容でした。

二人目の発表は、明和政子(京都大学大学院 教育学研究科・教授)先生です。タイトルは「発展途上の脳とメタ認知―京都大学教育学部・教育学研究科の教育活動で大事にしていること」です。京大の教育活動の紹介からはじまります。具体的には、エビデンスベースドの教育を大切にしており、特に以下の3つのポイントが大切になります。

1.「理論」と「実践」の往還
フィールドワークを重視した教育(身体性の認知)。自分で問いを見つける。多様な価値観などを体で感じる。

2.「対話型」教育
専門ゼミナールの実施。黙っていると目立つような授業。

3.「文理融合の視点」を重視した教育(理系入試の導入)
文理融合の視点と方法論が不可欠。理系入試などもおこなっていく。

最後は脳の話です。「他者の心」を理解する2大神経ネットワークは「ミラーニューロン」と、「メンタライジング」です。それぞれ自己と他者を切り離さないものと、自己と他者を切り離してメタ理解するものになります。

機能の成熟は30歳まで続くそうです。大学生は大人が思う以上に、脳としても発展途上であるということになります。それはよい面もあるのですが、メタ認知を可能にする前頭前野の発達が、現代は遅くなっているというのもあるようです。脳の話も人の学びをする上でやはり欠かせないですね。

三人目の発表は、安藤直人(昭和電工株式会社 総務・人事部事業支援グループ マネージャー)様です。タイトルは「新入社員育成プログラムでの経験を成長につなげる取り組み」です。昭和電工さんで重視する行動特性は以下の4つです。

・達成指向性
・対人能力
・職務専門能力
・思考力

中原先生の「企業内人材育成入門」の書籍を読んで学び、「経験学習ノート」というツールを使いながら、振り返りの機会を提供したそうです。ノートとかワークシート的なかんじなものを使うというのはわかりやすいですね。

ツールを使うことの効果として3つが挙げられていました。
・仕事を進める上でのポイントをおさえられる
・専門外の能力向上に目を向けられる
・成長の度合いを把握できる

よい振り返りをするために3つを意識されているそうです。このあたりは振り返りの質をあげるtipsとして面白いですね。
・具体的に振り返る(絵にする)
・多様なバックグラウンドの仲間とゆっくり話す
・ポジティブに振り返る(リストーリー/ポジティブイット)

経験をしっかり「成長実感」につなげていくのはあらためて大切ですね。

四人目の発表は、松本 加奈子(大阪ガス株式会社 大阪ガス行動観察研究所 研究員 兼 株式会社オージス総研 行動観察リフレーム本部 主任)様です。タイトルは「行動観察のビジネスへの応用」です。

まず松本さんの自己紹介ででてきたエピソードが面白かったです。顧客が「言葉として言うこと」と「本当に思っていること」のギャップをどう捉えるか。ギャップや問題をどのように創造的に解決するかということなどを仕事でなされていたそうです。

「行動観察」は、「意識」レベルのアンケートやインタビューでわからない「無意識」のところを拾い上げていく手法であるということです。イノベーションのための「リフレーム」を行動観察から提供するかんじですね。

「ビックデータ」と「行動観察」は対比されますが、結局両方必要になるといいます。データでわかること、わからないことがあります。データでは「相関がある」というのはわかるけど、「なぜ相関があるの?」などはわかりません。

例えば、「雑誌とガムの売り上げが両方下がっているのはなぜか?」観察してみると、レジ待ちの間に「スマホ」を見ているからだということがわかります。これがデータと観察の関係を理解するひとつの例とのことでした。わかりやすいですね。

最後は帰納でも演繹でもない、アブダクションという思考形式のことについてお話がありました。アブダクションとは、蓋然的推論のことです。

例としては、シャーロックホームズが、ワトソンと出会ったときに「あなたはアフガニスタンにいっていましたね?」と当てるのですが、そのために「日焼け」「表情」「手の動き」「服装・動き」といった事実から、知識を使い、軽く解釈していくといったそんな流れを想像してもらえばよいかと思います。

