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第三弾 ストーリーテラー戸田山和久 -成長するティップス先生-

特集号ラストです!特集の理由は、以下の通りです。

なぜ今回戸田山先生の著書を取り上げたのか?それは、彼の著書というのは、全部「ストーリー仕立て」になっているからなんですね。これまで経営に関する本をいくつか紹介しました。その中で、「カモメになったペンギン」や「チームダーウィン」などは、難しい理論を物語にして一般の人に届けようとした著書でした。

じゃあ教育にこういう本てないの?と思ったときに、ぱっと思いついたのが戸田山先生の本だったのですね。さきほども言ったとおり、彼の本はどれもストーリーになっています。難しい考えを広めていくときになにかしら、このストーリーというのは重要な鍵を握っていると思うので今回は彼の作品を紹介することにしました。

  1. 論文の教室
  2. 科学哲学の冒険
  3. 成長するティップス先生

という順番で紹介していこうと思います。今回は「成長するティップス先生」です。

1228062795*成長するティップス先生

[高等教育シリーズ] 成長するティップス先生 (高等教育シリーズ) (高等教育シリーズ)
池田 輝政 戸田山 和久 近田 政博 中井 俊樹
玉川大学出版部
売り上げランキング: 93867
おすすめ度の平均: 5.0

4 泣かせるじゃないか…。
5 教授!読んでください。
5 わかりやすさも教員の技量!
5 eラーニングとか叫んでる人にも!
5 大学教師にぜひ読んでほしい

内容

この本は、大学の先生向けの本です。大学ではいま授業改善だとかが叫ばれています。先生たちも大変なんですね。そんな先生たちに向けて授業のヒント(ティップス)が集められた本なのです。内容としては、具体的に、「どうやって教科書を指定するか」とか「授業の進め方をどうしよう」などが書かれています。かなり具体的です。

面白いポイント

この本の面白いポイントも、前回の2冊と共通して物語風なんですよね。単純に「授業こうやるといいよ!」みたいなヒントがずらっと並んでいるわけではありません。「成長するティップス先生」というタイトル通りの展開です。

どういうことか?

この本の前半は「ティップス先生」という大学の先生の日記風なのです。授業のシラバスを書くところから物語ははじまります。その後も、授業中に寝る学生、レポート出してないとか出したとか、そういうトラブルに直面しながらも、ティップス先生が成長していきます。そして、その成長にあわせて、こんなときにこうするといいいよというのが後半にまとめられているという形式です。面白いですよね。

この本について語る

しかしまあ戸田山先生は面白いですね。ティップス先生が抱えるトラブルというのはとても「ありそう」なんですよね。学生寝ちゃって思ったよりも落ち込むとか、なんかリアル(笑)単純に情報が羅列しているのではなくて、ティップス先生の試行錯誤とともに情報が整理されているから面白いんですよね。

戸田山先生の書く本は、一貫して「読み物として面白い」というのを目指しているのだなと思います。無味乾燥なノウハウ集にしないところがすごいですね。科学哲学の冒険に関しては「科学哲学」という内容がありますが、「ティップス先生」と「論文の教室」はどっちも「やり方」なんですよね。

だから別に「やり方」の羅列でもかまわないわけなんですけど、そこをストーリーにするのが面白い。はやりのHACKSシリーズとかも、こういうストーリーつかないかな。

ちなみに成長するティップス先生はWeb版があります。ご参考まで。

http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/tips/

特集を終えて

いやー、戸田山先生の本を一気に読んだのは久しぶりですが面白いですね。それぞれにストーリーでお届けする意味みたいなものを感じられた気がします。細かい部分はあとでまとめようと思います。

次からはまた適当に一冊ずつ紹介しようと思います。

論文の教室(戸田山和久)

「論文の教室」の書評です。

 

論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス)
戸田山 和久
日本放送出版協会
売り上げランキング: 3348
おすすめ度の平均: 4.5

2 不要な要素を多分に含む。
4 これはマックファンが書いた論文執筆指南書だ!
5 レポートの書き方がわからないという方に
5 論文の書き方を概観するには良い
4 一読の価値あり!!

 

内容

レポートの書き方本です。レポートはいかなる文章か、どのように問いをたてるのか、どのように論証していくのかについてわかりやすく述べられた本です。

面白いポイント

この本の面白いポイントは、著者が書き方についてたんたんと述べていくのではなく、物語形式になっているんですね。

論文をてんでまともに書くことのできない「作文へた夫くん」というキャラクターがでてきて、その作文へた夫くんのレポートをどんどんまともにすべく先生が指導していくという方式で進められていくのです。

この本について語る

この本はとても好きな本のひとつです。作文へた夫くんというキャラはどこにでもいそうな、レポートを書けない大学生なんです。そのへたおくんが先生と会話をしていくことで、徐々にそのレポートをよくしていくんですね。

これがなんとも面白い。おもしろい理由は以下のまとまるかなと思います。

  • レポートがよくなっていく「プロセス」がわかる
  • レポートの形式ではなく、「考え方」がわかる
  • 対談形式なのでよくある疑問が解消される

ストーリーの面白いところは、「流れ」にあると僕が思っています。ストーリーの展開が「カテゴリー」ではなく、「時間軸」であるところがポイントではないかということです。その理由は、「プロセス」がわかるというところと関係していると思います。

どういうことか?

よく整理された本というのは必ずしも、「思考の順番」通りに書かれているわけではないんですよね。よくわかった人が、その順番に並べるとわかるけど、よく整理されているだけに初心者が考える順番に情報が並んでいないということがよくあると思うのです。

だから、「なんでそうなるの?」という部分が欠けてしまうのかなと。

そのへんが重要ではないかと思っております。

だれにおすすめか?

  • これから論文を書く人
  • 大学1年生
  • 考え方、文章の書き方を知りたい人(大学生に限らない)