月別アーカイブ: 2015年8月

大学の教員は夏休みに何をしているのか?

大学に限らず教員と名のつく職業の人たちは「夏休み長くていいですね」と一度は言われたことに違いありません。しかし、もちろんそんなわけもなく、夏休み中は夏休み中でいろんなことをやっています。

授業がない夏休みの間は、まとまって研究をしている先生方は多いのではないかと思います。お盆のときなども、twitterをみていると、「まとまって仕事ができてよい」という大学関係者のツイートをちらちらとみかけました笑

少なくとも私にとって夏休みは「研究」が中心な生活を過ごしています。「研究」とは、具体的には「論文・書籍の執筆」、「データの分析」、「学会の発表」などが含まれます。

こうした夏休みの生活は、授業期間中の生活とはだいぶ違います。特に「論文・書籍の執筆」に関しては、一日中、室内にずーっとこもって論文を書いていたりします。

資料を読んでみたり、一度印刷して読み直してチェックしてみたり、そんなことをしているとあっという間に一日がおわります。ふとした瞬間に「あれ、俺今日誰かとしゃべったかな」と思うくらいです笑 完全に引きこもり生活です。

授業期間中は、なかなか「ひとりの時間」はとれず、物理的にひとりでいても、Facebook、LINE、Gmailなどで常にだれかとつながっているかんじでしたが、それとは真逆の生活ですね。あの生活がもはやすでにちょっと懐かしいです。

時期によって両極端な生活をしているわけですが、個人的にはどちらの生活も好きです。だれかと話をしながら大人数でしかできない仕事を進めることような外向的なことが求められることも好きですし、一日ひとりで本を読んだり書いたりしている内向的な時間も好きなので、まあ自分にとっては向いている仕事なのかもしれませんね。

「大学の先生って夏休みはなにしているんですか?」とたまに聞かれるので今日はこんな記事を書いてみました。

8月ももう終わりなので、9月に入るとまたいよいよ授業モードに入っていきますね。まだまだ論文・書籍系の仕事がたまっているので、どんどん手をつけていきたいと思います。。。

■関連する文献

こちらの書籍を参考にしつつ、たくさん書いていきたいと思います笑

できる研究者の論文生産術 どうすれば「たくさん」書けるのか (KS科学一般書)
ポール.J・シルヴィア
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「これはなぜか?」という好奇心と問題(テーマ)設定:人間と人工知能の違いとは?

こんな記事がネットで話題になっていました。人工知能をつかって「人狼ゲーム」を対戦させる大会のレポート記事です。

嘘を見抜ける人工知能が衝撃的すぎる
http://ascii.jp/elem/000/001/043/1043020/

私がこの記事を読んでいて特に印象的だったのは、以下の部分となります。

 そして人工知能がもっとも苦手としているのは、問題設定だ。

ある人物がこんなことを言ったのはなぜなのか。推理の裏には「実はこうだったからなのではないか」という仮説がある。人工知能はパラメーターをつくって状況判断をくだすことはできても、自分で解くべき問題をつくることはできない。

つまるところ人間と人工知能の間には好奇心の壁がある。もし人工知能が「これはなぜだろう」と考え、答えを見つけようとするプロセスをつくれたとしたら、そのときこそ人間は「最後の審判」に立たされるのかもしれない。

http://ascii.jp/elem/000/001/043/1043020/index-5.html

この部分には考えさせられてしまいました。

いまは大学の授業でも「問題解決」だけでなく、「問題設定」から学生にやってもらうものは多いです。例えば、卒論などはそうですし、レポートやプロジェクト課題によっても、「自分で問題を決める」というプロセスが入ってきます。

ただ、みなさんもご存じの通り「問題設定(テーマ設定とも言い換えられます)」ってめちゃくちゃ難しいですよね。

もちろん頭をつかって「よりよい問題を見つける」というのは難しいわけなのですが、さらにポイントとなるのは「好奇心」です。

「好奇心」とは、外側から客観的に決められるものではなく、「その人によって異なるもの」だといえると思います。ある意味でいえば「主観」ですよね。「知りたい」「やってみたい」という気持ちです。

この「主観」部分を上手に扱いつつ、「よりよい問題」をうまく設定する(ある種、論理的に)ためにはどうしたらいいのかなあと、あらためて思いました。さらにいえば、こういう過程をどうやったらサポートすることができるのでしょうかね。

