月別アーカイブ: 2015年3月

なんかグループワークがうまくいかない!その原因のタイプとは?

大学の授業でグループワークが導入されることも多くなりましたが、「全てのグループが最初から最後まですごくうまくいっている!」という状況はなかなかありませんよね。

特に、授業内のグループワークだけでなく、授業時間外で集まるものが入ってくるとさらに難しくなってきます。考えてみれば、授業時間外にグループワークをするというのは大学に入ってはじめて体験するのかもしれませんね。そのプロセスそのものも学びの過程とはいえます。

今日はぼくがわりとよく聞く「うまくいかないパターン」3つについて、簡単にまとめ、考えの糸口を示してみたいと思います。

・「みんなが集まらない!」というパターン

よくあるパターンのひとつは、部活、バイト、サークルなどでみんなが集まらないというものです。まあたしかに1・2年生のうちは特に、授業もたくさんあるし、大学以外も色々あって大変です。

ただ、話をよく聞いていると「本当に集まれないのか?」とか、「集まれないなりになにかできることはないのか?」と思うこともあります。状況は一緒でも問題の根本はグループによってさまざまだったりします。そこを掘り下げるとよさそうです。

・「たくさん集まっているけど進まない!」というパターン

グループのメンバーは週に何回も集まっているのになんかうまくいかないというパターンもあります。このパターンは、長時間いるのに雑談ばかりになってしまうとか、対立を恐れるばかりに反対意見がでないという状況に陥りがちかなと思います。

せっかくスケジュールが合うので「長く時間を共有できるメリットを最大限に活かすためになにができるのか?」を考えてみるのもありなかんじがします。もしくは「短くするというのはあり?」ということも検討してもいいかもしれません。「反対意見がでない!」という場合にも、「グループワークの目的はなにか?」を考えてみるのもひとつのアプローチですね。

・「ひとりに仕事が集中しすぎてしまう!」というパターン

これもよくありますね。「私ばっかりやっていて大変!」という状況を想像しがちですが、意外に「私だけやってるけどいいのかな・・・」と思っている場合もありますし、周りの人も実はどこか後ろめたい気持ちになっていることが多かったりします。

ただ「なぜひとりに仕事が集中してしまうのか?」ということについては意外に原因をちゃんと考えていないようなかんじがします。

現象として「ひとりに仕事が集中する」ということはあるのですが、その原因はグループによって全然違います。自分たちのグループの問題点について考えてみるとよいでしょう。そして、その問題に対して「自分ができることはなにか?」を考えてみるとよいでしょう。

ということで、今日はシンプルに3つのケースについて取り上げました。

ちなみに今回は具体的な解決策を書くというよりも、問題状況と問いかけだけを書くという形式を試してみました。

それぞれの状況は「あるある」だと思うのですが、実はけっこう「なぜその問題が起こっているのか?」という原因をしっかり考える機会は少ないような気がしています。

いきなり解決策にいかずに、うまくいかないと思ったらちょっと歩みを止めて、原因をふと考えてみるということも大事なのかなと思いました。

リーダーシップは全員に必要なのか?:リーダーシップ教育についてのプチまとめ

リーダーシップ教育の実践をしているとかならずタイトルにある質問を聞かれます。今回は立教大学経営学部の日向野幹也先生の著書を参考に、なぜリーダーシップ教育を多くのひとたちに向けて行うのかを軽くまとめてみたいと思います。

自分のメモ用&ブログなので言葉足らずのところもありますが、がっつり知りたい方は以下の2冊をご覧ください。

写真 2015-03-04 17 34 39

なぜリーダーシップ教育を多くの人たちに行うかをヒトコトでいうと、そもそもリーダーシップを「役職」「権限」「カリスマ」とは関係なく発揮されるものとして捉えているからです。トップだけでなく、全員が発揮している方が組織として成果がでるという考えを前提にしています(実際にそうした方針を取り入れている企業も増えてきていると書かれています)。

これは普段私たちが一般的に思う「リーダーシップ」という言葉とはイメージがちょっと違うかもしれませんね。そのため、「リーダーがたくさんいるとうまくいかないんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。

ただ、チームメンバー全員が「目的を意識をして、一緒に協力できるチーム」のほうがうまくいくよねと言われたら、「それはそうだ」という気持ちになるのではないでしょうか。そういう状況とリーダーシップという言葉がうまく結びつかないという意味での違和感を感じるのかもしれませんね。

さきほど示した「権限がなくても発揮できるリーダーシップ(leadership without authority)」は、リーダーシップ論でいうと以下の2つなどが相性がよいと書かれています。

・「自然発生的リーダーシップ(emergent leadership)
・「共有されるリーダーシップ(shared leadership)」

一方、以下に示すようなものとは少し違ってきます。

・「権限者から任命されて発生するリーダーシップ(appointed leadership)」
・「選挙によって選ばれて発生するリーダーシップ(elected leadership)」

「権限がなくても発揮できるリーダーシップ」についてなんとなくわかったけど具体的にはどういうことを指すのかわからないかもしれません。そこで、日向野先生は「リーダーシップの最小3要素」というものを設定しています。

・目標設定(set the goal)
・率先垂範(set the example)
・他者支援(enable others to act)

もちろん、リーダーシップで大事なのはこれだけではありません。ミニマムとして設定しているということです。これらの3つを実践できることをひとつの目標として実践をしています。

ということで、非常にさっくりではありますがポイントだけまとめました。これだけだとおそらく「なんで?」とか「具体的な行動はどういうもの?」という疑問が湧くと思います。書籍には明確に書かれておりますのでそちらを参照していただけると幸いです。

