カテゴリー別アーカイブ: ワークショップ

あたらしいアート、もしくは飲み会の楽しみ方:「対話型鑑賞法を甘太郎で!?」という企画をやりました

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少し時間が経ってしまいましたが、先日「対話型鑑賞法を甘太郎で!?あたらしいアートのかたち・飲み会のかたち」というイベントを実施しました。この企画は、普通の居酒屋で、普通のコースを頼んで飲みながらアートを楽しもうよというものです。

「あたらしいアートの楽しみ方」ともいえるかもしれませんし、「あたらしい飲み会の楽しみ方」ともいえるかもしれません。

この企画では、あくまで「飲み会」がメインで、余興としてアートを楽しむひとつの方法である「対話型鑑賞法」を体験するということにしました。たとえが正しいかよくわかりませんが飲み会で山手線ゲームとかをする感覚で、飲み会で「対話型鑑賞法をする」というかんじです。

対話型鑑賞法とは「みる」「かんがえる」「はなす」「きく」という4つを基本にしながら、美術の知識だけに頼らず、みる人同士の対話を通して、作品の理解を深めていくための鑑賞方法です。当日は対話型鑑賞法のナビゲーションを平野智紀さん、三宅正樹さんがやってくれました。この企画自体も一緒に考えて実施しました。

■おしゃれ居酒屋ではなく「甘太郎」

今回の企画では、お店もおしゃれ居酒屋ではなく、大学生のときに一度はお世話になったはずの「甘太郎」さんで実施しました。当日は約20名の方が参加してくださいました。

どのような作品を鑑賞したのかについては、平野智紀さんがブログに書いてくれているので、ぼくは「なんでそもそもこんな企画をやったの?」ということについて書きたいと思います。

■ アートをひらくとは?

ぼくが今回のイベントをつくる上で意識したのは「アートに興味のない人にきてもらう」ということでした。ぼくはアートの専門家ではまったくないのですが、よくアート系のイベントを実施している人から「アートに興味のない人を呼びたいけれど難しい」といったような話をよく聞くことがあったので、そういう問題をどうにか解決できないかなと思っていました。

これはアートに限らず「○○をひらく」ということをする場合には全てに関連してくるものだと思います。なんとか多くの人に知ってもらいたいのだけど、結局好きな人がより好きになるだけだという問題をどうやったら解決できるのかという点に興味をもっていました。

■「アートイベントをカジュアルに」ではなく

そこでぼくが考えたのが「主従関係の逆転」でした。「アートイベントをカジュアルに」という方向性ではなく、「カジュアルな場所にアートをいれればいいのではないか」という発想です。

なので人に誘うときにも「飲み会があるからこない?」と誘います。そして飲み会のなかでやることがちょっと他と違うのだけどというかんじで、対話型鑑賞法の話をするのです。

場所の選定にもこだわりました。おしゃれな居酒屋でやってももちろんいいのですが、アートと遠そうな場所がいいだろうと考えました。そこで今回は、大学生のときに大変お世話になった渋谷の甘太郎さんをチョイスさせていただきました。なぜ和民ではなく甘太郎かというと、なんとなく「対話型鑑賞法を甘太郎で」という響きがいいかなと思ったからです(笑)

■邪道かもしれないけれど

当日は居酒屋のカラオケルームで対話型鑑賞をしました。最初は適当に飲んでいて、途中で対話型鑑賞をして盛り上がるというかんじです。

鑑賞する絵は印刷されたものだし、気づいたらポテトフライやメニューの下に置かれているし、間違いなくアート業界のひとには怒られるだろうなとも思いました。ただ、これをきっかけに本物を見に行きたいという人もいたりしました。

これは「ひらく」っていうことはどういうことなのかを考えさせられる場面でもありました。「○○をひらく」という言葉に悪いニュアンスはありません。しかし、ひらく場合に、どこまでどう開きたいのかということは考えるべき点であるのかなと思います。ひらくということはある意味でいえば、特権性を解放することでもあると思いますし。このあたりについては今後も考えていきたい点として残りました。

■ぼくがデザインしているのはアートイベント?それとも飲み会?

今回のポイントは「主従関係の逆転」でした。学びのイベントを飲み会やカフェといったリラックスした場所に近づけていくのではなくて、元々リラックスした場所にあわせて学びの要素を取り入れればいいのではないかと思ったんですね。言ってみれば同じことなんですが、それでも主従が逆になると全然出来上がってくるものも異なるのではないかと思っています。

そうやって考えてみると、ぼくは「アートイベント」のデザインをしているのか、「飲み会」のデザインをしているのかよくわからなくなってくるんですよね。まあ別にどっちでもいいのですが。学びの場を楽しくするのか、楽しい場が学びに溢れるのかという問いについてはあらためて色々と考えてしまいました。

ちなみに、ぼくは今後もこの発想をもとに、アート系に関するものだけではなく、他のエッセンスを取り入れた飲み会を企画していきたいと思っています。次回は即興演劇(インプロ)を取り入れた会を実施しようかなと思っています。もちろん対話型鑑賞法を取り入れたものも実施予定です。興味のある方は是非お声がけくださいませ。

研究知見をどのように広げていくのか?:学習科学ワカモノ勉強会に参加してきた

今日は第4回学習科学ワカモノ勉強会に参加してきました。この勉強会は静岡大学の益川弘如先生が中心になり、望月俊男先生(専修大)、北澤武先生(東京未来大)、尾澤重知先生(早稲田大)、齊藤萌木さん(東京大)たちが企画しているものです。僕も企画者の一人として加えさせていただいております。今回は4回目になります。2回目、3回目は事前に別の予定が入ってしまっており、久しぶりの参加となりました。

