作成者別アーカイブ: tateno

アクティブラーニング型授業がカタチだけの導入にならないために

先日現場の先生方とお話しさせていただいたときに感じたことを連続ツイートしたので、それをまとめた上で、考えていることを補足しました。

アクティブラーニング型の授業が広がるのはよいのですが、「カタチを取り入れないと!」というプレッシャーもあり、どうしても形式だけの導入になり、「そもそもどういう学習者になってほしいからやっているんだっけ?」というところまでなかなか考える時間がとれていないのかなと感じます。

それを「現場の教員が考えていない!」と安易に批判しても仕方ないのかなと思います。先生たちも忙しい中で新しいことにチャレンジしようとしているのは間違いないと思います。

私たちが忘れてはならないのは、新しいことを取り入れて実践する先生方もまた学習者であるということではないでしょうか。先生方が「新しいことに挑戦したい」と思えるような環境をつくれなくては、そもそも学生に対して「主体的な学びの場」を提供することは難しいと思います。

変化に対してプレッシャーをかけすぎず、安心して挑戦できるよう場が必要というのは、教員に限らずいまとても必要なことなのではないかと感じています。

■参考図書

カタチだけの参加型授業では結果的に自発性は育成できないのではないか?ということに関してはこちらの書籍の論文章でも書かせていただきました。なにかの参考になれば幸いです。

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大学生研究フォーラム2017に参加してきました!

大学生研究フォーラム2017に参加してきました。10年続いたこのイベントも今年が最後。今年は全体を通して「これまでの10年、これからの10年」を意識したつくりとなっていました。

■午前中は溝上慎一先生のご講演

午前中はこの会の企画・運営の中心であった溝上慎一先生から10年間の振り返りに関するご講演がありました。話を聞いていて感じたのは、フォーラムの10年間は溝上先生の研究の歴史でもあるということです。

非常にざっくりではありますが、こんな変遷があるのかなと感じました。

・大学生について論じた「大学生論」(「若者論」ではなく)からのはじまり
・大学生について理解するために実施した1000人以上のインタビュー
・大学生のキャリア意識と成長の関係についての探究
・大学生の学びに方に関する研究
・高校、企業との接続で成長を捉える視点

私はフォーラムはたしか2回目から(1回目もでていたかな・・・)すべて参加しています。また、溝上先生の著書・論文については2009年に当時の院生仲間とともに手分けをしてほぼ全部を読むということをやりました。なので、これらのお話はとても懐かしかったですし、結果的に自分の研究生活を振り返ることになりました。

私もこの10年間でフォーラムについては、

・大学院生として「研究対象として」大学教育をみていた時代(完全なる参加者として)
・大学院生として「溝上先生との共同研究として」間接的にフォーラムにかかわっていた時代
・大学に就職して「大学教育の実践者の視点を持ちつつ」、研究として実践者としてかかわっていた時代

というふうにかかわり方がどんどんと変遷していきました。どの立場としてもこのフォーラムがあることの意義は大きかったと思います。

■午後の最初は分科会

午後は分科会で3つにわかれました。私は1の「企業との連携」に参加しました。

【1】「企業との連携」
ファシリテーター:山辺 恵理子(都留文科大学・講師)
登壇者:松高 政(京都産業大学・准教授)
岩佐 峰之(京都市立西京高校・教頭)
会場:国際交流ホールⅠ・Ⅱ

【2】「学びとキャリアの連携」
ファシリテーター:山田 剛史(京都大学・准教授)
登壇者:石山 恒貴(法政大学大学院・教授)
今村 久美(認定NPO法人カタリバ・代表理事)
会場:百周年記念ホール

【3】「地域との連携」
ファシリテーター:田口 真奈(京都大学・准教授)
登壇者:片峰 茂(長崎大学・学長)
中村 怜詞(島根県立隠岐島前高校・教諭)
会場:国際交流ホールⅢ

松高先生のプレゼンテーションは、京都産業大学のインターンシップなど企業との連携にかかわる実践のお話でした。立教大学経営学部でやっている実践とも内容が近いため、とても参考になりました。

・連携する企業にとってのメリットは何か?
・インターンシップとはそもそもなに達成するために実施するのか?