データをもとに、洞察をして、展望を作っていく、そしてそのためには高いレベルで矛盾を持ちつつ、統合していくことが重要ということですね。

ということで、午後も盛りだくさんでした!まとめるのは大変でした笑

重要なキーワードを挙げると「学びの発想の転換」「基礎と応用の関係」「理論と実践の関係」「メタ認知と脳」「振り返りを習慣づけるためのツールとアクティビティ」「行動観察(現場・フィールドワーク含む)」というかんじでしょうかね。

抽象的に考えることや法則などの重要性が指摘されながらも、それと同時に「応用」や「体験」、そして「現場」の重要性が指摘されるのが面白かったです。

すごく簡単にいってしまえば、本当は両方必要なんですよね。なのに「経験か」「知識か」などの変な二者択一になってしまうのはもったいないよなとあらためて思いました。

1日通したまとめはまた別記事にしようかなと思います。

午後の発表に関連するグッズ・書籍はこんなかんじです。

まねが育むヒトの心 (岩波ジュニア新書)
明和 政子
岩波書店
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企業内人材育成入門

企業内人材育成入門

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中原 淳 荒木 淳子 北村 士朗 長岡 健 橋本 諭
ダイヤモンド社
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大学生研究フォーラム2016のまとめ(午前中編)

大学生研究フォーラム2016に参加しています。今回は完全に参加者なので、感想をまとめつつ参加したいと思います。

今回のテーマは「経験で終わるな、メタに上がれ!―わたしのメタラーニング宣言―」です。
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/transmission/forum/outline/

近年の教育方法は、経験学習的な考えがベースになっているので、結局のところ「体験前の目標設定」「フィードバック」「振り返り」をどのようにデザインするかという議論にならざるを得ないのだろうと思います。今回はそのあたりがポイントなのかなと思って参加しました。

フォーラムはまず村上正行先生の導入でスタートします。全体の流れがわかり、おだやかな雰囲気が会場にできあがったと思います。「聞く、聞く、聞く、帰る」じゃないという話は、お馴染みワードですが、中原先生ではなく、村上先生が言うとなにか違った雰囲気があってよかったです笑

一人目の講演者は、中原淳先生です。最初に経験学習の理論の紹介、次に事例、最後に経験学習の今後について話をされました。中原先生がまとめた「経験学習の理論的系譜と研究動向」についてはこちらで論文が読めます。

経験学習論をベースにした議論をすごく簡単にまとめてしまうとこんなかんじかと。

・体験が学びになるためには振り返りが必要
・振り返りを導入するワークは広まってきたけど、深い振り返りができていない
・深い振り返りのためには、問いや論理思考が重要

さらにこれを5・7・5でまとめるとこんなかんじなのかなと思います笑

振り返り ないならやろう いますぐに
適当に やるとこけるよ 振り返り
振り返り 深めるコツは 問いと思考

最後に中原先生は「経験学習バブルの危険性」についてお話しします。たしかに、教育の議論は振り子のようにふれていきます。「体験だけ大事」という反知性主義に陥る罠についてはしっかり考える必要があるだろうと思いました。

二人目の講演者は、溝上慎一先生です。溝上先生は「メタ」ということについて、認知心理学などの知見をもとに解説してくださっています。「メタ認知とは?実践知とは?」に関する学問的知見の紹介です。

キーワードをみても「推論」「概念」「省察」「批判的思考」と、よい意味で「体験」「経験」とは一見異なるようなキーワードが並びます。

体験が大事という話と、批判的思考が大事という議論はついつい二者択一の議論にもなりがちだと思うのですが、これらが両方必要になってくるというのは大切な認識だと思われます。

続いて、調査の結果を報告です。ここでは舘野の研究も色々と紹介していただきうれしかったです。

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調査結果で面白いのは「職場の能力向上」をもっとも説明するのは「批判的思考」だった(.585)という点です。これはなかなか面白い結果だと思います。プロアクティブ行動も.231とのことなので、大事であることがわかります。

