月別アーカイブ: 2012年11月

「大学の歴史」から「これからの学び」を考える

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最近あらためて「大学の歴史」に関する文献を読んでいます。大学の歴史を振り返ることは「いまの大学」や「これからの大学」を考える上で有効でしょう。

今日はそこで学んだことを少しだけ書いておこうと思います。ブログ&手元に本を置いて書いているわけではないので、ざっくりになりますがそのあたりはご了承くださいませ。今回の内容は主に吉見俊哉先生の本「大学とは何か」がベースになっています。全部ではないですけどね。

大学の歴史について非常にざっと分けるならばこんなかんじになるかと思います。

  • 大学の誕生(12世紀の西ヨーロッパ)
  • 大学の拡大(14世紀から15世紀)
  • 大学の一時的衰退(16世紀から17世紀)
  • 大学改革による再興(17世紀から19世紀)
  • 大学の拡張(20世紀以降)

ブログなので非常におおざっぱに書いていますが、だいたいこのようなかんじではないでしょうか。時代の流れの受けて、「大学」の持つ意味は少しずつ変わり、現在のカタチにつながってきています。

あらためて歴史を振り返ると「大学って昔はこうだったんだ」といったものや「昔もこんな問題で悩んでいたのね」という驚きがあります。

例えば、12世紀の「大学のはじまり」を考えてみましょう。もともと大学は「国がお金をたててつくったもの」というよりも「教師、そして学生たちの組合」というところからスタートしました。

面白いのは12世紀当時の大学は建物を自前で持っているわけではなく、都市の建物や施設を間借りして学問を行っていたそうです。また、当時の学生は新しい知識を求めて都市から都市へと移り住みながら遍歴をし、数多くの大学に通って学識を深めていたそうです。

これらのイメージはだいぶいまの大学と異なりますよね。むしろ私はこのときの「大学の誕生」のような風景が、いま大学以外の場で起こっているように思いました。

「教え手」たちが自由に集まり、「建物」はもたなくても「空間」をかりて学びの場をつくる、そして、「学び手」たちは自由に都市を移動するというのは、なんとなく「いまっぽい」かんじもしませんか?

このように、大学の歴史を振り返ってみると「大学はこういうもの」というイメージや意味合いが昔からずっと同じではなかったという、当たり前の事実に気づきます。「大学と国の関係」、「大学と資格、職の関係」、「大学と大学以外の教育機関との関係」など、さまざまな要因を受けて、大学の意味の意味はかわっていきます。いまは「大学とは何か?」が揺らいでいる時期かもしれませんが、こうした時期を迎えるのは大学の歴史上初めてのことではないということにも気がつきます。

大学の歴史について考えることは、新たな教育の「実践」を考える上でも有効だと思います。

例えば、私はここ一年くらい「Unlaboratory(アンラボラトリー)」というコミュニティをつくり、「プチ学会」というイベントを行っています。

「Unlaboratory」とは、「Un+Laboraotry」、すなわち「研究室ではないあらたな研究室」を考えるものです。これは僕の中ではこれからの「大学のあり方」や「研究機関のあり方」を考えるという大きな意味も持ちながら活動しているのですが、その活動の意味を考える上でも、大学の歴史をあらためて考えることは重要なのだということを実感しました。

大学の歴史を振り返ることは、大学関係者だけでなく、これからの教育や学びについて考えたい人にとって多くのヒントがあると思います。新書もでていますから、一度読んでみるのはいかがでしょうか。

■参考図書

今回特に参考にしたのはこちらの本です。

大学とは何か (岩波新書)
吉見 俊哉
岩波書店
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日本の大学についてはこちらの本が詳しいと思います。

大学の誕生〈上〉帝国大学の時代 (中公新書)
天野 郁夫
中央公論新社
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■参考リンク

学びの風景をイメージできるか?:空間デザインの基礎体験ワーク

IMG_4947_large.JPGのサムネイル画像

10月のことですが、慶應大牛島ゼミ・法政大長岡ゼミの学部生のみなさんと合同ゼミを行いました。中原ゼミからは、中原先生と舘野が「場を作ること」について話題提供を行いました。

僕が担当したのは「空間デザインの基礎を学ぶワーク」でした。最初のプチワークのようなもので時間でいうと30分くらいですかね。

「空間デザインの基礎」といっても、大それたものではなく、言ってしまえば「会場設営」をしてもらうというものです。机や椅子を片付けて、人数分のグループの島をつくるというシンプルな活動です。これは一見簡単な作業に思えますが、実は大事な要素がたくさん含まれています。

