月別アーカイブ: 2015年10月

大学教育の実践をどのように評価するのか?:リーダーシップ教育の評価の視点から

昨日International Leadership Associationのカンファレンスの話を書いたのでその続きです。

リーダーシップに関する実践においても、その効果をどう検証するかということは一つの重要なトピックとして取り上げられています。

では論点はどこにあるのか?その論点はリーダーシップ開発に限らず、現在の大学における教育実践の評価で言われていることと基本的に同じだと感じました。

ポイントは以下の3つです。

1.統制群を置かない中でどう評価するか?
2.学生の学習を促進する評価方法とは?
3.大学卒業後にどのようなインパクトがあるのか?

それぞれについて説明してみましょう。

1.統制群を置かない中でどう評価するか?

統制群を置かない(おけない)という理由は大きく2つの理由があげられると思います。1つ目は、実験状況ではなく、教育実践そのものを対象にした場合、「要因」を特定することが難しいからです。その特定ができないと統制群を置くことが難しくなります。2つ目は、統制群を置くという倫理的な理由からだと思います。統制群に入った学生は、有効であると考えられている方法を体験できないわけで、そういうことはありなの?ってことです。

リーダーシップ開発における評価でも状況は同じであるように思いました。統制群を置かない中でどうやってプログラムの評価をするのかというところを検討しているようでした。

2.学生の学習を促進する評価方法とは?

評価の方法は、その目的によって異なります。「学生がある一定の成長をしたのか」を選別する評価なのか、はたまた「プログラムの改編」や「学生をさらに成長させるため」の評価なのかで、何をどのように測定するかは異なります。教育学系の言葉でいえば「総括的評価」と「形成的評価」の違いといえるでしょう。

リーダーシップ開発における評価でも、「目的を意識して、それにあわせた評価をしよう」ということや、「プログラムの改編」や「学生の成長」に資する評価を考えていこうということが言われていたように思います。

3.大学卒業後にどのようなインパクトがあるのか?

近年の大学教育では、大学教育の成果を「卒業後の成果」で測ろうとする動きが増えてきています。私自身も「トランジション調査」などをもとに研究を進めています。

リーダーシップ開発における評価でも、「キャリアディベロップメント」という言葉がタイトルに入るなど、大学卒業後にどのようなインパクトがあるかを測定しようという動きがあるように感じました。

冒頭で述べたとおり、この3つはリーダーシップに関する実践だけでなく、大学教育の実践に関わる評価に共通して見られる論点であるように思います。その意味では、自分がこれまで研究してきたやり方などをうまく活かすことができるかもしれないと考えています。

一方で、「リーダーシップ開発」というジャンル特有の問題や論点も存在すると思います。そのあたりについては今回の記事では少し長くなってきたので、また今後書いてみたいと思います。

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海外のリーダーシップ教育はどのような状況か?:International Leadership Associationに参加しました

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先週はInternational Leadership Associationのカンファレンスに参加しました。リーダーシップ教育に関する国際学会のようなもので、今年はバルセロナで開催でした。

このカンファレンスは昨年初めて参加をしたので、今年で参加するのが2回目となります。

カンファレンスには、大学教育から企業内のものまで幅広い内容について、研究者・実践者による議論が行われます。参加者はアメリカの方が非常に多いです。アジアから参加している人はほとんど見かけず、日本から参加しているのは立教大のグループくらいではないかと思います。

感想は色々あるので、分割して書いていきたいと思います。

まずは初日の軽めの感想です。

カンファレンスの初日は、リーダーシップ教育の効果検証に関するような発表を聞いてまわりました。リーダーシップに関する実践はアメリカがもっとも進んでいると思いますが、それでも効果検証の方法はまだ確立されているとはいえない状況にあることを実感しました。

アメリカにおいても、リーダーシップ教育は、以下のような質問にひとつずつ答えていっており、いま3つ目の問いにようやく届いたというかんじでしょうか。

1.リーダーシップって教えられるの?
2.教えられるとして大学でやる必要あるの?
3.やったことで本当にリーダーシップは身についたの?

日本は現在1・2に取り組みつつ、スタートしているところは3を見据えて動き出したというかんじでしょうか。

3番について、今回の学会で「こうすればよい」という方法自体は見つかりませんでしたが、ヒントになりそうな枠組みはあったので、さっそく取り入れて実践してみたいと思っています。

昨年は初めて参加したこともあり、なにがなんだかわからない状態で試行錯誤というかんじでしたが、今年は2回目だったので、だいぶポイントを絞れて発表を聞くことができました。

自分自身もリーダーシップを教えるということについて理解が深まってきたからかもしれません。

学会の感想は複数の記事として投稿しようと思っていますので、続きはまた次回をお待ち下さいませ。

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長距離走を走るように、仕事も一歩ずつ

最近ランニングをするようになってから、仕事の進め方に対する考え方が少しずつかわってきました。いろんな変化がありますが、まず一言で言うならば「長い目でみられるようになった」ということです。