今回は2つの発表をもとに参加者で議論するものでした。

1つ目は、以下の書籍を題材に、デジタル教材のデザインに関して議論しました。

山内祐平(編)(2010)『デジタル教材の教育学』東京大学出版会

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2つ目は、放送大学『学習科学』第13章「学習環境を総合的にデザインする」を題材に、神戸大学附属住吉小学校での総合的な時間でKnowledge Forumを活用した実践についてビデオを見たり、議論をしました。今回はこのプロジェクトに関わっていた神戸大学の山口悦司先生にご参加いただき、質問などに答えていただきました。

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どちらの実践もすでに一度勉強したことのある内容でしたが、あらためて話を聞いたり議論する中で、新しい発見がありました。

例えば、1つ目の発表では、デジタル教材と学習理論の対応関係についてあらためて整理して理解するきっかけになりました。そしてこうやってあらためて整理してみてみると、理論と教材(実践)の関係についてあらためて考えるきっかけになりました。

・あらたな理論がでてくることで、新しい教材がつくれるのか
・新しい教材をつくることが可能になることで、理論が追いついてくるのか

このあたりの部分は今後も少し考えたい点でした。

2つ目の発表では、Knowledge Forumに関する実践を見ました。こちらもあらためてみてみるととても面白かったです。この実践についてはこちらのリンクをご参照ください。

こちらの発表を聞いて思ったことは、先進的な実践をどのように広げていくのかということでした。例えば、

・大学の先生と現場の先生が協同するプロジェクトは、最終的に先生だけでできるようにすることを目的にしているのか?もしくは基本的にはずっと、ともにやっていくことをゴールにしているのか

・こういう先進的な事例をベースに、他の学校で実践できるようなパッケージは作成することができるのか?もしできるとしたら、そこには研究者が入らなくてもできるのか

などを素朴な疑問として思いました。

もちろん、学習研究のひとつの方向として「とにかくこれまで見たことのない新しい学習環境をつくる」ということはとても大事なことだと思います。これ自体が非常に難しいですからね。ただ、もし成功したとしたら、それをどのように広げていくのかなどは次に考える点になるのかなと思いました。

ということで、今回は久しぶりに参加したのですが色々と考える点がありました。やはり事例をもとに議論するのは大事なことですね。こちらの研究会のFacebookページはこちらになりますので、よろしければぜひご覧下さい。

学習科学ワカモノ勉強会

https://www.facebook.com/LSwakamono

「問い」からはじまるワークショップ!:Toyful30を実施しました

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少し前の12/8,9になりますが、中原淳先生や上田信行先生らとともにToyfulMeetup2012というイベントを実施しました。参加者約100名のイベントで、奈良のneomuseumで実施したイベントです。
僕はこのイベントのひとつの企画として「Toyful30(トイフル・サーティ)」というワークショップを実施しました。今回はその企画についてご紹介できればと思います。

Toyful30とは「問いに溢れた30分」ということを意味しています。今回ToyfulMeetup2012に参加してくださった方の中から「みんなと一緒に考えたい問い」がある人を約20名募集し、その人たちとともに「問い」について考えるというものです。
20名の人には30分の時間を自由につかっていただきます。一応決まりとしては、「問いに関するプレゼン」は最大でも10分以内にしていただき、その問いについて考えることを20分は確保していただくようにしました。問いのテーマは「学び×これから」を満たすものであればなんでもOKにしました。
セッションはパラレルで行います。よって、一度に10程度のブースができ、参加者の方は一緒に考えたい問いがあるブースに自由に移動するというかたちにしました。

今回「問い」としてでてきたものは実に多様でした。例えばその一部を紹介すると、
・「やりたい」と「やる」の間になるものは?
・こどもが自立するためにどんな学びが必要か?
・聞く・聴くということについて
・個人の成長・組織の成長
などがありました。問いは全部で約20個ありましたが、どれも面白い問いでした。
印象的だったのは、
・具体と抽象の行き来が議論で起こること
例)「私の会社では・・・」と「学びとは結局・・・」
・「先生」が聞き手として参加していること
例)神戸大の金井先生が聞き手として、参加者の発表に耳を傾けコメントをしている
・30分という時間が絶妙に話したりないこと
例)このセッションの後のお風呂がやけにうるさかった(笑)
といったことでした。僕も会がはじまった後は特にファシリテーションをするというよりも、面白いと思うところの話を聞いたり、コメントしたりというかんじで、私自身も参加者のようでした。

参加者の方に時間を割り振って運営するタイプのイベントはこれまで「プチ学会」というものを実施していたりしたのですが、今回のように「問い」に絞って実施するのはなかなか面白い経験になりました。
この形式のワークショップはこのときに一度やっただけなので、今度は東京でも実施しようと思い現在計画中です。東京でやるときには、一度「大学生」に絞って、「大学生限定Toyful30」をやろうと思っています。大学生のみなさんが普段素朴に抱えている問いを持ち寄っていただき、大学や学部、学年の垣根を越えて語ったら面白いだろうなと思っています。興味のある人はぜひ僕に声をかけてください。企画から関わりたいという方もぜひ募集しています。
連絡はtwitter、Facebookもしくは、お問い合わせからどうぞ!
■関連する本
toyfulmeetup2012は「プレイフル・ラーニング」の出版記念イベントでもありました。僕もコラムで「予定調和を超えた場のデザイン」について書いていますので興味のある方はぜひ読んでくださいませ。

プレイフル・ラーニング
上田 信行 中原 淳
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■関連リンク
プチ学会などについては僕がやっている「Unlaboratory(アンラボラトリー)」というwebをご覧下さい。
https://www.facebook.com/Unlaboratory
toyfulmeetup2012 Facebookページ
https://www.facebook.com/ToyfulMeetup2012