言葉を「他者への説明」ではなく「自分の学び」のために使うことの意義


「言葉にする」というと、反射的に「他者への説明」という文脈が思いつきます。しかし、言葉にするということは必ずしも「説明」だけを意味するのではなく、「自分自身の学び・気づき」にも使うことができます。こういう視点は当たり前に見えて、意外に忘れがちなのかなと思います。

例えば、授業の振り返りの場面を考えてみましょう。あれは本来だれのため・何のためにやっているのでしょうか?

ともすると「教員に対して、自分はちゃんとやってるよ」ということを伝えるメッセージになってしまうのではないかと思います。しかし、本来的に振り返りは「自分の学びを深めるため」に使ってもらえばよいので、メッセージになってなくてもかまわないと思います。

自分なりに理解を深めようとしたときにどう考えたのか。自分なりのちょっとした違和感や疑問などを言葉にするとどうなるか。こういうことにトライする機会になることが望ましいのだと思います。

つまり、振り返りで対話すべきは「他者」ではなく「自分」なのです。自分なりの理解の断片をなんとか言葉として表出してみるという自己内対話こそが理解を統合させるキーになるのです。

このように考えたときに、教え手の態度としては「振り返りが他者に伝わるかどうか」は「結果」であって、まず第一の目的は「自分なりのもやっとした理解を言葉にしようと試行錯誤してみることなのだ」ということをしっかり伝え、「自分と向き合うこと」を推奨することが大切になってくるのかなと思います。

今日は学びを深める振り返りについて書きました。こんなことを思ったのは、先日、慶應義塾大学の諏訪正樹先生の講演を聞いたからです。諏訪先生は「身体知における言語化の意義」について研究をされています。例えば、ボウリングの熟達において、言語化(振り返り)がどう影響を与えるか等の研究があります。研究内容はこちらの書籍にまとまっています。

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あらためてこうした知見はいろいろなところに活用できるなと思いました。授業のなかでもいろいろとあらたな工夫をしていきたいなと思っています。

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