「ロジックだけでは思いはつたわらない!」という副題通り、ストーリーを使って人を話し方について書かれた本です。

冒頭にこんなことが書かれています。

 人を動かす優れたリーダーは、仕事の事務能力やスキルの面で優秀なのはもちろんですが、部下や周囲との信頼関係を築く能力が非常に優れているという事実でした。
 信頼関係を築くためには、「相手に共感する」能力と同時に、「相手を共感させる」能力が重要だということもわかりました。
 それはなかなか話が通じない人にも理解しやすい、「共通言語」への転換装置として、強力な武器になるのです。

なるほど。たしかに最近、ロジカル系だけではなく、「共感」「ストーリー」という言葉もよく聞きますよね。

本書の目次を見ればわかりますが、なぜ共感が大事かということをのべ、それをどうつくるのかという方法を2章以降で述べていきます。

第1章 人を動かす3つの条件(どんなに正しい理屈を並べても人は動かない
人を動かす3つの条件 ほか)

第2章 共感をつくり出す「ストーリー」(ストーリーで語る4大メリット
ストーリーには王道の基本型がある ほか)

第3章 共感を生み出す「プレゼンス」(人は「信頼」があって初めて「共感」する
プレゼンスを磨けば、おのずと信頼を得られる ほか)

第4章 共感をつかむ「会話反射神経」(今、目の前にあるものを表現できますか?
アドリブは思いつきでは話せない ほか)

第5章 「共感」で人を動かす話し方(「人を動かす」際に陥りやすい5つの落とし穴
ウォーキング・マネジメントのすすめ ほか)

僕が面白かったのは2章に書かれている具体的な「ストーリーの作り方」です。詳しくは本書を読んでもらうとして、大枠をここで紹介したいと思います。作り方は5つのステップです。

STEP1 ストーリーを掘り起こす
ストーリーを掘り起こすためには、自分の感情の動きをグラフに表してみるという作業をします。まずは自分の中の材料を掘り起こすイメージですね。

STEP2 ストーリーを選択する
次に、その材料の中から自分にとって転機になったようなストーリーを選択します。

STEP3 タイトルをつける
自分の経験にタイトルをつけます。タイトルをつけることで、方向性が見えてきます。

STEP4 ストーリーを組み立てる
経験に対する「解釈」と「意味づけ」をします。ここはかなり大事なポイントですね。

STEP5 ストーリーを声に出して読み、練習する
聞き手の立場になって練習してみます。

「ストーリーで話すことが大事!」と言われても、なかなかストーリーを作るのは難しいですよね。

最初はこういう枠組みを利用してみると、ストーリーを語るときのコツみたいなものが見えてくるんじゃないかと思います。

ストーリーが大事と言われても、どうもよく分からないんだよなあという方にはおすすめの一冊かもと思います。

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