最後に大学の教育方法の話で、「卒論」の重要性などが語られました。深い学びをするためには「つなぐ」ということ大事で、そのひとつにストーリー化があるというのは面白いですね。

事例のひとつとして、立教大学経営学部のBLPの話も紹介していただき感謝です。

以上が午前中のざっとしたまとめです。ぼくなりの解釈で書いているところもあるので、あくまで舘野解釈として読んでいただければと思います。

中原先生、溝上先生のプレゼンスタイルの違いも、とても面白く聞かせていただきました笑

通底しているのは、「体験」は重要でありながら、それを学びにつながるために何が必要かという話だったと思います。その際に、「メタとは何か」「振り返りとは何か」、そしてそれらをどのようにデザインするのかがポイントだったと思います。

結局のところ経験から学ぶためには「批判的思考」などの思考や推論が欠かせませんし、自分の思考のサイクルそのものを捨てる「アンラーニング」などが必要になります。「体験」を作り出すだけでなく、これらの力の必要性を認識して、これらを支援する環境をいかにつくるのかがポイントになるのかもと思います。

こんなことを考えながら午後につなげていきたいと思います。

午前に出ていた書籍の一部も紹介しておきます。

活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
東京大学出版会
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経験からの学習-プロフェッショナルへの成長プロセス-
松尾 睦
同文舘出版
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職場学習論―仕事の学びを科学する
中原 淳
東京大学出版会
売り上げランキング: 75,998
アクティブトランジション 働くためのウォーミングアップ
舘野 泰一 中原 淳 木村 充 浜屋 祐子 吉村 春美 高崎 美佐 田中 聡 保田 江美
三省堂
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リーダーシップ開発学ワークショップを実施しました:大学生研究フォーラム2015

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京都大学で開催された「大学生研究フォーラム2015」の一環で「リーダーシップ開発学」に関するワークショップを実施しました。今回は浜屋祐子さん(東京大学大学院中原研究室)と一緒に企画・運営を行いました。

昨年立教大学経営学部に移り、BLP(Business Leadership Program)のプログラムデザインをするようになったことを一つのきっかけとして、リーダーシップ開発に関する「理論と実践」をわかりやすく、「体感しながら学べるもの」を設計しようと数ヶ月かけて準備をしていきました。

ワークショップの概要は以下のようなかたちです。時間は3時間半で、約25名の参加者を対象に実施しました。

【理論編】
・経営学におけるリーダーシップ研究の位置づけ
・リーダーシップ研究とリーダーシップ開発研究の関係
・リーダーシップ開発研究の概要

【大学における理論+実践編】
・大学におけるリーダーシップ開発の理論と実践
・リーダーシップ開発のプログラムを体感
・具体的な授業デザインのコツ

【理論と実践編】
・リーダーシップ開発の理論と実践の関係の整理
・質疑応答

「理論」「実践」「超具体的な実践に関するtips」「理論と実践の関係」という全ての要素を3時間半におさめるのはなかなか大変でしたが、なんとか全て入れ込むことはできたのかなと思いました。

今回参加いただいた方々は私もはじめて会う方が多かったのですが、非常に活発で場がよいかたちで盛り上がっていました。

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後半は特に指示をしていないのに、気づいたら全員が立っていました。時には拍手や笑い声が聞こえてきながら、真剣にワークをされている姿が印象的でした。個人的に「大人の本気を見た」という感想でした(笑)

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気づいたら全員立っています(笑)

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時間内にプランができるよう全員が協力します。

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できあがったポスターの前で一枚。「チーム立ち呑み」のメンバーのみなさんは、立ち飲み風写真で記念撮影。もちろん、コップの中はお酒ではありません笑

ワークショップ後も積極的に交流してくださったり、感想をアップしてくださる方がいて私自身にとってもよい刺激をもらいました。

やってみて自分があらためて感じた感想は以下の2点です。

1点目は、リーダーシップ開発の授業を行うために、必ずしも新たなPBL(Project Based Learning)などを立ち上げる必要はないという点です。

これは「座学でリーダーシップが学べる」というわけではもちろんありません。そうではなく、大学の中ではすでにさまざまなプロジェクトなどが体験できるようになっているので、「プロジェクトの前後」をうまくデザインするだけでも、リーダーシップ開発の機会にすることができるということです。

