「不健康な習慣はなぜ心地よいのか」というサブタイトルにぐっときて買ってしまいました(笑)

本書「やめられない」心理学は、ポジティブ心理学の本もお書きになっている島井哲志さんが書かれている本です。

医学博士でもあり、心理学者でもある筆者が、健康に関する習慣をどのように変えていくのかについて、わかりやすく、そして、学問的な知見に基づいて解説している本です。
具体的には「健康心理学」という、心理学の応用分野の知見を紹介しています。

健康心理学とは以下のような学問であると筆者は述べています。

健康心理学は、心理学の知識を生かして健康を実現することをめざす領域であり、さまざまな病気や事故などを予防し、健康で幸福な状態(ウェルビーイング)を実現することを目的としている。

目次をみてみましょう。健康にまつわる話が網羅的に書かれています。

第1章 わかっていてもできない健康習慣
第2章 医療のパラダイムと変化の必要性
第3章 習慣を変えるための心理学
第4章 食の健康心理学
第5章 ストレスはたまらない
第6章 こころと健康状態
第7章 病気の心理と行動
第8章 健康な社会づくりをめざして

本書を読むと最初にいきなり読者への問いかけがあります。以下の7つが当てはまるかというものです。みなさんはどうですか?

1.週に一回から二回以上、定期的に運動している
2.毎朝、朝食をとっている
3.間食はほとんどしない
4.タバコは吸わない
5.一日平均7〜8時間の睡眠をとっている
6.自分の体重(キログラム)を身長(メートル)の二乗で割ったBMI値が18.5以上25未満
7.週二日の休肝日を守っている

本書によると、ブレスロー博士らが、7000人を約10年間、追跡調査した結果、ほかの条件がまったく同じでも、この7つを維持できている人は病気にかかりにくいことがわかったそうです。また、あらゆる原因の死亡率も低いらしいのです。

うーん、なるほど。みなさんはどうでしょうかね。

じゃあこれで「やばい!」となったときに、どう習慣をかえるのかっていうことを、後半で書いています。

「習慣をかえるためにどうしたらいいのか?」について1つ話を紹介しましょう。
ポイントは「変えやすい習慣から変えればよい」そうです。以下に本文を引用しましょう。

自分の習慣を変えたいときに、効果的に変えるにはどうすればよいか。答えは単純だ。変えやすい習慣からかえればよい。
では、変えやすい習慣とは何か。まずいえるのは、変える前と後にそれほど大きな違いがない習慣が変えやすい、ということである。つまり、一度に大幅に変えなければよい。短期的に実現しやすい目標をもって少しずつ習慣を変え、そして目標に近づいていけばよい。

なるほど。いきなり大きな目標をたてないほうがよいのですね。

本書では、これ以外にも、こうした対処法を学習心理学の知見などを用いて紹介しています。

「最近健康がちょっと・・・・」

とか

「習慣をかえるための心理学って!?」

とか

こうしたことを思った方にはおすすめの一冊といえそうです。

「健康心理学」とか「ポジティブ心理学」とかなかなか面白い分野ですね。
これからもこのあたりの領域の本をご紹介できればと思います。

▼参考図書

人勢塾については、書評を書きましたのでこちらもどうぞ!
[書評]人のポジティブな側面に注目する!- 人勢塾(金井 壽宏)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/–1.html