私自身も最初に「リーダーシップ」に関する話を聞いたときには、自分が思っている言葉のイメージとの違いに少し戸惑いました。目指しているものは理解できたものの、ややこしいから「リーダーシップ」とは別の言葉を使った方が早いんじゃないかと思うこともありました。ただ、実践として関わっていくと、すっとはいってくるようになりました。

実は、リーダーシップの話は、自分個人としても、単純に知りたい分野なんですよね。というのもわりと小さい頃から、グループのまとめ役や運動部のキャプテンなどをやる経験があったので、どうやったらうまくいくんだろうかとずっと考えていたことでもあります。自分自身のリーダーシップを高めたいという気持ちも強いので学んでいて楽しいです。

私自身もリーダーシップ教育についてはまだまだかかわったばかりなので、理論・実践共に必死に勉強中です。勉強の成果については書ける範囲でブログにも共有していきたいと思います。

 

大学教育アントレプレナーシップ―新時代のリーダーシップの涵養
日向野幹也
ナカニシヤ出版
売り上げランキング: 16,709

 

ディープ・アクティブラーニング: 大学授業を深化させるために
京都大学高等教育研究開発推進センター 溝上 慎一 エリザベス・F・バークレー フェレンス・マルトン 安永 悟 エリック・マズール 田口 真奈・松下 佳代 関田 一彦・三津村 正和 小野 和宏 日向野 幹也
勁草書房
売り上げランキング: 8,442

「大学2年の春」は悩みがちな時期?:進路の不安と期待

大学は春休みに入り、キャンパスは少しずつ落ち着いてきました。学生の様子をみていると、旅行にいったり、免許をとりにいったり、なんだかとても楽しそうです。その一方で、長期休みはいろいろ考える時期でもあるようです。何人かの学生から進路の相談を受けたりしました。

いろんな学年の人から相談を受けますが、タイトルにもあるように「大学2年の春(大学2年生から3年生への移行期)」は特に進路などについてもっとも考える時期なのかもしれないと思っています。

もちろん3年のいまの時期も就活がはじまるので悩む時期ではあるだと思うのですが、2年のこの時期はもう少し「大きな方向性」をどうするかということで悩むのかもしれないですね。

以前、ぼくが大学院生の頃に、大学生を対象にしたワークショップをやっていたのですが、そのときにも多くの人たちが悩む時期として「大学2年の春」を挙げていました。(詳細は書籍「場づくりとしてのまなび」をご覧ください)

学生の話を聞いていると自分はどうやって進路を選んだのかということを思い出します。

ぼくはいまは大学で仕事をしていますが、正直いって、大学に入学したときにこの仕事についているとは想像もしていませんでした。「大学院に進学する」ということ自体も想定していませんでした。そもそもぼくが大学入試を受けていたときには、立教大学に経営学部はなかったのですから驚きです。(できたのは2006年くらいだと思います)

ぼくはたまたま大学1年生のときの授業の先生が面白く、その先生のゼミに3年生で入り、ゼミの活動に熱中していたら大学院という選択肢があることを知り、そこから大学院へ進むことにしました。

こういってしまうとあっさりですが、当時はものすごく悩みました。就職しなくて本当に大丈夫かなとかいろいろ考えました。

さらに、まずそもそも大学院の入試がどうなっているかや、入ってからの仕組みもわかっていなかったので(笑)、そこを調べるところからスタートしました。

当時青山学院大学の文学部教育学科に所属していたのですが、当時大学院入試を受ける友達はほとんどいませんでした。大学院入試は4年生の8月です。その頃には周りの人たちはほとんど進路が決まっています。ぼくは試験に本当に受かるのだろうか、みんなと違う道を選んでしまったけど大丈夫だったんだろうかと、毎日とても不安でした。

なんとか無事に入試がうかりほっとしたのもつかの間で、今度は研究がちゃんとできるかも不安になってきます。「大丈夫かなあ。でもなんとかなるかな。」という両方の気持ちで揺れていたことを覚えています。

大学以降の進路というのは、本当に一気に多様になりますよね。ひとことで「就職」といっても、業界や会社によって違いますし。偏差値やテストのようなものは嫌いだったはずが、そういう指標があったほうが本当は楽ちんかもしれないなんて思ったような気がします。

自分の体験から、なにかよいことを学生にアドバイスができればよいのですが、なかなか難しいものです。

でも、一見遠回りに見えて近道なのは「結局、目の前のやることを一生懸命・楽しく取り組む」ということなのかなと思っています。困ったときに、そういう姿をみてくれている人は必ずなにか助けてくれるものです。

すごく先のことを考えて、目の前にことに手がまわらなくなったりもするのですが、そういうときってあんまりうまくいかないのですよね。それと、ふてくされていたり、文句をいっているときはたいていうまくいきません(笑)腹をくくって行動ができていれば、目の前の行動が仮に空回りになったとしても、見てくれている人はいるのかなと思います。

ということで今日は大学生の進路について書いてみました。大学も4月にはいるとまた慌ただしい日常がスタートしてしまいますから、この時期に少しゆっくりと自分のことを考えてみる機会にするといいかもしれませんね。不安もあるかもしれませんが、先のことを考えるのはワクワクすることでもありますから。

ぼく自身にとっても春休みは長期的なスパンでものを考えるよい機会なので、「悩むことができる贅沢な機会」と捉えて、じっくり考えたいなと思っています。

いま社会人の方はどうやって進路を選択しましたか?なにかエピソードがあればぜひ教えてください。

 

ワークショップと学び2 場づくりとしてのまなび
東京大学出版会
売り上げランキング: 193,402