会場設営をしてもらう前に、私から以下の点をプレゼンテーションしました。

  • 場作りにおける見た目の派手さを支える堅牢な「裏方」の大切さ
  • ディテールの大事さ 人の動きをイメージできるかどうか
  • チームで戦うことの重要性(役者、舞台監督などなど役割はさまざま)
  • 場作りの実際の事例(写真をつかって紹介)

今回の課題においては、特に「人の動きがイメージできるか」がポイントになります。人がどう動くのか、そして、どうなっていると心地よいのかなどをイメージしながら場を作ってほしいことを伝えました。

課題はさきほども言ったとおり「机や椅子を片付けて、人数分のグループの島をつくる」だけです。課題をミニマムに達成するだけなら非常に簡単なものです。しかし、さきほどのポイントをおさえようと思うと、色々考えることがあります。

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設営をはじめると、動き始める人や、指示をする人など、いろいろな会話が聞こえ始めました。

  • 人数は最終的に何人いるのかな?
  • ひとつのグループに何人座ってもらう?
  • 荷物はどこにおこう?
  • ホワイトボードが見やすい配置にしたほうがいいよね
  • ごはんの場所、どこだととりやすいかな?
  • 食べ物はどこだととりやすいだろう
  • あまった机とイスがじゃまだよね

こうした会話をしながら、徐々に設営をしていきます。

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つくりながら、色々細かいところに気がつき、少しずつ工夫が入っていきます。

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最終的には自分が予想していたものよりも、ずっとよい空間ができあがりました。

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健闘をたたえて乾杯の様子(お茶ですw)

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色々な工夫があったのですが、細かいところとしては例えばこんなところが工夫されていました。

  • 机の角度を変えて、前が見やすくする
  • 明日がコードに引っかからないように線を結ぶ
  • ペンと付箋の置き方を工夫する
  • いらない机や椅子を見えないところにしっかり片付けておく

この他にも、いろいろなところに工夫がこらされており、気持ちの良い空間が出来上がっていました。ひとつひとつは小さなことかもしれませんが、積み上がることでまったく違った雰囲気ができあがってきます。この活動を終わった後に以下の点についてプレゼンテーションを行いました。

  • 場作りにおいて事前のプランは大事だがつくってみてはじめてわかることがある
  • 即興的にどう対応できるか
  • 人の動きをイメージすることができるのか
  • ディテールが詰め切れているかどうか

これらの点を押さえることの重要性について話をし、このワークは終わりました。

今回やったことは「30分の会場設営」でした。しかし、「ただ準備をする」のではなく、「頭をつかって」動いてもらうことを目的にしました。

基本はやはり「人の動きをどこまでイメージすることができるのか」が重要になります。「学びの風景をイメージできるかどうか」といってもいいかもしれません。このイメージを持つことが、ひとつひとつのデザインにものすごく効いてくるんですよね。ひとつひとつは小さいことでも、それが積み重なることで、最終的にできあがる空間はまったく異なるものになります。

今回も、特に意識をしなければ「人数分の島が単純に並べられ、食べ物と飲み物が置いてある机が後ろになんとなく置かれ、荷物を置いたりする場所なども特になく、余った机や椅子もうしろにある状態」になってもおかしくないと思います。

「空間をつくるときにはこうすればいい」といったノウハウもたしかに存在するのかもしれません。しかし、「学びの風景」を描けるようになれば、どんなときにも対応することができます。「人はどうやって学ぶのか」というイメージを、ぜひ頭の中に描けるようになってほしいなと思いました。

合同ゼミでは、僕のこのワークの後に、中原先生によるプレゼンテーションや、牛島先生・長岡先生含めたダイアローグセッションなどが行われました。今回のように、学部のみなさんの前で、場を作ることについて話すことは意外になかったので、こうした機会自体が新鮮でした。お声がけしてくださった牛島先生、長岡先生、参加してくださった慶應大牛島ゼミ・法政大長岡ゼミの学生のみなさんありがとうございました。