長距離走では「一瞬ペースを上げる」ということをしても、全体でみたらほんの少しの影響しかありません。基本的には「同一のペース」で走るか、もしくは「ペースをあげる」ということをしても、「全体としてペースを上げたまま走る」ということが必要になります。

50メートルくらい急に全力で走ったところで、全体のタイムはあがらないし、むしろ悪影響の方が大きいと思います。

仕事も同じかなと思います。ある日一日だけ猛烈にペースをあげても、全体としての影響力はわずかかもしれません。さらにいえば、一日無理したことにより、全体のペースが乱れることすらあるかもしれません。

特に、長い時間がかかる仕事であればあるほどそうです。とにかくペースを守って一歩ずつ走って行き、気づいたら「ペース平均が少し早くなる」というような成長の仕方をしていく必要があるのかもと思います。

自分は昔から「短距離走」が好きだったからかもしれませんが、仕事のやり方も短距離派だったのかもしれません笑

昔から「長距離走」は苦手、というか、嫌いでした。でも人はかわれるもので、長距離走も長距離走的に仕事をすることも少しずつ慣れてきました。

つい最近まで「マラソン大会とかにでるのは無理」といっていたのに、気づけばすでにマラソン大会に3回参加し、4回目もでようとしているのだから不思議です。

「長距離を走る」という行動は同じでも、「走らされる」のと「自分から走ろうと思う」というのは全然意味合いが違うのだということを非常によくかんじます。

「自分でやると決めたことを一歩ずつ積み重ねていくことが大事」というのは言われてみるとそうなのですが、「身体でわかる」というのは理解の仕方が違うなと思う今日この頃です。

【ちなみに】

これまで走った大会はこんなかんじです。全部今年です笑

  • 5月:春日部マラソン(5km)
  • 7月:大井町マラソン(5km)
  • 10月:荒川マラソン(10km)

次は1月にでる予定です。もう一度10kmか、一気にハーフか迷い中です。

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走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
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失敗をオープンにすることの重要性:即興演劇(インプロ)ワークショップを実施しました

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先日ビジネスコミュニケーションについて学ぶ授業(通称、BL3B)で即興演劇(インプロ)のワークショップを実施しました。

この授業は太田哲二先生と、舘野が共同して担当している授業です。第二回目の授業では、野村真之介くんにゲスト講師として参加していただき、一緒にワークショップを実施しました。

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インプロというと「演じる」イメージがありますが、ワークショップではコミュニケーションに関するゲームをいくつか実施するかんじです。今回はインプロ体験の時間は1時間くらいだったので、3つくらいのゲームを体験してもらいました。

当日のファシリテーションは野村君にお任せなのですが、ワークショップの意図のすりあわせについては事前に十分に行いました。

もちろん、最終的に、当日になれば、その場にあわせて柔軟にワークの内容や順番はかえてしまいます。ただし、それも「意図のすりあわせ」があるからこそです。目的を共有していれば、お互いスムーズに当日プランを変更できるというわけです。

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今回のワークショップで特に学んでほしいこととして設定したのは「失敗をオープンにすること」「他者にゆだねること」「その場に集中する(いる)」ということの3点です。

インプロは「即興」であるため「失敗すること」が多いです。ただし、失敗は悪ではありません。重要なのは「失敗した後にどうするか?」です。失敗の後に「ごまかす」「ものすごく落ち込む」という姿勢ではなく、「失敗したことをオープンにする」ということを体験してもらいました。

そのほかにも「他者の意外な発想」にゆだねることや、「その場に居続ける」ことを体験するワークなどを実施しました。

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インプロのワークショップは、楽しさだけでなく、リーダーシップにおいて重要なポイントなどを体験的に学ぶことができます。

「失敗を恐れずやっていいよ!」と言うのは簡単なのですが、それを「身体的に感じる」というのはなかなか難しいものです。それを短い時間で、チームメンバーと一緒に楽しく体験できるという点で、すごく面白いなと思います。

またどこかで実施してみようかなと思います。

インプロワークショップに興味のある方は野村真之介くんに依頼してみるとよいかと思います。

野村真之介プロフィール
http://funbest.jp/profile/shinnosuke-nomura

Twitter
https://twitter.com/nomurashin0920

Facebook
https://www.facebook.com/nomura.shinnosuke

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ビジネスコンテストでプランを考える上で押さえるべき3つのポイント

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先日、立教大学と産能大の学生団体が主催しているビジネスコンテストでプランのフィードバックをしてきました。今回は中間発表のフィードバックをしてきたのですが、プランをみていて共通して押さえるとよいと思ったポイントがあったのでそれをまとめてみたいと思います。

ポイントは3つです。

1.課題の達成状況をしっかり押さえる
2.協力企業様のことをしっかり押さえる
3.「なるほど!」と思えるような問題の分析・提案のために「足と頭をつかう」

どれも当たり前なのですが、これらをしっかり押さえるだけでプランはよりよいものになると思います。詳細を少し以下で説明しましょう。

1.課題の達成状況をしっかり押さえる

ビジネスコンテストの課題には、必ず「押さえるべきポイント」が書かれています。例えば、「いつまでに、これくらいの数値を達成する」などが入っている場合も多いです。当たり前なのですが、提案するべきプランはそれらを満たしている必要があります。