などを検討することの重要性をあらためて理解できました。

岩佐先生のプレゼンテーションは、京都市立西京高校の実践についてでした。はじめてお話伺ったのですが、岩佐先生のパワーのあるお話ぶりに引きつけられつつ、内容もとても充実したものでした。

高校生のこの言葉が実践についてうまく表現しているなと思います。

めっちゃがんばる
めっちゃしんどい
めっちゃ楽しい

「一生懸命がんばって、それは時に大変だけど、一生懸命にやっているからこそ楽しいのだ」という教育環境は自分自身もつくれるのが一番だなと思います。私は立教大学経営学部のBLP(Business Leadership Program)の授業をつくっていますが、そういう場になればということを思いました。

■午後のラストはパネルディスカッション

最後はパネルディスカッションでした。

パネルディスカッション
司会:溝上 慎一(京都大学・教授)
パネリスト:中原 淳(東京大学・准教授)
松下 佳代(京都大学・教授)
児美川 孝一郎(法政大学・教授)

まず松下先生から「資質・能力」という視点から10年をまとめるプレゼンテーションが行われました。次に児美川先生から「キャリア教育の10年」についてのプレゼンテーションが行われました。最後に中原先生から「企業・世の中の変化の10年」についてのプレゼンテーションが行われました。

各先生方15分という短い時間ではあるものの、これまでの10年間の歴史がぎゅっとつまったプレゼンテーションでした。「これからの10年」については、今後の未来というのもありますが、各先生が今後どういうことを研究されるかというお話でもあったかと思います。

■全体を終えて

ということでざっくり全体を振り返りました。フォーラムは朝から晩までぎゅっとプログラムが詰まっているので、参加者として参加していただけではありますが、かなりパワーを使ったというかんじがしました。

今回のフォーラムは、この会で新たらしい視点や知識を得るというよりも、講演を聴きながらどこか頭の片隅に「自分のかかわりについてぼーっと振り返り」をしつつ、「これから自分はなにをやろうかなー」というかんじがありました。

自分もあまり意識していたわけではなかったのですが、気づけばフォーラムについては2010年からずっとブログを書いていたこともあり、自分にとってはなんとなくここをベンチマークとして、自分の研究・実践を考える節目としても使っていたのかなと思います。

このイベントの価値というのは、講演の内容もさることながら、ここに集まる人たちとのつながりという点も大きいです。今年もたくさんの方と出会い、新しい出会いもありました。「ここにいけば、だれかと会える」という安心感も、このイベントが持っていた価値なのかなと思いました。

イベントは10年という節目をもとに終わりますが、これからの10年という意味では、自分も研究者として、実践者としてどのようにやっていこうかということを考えます。いますぐに「これ」というものがあるわけではありませんが、確実にいえることは自分たちの世代が中心になるくらいがんばることがまずポイントになるんだろうと思います。いま30代の研究者たちが、次の新しい流れをつくれるようがんばっていきたいと感じました。

■これまでのフォーラムの記事

2010年からフォーラムについては記事を書いていたのでそのリンクをまとめておきます。

大学生研究フォーラム2010
大学生研究フォーラム2011
大学生研究フォーラム2012
大学生研究フォーラム2013
大学生研究フォーラム2014
大学生研究フォーラム2015
大学生研究フォーラム2016(午前中)
大学生研究フォーラム2016(午後)

■今回フォーラムででてきた書籍の一部を紹介しておきます

当日も紹介されていた調査結果をまとめた書籍です。

こちらはさきほどの書籍ではできなかった「縦断調査」をしてその結果をまとめ、ワークショップ案も提案した書籍です。

【動画公開】2017年度 立教大学経営学部 リーダーシップ入門(BL0)「ポスター発表」

 

立教大学経営学部 1年次生対象の自動登録科目「リーダーシップ入門(BL0)」のポスター発表の様子を動画にまとめました!