「好奇心」てどうやったらうまく意識したり、伸ばしたりすることってできるのか?という問いとも関連するように思います。

今回のブログにそれ自体の答えはありません。ただし、今後大学教育の中において「問題設定(テーマ設定)」についてより取り組んでいくこと、そのために「好奇心」といった、ある意味での「主観」を上手に活かしていくことの重要性を感じました。

だいたい、プロジェクト型学習をみていても、よい成果を挙げるチームというのはテーマ自体に対して、メンバーが「好奇心」を持っているように見えるケースがとても多いです。

「自分はこれに興味がある」という好奇心ということを上手に扱うような教育は今後より重要になってくるかもしれませんね。

【関連書籍】

この書籍は「問題設定(テーマ設定)」についての記述がわかりやすく、面白いので個人的にとても好きです。

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
戸田山 和久
NHK出版
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「道具」をつかいこなすためには、使いながら学んでいくことが大事

石倉洋子さんのインタビュー記事を読みました。テーマは「英語の学び方」です。

世界で活躍する人の英語の学び方は、どこがあなたと違うのか
http://wol.nikkeibp.co.jp/article/trend/20150821/212604/

面白いと思ったのは以下のポイントです。

英語も包丁と同じであくまで道具なのです。基本的な使い方を覚えたら、あとはどれだけ使うかが勝負。「完璧にできるようになってから、英語を使おう」というのではなく、「英語を使いながらマスターしていこう」ということでいいのです。

やっぱりそうかというかんじですね。以前以下のような記事を書いたのですが、結局のところ「道具」的なものは、完璧にマスターしてからやろうとするのではなく、「使いながら学ぶ」しかないのですよね。

「できるようになってからやろう」と思うと結局なかなかできないという話
http://www.tate-lab.net/mt/2014/09/1420.html

「道具」的なものは「英語」だけではなく、「文章を書くこと」などもそうかもしれません。

結局のところ「完璧主義的」になることを一度手放し、状況に飛び込んで、「なんとなく通用する」ことを繰り返しながら学んでいくことが必要なのかもしれませんね。

そのためには、「状況に飛び込む勇気」、そして、飛び込んだ状況の中から「次につながる学び」をいかに抽出するかが大事になりそうです。そういう学びの基本姿勢みたいなものをずっと持ち続けていたいものです。

ある意味で、Facebook社のマーク・ザッカーバーグさんが言ったといわれる以下の言葉にも通じそうだなと思います。

「Done is better than perfect(完璧を目指すよりまずは終わらせろ)」

ということで、困って動けなくなったら、そういうときにこそ軽くでいいので動いてみるのが大事そうです。

■関連記事

以前こんな記事も書いていました。

「とにかく一度書いてみること」のススメ
http://www.tate-lab.net/mt/2012/11/post-254.html

最近書いた記事も関係しそうです。

「まとまった時間がないと書けない」と思い込んでいないか?
http://www.tate-lab.net/mt/2015/08/1462.html

■関連文献

こないだ紹介した「書くこと」に関する英語の書籍ですが、日本語訳がでていたそうです。こっちも読んでみたいと思います。

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「リーダーシップの質」が企業価値になる!?

Harvard Business Reviewに以下のような記事が載っていました。

企業価値評価に「リーダーシップの質」を取り入れよ
http://www.dhbr.net/articles/-/3441

この記事の内容をざっくりいうと、企業価値評価において「リーダーシップの質」を判断材料にしようということです。

より具体的に言うと、投資判断の材料として「リーダーシップ・キャピタル指数」というものを提案するものです。これは面白いですよね。

こうした流れは現在はまだ「見えていない」、企業の無形の価値に注目が集まっているからだといえるでしょう。そのひとつがリーダーシップというわけですね。

この記事の中では「リーダーシップ・キャピタル指数」の具体的な項目が挙げられています。項目は「個人」と「組織」の2側面です。

記事から引用すると以下となります(記事のほうがより詳しいので詳細はそちらをご確認ください)

●個人
1.個人的資質
2.戦略力
3.遂行力
4.従業員との関係
5.リーダーシップの優位性

●組織
1.文化構築力
2.人材管理力
3.業績に関する説明責任
4.情報活用力
5.業務慣行

こうした指標が整えられるようになると、「リーダーシップ開発」についてもかなり大きな影響がでるでしょうね。一種の評価基準となるわけなので、大学におけるリーダーシップ開発でも、こうした指標を見つつ、実践をカスタマイズしていく必要がでてきそうです。