プラン発表のときに「アイデア」はあるのですが、本当にそのゴールを達成できるのかについて言及している班が少ないと感じました。

プランを提案する上で、「何がゴールなのか?」「現状はどうなっているのか?」「自分たちのプランはその中に何にアプローチして、どういうストーリーでそれが達成できるのか?」というところを押さえられるとよいなと感じました。

2.協力企業のことをしっかり押さえる

ビジネスコンテストでは、必ず協力企業の方がいるわけです。つまり、プランの宛先が明確なわけですね。課題についてのプランを提案する上で、その企業「ならでは」を突き詰めるということはとても大事なことです。

そのためには、しっかりと協力企業の特徴を押さえ、その上での考察が必要になります。「アイデアはいいけど、うちでやる必要はないよね(うちではできないよね)」とならないように、しっかり協力企業について押さえていきましょう。

3.「なるほど!」と思えるような問題の分析・提案のために「足と頭をつかう」

ビジネスコンテストでは、協力企業の方々にとっては「なるほど」という発見がほしいわけですよね。そうした「なるほど」を得るためには、ネットで情報を持ってきただけではやはり不十分です。

もちろん調査のデータを使うことは大切です。ただ、それをそのまま使うのではなく「てことは、こういうところに問題があるんじゃないのか?」という解釈や洞察に頭を使うことが大切になってきます。そして、その洞察をより深めていくために、「足」を使って、具体的にデータを集めにいくなどをしていくことが大事になってきます。

「なるほど、だからこのサービスはいま使われていないのか」
「なるほど、こうすれば人は動くのか」

といった発見を1つでもいいのでプレゼンにいれられるようになると、ぐっとレベルが上がってくると思います。

今回は3つのポイントについて書きました。もちろん、これだけで全てではないのですが、最低でもこの3つは押さえられるとよりよいものになるのではないかと思います。

ビジネスコンテスト型の授業を担当するようになって3年目になるので、少しずつこういったポイントをまとめていきたいと思います。

ちなみに、せっかくなので、今回参加したビジコンについて軽く説明します。

このイベントは立教大学と産能大学の学生団体が協力して実施しているものです。昨年までは2つの大学でやっていたのですが、今年は大学数を増やして運営しているそうです。

今回の協力企業は「TRILL株式会社」様で、「TRILL(トリル)」というオトナ女子向けのアプリに関する課題についてプランを提案するというものです。

大学や学年も色々混ざったグループでやっているので、大学の中だけでは体験できないグループワークができているのではないかと思います。

学生が主体となって企画を運営しており、「大学数を増やす」とか「プラン作りのプロセスを改善する」など、新しい試みをどんどん取り入れているようで面白いと思いました。運営側にとっての学びも大きそうです。知っている学生たちががんばっていて、頼もしさを感じました。

来年も実施予定であり、参加大学も増やしたいとのことですので、興味のある大学関係者の方はぜひ参加いただければと思います。アナウンスはこちらのブログでもしたいと思います。

【参考書籍】

プレゼンを作る段階の話ではありますが、こちらの書籍も参考になるかと思います。この通り作れというわけではなく、情報の取捨選択はしてほしいですが、ヒントはたくさんあると思います。

社内プレゼンの資料作成術
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授業のポイントを「つぶやく」実践を試み中です

秋学期からスタートした論理思考を学ぶ授業で、授業のポイントを「授業後にツイートする」という試みを試しています。だいたい3〜5つくらいのポイントについてつぶやき、togetterにまとめるイメージですね。

毎回更新していく予定ですのでよろしければご覧ください。

論理思考を学ぶ授業」のポイントまとめ
http://togetter.com/li/880589

今回これをやってみた理由は3つです。

1つ目は、課題のフィードバックをやっていると共通して抜けがちなところが見えてくるので、そのポイントを伝えておきたいと思ったからです。授業でも伝えますが、ツイートだと後に残りますし、他のクラスの人も見ることができます。

2つ目は、授業の復習として使って欲しいからです。授業の中だけだと、どうしてもついついポイントを忘れてしまいます。ツイートならざっと見やすいので、授業後にこれらを見てもらえるとより内容が定着するのかなと思います。

3つ目は、ぼく自身の「ポイントをまとめる練習」の機会にしようと思ったからです。授業で大事なコトを「3〜5にまとめて、140字で伝える」というのは、まさに論理思考が必要になります。これをぼく自身が練習すること、そして、そういった文章をみてもらうことが何かのヒントになればと思っています。

論理思考や書くことに関する授業をしていると、「おまえもちゃんとやっているんだろうな?」というなぞの声が聞こえるので、緊張感があります笑 ただ、自分自身にとっての成長機会にもなるので楽しいです。

どんどん更新していくので、授業をとっていない方も楽しんでいただければと思います。

論理思考を学ぶ授業」のポイントまとめ
http://togetter.com/li/880589

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