より具体的にいえば、「プロジェクトに入る前に目標を立てさせる」「プロジェクト後に、リーダーシップに関する相互フィードバックや振り返りをする」という活動を取り入れるだけで、既存のプロジェクトを「リーダーシップ開発」の機会にすることができると思います。

2点目は、「リーダーシップ」という言葉に対する認識をそろえることの重要性です。「権限がなくても発揮できるリーダーシップ」という発想は、全員が発揮すべきものであるというものなのですが、このあたりの概念の理解がなかなか難しいということをあらためて思いました。

思い起こせば、ぼくも最初は「それってリーダーシップって呼ばなくていいような気もするな」と思ったことがありました。最初は特に「リーダー」と「リーダーシップ」ということの混同をしてしがいがちだとも思います。

ただ、すでに欧米では「リーダーシップ」という言葉がそのような意味で使われているということを考えると、グローバルな視点をもつならば我々も「リーダーシップ」と呼べばいいのだろうと思っています。

リーダーシップ開発を進めていくためには、やはりそもそも「リーダーシップという言葉に対するイメージ」をそろえていくことがポイントになるのだろうと思いました。

リーダーシップ開発学は、まだまだこれからの領域だと思うのですが、少しずつ領域の輪を広げていけるとさらに面白くなってくるだろうなということを感じられました。今回の機会をなにかのスタートの機会にしたいなと思っています。

参加いただいたみなさま、今回お声がけいただいた中原淳さん、保田江美さん、京都大学の溝上慎一先生はじめ、運営スタッフのみなさま、本当にありがとうございました。

ちなみに、当日つけてたネクタイは立教のクラスの学生たちが誕生日に贈ってくれたものでした。ありがとうございました^^

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【当日紹介した書籍】

一部になりますが、以下に載せておきたいと思います。

大学生研究フォーラム2014に参加してきました!:速報的感想まとめ

さきほど京都大学で実施されている以下のイベントに参加してきました。イベントが終わった直後ではありますが、速報的に感想をまとめておきたいと思います。イベントの詳細は以下になります。

大学生研究フォーラム2014
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/2014.html

2008年の第1回開催から数えて7年目を迎える「大学生研究フォーラム2014」。今回は、高校生・大学生のキャリア、学び、企業の採用、人材マネジメントについて考えます。大学の教員、キャリア支援組織の職員、企業関係者、高校の教員の方々が一堂に会して、「変わる大学の入口と出口」について議論を深めていきます。

今回イベントに参加して感じたことを自分のツイートともに簡単にまとめたいと思います。

■「社会で通用する人材を育てるための大学の役割、高校の役割」(鈴木寛先生)

鈴木寛先生のご発表は、日本という国がこれからどう成長していくのかという大きなビジョンと、教育をどうするべきかという話を関連づけてお話されていたのが印象的でした。目の前の問題(就活、学力など)にどう対応するかということをすぐ考えてしましがちですが、大きな視野とともに考えなくてはならないということを感じました。

また、溝上先生は、鈴木先生の大事なポイントを「異質な他者」というキーワードでまとめておりました。このキーワードについては、自分自身も関連する研究をしていることもあり、今後も深めていきたいテーマだとあらためて感じました。

■ 「大学生のキャリアと学び」

ここでのセッション概要は以下の通りです。

・「キャリア教育が入口と出口をつなぐ」
川崎友嗣(関西大学 社会学部)
・「大学の学びとキャリア意識」
田澤 実(法政大学 キャリアデザイン学部)

感想はツイートに書きました。

川崎先生は、キャリア科目として独立しないかたちで、必要な力を身につけるという話をしておりそこはとても同意したのですが、具体的にどのようなかたちで実施していくのがよいのかを考えたいなと感じました。