今年度の連携企業は株式会社ビームス様です。経営学部の1年生約400人が以下の課題に取り組んでいます。

「メンバーの誰かがジブンゴトとして捉えているテーマを1つ選んで、BEAMSができることを提案せよ」

ポスター発表は「中間発表」としておこなわれ、先輩、教員、OB・OG、協力企業のみなさまなど、総勢600人規模でおこなわれました。

動画でその様子が伝わればと思います!動画は経営学部の2年生が作成してくれました。

撮影:尾花俊弥(立教大学経営学部2年:2017年度時点)
動画作成:佐々木李希(立教大学経営学部2年:2017年度時点)

授業も折り返しですが、後半戦もがんばっていきます!

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先輩約90名が1年生のグループワークを支援する!:メンター制度の導入

今年の経営学部1年生必修の「リーダーシップ入門」(通称BL0)の授業では「メンター制度」という新たな方法を取り入れて授業運営をおこなっています。リーダーシップ入門という授業は、約400人が90グループにわかれ、ビジネスプランを考えることを通してリーダーシップについて学ぶ授業です。

この授業では、これまでも2年生の「Student Assistant(SA)」を18名、「Course Assistant(CA)」を10名前後取り入れて運営していたのですが、ここに「メンター」という役割を追加しました。メンターの人数はなんと約90名です。

立教大学経営学部は1学年約380人ですから、学年の3分の1の学生(約120名)が1年生の授業運営にかかわるということになります。これはなかなかすごい規模だと思います。90名は立候補制で、1日で応募が埋まるという状況でした。

■メンターの役割とは?

メンターの主な役割は「授業時間外のコーチング」です。学生がグループワークをする上で困ったことを授業時間外に支援します。ビジネスプランを考える上でも、自分のリーダーシップを伸ばす上でも、コーチングはとても効果的です。

これまでもSAや教員が学生の支援をおこなってきましたが、クラスの学生は20名以上いるため、一人一人に対してコーチングをするというのはなかなか難しい状況にありました。

今年はメンターがいるおかげで、グループの状況を把握することができるようになったり、リーダーシップについての振り返りをひとりひとりのコーチング込みで行えるようになりました。

■メンター制度の副次的な効果

今回メンター制度を取り入れたのは1年生に対しての支援という意味もありますが、2年生自身の成長に対する意味もあります。SAやCAの制度を運営していて感じるのは、SA・CA自身もすごく成長するんですね。やはり「人に教える」という経験は、成長する上で非常にリッチな経験となります。

しかしこれまでは応募の枠が非常に狭いという状況でした。元々数年前は「SA 18名」という枠しかなく、それに対して毎年応募倍率が3倍近くという状況が続きました。そこでなるべく多くの人にこうした経験をしてもらい、それが授業をよくすることにつながるように新たな役割として、CA、そしてメンターを新設してきたという流れになります。

・SAのみの応募 18名
・SAに加えCAという役割を追加 30名
・SA・CAに加えてメンターという役割を追加 120名

■メンター制度の運営はどうしている?

90名が運営に関わってくれるのはとてもうれしいことですが、一方でSA・CAも足すと120名の学生を統括するというのはなかなか大変なことでもあります。ぼくひとりで運営するのはやはりなかなか難しいです。そこで運営はいろいろな教員・学生に手伝ってもらいながら実施しています。

まず学生の統括役として、2年生の小川嶺くんを中心にさまざまな人たちに協力してもらい運営しています。その上で、メンターに対する研修については、宇田武文先生や、4年生の浮谷優寿斗くん、3年生の野村亮介くん、2年生の小澤佑季さん、木村夏実さん、増田圭織さんなどにお手伝いいただき実施をしました。ここに名前を書いていない多くのメンターたちにも協力をいただいて運営しています。事務のみなさんにも仕事を増やしてしまっているにも関わらず、あたたかいサポートをもらっています。

正直1年目の制度であるため、いろいろなところで未整備なところが多いのが現状です。「あれがない、これがない」と言い始めるとキリがないかもしれません。ただ、メンターたちがただ文句を言うというのではなく「不満を提案に変える」というリーダーシップを少しずつ発揮してくれているのがとてもありがたく思っています。

思えば、CA制度を導入したときにも1年目は仕事が全然整備されていませんでした。おそらく当時のメンバーは大変だったと思うのですが、あのときのメンバーががんばってくれたおかげでCAという役割が整備され、いまではSAと同じ人気・倍率の役割になりました。メンター制度も少しずつ成熟させていきたいと思っています。(↓ 初代CAメンバーの写真。懐かしい!)