今後も少しずつ「場作り」について体験できるワークショップを実施したり、ブログの記事を書いていこうと思っています。

参加者の山根君(長岡ゼミ)の感想はこちらです。

いつもと違う 〜東大での合同ワークショップ〜
http://www.tnlab.net/melcblog/2012/10/121021.html

【追記】牛島ゼミの学生さんの感想はこちらになります。

10月18日 【ワークショップ】

http://goo.gl/suPqG

今回の課題図書は以下の本でした。事前に読んでもらい、面白いと思った部分をひとつ選んでもらい、感想の共有などを行ったのですがこれもとても面白かったです。

文章を書くまでの「決められた段取り」をつくろう:ルーティン作りのススメ

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そろそろ12月ということで、卒論・修論が忙しくなってくるシーズンになりましたね。こんな時期なので、少しでも何か助けになるような記事を書くことができればと思います。

今日は「ルーティン作り」について書こうと思います。ルーティン作りとは、簡単にいえば「書くまでの段取りを決める」ということですね。

みなさんもイチローの話とか聞いたことありませんか?「朝食にカレーを必ず食べる」とか、「打席に入るまでの手順を決めておく」といったものです(ちなみにどうでもいいけど、イチローは最近カレーは食べてないらしいですね)。ルーティンをつくることで、変に不安な気持ちになったりせず、集中してものごとに取り組めるということが言われているようです。

文章を書くときにもこういう「書くまでの段取り作り」は大事だと思うんですよね。僕も修論を書いているときには、「書く前の手順」は決めていました。といっても、別にお祈りしたりするわけではなく(笑)、シンプルにこんなかんじです。

  1. 院生室にくる
  2. ロッカーからパソコンを取り出す(当時は家ではやらず、研究室で集中してやると決めていた)
  3. 論文の束を取り出す(必要な論文を重ねて、決まったところにおいておく)
  4. 外付けハードディスクを取り出し、パソコンに装着(MacのTimeMachineで自動バックアップ)
  5. 起動している間に、コーヒーメーカーでコーヒーをつくる(研究室にだれかいたら、一緒につくる)
  6. 加湿器のスイッチ入れる(水がなくなっていればこの間に水を補充)
  7. コーヒーできるまでにメール確認
  8. コーヒーできたら、イヤホンをつけて音楽をかけてパソコンに向かう
  9. 今日書くためのファイルを作成(冗長だけど、いつでも前のバージョンに戻れるようにしていた)
  10. 執筆スタート

たぶん、当時の院生は、僕がこれをやっている様子が思い浮かぶんじゃないかな(笑)毎日こんなかんじでスタートして、終わるときには、それらを片付けて、また次の日も、同じ手順から始まるかんじです。

こうやってスタートの手順を決めておくと、余計なことを考える必要がありません。毎日同じペースで書き続けることができます。もちろん、その日によって進んだり、進まなかったりはするんですが、少なくとも「書き始めるまでの時間」が素早くなるんですよね。

ほら、あるじゃないですか。そもそも気分がのらずに「書き始めるまでの時間」がやたらとかかっちゃうみたいな。書く前での手順を決めておくと、そういうことにはまったく悩みませんし、とにかくいつもの手順をやることで、スムーズに「書くこと」に集中できるんですよね。

ということで、今日はルーティンづくりについて書いてみました。

修論だったり、卒論みたいなものは、「短距離走」というよりも、間違いなく「長距離走(マラソン)」的な要素がありますよね。いかに継続的にペースを崩さずに進められるかがポイントになってくると思います。そのための環境づくりをしておくことはとても大事なことかなと思うんですよね。

書くときの環境は人によって好き好きがあると思います。家の方が集中できるとか、カフェがいいとか、研究室がいいとか。でも、なんとなく「いつもの手順」みたいなものを持っておくと、「書くこと」に集中して取り組めるのではないでしょうか。

「わたしはこうしている」みたいな自分なりのルーティンがあったらぜひ教えて下さい。

ちなみに、こちらの本の中にも、「集中力の高め方(p142)」に、書くときの「自分なりの儀式をつくること」の重要性が述べられていますよ。

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オープン・イノベーションと越境学習の関係を考える

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少し前のことになりますが、「越境学習」×「イノベーション」の第二回研究会を企画しました。
今回の研究会では「オープン・イノベーション論」と「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)論」に関する話題提供を、伊達洋駆さん(株式会社ビジネスリサーチラボ)、福澤光啓さん(成蹊大学経済学部)、糸久正人さん(東京大学)からしていただきました。
毎回この研究会は、私自身の学ぶ場としているため、オープン・イノベーションの世界でどんなことが言われているのかや、イノベーションに対して社会関係資本がどのように役立つのかがわかり、勉強になりました。
細かい感想については、実はすでにtogetterにまとめているのですが、あらためてここにも書いておこうと思います。ブログですし、私の個人的な感想なので正確性はやや欠けますが、参考になる文献を提示しておきますので、気になる方はお読み下さいませ。