田澤先生は、以前から書籍などを読ませていただいていたこともあり今回お会いするのが楽しみでした。発表内容も調査の結果をクリアに説明されていました。それを踏まえて今後のことを考えると、調査結果からどうやって介入に結びつけるのかについて考えていきたいと思いました。授業時間外にも学べるような学生はどうやって育てることができるのかなかなか難しいですね。

■「大学のアクティブラーニング」

ここでのセッション概要は以下の通りです。

・「同志社大学における全学レベルのプロジェクトベース学習(PBL)」
山田 和人(同志社大学 文学研究科)
・「反転授業とともにあるアクティブラーニング」
山内 祐平(東京大学 大学院 情報学環)

感想はツイートにまとめました。

同志社大学の実践は、立教大学の実践とも近い部分があるため、具体的に参考になる部分が多かったです。山内先生のお話は、反転学習の効果などが整理されていたため、こちらもあらためて授業実践の中に取り入れてみたいと感じました。

■インテグレーション・セッション

今回の大学生研究フォーラムは並列してセッションが行われていたため、セッション終了後にそれぞれのセッションで何が行われたのかについて参加者同士で共有しました。最初は、ファシリテーションで入っていた先生方が全体に共有して、次に参加者同士でディスカッションしました。ジグソーメソッド的なセッションというのはなかなか面白いですね。

印象的だったのは、中原先生が話をしていたヤフーさん、インテリジェンスさんのお話です。

「変化慣れしている学生を育てる」というためには、常に環境も変化させていく必要があるわけで、その意味では大学も常に変わり続けていかないといけないのではないかということを感じました。

■ラップアップ(溝上先生)

今回のラップアップは溝上先生でした。溝上先生のお話とても面白かったです。

たとえば、「とがった人材が欲しい」と企業でいうけれど、基礎力がなくてもいいのか?そもそもとがった人ってどうやって測るといいのか?といった問いかけは、大学関係者・研究者として共感する部分も多いなと感じました。

■全体の感想

今回の全体的な感想として思うのは、まず「いま知りたいと思っていることが知れた」という感覚があります。こんな内容聞いてみたいなと思うような発表がそろっていたという感覚を感じました。これは自分自身も立教大学経営学部におけるPBL型授業にかかわるようになったからそう感じるようになったのもあるかもしれません。実践、研究で今後こんなことを試したいと思うような気持ちが刺激されました。

次に、いろいろな人と会えてよかったということがあります。登壇者が豪華で幅広いジャンルの方だったということもあると思うのですが、これまで別々の場所で会っていたような人たちが一同に会していた感覚がありました。たとえば、企業関係の方ともここでたくさん会えるようになったような気がします。大学・高校関係者においても、少しずつ幅が広がっているのかなということを感じました。

結局のところ、現在は「高校」「大学」「企業」でそれぞれで何をすべきかは、それぞれの人たちだけで考えていても難しいという状況があると思うんですね。たとえば、これから「大学」がどうあるべきかを考えるためには、高校を見つつ、企業を見つつではないと決められない部分が大きいと。そういう意味では、今回のように、それぞれの人たちが「我々はこう思う」という意見を話せる場があるというのは意義が大きいのかなと感じました。

全体を通してあっという間に時間が過ぎ、これからこんなことをやろうと思えるような刺激をもらいました。今後は私自身もここで話題提供できるような実践、研究ができるようにいろいろ試していきたいなと思います。

以上、超速報版のまとめでした!

(速報版なので、誤字脱字、文章がおかしいところがあれば適宜修正いたします笑)

■参考記事

ちなみに昨年度のこのイベントについてまとめているのでよろしければご覧くださいませ。

「大学生研究フォーラム2013」に参加してきた!:学生のうちに経験させたいことはなにか?
https://www.tate-lab.net/mt/2013/08/2013forum.html

ジグソーメソッドについて学部4年生のころにメルマガで執筆したものがあるのでこちらもよろしければご覧くださいませ。

「5分でわかる学習理論講座」第7回:ジグソーメソッド
http://fukutake.iii.u-tokyo.ac.jp/archives/beat/beating/018.html

■関連する書籍

電通育英会・京都大学とは、私が東京大学にいたときに共同研究をさせていただきました。成果はこちらの書籍にまとめられています。私はこの書籍のなかで「異質な他者とのつながり」について考察をしました。今後今回の研究をいろいろな方向で発展させていきたいと思っています。

活躍する組織人の探究: 大学から企業へのトランジション
東京大学出版会
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「大学生研究フォーラム2013」に参加してきた!:学生のうちに経験させたいことはなにか?