■今後に向けて

私が個人的に実現したいと考えているのは「学部の2年生全員が、学部1年生の教育に関わる」という状況です。こういう環境は双方にとってリーダーシップを成長させることにつながるのではないかと思っています。

より大きな視点でいえば、学部全体を学びの場にしたいという思いがあります。

学生が成長する機会は「授業の中だけ」ではありません。「授業を起点」として、「学部というコミュニティのなかで成長できる」ような環境を作れたら楽しいのではないかと思っています。

今年度の授業もそろそろ折り返しですが、よりよい授業になるようさらにがんばっていければと思います!

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明日の授業は約600人でポスター発表!:「リーダーシップ入門」の中間発表

私が授業の統括(コースリーダー)をしている「リーダーシップ入門」(通称BL0)の授業は、明日が中間発表です。この授業は産学連携型PBL(Project-Based Learning)の形式をとっており、立教大学経営学部の1年生約400名が18クラスに分かれて必ず受講する授業となります。教員18名、Student Assistant(SA)などの授業を運営する先輩スタッフ100名以上がかかわって運営する大規模な授業です。

今年は株式会社ビームス様と連携して「プロジェクト課題に取り組むことで、リーダーシップを学ぶ」ということをしています。

明日のポスター発表では、普段は18クラスにわかれている受講生が2会場にわかれて発表をおこないます。それぞれの会場に受講生だけで約200名がおり、そこに教員、先輩、連携企業のビームス様などをあわせると、約300名になります。つまり、2会場あわせて約600人が動く大規模なイベントです。

元々私がこの授業を担当したときには、中間発表は各クラス内で実施をしていたのですが、他クラスの授業を知ることや、多様なフィードバックをもらうことを目的に、ポスター発表の形式に変更しました。変更してから今回が3回目ですね。

今年はOB・OGが参加できるようにしたり、先輩の学生がこれまで以上に多く参加できる仕組みを整えたりと、また昨年に比べて大きくバージョンアップさせました。

ポスター発表の運営チームは全部あわせると100名を超えます。その人数が複数のプロジェクトチームに分かれて準備をしています。日々、LINE、Facebookメッセージ、gmailなどのメッセージは大洪水状態ですが、それぞれのチームががんがん動いているおかげで、しっかり準備をした状態で明日を迎えられそうです。運営を支えている学生スタッフのみんな、教職員のみなさまには本当に感謝感謝です。

受講生たちにとっては、ポスター発表は最初の大きな発表の舞台となります。発表はチームメンバーが交代でおこなう形式なので、全員がプレゼンテーションを体験することになります。また、クラスを横断する機会となるので、「自分のプランと同じことを考えているグループがいる!」とか「こんなによく考えているチームがあるのか・・・」など多くの刺激を受ける機会になるでしょう。

ポスター発表は一方的なプレゼンテーションというより、インタラクティブなやりとりが多いので「これはどうして?」「なぜこう考えたの?」など、質問されることではじめて「これをもっと深めよう」という気持ちになるのではないかと思います。

うまくいくこと、くやしいと感じること、両方あると思いますが、がんがん刺激を受けてほしいと考えています。

大きなイベントを運営するのは体力的には正直なかなかしんどいですが、これだけ多くの人がかかわるからこそできる場があるというのはやはり非常に楽しいです。数百人規模の学生を相手に、数百人規模の運営チームを率いて授業をつくるのは、もはや「授業作り」というか、ひとつの大きな組織を運営しているようなかんじがします。毎回自分のリーダーシップを試されているという思いですが、よい場になるよう明日もがんばっていきたいと思います。

【参考情報】

2015年度のポスター発表の様子はこちらをどうぞ。

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書籍「アクティブトランジション」好評発売中です!大学生を対象にしたワークショップのネタを探している方はぜひ。

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グループワークがうまくいかないと悩むあなたへ

「グループワークがうまくいかない」という人に向けてのメッセージを連続ツイートしたのでブログにまとめてみました。一言で「グループワークがうまくいかない」といっても、いろいろな状況があると思うので、状況別に書いてみました。

グループはなかなかうまくいかないことも多いかもしれませんが、「最初からうまくいく」「最初から失敗」ということはありません!