ただ、いずれにせよ、今後リーダーシップ開発の意義はより高まっていくかもしれませんね。

■関連図書

こちらが出版されたら読書会でもしようかなと検討中です。興味ある人がいればぜひ一緒に読みましょう。

日本語の方は別の本ですが、こっちもとりあえず読んでおこうかなと思っています。

個人と組織を充実させるリーダーシップ 全米No.1のウルリッチ教授の処方箋
デイブ ウルリッチ ウェンディ ウルリッチ
生産性出版
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■ちなみに

この記事を知ったきっかけは、春学期の「リーダーシップ入門」の授業を受けた1年生がtwitterでつぶやいていたからでした。興味関心を継続させていてえらいと思うとともに、情報のキャッチアップで負けている場合ではないと気合いが入りました・・・笑


 

「授業作りの舞台裏」に関する動画が公開されました!:立教大学経営学部BLPの教員SAミーティング

立教大学経営学部BLP(Business Leadership Program)の舞台裏に関する動画が完成しました!

この動画では以下の2点がわかるようになっています。

・SA(Student Assistant)はどのような役割を担っているのか?
・教員とSAはどのように共同して授業を作り、改善していっているのか?

 

今回は授業後の「教員・SAミーティング」の様子を公開しています。BLPの授業見学にきてくださった方には、授業だけでなく、ミーティングも公開しているのですが、実はこのミーティングは見学の人気コンテンツとなっています

今回はその一部を公開しました。ここでのミーティングは、もちろん撮影用に実施したものではなく、本当にいつも通りの会議です。後ろにたくさん人がいますが、それは当日の授業の見学者の人たちです。

このようなミーティングの成果もあり、今年は授業の中間発表を合同クラスによるポスター発表にしていまうなど、さまざまな新しい試みを実施することができました。

授業作りの舞台裏については、もちろんこのミーティングだけではなく、「合宿」、「SAのみのミーティング」、「オンライン上での授業に関する議論」など、さまざまあるのですが、これだけでも授業作りの雰囲気がわかるかと思います。

秋学期も「授業」・「教員SAミーティング」ともに見学可能です。興味のある方は気軽にご連絡くださいませ。

立教リーダーシッププログラム(秋期) ご参観 申し込みフォーム
https://goo.gl/XRm9Ju

ちなみに舘野が立教大でやっている仕事については以下にまとめてあります。

ぼくが立教大学経営学部でやっている仕事をまとめてみた
http://www.tate-lab.net/mt/2015/02/1436.html

【関連書籍】

大学教育アントレプレナーシップ―新時代のリーダーシップの涵養
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「まとまった時間がないと書けない」と思い込んでいないか?

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久しぶりに「書くこと」に関する本を読んでいます。この本の中では「書くこと」に関する4つの思い込み(心理的ハードル)について書かれています。

これをぼくなりの言葉にすると4つの質問になるのではないかと思います。

1.まとまった時間がないと書けないと思い込んでいないか?
2.もっと分析したり、文献を読んでからでないと書けないと思い込んでいないか?
3.書くためにもっとよい環境(新しいパソコンやイスなど)がないとだめだと思い込んでいないか?
4.書こうとする気持ちがのったときに書けばよいと思い込んでいないか?

どれもドキッとする質問ですね。

「書こう!!」と肩肘張りすぎず、スケジュールをしっかり決めて、毎日の習慣として、ある程度の時間(たとえば1時間程度)をとって書いていこうよというのが、本書の主張のポイントかなと思います。つまり、毎日の習慣にしてしまえばOKということです。

「書く」という行為から離れずに、短くてもよいから習慣化するというのは当たり前かもしれませんが重要なことかもしれませんね。

ちなみにこの本は、英語版しかないのかと思ったら、日本語版もでていましたので、興味ある方はこちらを購入されるとよいかと思います。

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How to Write a Lot: A Practical Guide to Productive Academic Writing
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どんな体験もリーダーシップ開発プログラムにしてしまう魔法の教授レシピとは?