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さて、さきほど東大で開かれた「大学生研究フォーラム2013」に参加してきました。フォーラムに参加した感想を速報版というかんじで、終了直後にブログとして公開したいと思います!

主に参加中に自分がツイートしていた内容に補足するようなかたちで更新したいと思います。

■大学生研究フォーラムとは?

フォーラム自体の説明は以下になります。

2008年の第1回開催から数えて6回目を迎える「大学生研究フォーラム2013」。

初めての首都圏開催となる今回は、グローバル化が進み、政治・経済・生活が大きく変化していく中での企業の進化に注目。今、企業がどのような変貌を遂げつつあるのか、その変化に大学や大学生はどう対応すべきなのか、そのために必要な学びとは何かについて考えていきます。

【公益財団法人 電通育英会設立50周年事業】 東京大学/京都大学/電通育英会共催

主催の電通育英会様とは、現在東京大学の中原研究室が、大学と社会をつなぐトランジション調査をしており、私もそのプロジェクトで関わっています。いままさに分析、執筆中ですので、成果発表を楽しみにしていただければと思います。

それでは各先生のお話を聞いていて個人的にポイントだと思った点を書いておこうと思います。

■安西祐一郎先生のお話のポイント

「教育が日本をひらくグローバル世紀への提言」というお題で発表されました。面白いと思ったポイントは以下です。



豊かな学びをするためには、学習リソースが必要なのですが、それらは全て主体的な態度を前提にしているわけなのですよね。ではその主体性、もっと具体的にいえば「学びたい」という気持ちをいかに支援できるのかということを思いました。安西先生のお話は午後の溝上先生のご発表とも関連が深いと思いました。

■溝上慎一先生のお話のポイント

溝上先生のご発表で面白いと思ったのは以下のポイントです。



これはいま溝上先生と一緒に共同研究をしている内容とも関連する話になります。

安西先生のお話とも関連しますが、どれだけ豊かな環境を作ったとしても、主体的に学んだり、関係性を作ったり、将来についての見通しを持ったりしていなければ、結局は効果を持たないという話でした。たしかにというかんじですね。

しかし、その3つをだれがどのように育てるのかはまた問題ですよね。本田由紀先生も以下のようにつぶやいておりました。



ここはなかなか難しいですね。もう少し議論していくポイントなのかなと思いました。

■佐藤博樹先生のお話のポイント

佐藤先生のお話で面白かったのは以下のポイントです。



佐藤先生のご発表では、「インターンシップ」をテーマに、企業にとっても、学生にとっても意味のあるインターンシップの形はなにかということについてお話されました。

インターンシップは、通常どうしても「大学は企業の迷惑にならない人を出す」(つまり、優秀な人)ということになりがちで、そうすると、結局インターンシップが必要な人がインターンシップにいけないという状態になってしまうわけですね。

しかし、インターンシップを、企業の受入担当者の「育成の場」と捉えると、その構造を乗り越えられるのではないかというお話しでした。

受入担当者にとって、学生に対して「教えること」を重要なラーニングの機会と捉えれば、学生は「教える必要のない優秀な人」だけを送り込む必要はなくなり、必要な人がインターンシップを受けることができ、企業にとっても学習機会になってよいという循環が生まれるのではないかというお話でした。データを交えながらお話しされていて、とても面白かったです。

■文部科学省松尾泰樹さんのお話のポイント

松尾さんは大学生の留学について、データをもとにお話されました。



安西先生のご発表のときにもでてきたデータなのですが、たしかに全体的に留学の数は減っているそうなのですが、国別にみるとアメリカにいく人がものすごく減っていることが要因のようです。