「よいチーム」は、「どうにかよいチームにしよう」という努力を全員が最後までし続けたチームだと思います。周りの助けもかりながら、ぜひそんな体験をしてほしいなと思います!

【お知らせ】

書籍「アクティブトランジション」に収録されているワークショップの実践報告をいただきました。柴田さん、どうもありがとうございました!

カードdeトーク in NFC 多様性が「やばうま」でした
http://ameblo.jp/juno-career/entry-12275607043.html

書籍に掲載しているワークショップは、コピーしてそのまま実施が可能です。ぜひ書籍をご覧になってくださいませ。

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「無難なプラン」に落ち着いていないか?:ぶっ飛んだプランを提案するためには

ビジネスプランに限らず、なにかのプラン・アイデアを考えようとしたときになんだか無難なプランに落ち着いてしまうということはありませんか?

そんなときに「自分は面白いプランを考えるセンスがない」などと落ち込む人も多いのではないでしょうか。

でも本当にそうなのでしょうか?

例えば、授業のグループワークで「よいプランがでない」と悩んでいるチームの相談にのることがあります。そういうときに色々と話を聞いていると、グループワークのなかで「なかなかにぶっ飛んだ面白いアイデア」がでていたりするんですよね。

つまり、ぶっ飛んだプラン・アイデアが思いつかないのではなく、それが採用されていないというだけなんですよね。

そういうときのぼくの役割は「そのぶっ飛んだやつでいこう!」という背中を押すことになります。その上で、「ぶっ飛んだやつを実現するための方法、説得するための方法をどうやって考える?」というかんじに進んでいきます。

この事例から言えることはつまり「創造性がないのではなく、それが押さえられているだけでは?」ということなのです。

「創造的であるために必要だけど、人々が無意識に避けてしまうこと」があると言われています。

これについては、以前、即興演劇(インプロ)を研究・実践されている高尾隆先生(東京学芸大学)に教えてもらったのですが、以下の3つだそうです。

・頭がおかしいと思われること
・えろいと思われること
・普通と思われること

たしかになんとなくこの3つはオープンにしにくいですよね。ただ、素晴らしい芸術作品はこの3つを満たしているものが多いそうです。

おそらく、プランをチームで考えている段階ではこの3つに関するようなアイデアはでていると思うのですが、いざ発表しようと思うと、「なんとなく文句を言われなそうな無難なプランにしちゃう」ということが起こっているのではないかと思います。

今日はぶっ飛んだプランを考えることについて考えてみました。「面白くて創造的なアイデアを考えたい」というのは多くの人がのぞむことではないでしょうか。しかし、「自分にはそんなセンスないかも」と落ち込むことも多いと思います。

しかし、実際は「その発想を自分でおさえている」だけであって、そのアイデアの種はいろいろなところにでている可能性があります。

その自分の発想を大事にしながら、実現可能性などをロジックで考えて形にしていくということができればよいプランができると思います。

「一見ふざけているようだけど、実はよくねられていて、たしかにそうだと思えるプラン」をたくさん見られるとよいなと思っています。

もちろん、自分もそんなアイデアを提案・実現できるように日々楽しんでいきたいと思います。

【参考文献】

インプロ教育―即興演劇は創造性を育てるか?
高尾 隆
フィルムアート社
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「他にはないか?」と考える習慣はありますか?

何かのプランを考える・深めるという場合に重要な力のひとつに「他にはないか?」を考えられることが挙げられると思います。具体的には、

「何かの答えを自分なりに考えた」→「よし、これでよいだろう」

ではなくて

「何かの答えを自分なりに考えた」→「他には何か解決の方法がないだろうか?」→「あっ、これすっぽり抜けてるかも」→「ちょっと修正しよう」

みたいに考えられるかが大切になります。

学生の指導をしていると「他にはないか?」を考えずに、するっと答えがでてきてしまうことがよくあります。そういうときはグループに入って「他にない?」と聞くようにしていて、そうするとけっこうアイデアがでてきたりします。

