【イベントレポート】説得するのは「社外」でなく「社内」?:イノベーションの鍵となる「社内説得」の理論と実践を学ぶ


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昨日はこちらの研究会を開催いたしました。

説得するのは「社外」でなく「社内」?:イノベーションの鍵となる「社内説得」の理論と実践を学ぶ
・福澤光啓さん(成蹊大学経済学部)
・伊達洋駆さん(神戸大学大学院/ビジネスリサーチラボ)
・舘野泰一(東京大学大学総合教育研究センター)

今回の研究会のテーマをあえてひとことでいうならば「イノベーションが実現しないのはよいアイデア・技術がないことが問題なの?」ということです。

クリエイティブなアイデアを考えるということはとてもワクワクすることですし、そういう場をつくることも魅力的です。しかし、必要なことは本当にそれだけなのかということを、伊達さんと福澤さんに話題提供をいただき、参加者のみなさんと一緒に議論をしました。

■実践編:伊達洋駆さんの話題提供

伊達洋駆さんには「実践編」ということで、実際に伊達さんが関わった「社内でイノベーションを促進する試みをしたA社の事例」や、「社内説得がうまくいくときの条件」などについてお話いただきました。

伊達さんのセッションでは、「一般的にどうか」「研究的にどうなっているか」ということではなく、あえて「目の前で起こっていることはどのようなことか」ということに焦点化してお話していただきました。うまく説得が進むときにはどういうときかについて、具体的な事例をもとにお話いただきました。

■理論編:福澤光啓さんの話題提供

福澤光啓さんには「理論編」ということで、「イノベーションの理由」の書籍で紹介されている「創造的正当化」の理論のご紹介や、戦略論の視点から「社内でイノベーションを起こすこと」やインテルの事例について話題提供をいただきました。

福澤さんのセッションでは、個別の事例に限らず、「事例に共通する点」や「研究として明らかになっていること」を中心に、広く全体の傾向を押さえるようなかたちでお話していただきました。

■ダイアローグ・セッション

今回ぼく自身は話題提供をしませんでしたが、全体のプログラムの設計や当日のファシリテーションをさせていただきました。各セッションの間にダイアローグ・セッションを設け、参加者の方々同士で議論をしていただきました。また、最後の20分は、参加者の方に書いていただいた質問をベースに、より議論を深めていきました。

非常によい質問がたくさんいただき、私たちもそれに答えるなかで「ああ、そこがポイントかもしれない」という発見がたくさんありました。

■社内説得の極意とはどこにあるのか?

今回の研究会をしてあらためて感じたのは、イノベーションとは「矛盾のかたまりである」ということでした。

「イノベーションは新しいから経済的合理性が主張できないが、それゆえに資源動員がなされない」

「組織にとって安定することは大事であり仕組みをつくることは重要だが、それゆえにイノベーションの芽がつぶされてしまう」

「イノベーションが成功したことによって安定するが、それゆえに安定を求める人がたくさん入社してきてしまう」

よく考えてみると、ここに登場してくる人たちは「それぞれにとってはある意味正しいことをしている」のがややこしいのですよね。別に「邪魔したいだけ」でやっているわけではなく、組織として、個人としてということを考えた場合に、ある意味では合理的に行動をしているわけなのです。

しかし、それを続ける限りにはブレイクスルーは起こりません。そこを乗り越えるひとつの方法が「社内説得」であり、福澤さんのセッションで紹介された「創造的正当化」という言葉になります。

普通なら通らないことが進み出すためには、かなりコツコツとした活動が必要になります。仲間を増やしたり、説得の内容を変えたり、権限のある人にアプローチをしたりと、ある意味でいえば泥臭い営みといえるかもしれません。「新しいアイデア」というキラキラしたイメージはそこにはあまりないともいえるでしょう。

社内説得は「どうやったらうまくいくか」というテクニック的な要素もありますが、これをやりとげるためには「使命感」ともいえるくらいの大きな気持ちや情熱が必須になってくるのだろうなということをあらためて感じました。

このテーマについては、今後も引き続き研究会などを行っていく予定ですので、ご興味がありましたらぜひご参加下さい。twitterやblogなどで告知をいたします。

今回の研究会にご参加いただいたみなさま、話題提供してくださった伊達さん、福澤さん、イベントのお手伝いをしてくださった保田さん、舘野さん、柴田さん、どうもありがとうございました。

■関連するリンク

この研究会の内容に関するブログ記事はこちらになります。

「新しいものが必要だけど、前例がないからお金や人を出せない」という矛盾を超えるには?
http://www.tate-lab.net/mt/2013/08/post-285.html

イノベーションが実現するまでの時間、困難、解決策は?
http://www.tate-lab.net/mt/2013/08/post-289.html

「そんなことで驚くの?」:「普通のこと」を話す意味
http://www.tate-lab.net/mt/2013/08/post-290.html

昨日参加して下さった方が感想を書いて下さいました。

【大人の学ぶ技術】社内説得の技術とイノベーション
http://archive.mag2.com/0001595308/index.html

■関連する書籍

イノベーションの理由 -- 資源動員の創造的正当化
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