しかし、アジアやヨーロッパにいく人だけみると以前より増えているそうなんですよね。なので、必ずしも全てが「内向き」とはいえない状況にあるというのが印象的でした。

■ぐるなびの田中潤さんのお話のポイント

ここからは企業の方からのプレゼンです。田中さんのプレゼンのスタートは以下の発言からでした。非常に印象的です。



大学と社会のギャップがあるなかで、採用担当者がどのように採用をするのかというお話でした。

田中さんのお話が面白かったのは「採用をこうすべきだ!」という総論ではなく、具体的に採用担当者の方がひとつずつ工夫して実践をおこなっていくことを重視されていた点でした。ぐるなびの採用セミナーの実践もとても面白かったです。

■日産の奈良崎さんのお話のポイント

日産の奈良崎さんのお話は、日産のグローバル人事マネジメントについてのお話しでした。


いま現在社内がどのようになっているかについてお話いただいたのですが、けっこう衝撃を受けました。「これからグローバル化時代が到来するよ!」っていうよりも、ある意味当たり前のように「もうすぐそこにある」ということを実感する内容でした。なかなかこうした実態についてお話を聞く機会がないので、とても貴重だなと思いました。

■総括パネルディスカッションの内容について

パネルディスカッションは、吉見俊哉先生、平田純一先生、笹倉和幸先生、大塚雄作先生のメンバーで行われました。個人的には吉見先生の以下のお話が印象に残りました。

吉見先生のお話を聞いて、あらためて今回のフォーラムで共通する「主体性」と「多様性」について理解が深まりました。

■全体の感想

ということで、ざっと全体の感想を書きました。ぼく個人の見解で書いておりますので、うまくプレゼンテーターの方々の意図を伝えられているかわからないのですが、その部分は差し引きつつ見ていただければと思います。

今回のフォーラムの感想としては、通常なかなか議論がかみ合わなくなりがちな「主体性」「多様性」「グローバル」「採用」などというキーワードを、うまくそれぞれの立場の方が「経験」「データ」「理論」などを使ってお話しされていたように思いました。議論が宙に浮くかんじがせずに、今後一つずつ進んでいきそうな期待を感じました。

主催のみなさま、先生方、プレゼンテーターのみなさま本当にお疲れ様でした!

■参考リンク

大学生研究フォーラム2013
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/2013.html

舘野のツイッターアカウントはこちらです。よろしければフォローしてくださいませ。
https://twitter.com/tatthiy

■追記(2013/8/18)

中原先生と溝上先生が当日のスライドを公開してくださっていたので、リンクを追記いたしました。

大学生研究フォーラム2013、盛会にて無事終了しました!(心より感謝です) :中原のパワーポイント資料公開
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/08/2013_3.html

溝上慎一先生のスライド(pdfになります)
http://smizok.net/%E6%BA%9D%E4%B8%8AClosing%EF%BC%88%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%94%9F%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A02013%EF%BC%89v4%200817-2013.pdf

大学生研究フォーラム2012に参加してきました!(グローバルキャリアの時代に大学教育は何ができるか)

昨日京都大学で開催された「大学生研究フォーラム2012」に参加してきました。今回のテーマは「グローバルキャリアの時代に大学教育は何ができるか」です。

今回のイベントでは現在中原研究室のメンバー(中原先生、木村君、保田さん、舘野)で取り組んでいる調査研究について、その中間報告を中原先生が代表してプレゼンテーションしました。写真は発表の様子です(木村君撮影)。

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この研究は、京都大学の溝上慎一先生らとともに取り組んでいる共同研究の成果の一部です。

発表テーマは「最近の若者は「内向き」か?海外就労意欲に影響を与える要因の探究」という内容でした。

「ほんとに若者は内向きなの?」ということを切り口に、グローバル人材について色々と言われている言説について、ひとつひとつデータから検証するというスタイルで発表を行いました。

