タグ別アーカイブ: 論理思考

「他にはないか?」と考える習慣はありますか?

何かのプランを考える・深めるという場合に重要な力のひとつに「他にはないか?」を考えられることが挙げられると思います。具体的には、

「何かの答えを自分なりに考えた」→「よし、これでよいだろう」

ではなくて

「何かの答えを自分なりに考えた」→「他には何か解決の方法がないだろうか?」→「あっ、これすっぽり抜けてるかも」→「ちょっと修正しよう」

みたいに考えられるかが大切になります。

学生の指導をしていると「他にはないか?」を考えずに、するっと答えがでてきてしまうことがよくあります。そういうときはグループに入って「他にない?」と聞くようにしていて、そうするとけっこうアイデアがでてきたりします。

「他にはないか?」と考える習慣をつける一つの方法は「そもそもぱっと考えたくらいではたいてい抜け漏れがあるのものだ」と思うのが大切かもしれません。いきなり抜け漏れなく考えるということはたいてい無理です。抜け漏れがあることを前提にして考えるということがまず大切になるでしょう。

また、その際、いきなりまとめるのではなく、「例えば」になるような「具体例」をとにかくたくさん出すことや、「例外になりそうなものはいか」というかんじで、自分の作ったプランに当てはまらない例をあえて考えるということも大事になってくると思います。

こういうことをまず自分一人でやれるようになることが大事ですが、もうひとつ重要なのは「他人に例外を指摘してもらうこと」です。

自分一人でチェックしきるにはたいていなんでも限界があります。自分で考えられるところまでやってみたら、ぱっとだれかに聞いてみて「抜け漏れある?」と聞いてみるとよいでしょう。そうするとまた考える糸口が見えてくると思います。

今日は「他にはないか?」と考える習慣について書きました。こういうことを日々ちょっとずつ意識するだけで深く考える練習になると思います。ぜひ意識して過ごしてみてください。

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自分の文章に対する他者からのアドバイスをどのように受け取るべきか?

文章を書いたときに、だれかに見てもらうということはよくあると思います。むしろ、他人に見てもらう機会をしっかり持つということはとても重要です。

ただ、他人にみてもらってコメントをもらったときに、その全てのコメントを言われるがまま直してしまうと問題が起こることも多いです。そもそもコメントが的外れの可能性もありますし、ついつい「他人任せ」になってしまいがちになってしまいます。

「こう直したらいいんじゃないの?」というコメントは、あくまでひとつの意見であり、それを受け入れるかどうかというのは、自分の責任を持って判断する必要があります。

先日村上春樹さんの「職業としての小説家」という本を読んでいたときにも似たような話がでていました。自分が「あわない」と感じている編集者から、「ここをこうした方がよい」と指摘されたときに、村上さんがどう対応したかという話です。

結果からいうと、「短くした方がいい」と言われたものは「長く」、「長くした方がよい」といわれたものは「短くした」とのことです笑(p.166)

このエピソードは「他人の意見は必要ない」ということを表したものではありません。他人の意見は重要ではあるのですが、それを鵜呑みにするのがよいわけではないということを表しています。

「どう直すか」はさておき、「読んだ人が違和感を感じた」ということは事実です。その違和感の意図を推測しながら、自分で考えて何度も何度も書き直していくことが大事ということでした。

このエピソードは個人的にとてもささりました。

今回の話をざっくりまとめると、以下のようになるのかなと思います。

・文章を他人に読んでもらうことは重要
・他者から率直に違和感を伝えてもらい、それをしっかり聞くことは重要
・しかし、「どのように直すか」は自分の頭で考えることが大切
・「直す方向性」は自分で考えた上で、「しっかり書き直す」という行動こそが大事

自分もこういうポイントを意識して、「書く」という行為と向き合っていきたいです。

文章の書き方に関する記事はこちらにまとまっているのでよろしければどうぞ。

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133342163910863801

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「事実」と「解釈」を見分けて、自分の「見えない価値観に気がつく」という練習

秋学期の授業のひとつに、ビジネスコミュニケーションに関するものがあります。この授業は、折口みゆき先生がメインで、私がサポート的に入っている授業です。

この授業では、ここ数回、タイトルに書いた「事実」と「解釈」を見分けて、自分の「見えない価値観に気がつく」という練習をやっています。「事実」と「解釈」を分けるというのは、簡単そうに見えてけっこう難しいです。特に自分がかかわっているものであればあるほど、「何が事実か」「何が解釈か」というのを分けてみられなくなるものですよね。