「他にはないか?」と考える習慣をつける一つの方法は「そもそもぱっと考えたくらいではたいてい抜け漏れがあるのものだ」と思うのが大切かもしれません。いきなり抜け漏れなく考えるということはたいてい無理です。抜け漏れがあることを前提にして考えるということがまず大切になるでしょう。

また、その際、いきなりまとめるのではなく、「例えば」になるような「具体例」をとにかくたくさん出すことや、「例外になりそうなものはいか」というかんじで、自分の作ったプランに当てはまらない例をあえて考えるということも大事になってくると思います。

こういうことをまず自分一人でやれるようになることが大事ですが、もうひとつ重要なのは「他人に例外を指摘してもらうこと」です。

自分一人でチェックしきるにはたいていなんでも限界があります。自分で考えられるところまでやってみたら、ぱっとだれかに聞いてみて「抜け漏れある?」と聞いてみるとよいでしょう。そうするとまた考える糸口が見えてくると思います。

今日は「他にはないか?」と考える習慣について書きました。こういうことを日々ちょっとずつ意識するだけで深く考える練習になると思います。ぜひ意識して過ごしてみてください。

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新著「人材開発研究大全」が発売されました!舘野は「リーダーシップ教育」「トランジション」「越境学習」について執筆しています。よろしければぜひご覧下さいませ。

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【参加者募集:大阪で実施!】アクティブトランジション体験会!? 学生から社会人への移行を支援するために企業・大学ができることとは?(2/17)

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アクティブトランジション体験会 in OSAKA

学生から社会人への移行を支援するために企業・大学ができることとは?
〜内定者の育成と大学時代の過ごし方について考える〜

日時:2017年2月17日(金曜日)午後7時から午後9時まで(受付開始 18:30)
場所:グランフロント大阪タワーA21F 岡村製作所 KiZUKi LABO
参加費:社会人 5000円 学生 2500円
定員:100名(軽食+フリードリンク)
主催:書籍『アクティブトランジション』制作チーム
舘野 泰一 (立教大学)
中原 淳 (東京大学)
木村 充 浜屋 祐子 吉村 春美 高崎 美佐 田中 聡 保田 江美
井上佐保子、三宅由莉、いわた花奈

共催:株式会社 i-plug
協力:株式会社 三省堂

【お申し込みは以下のサイトからお願いします】
https://goo.gl/FtBM0l

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本イベントでは

「学生から社会人の移行を支援するために企業・大学ができることは何か?」

について、筆者らのおこなった調査結果や、開発したワークショップの体験を通じて考えるものです。

「学生から社会人への移行」はかつてないほど難しくなっています。

就職活動に興味が持てずにそこから逃走してしまう学生。
せっかく企業に内定をもらったのに本当にこれでよいのかと悩む学生。
入社したものの、意欲をなくして早期離職してしまう学生。

こうした学生に対して企業・大学ができることは何か?について考えたいと思います。

本イベントのタイトルにある「アクティブトランジション」とは

1)「教育機関を終え、仕事をしはじめるようにしている人々が、働き始める前に、
仕事や組織のリアルをアクティブに体感し、働くことの準備をなすこと」、その結果として、
2)教育機関から仕事領域への円滑な移行(トランジション)を果たすこと

を指す概念です。

本イベントでは、筆者らが行った

・大学生に対する縦断調査の結果の報告
・研究知見に基づいたキャリアワークショップを体験
(「カード de トーク いるかも !?こんな社会人」)

を通じて、企業・大学の支援のあり方について考えていきたいと思います。

こんな人たちに本イベントはおすすめです。

1.企業で採用・内定者フォロー・新入社員研修をされている方
2.大学・高校でキャリア教育にかかわっている方
3.ワークショップを体験してみたい大学生
4.アクティブラーニング型の授業・研修設計に興味を持っている方
5.書籍『アクティブトランジション』について詳しく知りたい方

もちろん、ここにあてはまらない方も大歓迎です。

『アクティブトランジション』(三省堂)をお持ちでない方も、
お持ちの方も、ご参加頂けます。当日、ご希望があれば、会場にてお買い求めいただくこともできます。
http://amzn.to/2f78WDI