今回のフォーラムでは、私たちの発表以外に

・溝上慎一先生によるご発表(高校や大学1・2年生にときの初期のキャリアに対する見通しの話)
・福田公子先生によるご発表(「生物学自主研究?『研究』を通して学部学生が能動的な社会的力をつける試み?」)
・勝又美智雄先生によるご発表(国際教養大学の試み「学生の国際協商力を高めるための教育・学習」)
・林雅子さんによるご発表(アサヒビール株式会社様の試み「グローバル戦略に呼応した人材開発のあり方」)

などがありました。

その発表を踏まえて、総括パネルディスカッションでは以下の先生方がコメントを行いました。

司会:松下佳代先生(京都大学高等教育研究開発推進センター)
児美川孝一郎先生(法政大学キャリアデザイン学部)
吉見俊哉先生(東京大学大学総合教育研究センター)
大塚雄作先生(京都大学高等教育研究開発推進センター)

どの発表も初めて聞くものが多く、新鮮に話を聞くことができました。

ただ「グローバル人材を育成するってどういうことなのか?」については、「うーん」というかんじで色々悩んでしまうなと思いました。

その悩みについてはいくつかフォーラム中にツイートを行いました。例えばこれです。

「結局、大学教育で育成する能力が「最低限ここまで身につけて」の話なのか、「付加価値」としての能力の話なのかがよくわからないのが、ややこしいのかも。」

グローバル人材の話に限らないのですが「こういう力が必要だ」という話になったときに、それが「ミニマムの目標」なのか「付加価値」とか「イケてる人の目標」なのかがわからなくなるなあと思いました。

グローバルキャリアというのを、ある意味で「トップ層ががんがん活躍する」という文脈に位置づけて議論するのか、「グローバル化は、全員避けられない状況にある。そんな状況下で全員が最低限やるべきことはなんなのか?」を議論する場なのかがよくわからなくなるんですね。

議論の中で「エリート」「ノンエリート」という言葉などがでてきましたが、結局のところ大学教育を語るときに、「大学」を一様に語ることは難しく、「それだれを対象に考えているの?」みたいな議論になるのかなあと思いました。

もうひとつ思ったのは、「グローバル化」ということがある意味で言えば価値の多様化・多元化ということなのであれば、必要とされている能力やゴールも多様化・多元化してもいいんじゃないのかなというのも思いました。

もちろん「全員に共通する力はなんなのか?」を問うことは必要だと思うのですが、多様化・複雑化しているのに、それらに共通する普遍的能力をつけようということになると、とても抽象的な能力かつ「あれもこれも」になっちゃうんじゃないかなとも思いました。

まあ難しいですね。

整理するなら「最低限必要な力はこれ」ということと「ゴールとしてはいろんなタイプがあるよ(例えば、専門型、職人型とか)」というのを分けて考えるということなのかもしれませんが、このあたりはちょっとまだよくわからないまま書いています。

ということで、今回はよい意味でモヤモヤが残るイベントとなりました。

結局は「グローバルに活躍する人材をどう育てるか」というより「グローバル化の進展がどんどん進む中で、大学教育どうするの?」という問いの方がしっくりくるのかもしれません。

大学に対していろんなことがあれやこれやと言われますが、いきなり右往左往するのではなく、大学がその強みを生かしながら、何を変えて何を変えないかということを、ある意味で腰を据えながら、丹念に考え抜くしかないのだよなあとあらためて思いました。

大学はこれからどうあるべきでしょうかね。
何ができて、何ができないのでしょう。

よろしければご意見ぜひ聞かせて下さいね。

■参考リンク

発表内容については、中原先生のブログに紹介されているので詳しくはそちらをご参照下さい。

大学生研究フォーラム2012が終わった!:グローバル時代の大学生のキャリア、能力開発
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/08/2012_1.html

また、当日の議論については京都外大の村上先生がツイートをまとめてくださいました。
こちらをご参照下さい。

大学生研究フォーラム2012
http://togetter.com/li/358738

■参考図書

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