最近「大学におけるグループワークのやり方」や「本を読む習慣をつける方法」に関する記事を書きました。今回は少し視点を拡げてみた記事を書いてみようかなと思います。

大学教育関係者の人はすでにおなじみだと思うのですが、このブログを読んでくれている大学生や社会人の方に、自分がまとめる機会も兼ねて、「大学教育がいまどういうふうに語られているか」について、ちょっとだけご紹介してみようかなと思います。

ブログなので非常にざっくりした説明になりますが、そのあたりはブログの限界ということでご了承くださいませ。

・大学教育の改革が求められている理由

まず前提としてですが、大学教育は改革が必要と言われています。その理由としてよくいわれる言葉が「ユニバーサル化」「グローバル化」の2つです。ややこしいですが、言われていることはシンプルです。

・多くの人に大学が開かれた状態になっていく「ユニバーサル化」

まず「ユニバーサル化」。これはすごく簡単にいうと「大学が一部の人だけがいくところじゃなくて、多くの人に開かれていく状態」のことを指します。よく大学全入時代とか言われてたりしますよね。昔は大学に行く人はかなり限られていたわけです。

アメリカのマーチン・トロウという研究者は、大学に入学してくる人の割合が増えると、大学教育の質が変わるよということをモデルにして示しました。トロウ・モデルと言われています。モデルの詳細についてここでは述べませんが、あえてものすごくざっくりいえば「量が増えれば、質もかわる」ということのがひとつのポイントです。

「いままで一部の人しかこなかった場所に、多くの人が参加するようになれば、その教育方法もかわらないといけないよね」というのは感覚的に理解できるかなと思います。

ちなみに、ユニバーサル化が進むと「親や家族に高等教育進学経験者がいない人」(第一世代と呼ぶらしいです)が増えてきます。ちなみにぼくも第一世代です。アメリカの調査では、第一世代かそうではないかによって、大学への適応に差があるという結果もあるようです。(日本ではまだちゃんと調査されていない状況だと思います)(※すでに色々調査がされているようです 8/23 18:30加筆)

まあそんなかんじで、大学教育がかわらないと!と言われている一つの理由は、すごくシンプルにいえば「大学にいくことが特別なことではなく、より開かれた状態になった」ということなのです。「来る人がかわれば、対応もかわる」という状態です。

・国境を越えて、社会、経済などの関連が深まっていく「グローバル化」

もうひとつよくいわれることに「グローバル化」があります。グローバル化によってどうすべきといわれているかというと、

・グローバル化のなかで日本が他の国との競争に勝てるような人材を育成すること
・グローバル化のなかで多様なひととコミュニケーションしながら問題解決できる人を育成すること

等が言われています。グローバル化する社会の中で、競争力を持ったり、こういう時代のなかでの「市民」を育てるということが大学の目標になっていたりするためです。「21世紀型市民」とか言われることもあります。

こうした背景を受けて、秋入学を検討するといった、構造的な話から、教育方法の変化まで色々な点で変化が必要になっているというかんじになります。

・外的な変化にどう対応するのか?

ということで今回は大学教育のなかでよく言われる「ユニバーサル化」と「グローバル化」についてご紹介しました。

すごく端的に言ってしまえば、こうした2つの大きな環境の変化によって、やり方をかえる必要がでてきたということです。こうした環境の変化に対応するべく、いろいろな対応策がうたれています。

例えば、ユニバーサル化については、多様な学生が入学してくる状況に対して、レポートの書き方などを含む、学び方について学ぶような授業が整備されるようになりました。

グローバル化についても、例えば秋入学の話が議論にのぼったり、さらにいえば、多様な人とのコミュニケーションする能力が求められるなど、教育方法自体も変化するようになりました。

ここで示したのはほんの一例ですが、いまなお、さまざまな改革がおこなわれているというかんじになります。

・まとめ

今回はブログなので、かなりざっくり書きました。今回は「ユニバーサル化」「グローバル化」だけについて書きましたが、実際はさらに産業界からの要請もひとつのポイントになるでしょう。

そのへん粗い議論にはなりますが、一応大学はいまそういう状況に置かれ、それに対応するような教育方法の改革をおこなっているよというかんじです。

たまにはこうやって大きな視点からみてみるのも大事なことかなと思ってブログに書いてみました。大学に関する議論を知るときのなにかの助けになれば幸いです。