でもこうした思考習慣は、論理的に考えるときにも、創造的になにかを考えるときにも基本となる視座なのではないかと思います。

事実と解釈の違いがわかってくると、自分は「どんな出来事」に対して「どんな考え方をしているか(価値観をもっているか)」ということを自分でも意識的になっていきます。そうすると、ある物事に対してひとつの側面から決めつけるのではなく、「もしかしたらこういう可能性があるかも?」と視野を広げたり、「自分はいまこういうことにこだわっているのかも」という自己理解に結びつけることができるのではないかと思います。

こうした「事実」と「解釈」を見分けて、自分の「見えない価値観に気がつく」というのは、実は色々なワークショップに共通する基本的なデザインのポイントなのかもと思います。

例えば「対話型鑑賞法」という、アート作品をベースに対話を行うという方法があります。この方法では、鑑賞者は作品を見た感想を話すわけですが、そのときにも「何をみて(事実)」、「どう感じたか(解釈)」という両方を分けて理解することを大切にしているように感じました。例えば、「作品からさびしさを感じる(解釈)」というと、「具体的にどこの部分をみてそう思いますか?(事実)」というかたちで、しっかり対応付けをすることを大切にされているのかなと思います。

こうした思考の習慣に慣れることは大切なことなのかなと思います。

(↓対話型鑑賞法ではひとつの作品をもとに、みんなで対話しながら鑑賞する方法です。)

dsc_0205

「事実」と「解釈」を見分けることができると、「きっとこの人はこうだ!」といった決めつけをしてしまうのではなく、ものごとに対して「よい保留」ができるようになるのではないかと思います。

「じっくりみて、考える」という思考の様式に慣れる訓練はいろいろなところで必要になってくるのかなと思います。

■関連情報

以前対話型鑑賞のイベントをやったときの記事はこちらです。(平野智紀くんのページです)
http://www.tomokihirano.com/blog/2013/01/kyoto-u-130120.html

アクティブトランジションのワークショップも基本的には、ワークをやるなかで「自分の価値観に気がつく」というものが多いです。

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つまらないものを面白がれる力をいかに身につけるか?

同じ授業や講演を受けても、よく学べる人、よく学べない人の差はあると思います。ではよく学べる人はどんな人かというと、ひとつには「面白がれる力」が高いんだろうなと思います。「面白がれる力」とは、要は「自分にとっての意味づけ力」ともいえるのかもしれません。

一見つまらない、もしくは自分とは関係なさそうなものであっても、「これをやったら、こういう意味があるかも」、「こう捉えてみれば、これも面白いかも」という、自分にとっての「意味変換フィルター」みたいなものを持っている人は、どんな体験からも学びを得ていってしまうなと思います。

ではそういう「面白がれる力」はどうやったら身につけさせることができるのでしょうか。授業をしている身としてはここがポイントですよね。ぼく自身まだ答えはないのですが、2つアプローチがあるのかなと思います。

1つ目は「なりたい自分を描く(描かせる)」ということです。夢というほど大きくなくてもいいのですが、「自分はこうなりたいな」といったイメージがあるだけで、身の回りの情報に対して「アクティブに」接することができるようになるのではと思います。なので、最近授業では「この授業が終わった後、どんな自分になっていたい?」ということをよく質問するようにしています。

2つ目は「学んだ知識を活用する場面を持つ(持たせる)」ということです。具体的には、授業で学んだことを身の回りの環境に適応させてみて、その結果を報告してもらうという実践をしてもらっています。そうすると、普段受けている授業についても「こういうところに使えるかな」というかんじで、知識の「加工・適用」をイメージしながら受けることができるようになるのかなと思います。

この2つの工夫はぼくひとりで考えたわけではなく、一緒に授業を作っている高橋俊之先生(立教大学経営学部 特任准教授)のアイデアがベースになっています。

要は、同じ体験からより深い学びを得るためには、「なりたい自分」というキャリア的アプローチと、「授業外での活用」という学習論で言うところの転移アプローチの2つが必要になるのかなと最近考えています。

以下のリンク先にあるような人のように過ごせると毎日がより楽しくなるのかなと思います。そんな人を育てられるような環境をつくっていきたいなと思います。

「何でも楽しいという友人」
http://anond.hatelabo.jp/20070823233243

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書籍「アクティブトランジション」おかげさまで、多くの大学・企業でワークショップが実践されています。内定者への支援をお考えの企業関係者のみなさま、キャリア教育の実践をされている大学関係者のみなさまにおすすめの1冊です。

 

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