 オープン・イノベーションの定義は色々ありますが、すごく簡単にいえば、社内の技術を使うだけではなく、社外の技術などとコラボレーションすることでイノベーションを起こそうとするものです。全てを自社で抱えるのではなく、内と外をうまく使い分けて価値を創造していくという方法といえると思います。
 なぜ注目されているかといえば、時代的にそうせざるを得ないというのもあるのでしょう。オープン・イノベーションは自社で全てを実施するよりもスピーディーに対応できるというメリットがあります。
 ただし、オープン・イノベーションを成功させるのは本当に難しいなと思いました。当たり前ですが、他社とコラボレーションすればうまくいくというものではありません。何を「内」でやり、何を「外」でやるべきなのかという切り分けが本当に大事になります。自社の強みはなんなのかということを結局問い直すことになるんですね。
 オープン・イノベーションは、それをしようとすると、結果的に「自社の強みの棚卸し」することになり、それ自体はとてもよいことだと言われていました。このように考えると何か新しい創造するということは、自己(自社)を内省する必要があり、イノベーション論とキャリア論はけっこう接続があるように思いました。
 このように「自社の強みを知る」ことが大事な一方で、もうひとつ大事なのが「価値創造」という視点です。オープン・イノベーションの成功例というのはいくつか報告されていますが、それらの事例に共通するひとつの特徴は、結局「価値創造の仕組み」を仕掛け手の企業がもっているんですね。
 コンセプトと儲ける仕組みをしっかりもっていれば、こちらから協同する相手を探さなくても、向こうから一緒にやろうといってきてくれるわけです。その意味で、価値創造のメカニズムを持つということが、基本でありながらもやっぱり大事なんだろうなとあらためて思いました。

 オープン・イノベーションの話は、組織間の連携の話になってくるので、どうしても話のケタがとても大きく、「じゃあ個人はどうしたらいいんだろう」という気持ちにもなってきます。オープン・イノベーションなどと越境学習はどのように関係してくるんでしょうか。
 私が思うに、社外の場(勉強会など)にでることが、ただちにオープン・イノベーションにつながるということはないのかなと思います。最近イノベーション論を少しずつ勉強していて思いますが、イノベーションが起こるためには、時間も資源もものすごくかかります。個人レベルでできることはどのくらいあるのかなと思う部分もあります。
 しかし、こうした経験がオープン・イノベーションの萌芽になるということはあるだろうなと思いました。結局、組織間の連携をし、イノベーションが起こるためには、「他社の状況や自社の強みを知った上で」、「連携相手をうまく探し」、「連携相手と協同する仕組みを模索する」ということが必要になります。
 これを行う方法はさまざまな方法があり、それぞれのメリットやデメリットがあるのですが、その一つの方法として越境学習が位置づく可能性を感じました。

ということで感想をざっと書いてみました。
「越境学習」×「イノベーション論」の研究会は、毎回経営学を研究している方をゲストとしてお呼びして行っているのですが、私自身にとっても分野を越境する機会になり、非常に勉強になるとともに、「どこに接続点を見いだせるのか」を即興で考えるため、なかなか頭を使う場でもあります。
「研究分野ではこういうことがわかっています」ということをお伝えする場にすることはなかなか難しいのですが、研究者や実務家など、さまざまな視点を持ち寄ることで、新たな視点が生み出せればと考えています。
今回話題提供してくださった伊達洋駆さん(株式会社ビジネスリサーチラボ)、福澤光啓さん(成蹊大学経済学部)、糸久正人さん、参加して下ったみなさま、本当にありがとうございました。
この研究会はまた第三回も実施する予定ですので、気になる方はぜひご参加下さい。また応募はこちらのサイトで告知いたします。
■参考図書
一橋ビジネスレビューがちょうど「オープン・イノベーション」の特集でした。こちらはとてもわかりやすく、大事なポイントがまとまっていると思います。

最近シェスブロウさんの新刊もでましたよね。

オープン・サービス・イノベーション  生活者視点から、成長と競争力のあるビジネスを創造する
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このブログのもとにした自分のツイートのまとめはこちらです。
第二回 「越境学習」×「イノベーション論」の研究会に関する連続ツイート
http://togetter.com/li/402779

「レポートの書き方・研究のやり方」に関する記事を再まとめ!