少しあおり気味のタイトルですが、今日はリーダーシップ開発について書いてみたいと思います。

7月に京都で「リーダーシップ開発学」に関するワークショップを実施したときにも話をしたのですが、「リーダーシップ開発プログラム」をつくるのは実は「ある要素」を押さえればすごく簡単にできます。

その要素を押さえれば「どんな体験(部活、バイト、プロジェクト、ゼミ)」もある程度はリーダーシップ開発の機会になってしまうのです。

ではその要素とは何か?一言でいえば、「リーダーシップの視点で目標を立て、振り返りを行う」ということです。

もっと具体的に言いましょう。要は「チームで何かの作業をした、作業プロセスそのものについて、具体的な事実をもとに、相互にフィードバックをして、その行動の持つ意味を考え、次の行動に活かす」という過程を付け足せばよいのです。

さらに、そこでの振り返りを効果的にするために「リーダーシップの視点での事前の目標立て」が重要になります。なぜならそれが「振り返りのための視点」になるからです。「視点」を明確にしておかないと、振り返りの活動がぼんやりしてしまいます。

ここでの目標も「リーダーシップについて」の目標を立てることが重要です。「優勝する!」といった成果のことだけ目標を立ててもだめです。

つまり、どんな体験もリーダーシップ開発プログラムにしてしまうためには、「グループプロセスに関する目標」を事前に明確に立て、なにかの体験をした後に、「グループでのプロセスについて振り返りを行う」ということをすればよいということになります。

たったそれだけ?と思うかもしれませんが、意外に「それだけ」の行動がプログラムに入れ込まれていないケースは多いと思います。「目標」や「振り返り」の時間は設けられていても、「時間があるだけ」で焦点のぼやけた行動をしてしまうことも多いのではないでしょうか。

重要なのは「リーダーシップ」、つまり「グループでの行動」を対象にした振り返りも忘れずにやることです。案外と「グループの成果だけ」に目を向けて目標を立てたり、振り返りをしてしまうことも多いと思います。

さらに、プログラムを作る側の視点として「体験そのもの」のデザインにあまりに焦点が向いてしまい、「体験の前後の重要性」を忘れてしまうことも多いと思います。

リーダーシップを振り返るための「素材」となる体験があるのであれば、わざわざ新たな「体験」のみを用意する必要はないのです。そうではなく、「体験をサンドイッチするための、目標と振り返り」だけ上手に作成しておけば、どんなプログラムもリーダーシップ開発の方向へと向かわせることができるというわけです。

「リーダーシップ開発」をするというと、ものすごくおおごとのように考えてしまうかもしれませんが、実はこういうちょっとした工夫をいれるだけでも、既存の実践をリーダーシップ開発の場にすることができます。ためしにちょっとやってみるのはいかがでしょうか?

具体的な「目標」「振り返り」の手法についてもあらためてブログ記事にまとめたいと思います。

ちなみに、リーダーシップ開発だけでなく、ワークショップ・デザインにおいても、「体験の前後をデザインする」という視点はとても重要です。実は「学びのデザイン」の様子は前後の方に詰まっていると言えるのではないかと思います。

■関連書籍

 

大学教育アントレプレナーシップ―新時代のリーダーシップの涵養
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リーダーシップ入門 (日経文庫)
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■関連記事

京都でのワークショップの様子はこちらにまとめています。

リーダーシップ開発学ワークショップを実施しました:大学生研究フォーラム2015
http://www.tate-lab.net/mt/2015/07/1446.html

「バカリズム考えまくる人」Quick japanを読みました

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今回のQuick japanはバカリズム特集だったので思わず買ってしまいました。密着ドキュメント、インタビューなどなどコンテンツが詰まりまくった一冊でした。

特に面白かったのは構成作家のオークラさんの書いた「大バカリズム論-笑いの構造開発者・升野英和の20年史」でした。バカリズムさんの笑いのスタイルや現在までの歴史が考察されているのですが、視点がとても面白かったです。

以下、簡単ではありますが、文章を引用しながら内容を少し紹介したいと思います。

タイトルにある「笑いの構造開発者」とあるように、バカリズムさんの笑いは「新しい笑いの構造(システム)」をつくることだといいます。ここでシステムとは以下のように書いています。

この場合のシステムというのは、単純なキャラクターコントではなく、AをすることでBという現象が引き起こされる、誰も見たことのない新しい構造を作ること。簡単に言えば、バカリズムの「トツギーノ」です。

