フィンランドで見つけた「学びのデザイン」 豊かな人生をかたちにする19の実践
大橋香奈 大橋裕太郎
フィルムアート社
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先日『フィンランドで見つけた「学びのデザイン」豊かな人生をかたちにする19の実践』の著者である大橋香奈さん、大橋裕太郎さんらをゲストにお招きし、中原淳先生や牧村真帆さんと一緒にUSTREAMで対談を行いました!

対談の様子は録画されておりますので、興味のある方はご覧下さい。文末にリンクを貼っておきます。

今回はこの対談の中で私が気づいた、フィンランドの「学びのデザイン」を支える3つの前提について書きたいと思います。

一応最初に、簡単にこの本の紹介をします。

この本は、フィンランドの教育について書かれたものです。

これまでのフィンランド教育に関する本と大きく違うところは、「学校教育」ではなく、学校の「外」の学びの場に着目した点です。図書館や美術館など、さまざまな教育施設の実践が紹介されています。写真もたくさん紹介されていて、見ていてとても楽しくなる本です。

紹介されている事例は、どれも非常に魅力的であり、いろいろな工夫がされています。

ではなぜこうしたデザインができるのかについて、私なりに3つのポイントでまとめてみました。

1.「学び」や「子ども」をいかに捉えるか?

フィンランドで行われている教育実践は魅力的なのですが、なぜそれが実現できるのかが不思議でした。

しかし、話を聞いているとだんだん価値観のレベルで異なるのではないかという気がしてきました。

それはすなわち

・人はなぜ学ぶのか?学ぶとはどういうことか?

という学びに対する考え方や、

・子どもとはいかなる存在であるのか?

という考え方のレベルで異なるのではないかということです。

例えば、印象的な言葉に「学校のためではなく、人生のために学ぶ」というものがあります。これはフィンランドの教育の前提となる、大きな学びに対する価値観であると思います。こうした価値観の共有があるからこそ、デザインレベルでいろいろな工夫ができているように思います。

また、「子どもとはいかなる存在か」という考え方についても印象的なエピソードがありました。

フィンランドの美術館にも多くの子どもたちが来館するようです。これは子どもを「子どもが美術館にいっても・・・」とか「うるさくしちゃったらどうしよう・・・」という存在でみていたら実現しないのではないかと思います。

このように、現在のフィンランド教育がなぜこうしたかたちなのかを考えるときに、「学びとはなにか?」「子どもとはいかなる存在であるか?」というレベルで違いがあるのではないかとあらためて思いました。

つまり、こうしたコンセプトレベルでの議論をせずに、方法の部分だけを持ってきてもうまくいかないのかなと。

裏返していえば、新しい学びの場や実践をつくるときには、こうしたコンセプトレベルでの議論が不可欠なのかなと思いました。

2.「多様性」を支える「覚悟」

「フィンランド教育は非常に多様性を重視する」という話が印象的だったのですが、それと同時に、フィンランドでは「多様性を支える覚悟」があるのだなと思いました。

例えば、「教科書検定がない」というのがフィンランドの特徴とのことでしたが、検定がないということは非常にさまざまな質の教科書が出回ってしまうということです。

つまり、多様性を確保するというのはそういうリスクを背負う必要があるわけです。

フィンランドの場合は、「多様性の担保」を掲げると同時に、そのリスクをしっかり受け入れているというかんじがありました。

USTの対談中に牧村さんが話していた言葉で言うと「学びに対する責任」ですね。

こうした「覚悟」と「責任」を持つからこそ、多様性をいかした教育が可能になるのかなと思いました。

3.すでにあるものから「学びの機会を見いだす力」

フィンランドの教育は、元々あるフィンランドの国土の特徴などをうまく活かした形で教育を展開しているように思いました。

外から方法をもってくるのではなく、「持っているリソースの中から、学びの機会を見いだし、形にしていく」というスタイルが一貫していると思いました。

これはフィンランドの教育において「状況」だとか「リアルさ」を大切にするスタイルと共通しているように思います。抽象的なルールを覚えるのではなく、「状況の中から学ぶこと」を大切にするスタイルが、こうしたことを実現しているように思います。

もし私たちがマネをするとすれば、その場の持つ学びの機会を見いだし、それをアレンジすることで、リアルで、状況にうめこまれたかたちで学びを引き出すことができるのではないかと思いました。

以上が対談を通して感じたことです。

ここでまとめた通り、フィンランドの教育は素晴らしいと思うものの、それを全て日本に持ってくればよいとはまったく思っているわけではありません。

ただ、その考え方のポイントは参考にできるのではないかと思います。

考え方のポイントとはすなわち、

・学びとは何か?子どもとはいかなる存在か?を問い直し、共有すること
・多様性を活かした学びを行うために、リスクや責任を負う覚悟をすること
・自分たちの持っているリソースから学びの機会を見いだし、かたちにしていくこと

ではないかと思っています。

この3つのポイントを押さえることで、日本ならではの新しい学びのかたちが見えてくるといいなと思いました。

今回僕はUSTの対談企画にでるのははじめてでしたが、本を読むだけではわからない新たな理解や解釈を得ることができました!緊張しましたが参加してよかったと思う企画でした。

お誘いいただいた中原淳先生、また、ゲストとして参加していただいた大橋香奈さん、大橋裕太郎さんに感謝いたします。

当日のムービーやつぶやきのまとめは以下となります。よろしければご覧下さい!

ムービー前半

ムービー後半

つぶやきまとめ

フィンランドで見つけた「学びのデザイン」 豊かな人生をかたちにする19の実践
大橋香奈 大橋裕太郎
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