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「レポートの書き方・研究のやり方」については、すでに「NAVERまとめ」という外部サービスを使ってまとめていたのですが、別に外部サービスである必要もないなと思ったので、自分のサイトの中にも「まとめ」をつくっておきました。NAVERまとめのものよりも、少しだけ記事を加えてあります。

学部生から院生まで、幅広い方に読めるようになっています。ひとつくらいなにかささるものがあればいいなと思います。

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
http://www.tate-lab.net/mt/report-writing.html

こうした研究のtips集みたいなものは、自分自身の研究テーマに近いというのもあるんですが、それ以上にやはり「体で覚えた」ものもすごく多いですね。

「自分自身がひどいめにあった」とか、「後輩への研究指導のときに繰り返し指摘するポイント」などがまとまっている気がします。かなり経験的に得た知見の方が多いかもしれませんね。みなさんも自分なりのtipsみたいなものを作れるとよいかなと思います。

今回まとめたもの以外に、「こういうのも知りたい!」とか「これはどうやっているの?」みたいなものがあればぜひtwitterやFacebook、さらにはお問い合わせ欄からフィードバックいただければ幸いです。それをもとに記事を書きたいと思います。

色々思いつく度に書いていると、ある程度は網羅的に知識が集まるものですね。ちょっと本の目次っぽくていいなと個人的に充実感を感じました(笑)

ちなみに、これからもこの路線に関する記事は書いていこうと思うのですが、もうひとつこれからやろうと思っているのは「ワークショップ」とか「場作り」に関することも書いていこうかなと思っています。

別に特に理由があるわけじゃないのですが、よく考えてみると、「ワークショップ」や「場作り」の経験はたくさんやっているものの、そのノウハウだとか、それについて思うことって全然書いていないなと思ったんですよね。

「場作りの記事のまとめ」がつくれるように、少しずつ書いていきたいと思っているので楽しみにしていてください。こちらについても、「こんなこと書いてほしい」みたいなものがあれば気軽にご連絡下さいませ。

ということで、今日はお知らせでした。あらためてリンクはこちらです。

僕のウェブページ上部の「レポート・研究の進め方のアドバイス集」からもいけます。
http://www.tate-lab.net/mt/report-writing.html

卒論・修論シーズンなので、なにかのヒントになればと思います!がんばっていきましょー。

研究室合宿の成果がカタチになった!-2012年中原研夏合宿の工夫をご紹介-

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今回は2012年中原研夏合宿について書きたいと思います!

(※実はこの記事は一度公開していたのですが、ブログの移行作業に伴い、結局「下書き」状態に戻してしまっていたので、あらためて公開します)

冒頭の写真は、研究室の夏合宿でみんなが作ったレジュメを冊子にしたものです!なんかちょっとした修士論文みたいですよね(笑)

これまで夏合宿では「教育や学習に関する学者」に焦点をあて、それをまとめて発表するという形式だったのですが、今年はちょっと工夫してあらたな形式にチャレンジしてみました。

今年の研究室の夏合宿でやったことを以下にまとめてみるとこんなかんじです。

・それぞれの研究の「源流」となるキーワードを選ぶ
例)「書くこと」「組織」「市民」「キャリア」など

・そのキーワードについてA4で15〜20枚にまとめて文章を書く

・書いた文章は合宿当日よりも前に共有し、事前に読んで簡単にコメントを書いておく

・合宿当日は、内容をプレゼンする時間は短めにとり(約7分)、各グループのディスカッションや全体での議論に時間をたくさんとる(約40分)

こんなかんじのスタイルでやってみました。

なぜこんなスタイルにしたかということについてですが、これまで色々考えていた問題点をクリアするようなかたちで考えてみました。

・まとめる形式を「ポスター」や「プレゼン」にしてしまうと、なんだかんだでその後に使い勝手が悪い。「文章を書く」という訓練にならない。
→「文章でまとめる」という形式へ

・合宿当日に発表をすると議論の時間が少なくなってしまう。せっかく集まるなら議論の時間を長く取りたい。
→当日は議論の時間を多く取るために、文章は事前に読むことにする

・せっかくレジュメをつくるなら、なんらかのかたちに残したい。ポスターだと結局捨ててしまう。
→自分が読んだりメモしたレジュメを集め、合宿中の写真などもいれて、合宿後に製本することへ

