ワークショップ・デザインにおいて参加者の行動をどこまで想像するか?


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 これまで何回かワークショップ・デザインについて書いてきました。そのときによく「学びの風景」という言葉を使っていたのですが、そこで強調していたのは「参加者がどう動くかを想像してみること」なんですね。
 しかしこのように書くと「どこまで想像してつくっているの?」というのが素朴な疑問としてでてくるのかなと思います。そしてそれは「どこまで作り込むのよ?」という問題と関連してくると思うんですね。今日はこの問題について考えたみたいと思います。

 まずこれまで僕が「学びの風景」といった語ってきたことは、かなり「ミニマム(最低限)」なことだと思うんですね。「ミニマム」というのは、どういうことかというと、例えばですが
・少なくともスムーズに活動が流れること
・快適であること
・目的と意図の対応がきちんとつながっていること
等のことを表しているわけです。より具体的にいえば、
・「この活動を一気にこの人数でやるのは相当時間かかっちゃわない」
・「この日にここでワークやるってことは、かなり暑くなるはずだから、もうちょっと対策しておいたほうがいいんじゃない」
・「この活動は多くの人と話すのには向いているけど、今回の目的とはあっていないんじゃない」
ということをイメージできるかなんですね。
 よって、僕が何度も繰り返し書いていることをもっとシンプルにいえば「参加者にもっとも集中してほしいことに対して、それに集中できるだけの環境をつくりましょう」ということなんです。つまり、できるだけ「本質的ではないと思われる要因によって、活動が阻害されること」をなくしましょうっていうことなんですね。その意味で、「ミニマム(最低限)」のデザインなのです。

 そういってしまうと「そんなの当たり前じゃん」ということなんですが、意外にその「当たり前」ができないものなんですよね。この「当たり前」の部分がしっかりしていればしっかりしているほど、ワークショップの成功度は高まると思います。
 しかも「当たり前の部分」がしっかりしているほど、「遊びの部分」、つまり「チャレンジする部分」も多く組み込むことができますし、デザインとして際立ってくるんですよね。堅牢な土台があるからこそ、思い切ってチャレンジすることもできます。
 それに、参加者がミニマムとしてどんなことが気になるかが見えるのであれば、それを事前に把握してワークに活かすこともできるかもしれません。例えば、「会場がものすごく暑い、寒い」というのはミニマムのデザインとしてはあまりよくないかもしれません。
 しかし、それを事前に把握しておき、ハードルになることをわかった上で、「それを活かしたデザインやワーク、コンセプト」を設定しまえば、それ自体が「遊びやスパイスの部分」になることもあります。逆手にとってしまうこともできるわけです。これがそもそもそういうことに気づかないのであれば、逆手にとることもできないわけですよね。

 ということで今回はワークショップ・デザインにおいてどのように参加者の動きを想像するかについて書いてきました。当たり前ですが、参加者の行動を「全て読み切ること」なんてできません。しかし、「少なくともこれだけは」ということを想像することはできます。
 想像するのは「最低限のところ」からでよいのです。「暑いだろう・寒いだろう」とか「荷物を持ってこの活動をするのは大変かな」とか「滞りなくできるかな」という部分をまず押さえることが、実はけっこう重要です。それがわかれば、デザインに活かすこともできるのです。
 次回はもう少し「想像の仕方」に関する部分について書いていければと思います。
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http://www.tate-lab.net/mt/2012/11/post-259.html
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