「バカリズムってこういうキャラ」としてアピールするのではなく、勝負のポイントは「新しいシステム」だということですね。ただし、こういうスタイルには弱点があります。「バカリズムといえば○○」というわかりやすいイメージが浸透しにくかったそうなんですね。

バカリズムの美学はネタごとにルールを変えることにあるから、他の芸人に比べると「バカリズムの笑い」としては浸透しなかったし、「オンエアバトル」で目立った印象はなかったと思います。

こうした状況を乗り越えたのは、コンビを解消し、ピンになることがきっかけだったようです。

ピンでやることで、バカリズムがもともとやりたかった、「ルールそのものを伝える笑い」がより明確になり、ダイレクトに世の中に伝わるようになったと思います。ようやく世の中が「あ、バカリズムってこういうことなんだ」と理解することができたんです。

これによって「トツギーノ」が生まれたものの、これに満足することなく、新たなシステム作りをしていった、というのがざっくとした流れになります。

ものすごくざっくり紹介しているので、詳細気になる方はぜひ書籍をご覧ください。もっと別の視点についても書いてあります。

普段何となく見ているお笑いを、こういう構造として解説されると非常に面白いですよね。なるほどと思って読みました。

「自分がどういうスタイルで勝負するのか?」というのはお笑いの世界に限らないですよね。

「自分の得意なスタイルはどういうもので、そのよさ・難しさはどこにあるのか?」読んでいてそんなことを感じました。お笑い好きな人以外にもおすすめできそうな一冊です。

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立教リーダーシップカンファレンス2015で登壇してきました:「アクティブラーニングのためにリーダーシップ教育が必要な理由」

昨日はこちらのイベントで、以下のタイトルの発表を行いました。参加者は約100名くらいだったでしょうか。

立教リーダーシップカンファレンス2015 アクティブラーニングのためにリーダーシップ教育が必要な理由
http://www.kawai-juku.ac.jp/info/active/

何を続け、何を変えるのか?:「ウェルカムキャンプ」「リーダーシップ入門」の授業改善プロセス
日向野幹也・舘野泰一・塩澤慶祐(立教大学BLP)

この発表では「どのように授業を改善しているのか?」という舞台裏に焦点をあててお話しさせていただきました。発表はぼくのクラスのスチューデント・アシスタントをしてくれた塩澤君ともともに行いました。

裏側部分をお話しするのは初めてだったので、うまく伝わったかは心配なのですが、「どういう授業をやっているのか」だけでなく少しずつ「その授業をどのようにつくりだしているのか?」という部分を共有していけると面白いのかなと思いました。

事例発表後に、登壇者による1時間の「座談会」があったのですが、そこでは司会を務めさせていただきました。座談会用に即興で以下のスライドを作成してまずは事例の整理をしました。

スライド2

その上で、会場からでてきた質問をもとに、登壇者の相互質問などもしながら進める形式で実施しました。質問の分類はざっくり以下のようなかんじです。それぞれについて具体的な質問がでていたので、それもまとめてスライドに表示しながら進めました。

スライド3

座談会は完全即興のため、かなり緊張していましたが、私個人としても色々聞きたい話を聞くことができました。

座談会を通して個人的に感じたのは、大学教育改革は「教育方法の洗練」、「(教員や学生自身による)学生の成長の実感」、「運営体制の整備」という3つが相互にかかわりあいながら進んでいくものなのかなと思いました。

やはりまず「よい授業をする」、そして学生が成長しているということを「教員(担当教員以外も)や学生が自分自身で認識する」、それを契機に「よい授業を作り続けられるための運営体制を整備する」というサイクルが重要なのかなということです。

まあ当たり前なのですが、順番はこのままでなくても、小さくこの3つを整備していき、雪だるま式に大きくしていくことが重要なのかなと。この3つの要素のどれかが欠けてしまうと、仕組みだけが導入されて終わってしまったり、実践のサステナビリティがなかったりということになってしまうのかもしれません。

高校・大学におけるよい実践として紹介される事例に「元々最初から順風満帆だった」というところはひとつもないでしょう。おそらく基本的には「0から1をつくる」どころか、なんらかの「逆境」(つまり、マイナス)からスタートしているのではないかと思います。