この活動はある意味でいえば、修論や博論の一章や二章を書く活動にとても似ています。

テーマベースなので、これまでのように学者ベースで調べるよりも、かなり横断的に調べることになり、正直かなりしんどかったです(笑)

でも、やはりこうやって「文章にすること」、そして「源流を意識すること」は非常に力になるなというかんじがしました。根本を問い直すというのは、日常の延長でやるよりも、合宿のようなかたちでやることの意味も感じました。

そしてなによりも、写真のようなカタチで製本されると達成感が溢れます(笑)時々読み返そうかなとも思いますしね。大事な記念になるなと思いました。

毎回合宿をするたびに、「今回はどんなプログラムにしようか」ということを考えるのですが、それはけっこう楽しいことでもあり、大変なことでもあります。

「こんなめんどくさいことなんで提案してしまったのだろうか・・・」

と思うこともしばしばあるのですが(笑)、

「せっかくやるならばなんらかのチャレンジがないとつまらない」

という気持ちでやっているのかなと思います。「大変だけど意味がない活動」はむなしいですが、「大変だけど力になる」というものだったらやりがいがあります。

今回の夏合宿のプログラムを実行する上で、M1の保田江美さんが当日の仕切りから製本といった細かい作業までいろいろやってくれました。ありがとうございます。そういう部分を支えてくれる人がいるからこそ、アイデアがカタチになるというものですよね。

次の春合宿、夏合宿ではまたどんなことをやるか謎ですが、どんなことをやったかはまたブログに書きたいと思います。

■これまでの合宿に関連するブログ記事

新しい研究室合宿をデザインする! – 中原研究室 春合宿(EnCamp)の舞台裏 –
http://www.tate-lab.net/mt/2012/03/–encamp-.html

教育・学習に関する「偉大なる理論家」たちを知る旅 – 研究室の合宿準備中
http://www.tate-lab.net/mt/2010/09/2010summer-lab.html

教育・学習に関する古典を読みまくる! -研究室の夏合宿2011が終わった-
http://www.tate-lab.net/mt/2011/10/summer2011.html

■今回読んだ本のひとつ

僕は源流を探るという意味でこちらの本を読み直していたりしました。大変でしたが面白かったですね。ソーシャルメディアによる「書くこと」の理解などにも役に立つのではと思いました。

声の文化と文字の文化
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近況報告:最近実施した5つのプロジェクト(アートから出版まで)

最近いろいろな企画・プロジェクトに参加しているのはよいのですが、「ちゃんとブログに書こう!」と思うとなかなか書けなかったりします。

ということで、最近実施した5つの企画・プロジェクトについて、少しダイジェスト的に報告しておこうと思います。それぞれについて詳しく語りたくなったら、また別エントリーで書こうと思います。


  1. 合同ゼミ企画の実施(慶應大牛島ゼミ・法政大長岡ゼミ・中原研究室)
  2. 「対話型鑑賞法」などアートの実践について考える
  3. 「越境学習」×「イノベーション論」の研究会の実施
  4. 学芸大学における卒業論文の書き方講座の実施
  5. 本の出版&出版記念イベントが開かれます

1.合同ゼミ企画の実施(慶應大牛島ゼミ・法政大長岡ゼミ・中原研究室)

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10月のことになりますが、慶應大牛島ゼミ・法政大長岡ゼミの学部生のみなさんと合同ゼミを行いました。大学の枠を超えた学部生同士のゼミを、東大で行い、中原先生・舘野が「場をつくること」について話題提供をするといった会でした。

僕は

・参加前に読んでくることになっていた課題図書の面白いと思った部分を写真で共有
・当日即興場作り体験

という2つの活動をデザインしました。場作りの詳細について別エントリーでご紹介します。

当日の様子は法政大の山根くんがブログに書いてくれているのでこちらを読んでいただければと思います。

いつもと違う 〜東大での合同ワークショップ〜

http://www.tnlab.net/melcblog/2012/10/121021.html


2.「対話型鑑賞法」などアートの実践について考える

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これは企画やプロジェクトというわけではないのですが、10月に「対話型鑑賞法」の教育を実践している京都造形大学の授業を見学させていただいたり、話を聞かせていただくことができました。

この他にも最近アートと教育に関連する方々に色々話を伺ったりする機会があるので、ここで考えたことを少し整理してブログに書きたいと思っています。
(京都造形大学のみなさん、平野君、三宅君、吉川久美子さんありがとうございました。)