企業、大学、高校など、さまざまな実践に関わる方々と、
ワークショップの体験、議論ができることを楽しみにしております。

◆スケジュール

・ウェルカムドリンク
・アクティブトランジションとは何か(中原・舘野)20分
・ワークショップ体験(ファリシテータ 舘野)1時間
・インタラクティブセッション(制作チームによる論文解説など)20分
・ラップアップ 20分
※スケジュールは変更になる可能性があります

◆日時
日時:2017年2月17日(金曜日)午後7時から午後9時まで(受付開始 18:30)

◆会場
場所:グランフロント大阪タワーA21F 岡村製作所 KiZUKi LABO
http://www.okamura.co.jp/company/showroom/osaka.html

◆参加費

社会人 5000円 学生 2500円

◆書籍について

『アクティブトランジション』(三省堂)をお持ちでない方も、お持ちの方も、ご参加頂けます。当日、ご希望があれば、会場にてお買い求めいただくこともできます。

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書籍を事前購入されたい方はこちらをご利用ください。

「アクティブトランジション」(Amazonのサイトへ飛びます)
http://amzn.to/2f78WDI

◆募集人数
100名(人数を超えた場合には抽選とさせていただきます)
※1/31までには結果をお送りいたします

◆参加条件

1.本ワークショップの様子は、予告・許諾なく、写真・ビデオ撮影・
ストリーミング配信する可能性があります。
写真・動画は、舘野泰一研究室ないしは中原淳研究室が関与する
Webサイト等の広報手段、講演資料、書籍等に許諾なく用いられる場合があります。マスメディアによる取材に対しても、許諾なく提供することがあります。参加に際しては、上記をご了承いただける方に限ります。

2.応募が多い場合には、〆切前であっても、予告なく応募を停止する可能性がございます。あしからずご了承下さい。

【お申し込みは以下のサイトからお願いします】

https://goo.gl/FtBM0l

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「人に頼って成果を出すこと」を本当に身につけるためには?

「人に頼って成果を出す」ということはわかっていてもとても大変なことですよね。大学でリーダーシップに関する授業をしていますが、学生にとっても最初のハードルになってきます。学生だけでなく、大人もそうかもしれませんけども。

ついつい「自分がやった方が早い」と思ってしまったり、「人に頼んだらいやだと思われるのではないか・・・」という気持ちが先走ってしまい、結局ひとりでやることになりがちです。

「人に頼って、みんなで成果を出す方がよい」ということは頭ではわかっているはずです。知識としては知っています。しかし、行動として本当にできるようになるためには、体験をして実感をしないと難しいのではないかと思っています。

では具体的にどのような体験がポイントになるのでしょうか。

これは研究などではなく、あくまで私が普段授業をしていて感じる実感ですが、

・自分1人が全力でがんばってもうまくいかない挫折
・他者から助けられて心から感謝するという

という両方の体験をしたときではないかと思っています。片方だけではまだ心から信じることはできないのではないかと思います。

学生から話を聞いていると「自分がやった方が早い」という考えを脱却したきっかけとして、ひとりで全部やろうとして成果がでなかったという話はよくでてきます。

しかしそれだけでは「自分だけがんばって、他の人は助けてくれなかった」という話になってしまい「人に頼る」ということを覚えることは難しいでしょう。

それだけでなく、やはりどこかで「自分をサポートしてくれる人がいるんだ」ということに気がついていくことが大切になります。

それは「サポートを待つ」ということよりも、「自分が気づいていなかったサポートに気づく」ということでもいいのだと思います。また、どこかで「これお願いできる?」というかんじで、小さいことでいいので人にお願いしてみるということも大切になってくると思います。

その2つがそろったときにはじめて「人に頼って成果を出すこと」が腹に落ちるのかなと思います。

今日は「人に頼って成果を出すこと」について書きました。リーダーシップに関する行動は「言われてみれば当たり前」とか「知識としては知っていること」かもしれませんが、それを本当に自分の中で納得して、行動にうつすということは非常に難しいです。

そのためにはやはりさまざまな「経験」がキーとなってきます。いろいろな場に出ていって、「実感としてわかる」ということがやっぱり重要になってきますよね。

授業を作る側として、そういう経験ができる授業を設計していきたいものです。

【関連する書籍】

シェアド・リーダーシップ-チーム全員の影響力が職場を強くする
石川 淳
中央経済社
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