教育実践に関するイベントでは、それをひっくり返す思いや、具体的な方法を得るような場になるといいのかなと思いました。

自分がやっている実践についてもまだまだ整理ができていない部分があるので、今後もしっかり整理して共有できるようにしておきたいと思います。

ちなみに発表でも紹介した「授業」及び「教員SAミーティング」は実際に見学することが可能です。見学をご希望の方はお問い合わせ欄から気軽にご連絡ください。

【関連する文献】

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ディープ・アクティブラーニング
溝上 慎一 エリザベス・F・バークレー フェレンス・マルトン 安永 悟 エリック・マズール 田口 真奈・松下 佳代 関田 一彦・三津村 正和 小野 和宏 日向野 幹也 松下 佳代
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チームにとってなぜ目的が大事なのか?:「チームの力(西條剛央)」を読んだ

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「チームの力」を読みました。率直な感想として、非常に面白かったです。「チーム」「組織」「リーダーシップ」などのキーワードに興味がある人にはさまざまなヒントがある本だと思います。読みやすいので大学生にもおすすめです(リーダーシップについて興味ある人は必読です笑)

本書は、

そもそも我々は何のためにチームを作るのか?それは一人ではできないことがあるからだ。

というはじまりから、チーム作りにおける「目的・理念・ビジョン」の重要性や、リーダーシップでおさえるべきポイントについて網羅的にまとめられています。

面白いと思ったポイントを全て挙げるとかなりの分量になってしまうので、2点に絞って、本文を引用しながらポイントを紹介します。

1.目的・理念・ビジョンの重要性

まず本書は、チームにおける「目的・理念・ビジョンの重要性」について非常にわかりやすく書かれています。

集団とは単なる人の集まりであるのに対して、組織とは「何らかの目的を達成するための有機体」なのである。

つまり、チームや組織とは目的達成のために作られるものである以上、何をするにも、その目的が決定的に重要になるのだ。したがって、まずリーダーがやるべきことは、チーム作りのすべての判断基準になる「目的」を明確にすることである。どういうチームメンバーが必要で、どのような戦略が有効で、どういうリーダーシップが求められるのか、すべてこの「目的」を抜きに考えることはできない。

「目的の重要性」をとても簡潔に伝えられているように感じます。本文ではこの後に、理念、ビジョンの説明が続きます。リーダーシップにおいて「目標の設定・共有」は重要な行動のひとつですが、これの重要性を簡潔に述べているように感じました。

2.方法とは?

目的の重要性は、「方法の選択」に関わってきます。よい方法とはいかなるものか?それは目的と対応するのです。

つまり、どんな状況、目的においても機能する「絶対に正しい方法」はないのだ。換言すれば、これまで「正しい」と思っていた方法も、状況や目的が変われば、「間違った方法」になりうる。この「方法の有効性は(1)状況と(2)目的に応じて決める」という「方法の原理」は、いつでもどこでも例外なく妥当する。

言われてみれば当たり前かもしれませんが「方法の正しさ」は、「状況」と「目的」に左右されるわけです。ということは、つまり、その正しさを判断するために「チームの目的」をはっきりさせておく必要があるというわけです。

ここで書かれている「チーム」「目的」「方法」の関係は、汎用性も高く、非常に重要な視点であると思います。

私自身がチームを作るときにも、「目的」「方法」の関係はとても意識しています。例えば、大学の授業改善についてチームで取り組んでいるわけですが、その目的(言い換えれば、学習目標)を常に意識ながら、それに対応した「方法(教育方法)」を選んでいきます。

我々は現在「リーダーシップ教育」を行っているので「それがリーダーシップの育成に本当につながるのか?」が方法の取捨選択の基準となります。さらに、目的となる「リーダーシップとは何か」についても、常に理解をそろえ、アップデートしていくことを行っているというわけです。

本書は、なんとなく感覚的に思っていたことが、明確に言葉でずばずば書かれていて爽快な本でした。

立教大学のリーダーシップ教育で大事にしているリーダーシップの3つの要素(目標設定、率先垂範、同僚支援)の視点と重なる部分も多く、かなり参考になりました。

チームやリーダーシップについて本書で書かれているような視点を持つと、チームで仕事をすることがさらに楽しくなり、成果につながるのではないかと思いました。おすすめの一冊です。

チームの力: 構造構成主義による”新”組織論 (ちくま新書)
西條 剛央
筑摩書房
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