考えたことの一部は、ツイートをして以下にまとめてありますのでよろしければご覧下さい。

対話型鑑賞法に関する連続ツイート
http://togetter.com/li/398843

平野智紀くんがやった対話型鑑賞法のイベントに関するレポートはこちらです。

渋谷ってどんな街?:まれ美@co-ba libraryに参加してきた!
http://www.tate-lab.net/mt/2012/10/co-ba-marebi.html


3.「越境学習」×「イノベーション論」の研究会の実施

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11月に株式会社ビジネスリサーチラボの伊達洋駆さんとともに「越境学習」×「イノベーション論」の研究会を行いました。今回の研究会では、「オープン・イノベーション論」や「社会関係資本論」等をテーマに議論を行いました。

今回の研究会も募集人数をはるかに超える参加者の方にご参加いただきました。ご参加いただいたみなさんありがとうございました。

研究会で感じたことについてはこちらも連続ツイートとしてまとめてありますのでぜひご覧下さい。こちらの研究会については、詳細をpdfのレポートとして配信する予定です。出来上がりましたらまたこちらでアナウンスいたします。

第二回 「越境学習」×「イノベーション論」の研究会に関する連続ツイート
http://togetter.com/li/402779


4.学芸大学における卒業論文の書き方講座の実施

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11月に東京学芸大学に「卒論への旅」という「卒論の書き方講座」を実施してきました。これは学芸大学の授業外講義を提供している「学芸カフェテリア」さんに呼ばれて、実施をしてきました。

今回の講座では、主に学部3年生を対象に、卒論を書くまでのプロセスを「物語形式」で体験してもらいながら、卒論を書くために重要なポイントを押さえてもらうというものでした。参加してくださった方がとても積極的で、やったかいがあったなと思いました。

一緒に企画を実施した眞崎光司さん、呼んでくださった学芸カフェテリアのみなさま(特に番田さん、清水さん)ありがとうございました。

学芸カフェテリア
http://www.u-gakugei.ac.jp/~cafepro/g-cafe/

僕のブログでこれまで書いた文章の書き方などに関する記事はこちらにまとめてあります。

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133342163910863801


5.本の出版&出版記念イベントが開かれます

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12月の中旬に「プレイフル・ラーニング:ワークショップの源流と学びの未来」(三省堂刊:上田信行・中原淳著)という本が出版されます。

この本には私も4ページほどですがコラムを掲載させていただいています。

「予定調和を超えた場作りの系譜とその特徴」という内容です。「アンカンファレンス」という手法につながるまでの流れや、アンカンファレンス型の場作りの特徴をについて、これまでの方法と比較しながら説明しているものです。よろしければぜひご覧下さいませ。

また、この出版に関連して、12/8,9に奈良でイベントを行います。このイベントの企画にも携わっています。本やイベントの詳細は以下のFacebookページに情報が集まっていますのでぜひこちらもチェックして下さいませ。よろしければぜひ「いいね!」も教えていただけますとうれしいです!

Toyful Meetup 2012
https://www.facebook.com/ToyfulMeetup2012


ということで、ざっと5つ書きました。こうやって書いてみると、それぞれについて詳しく書きたくなってきますね。それに、「あっ、これもやったわ」っていうものもまた思い出しました。書き始めると長くなると、今回はダイジェスト的にまとめました。

来週はそれぞれについて一日一個ずつくらいブログを書けると一番よいのですけどね。

それぞれの企画は今後もつながりがあるものですので、興味のある方はぜひイベントにご参加ください。また、最近、ゲストとしての話題提供やワークショップの企画・相談の依頼を少しずつ受けております。もしなにかありましたら気軽にお声がけいただけますと幸いです。

お問い合わせはこちらから
http://www.tate-lab.net/mt/contact/

なかなか整理できていないのですが、これまで実施したワークショップ・イベントも少しずつ整理しておりますのでこちらもご参照くださいませ。
http://www.tate-lab.net/mt/post-1.html


今回紹介した企画に関する書籍一覧

合同ゼミではこちらの本が課題書籍でした。私も対談の中で登場します。

知がめぐり、人がつながる場のデザイン―働く大人が学び続ける
私の中の自由な美術―鑑賞教育で育む力
上野 行一
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職場学習の探究 企業人の成長を考える実証研究
中原 淳 木村 充 重田 勝介 舘野 泰一 伊勢坊 綾 脇本 健弘 吉村 春美 関根 雅泰 福山 佑樹 伊澤 莉瑛 島田 徳子
生産性出版
売り上げランキング: 162687
新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
戸田山 和久
NHK出版
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プレイフル・シンキング
上田 信行
宣伝会議
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「とにかく一度書いてみること」のススメ

最近色々なところで卒論を書いている人へのアドバイスをする機会がありました。修士論文の提出もそろそろということで、最近文章を書いている人へアドバイスすることが多いです。

アドバイスをしていて最近いつも繰り返しいっているなと思うことは「迷っているなら、とりあえず一度書ききってみたほうがいいですよ」ということなんですね。

どういうことか?

