最近色々なところで卒論を書いている人へのアドバイスをする機会がありました。修士論文の提出もそろそろということで、最近文章を書いている人へアドバイスすることが多いです。

アドバイスをしていて最近いつも繰り返しいっているなと思うことは「迷っているなら、とりあえず一度書ききってみたほうがいいですよ」ということなんですね。

どういうことか?

それは「書く前にあまりに考えすぎではないか?」ってことなんですね。

これ言い方はとても難しいですけどね。

もちろん文章執筆に関する研究においても「書く前の下準備」の大事さっていうのはとても強調されていて、「プランなしに、思いついたことを書きつらねる」っていうのは初心者の方略として捉えられているんですね。

だから、文章を書く前に、きっちりと

・アウトラインをつくってみる
・構造を意識して図式化してみる

というのは大変に重要かつ効果的なスキルなのです。
これが無意味だということでは決してありません。

しかし、あまりにプランのところに時間を取りすぎてもかえって先に進まないのかなと思います。

ある程度のプランができたら、とりあえず書いてみる。

書いてみることで、「意外にここつながらない」「思ったよりスムーズにつながった」という発見があると思うんですね。

それを踏まえて、またアウトラインを考えてみるとか、構造を作り直してみるということがあってもいいのではなかと思うわけです。

別のパターンとしては「一見アウトラインに見えるけど、アウトラインになっていない」という場合もあります。

だから事前に色々作っているけど、進まないというかんじです。

これは結局「アウトライン」ではなく「項目の羅列」になっていて、意味的な連関が見えない場合ですね。

例としては、
・学校について書く
・最近の教育について
みたいなかんじです。

これはもちろんファーストステップとしてはとても大事なのですが、これを深めていくならば、

「そこで主張したいことはなんなのか?」
「その主張は何をもって裏付けるのか?」

ということを意識してみる必要があるのかなと思います。

「なぜそこで、それを論じる必要があるのか」を意識してアウトラインをつくっていくと、これは結果的にはパラグラフライティングなどにもつながりますから、文章が書きやすくなるのではないかと思います。

「迷っているなら、とりあえず一度書ききってみたほうがいいですよ」

とアドバイスする理由の最後は、「書ききってみないと、そこで書いているものが妥当なのか判断できない」っていうのもあるんですよね。

例えば、卒論でも修論でもいいんですが、
「1章の内容がこれでいいのか」
っていうのは「1章だけ独立して判断すること」は難しく、
「2章で何を述べるのか、最終章の結論はなんなのか」
というふうに、他の章との連関でしか判断できないということも多いんですね。

つまり、
「最後にこんな結論にしたいなら、2章でこの話しておいたら?」
みたいに、全体のバランスや一貫性をもとにアドバイスすることが多いわけです。

その点においても、粗くていいから一回書いてほしいんですね。

「ある文章」や「あるフレーズ」の大事さというのは、「その文章そのものの価値」というのもあるのですが、「その文章がどういう状況ででてくるのか」という文脈もまた非常に大事なわけです。

そのためには、粗くてもいいから「文脈」をデザインしてほしいんですよね。

ということで、今回は「とにかく一度書いてみること」について書いてみました。
最近あらためて

Done is better than perfect(完璧を目指すよりまずは終わらせろ)

という言葉の大事さをかみしめています。

これはFacebook社のマーク・ザッカーバーグさんが言った言葉と言われてますよね。

完璧を目指すあまりに手がとまることはよくありますが、まあ一度つくってからブラッシュアップしたらいいじゃないってことだと思います。

ちなみに、この気持ちを忘れないようにと、中原先生バージョンを作成し、研究室に貼っておきました。
(気が向いたらそのうち写真をアップしますw)

これを読んでくださった方も、ぜひ自分だけのお手製の「Done is better than perfect」ポスターを作成して壁に貼っておくとよいと思います(笑)

Googleのイメージ検索してみると、どういう画像がわかると思います。

http://goo.gl/Ae4RN

まあ文章書くことは大変ですが、楽しみを見いだしながらうまくやれるといいですね。

これまで書いた文章の書き方などに関する記事はこちらにまとめてありますのでご覧くださいませ。

【大学生・院生向け】文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
http://matome.naver.jp/odai/2133342163910863801

大学で書く文章に関する書き方本としては、この本が一番好きです。最近新版になりましたね。

新版 論文の教室―レポートから卒論まで (NHKブックス No.1194)
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