気がつけば今年も残りあと少しですね。今年も「これまでにやったことがないこと」にたくさんチャレンジできた年でした。そのチャンレンジについて少しずつこのブログで振り返っていければと思います!

第一弾は「ケーススタディ型ワークショップの開発」についてです!このワークショップは、「いきいき研究室増産プロジェクト」のみなさんと一緒に開発を行いました。ケーススタディはまったく作ったことがなかったのですが、結果的に今年のうちに教材の開発から、ワークショップの実施までをお超えたことになります。これもいきいき研の岡本絵莉さんや宮野さんのおかげです。

ケーススタディの内容は「研究室マネジメント」に関する内容です。「研究室をどのようにマネジメントしたらよいのか?」を検討する素材として、ケーススタディを作成しました。

タイトルは「研究がうまくいかないのはだれのせい?」というものです。ドキッとさせるタイトルにしてあります(笑)ワークショップは今年3回実施しました。日本教育工学会でも実施を行いました。

このケーススタディのワークショップは、2011年1月24日(月)に開かれる「いきいき研究室のフォーラム」でも実施される予定です。もし興味のある人は、参加者募集中ですので、下記のページからお申し込みください。

【参加受付中】いきいき研究室増産プロジェクトフォーラム2011-研究室での教員-学生間コミュニケーション再考? -いきいき研究室増産プロジェクト
http://bit.ly/gulk7p

今回の記事では、ケーススタディ型ワークショップをやってわかったことや、つくってみたときの感想についてまとめてみようと思います。

◯ケーススタディ型ワークショップのいいところ

今回ケーススタディをやってみてわかったことは、以下の点です。ケースがある強みをかんじました。

・ケースという具体的な状況を共有して議論するので、多様なバックグラウンドをもった人でも対話することができる
(話は理系の研究室であるが、文系の人も議論に参加できる)

・具体的な状況を共有して議論するので、議論が空中戦になりにくい
(「研究室のマネジメントはさー」という話にはならず、「だれが何をする」というレベルになる)

・ケースを通して議論したとしても、気づくと自分の研究室と照らし合わせている
(「うちの研究室でも・・・」という話になる)

他にもあるかもしれませんが、ざっと見たところはこんなかんじでしょうか。やはり共通の土台を作れるというのは大きいです。

多様な人達を集めて、「研究室マネジメントについて議論しましょう」とやったとしても、やはりどうしても噛み合わないことがでてしまうと思うのですが、状況をシェアしていると多様性がいきるのかなと思いました。

◯ケーススタディ型ワークショップの難しい点

一方、このタイプのワークショップを作る難しさとしては以下の点を感じました。

・ケースは具体的で感情移入できるもののほうがよいが、あんまり具体的すぎると、対象者を選んでしまう
(めちゃ理系にありがちな状況にすると、今度は文系の人的には感情移入できない)

・ケースで学んだことを、普段の研究室マネジメントにどのように応用するべきか?
(これはどの研修にも関することかもしれませんが)

ケースならではの難しさは一点目かもしれませんね。また、ケースによると思うのですが、明確に学ぶことがあるようなケースではなく、いろいろな解釈ができるものであればあるほど、当日の活動やファシリテーションにも工夫の余地がたくさんあるように思いました。これもやりながら成長していくものなのかなと思いました。

◯ケーススタディ型ワークショップをつくってみて

ケーススタディ型ワークショップをつくってみて思ったのですが、「ケースを作る上」でとても重要なのは、

・ケースになるような「日常の些細だけど重要な出来事」をキャッチできるか
・その出来事をうまく物語として表現できるか

の2点であるように思いました。

今回作成した「研究がうまくいかないのはだれのせい?」については、僕が話のタネになるような出来事をピックアップし、岡本さんがそのケースを物語として表現するといったかたちで作成しました。

結果的にはこれがうまくハマり、架空の「広尾研究室」が誕生しました(笑)広尾研究室は超伝導の分野で有名な研究室という設定で、主人公であるM1の昌子の研究がうまくいかない原因を探るといった内容になっています。

主人公の昌子の状況がけっこう不憫で、「昌子」という人物はいないはずなんですが、「昌子がさー」と思わず語りたくなるようなストーリーです(笑)ワークショップの参加者が、ワークショップ後に「いやー、でも昌子がさー」とか話してくれていると、作り手としてはなんだかちょっとしてやったりなかんじでした。

◯ケーススタディをつくってみて思った意外な効果

ケーススタディをつくってみた意外な効果としては、

・状況をケースにまとめるだけでも意味があると思ったこと
・ケースを読むだけで元気になる人がいるかもしれないこと

の2点です。

1点目は、研究室にありがちな状況をケースというかたちでまとめるだけでも、「ああ、こういう状況ってよくあるんだ」ということで、形になり、ノウハウとして共有することができるのかなと。ありがちな状況をしっかり形式知化していくこと自体にも意味があるのかなと思いました。

もうひとつは、参加者の人に言われたことなのですが、「このストーリーを、昌子(登場人物)と同じような状況になっている人に読ませたら、それだけでも救いになるんじゃないの?」ということでした。

元々はマネジメントを考えるための素材として作ったのですが、この物語自体がもしかしたら、救いになるのかもしれないと思うと、それは面白いなと思いました。

◯まとめ

さて、今回は今年チャレンジしたことの1つ目として、「ケーススタディ型ワークショップの開発」をやってみてわかったこと、について記事を書きました。

やっぱりやってみてわかることはとても大きいですね。

ケーススタディをつくることは、
・「状況を物語にしてみること」
・「物語を共有した上で、みんなが語ること」
・「物語を読むことで得られる物」

とはなにかについて考える、非常によいきっかけになったように思います。

最初にお知らせしたとおり、このケーススタディのワークショップは、2011年1月24日(月)に開かれる「いきいき研究室のフォーラム」でも実施される予定です。興味のある方はぜひご参加下さいませ。

申し込みフォームはこちら!

【参加受付中】いきいき研究室増産プロジェクトフォーラム2011-研究室での教員-学生間コミュニケーション再考? | いきいき研究室増産プロジェクト
http://bit.ly/gulk7p

次回はなにを振り返るかまだ未定ですが、今年も残り僅かなので、いろいろブログに書いていきたいと思います!

◯ケーススタディに関連する記事

【ワークショップ】「研究がうまくいかないのはだれのせい?」を実施した! – tate-lab – 教育・学習について研究する院生のblog
https://www.tate-lab.net/mt/2010/09/post-188.html

【書評】ケーススタディを具体的に知りたいあなたへ- 企業内研修にすぐ使えるケーススタディ – tate-lab – 教育・学習について研究する院生のblog
https://www.tate-lab.net/mt/2010/08/–3.html

いきいき研究室増産プロジェクト
http://www.ikiiki-lab.org/

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