それは「書く前にあまりに考えすぎではないか?」ってことなんですね。

これ言い方はとても難しいですけどね。

もちろん文章執筆に関する研究においても「書く前の下準備」の大事さっていうのはとても強調されていて、「プランなしに、思いついたことを書きつらねる」っていうのは初心者の方略として捉えられているんですね。

だから、文章を書く前に、きっちりと

・アウトラインをつくってみる
・構造を意識して図式化してみる

というのは大変に重要かつ効果的なスキルなのです。
これが無意味だということでは決してありません。

しかし、あまりにプランのところに時間を取りすぎてもかえって先に進まないのかなと思います。

ある程度のプランができたら、とりあえず書いてみる。

書いてみることで、「意外にここつながらない」「思ったよりスムーズにつながった」という発見があると思うんですね。

それを踏まえて、またアウトラインを考えてみるとか、構造を作り直してみるということがあってもいいのではなかと思うわけです。

別のパターンとしては「一見アウトラインに見えるけど、アウトラインになっていない」という場合もあります。

だから事前に色々作っているけど、進まないというかんじです。

これは結局「アウトライン」ではなく「項目の羅列」になっていて、意味的な連関が見えない場合ですね。

例としては、
・学校について書く
・最近の教育について
みたいなかんじです。

これはもちろんファーストステップとしてはとても大事なのですが、これを深めていくならば、

「そこで主張したいことはなんなのか?」
「その主張は何をもって裏付けるのか?」

ということを意識してみる必要があるのかなと思います。

「なぜそこで、それを論じる必要があるのか」を意識してアウトラインをつくっていくと、これは結果的にはパラグラフライティングなどにもつながりますから、文章が書きやすくなるのではないかと思います。

「迷っているなら、とりあえず一度書ききってみたほうがいいですよ」

とアドバイスする理由の最後は、「書ききってみないと、そこで書いているものが妥当なのか判断できない」っていうのもあるんですよね。

例えば、卒論でも修論でもいいんですが、
「1章の内容がこれでいいのか」
っていうのは「1章だけ独立して判断すること」は難しく、
「2章で何を述べるのか、最終章の結論はなんなのか」
というふうに、他の章との連関でしか判断できないということも多いんですね。

つまり、
「最後にこんな結論にしたいなら、2章でこの話しておいたら?」
みたいに、全体のバランスや一貫性をもとにアドバイスすることが多いわけです。

その点においても、粗くていいから一回書いてほしいんですね。

「ある文章」や「あるフレーズ」の大事さというのは、「その文章そのものの価値」というのもあるのですが、「その文章がどういう状況ででてくるのか」という文脈もまた非常に大事なわけです。

そのためには、粗くてもいいから「文脈」をデザインしてほしいんですよね。

ということで、今回は「とにかく一度書いてみること」について書いてみました。
最近あらためて

Done is better than perfect(完璧を目指すよりまずは終わらせろ)

という言葉の大事さをかみしめています。

これはFacebook社のマーク・ザッカーバーグさんが言った言葉と言われてますよね。

完璧を目指すあまりに手がとまることはよくありますが、まあ一度つくってからブラッシュアップしたらいいじゃないってことだと思います。

ちなみに、この気持ちを忘れないようにと、中原先生バージョンを作成し、研究室に貼っておきました。
(気が向いたらそのうち写真をアップしますw)

これを読んでくださった方も、ぜひ自分だけのお手製の「Done is better than perfect」ポスターを作成して壁に貼っておくとよいと思います(笑)

Googleのイメージ検索してみると、どういう画像がわかると思います。

http://goo.gl/Ae4RN

まあ文章書くことは大変ですが、楽しみを見いだしながらうまくやれるといいですね。

これまで書いた文章の書き方などに関する記事はこちらにまとめてありますのでご覧くださいませ。

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133342163910863801

大学で書く文章に関する書き方本としては、この本が一番好きです。最近新版になりましたね。

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
戸田山 和久
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