試行錯誤のキャリア教育とその問題点

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昨日に引き続き、大学教育に関する本を読みました。今回は、キャリア教育に関する本ですね。

大学のキャリア支援―実践事例と省察 (キャリア形成叢書)
上西 充子 小玉 小百合 川喜多 喬 伊藤 文男
経営書院
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キャリア教育の現状や、実践、問題点がよくまとまっています。この本もコンパクトなのに、中身がつまっていてお得感あふれる本です。

今回は特に、個人的な関心から、問題点として何が指摘されているか?の部分をまとめてみようと思います。これを読むことで、大学生のみなさんも、変な方向にはまらないですむのかもとも思います。

あっ、ちなみにこの本に問題点しか書いていないわけではなく、その必要性、可能性を十分に論じた上で、あえて、問題点もしっかり記述しているというかんじですので、誤解なく。

問題点についてはp.197に指摘されています。項目だけ抜き書きし、中身は僕の言葉でまとめます。

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キャリア教育の7つの問題点

1.就職技法偏重
いわゆるエントリーシートの書き方、面接の答え方とかを教える教育ばかりになっていないかという話。

2.安易な適職選択
業界研究は大事だけど、それだけで全てわかるわけではないという話。また、「適職テスト」などで自分にあった職業がわかるわけではないという話。

3.視野を狭める自己分析
注意深くやらないと2つの間違いが起こる。1.自分探しのループにはまる、2.自己理解テストなどの結果をまるごと信じてしまい、変化の可能性をつぶしてしまう。

長所や短所を思い込んでしまい、固定的な自己を形成してしまうということか。このあたりはマインドセットの話っぽくて面白いですね。

書評:「やればできる!」の研究
http://www.tate-lab.net/mt/2009/02/post-63.html

4.物見遊山気分の職業知識教育
体験するのは大事だけど、それで全てはわからないよという話。

5.続く職業能力教育べっ視
キャリア支援ブームへの保守的反動として、大学は職業学校ではない、就職部がやればよいということになるという話。

6.本人を責める職業倫理教育
働くことの意味は、働いてみないとわからないのに、先に頭でわからせようという発想になってしまう危険性があるという話。「若者がすぐ会社を辞めることは本人の職業観がなっていないからだ」という意識がそもそも問題ではないかと、この本の著者は思っているとのこと。

7.狭義のキャリア教育ではできない積極態度教育
積極的態度は、キャリア教育というよりも、正課・課外活動で育つのではないか。これらを全てキャリア教育で育てようとするのは、知識詰め込みでなんとかなるとう幻影ではないかという話。

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うーむ、なるほどというかんじですね。

自分が大学生のときもそうでしたし、大学生のともだちと会うと思うのですが、就職活動とかってものすごくみんな憂鬱そうにしていますよね(笑)

「わたしのやりたいことってなんだろう??」
「好きなことを仕事にするって??」
「わたしの長所ってなに??」


こういうことを考えるきっかけとして機能するのであればまだよいのですが、あまりに不安な部分が大きくなりすぎてしまったり、自分の可能性を思い込みによって狭めてしまうことも、これまた問題な気がします。

昨日紹介した溝上先生の本とも、この本はリンクする部分が多くありましたね。

「やりたいことが見つからない」を超えて -現代の大学生の生き方-
http://www.tate-lab.net/mt/2009/12/----1.html

やりたいことから始まる「インサイド・アウトな生き方」が主流であるいま、就職活動にぶちあたったときに、「自己分析の罠」にはまってしまい、行動ができなくなってしまう、というのが一つのパターンとしてあるのかもしれません。

そうならないためには、やはり「行動していくこと」が大事になるわけですが、「行動につながる内省」をするためにも、「他者に自分の物語を語ること」がひとつのキーとなるのかもしれませんね。

ということで、本日はキャリア教育の問題点でした。

可能性もたくさんあるので、それはまた今度ということで。

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場作りに関する対談が掲載されています。
第六章(p192-204)
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